54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

重力による時間の遅れ

2005年04月26日 | 飛行する時間
相対性理論によれば時空は平坦ではなく湾曲している。物質の密度が高いほど時空の湾曲も大きくなる。質量の大きい太陽では時空の歪みが大きくなる。そこでは重力も大きい。重力というのは、重いものには強く、軽いものには弱く働く不思議な力ではなく、時空のゆがみである。
歪んだ時空の中で時間はどうなるのか。アインシュタインは重力が強いほど時計がゆっくり進むことを発見した。標高が高い場所に置かれた時計が標高の低い場所に置かれた時計よりも早く進むことが確認されている。標高が高いほうが重力は弱くなるからだ。時間は重力によっても遅れるようだ。
時計の遅れは量子の遅れである。重力によって量子が遅れるというのは想像に難くない。「ドラゴンボール」の中で孫悟空は重力による修行をしている。重力を10倍にすると体が重くなり運動に負荷がかかる。これを重力によって量子が動きにくくなっていると見ることもできる。重力によって量子が遅れるというのは自明のことのように思える。しかし鳥山明氏は重力の影響を大きく見落としているようだ。重力はすべての量子にはたらくのである。漫画の中では孫悟空の意識は平常どおりに働いている。これはおかしい。意識を構成する量子もまた遅れるはずなので意識もまた遅れるはずなのである。そう考えるならば体の動きが遅れるが、意識もまた遅れるので、感覚的には普通の重力と同じように感じられるはずである。これは新幹線に乗っている人が車両の中で走ったとしても自分が時速320kmで走っているようには感じずに、普通に時速20kmで走っているように感じるのと同じである。重力を10倍や100倍にしたところで普通の重力と変わらないのであれば孫悟空の修行はまったく無意味だったということになる。ブリーフ博士の研究もまた無意味だったことになる。
話は反れてしまったが、重力によって時間が遅れるということは宇宙のあらゆるところで時間の進み具合が違ってくるということになる。太陽木星土星といった質量の大きな惑星では時間はゆっくりと進み、月のような小さな衛星では時間が早く進む。このような宇宙観においては「絶対時間」などというものはまったく意味を成さない。しかもブラックホールという超高密度な場所では時間が止まってしまうのだ!
地球の時計はグリニッジ天文台を標準時としているが、宇宙の時計は一体どこを標準時とするのだろうか。