むか~しむかしのお話。
ある夜、翁は流れ星が流れるのを見た。
こんな夜はどこかで誰かの願いが叶うかもしれない、などとは翁は考えない。
流れ星は山に落ちたのだ。
これはすごいものを見てしまった。
翁は興奮して眠れなかった。
翌朝早く、翁は流れ星を探しに山に入った。
すると、竹やぶの中でひときわ輝いているものを見つけた。
その物体は熱で真っ赤になっていたのだ。
一晩中燃え続けているなんて、さすがは流れ星。
翁は川から水を汲んではかけて水を汲んではかけてしてその物体を冷ました。
翁はその丸い物体をいろいろ触って見ていたが、ある拍子にパカッと開いた。
すると、中から赤ん坊が出てきた。
桃太郎・・・などとは翁は考えない。
空から降ってきた女の子、翁はその赤ん坊に空姫と名付けた。
空姫は不思議な赤ん坊であった。
その成長は驚くほど速く、あっという間に年頃の娘になってしまった。
さらにその容貌。
はじめは人間の赤ん坊のようであったが、成長するにつれて普通の人間とは全然違う特徴をもつようになった。
銀色の肌に、白目のない黒目、後の世にいうマネキンのようでもあった。
しかしその姿には不思議な美しさがあり、会う男はみな空姫に惚れてしまった。
たくさんの男が空姫にプロポーズをした。
そこで空姫は、「私が欲しいものを持ってきてくれた人と結婚します」と言った。
空姫は次々と無理難題を出してきた。
金が欲しい、銀が欲しいから始まり、合成ゴム、合成プラスチックが欲しい、耐熱材が欲しい、ジェットエンジンが欲しい・・・その要求はどんどん高度なものになっていった。
最初は要求に応えていった男たちも、やがてついていけなくなり、次々と脱落していき、そして最後には誰もいなくなってしまいました。
翁は心配して聞いてみました。
「空姫、いったいどうしたいんだ?」
「翁、私はね、この星の者ではないんです。私は故郷へ、宇宙へ帰りたい・・・・」
翁は空姫の泣く姿を見ていられず、なんとかしてやりたいと思いました。
空姫に一番惚れていたのは、この翁だったのかもしれません。
翁は早速宇宙船制作にとりかかりました。
もともと流れ星を見つけるような天体科学者です。
それに、空姫に求愛してきた男たちが集めた数々の部品がありました。
翁は夜も寝ずに研究し続け、数年をかけてなんとか宇宙船を完成させました。
空姫が最初に乗ってきた丸い宇宙船を分析したのが決定的でした。
ほぼ同じタイプの宇宙船が完成しました。
翁は大喜びで空姫に見せました。
空姫も大喜びです。「やっと帰れるのね」
そこで翁は気付いてしまいました。つまりこれは、空姫とのお別れなのだ。
その夜、翁は空姫と最後の食事を共にしました。
そこで空姫は自分の決意を表しました。
「明日私は、この星を旅立ちます。鬼退治に行くのです。
私の故郷の星は、凶暴な鬼に襲われ、たくさんの人が死にました。私の両親は、私だけでも助かってほしいと、宇宙に私を逃がしたのです。
でも私は故郷に帰りたい。それに鬼が憎いのです。
どうしても両親の仇をとりたい。
翁、そのチャンスを与えてくれて、どうもありがとう。
私をここまで立派に育ててくれてどうもありがとう。」
空姫が立派な大人の女性に見えた。
次の朝、出発の時。
「では、行ってまいります」
「空姫・・・」
翁は言葉にならない。
「空姫、これを持って行きんしゃい」
嫗が走ってやってきた。
「ほれ、きびだんごだよ」
空姫はきびだんごを手に入れた。
「昨夜の話、聞いてたよ。一人で鬼退治なんてあんまり無茶だよ。道すがら、そのきびだんごで仲間を集めたらいいさね。一晩かけて作ったから、ちょっと寝坊しちまったよ」
「ばあさん、お前・・・」
「あたしゃね、空姫に嫉妬してたんだよ。じいさんを取られちゃったような気がしてね。でもほら、こんな遠い異国でさ、唯一の家族だろ?最後の最後くらい・・・あたしにもいいカッコさせとくれよ」
「嫗、ありがとう。これでもう負ける気がしないわ。絶対に鬼をやっつけてやるから。翁と幸せにね」
宇宙船は飛び立った。鬼を倒すために。
翁はつぶやいた。
「宙姫か・・・」
。。
ある夜、翁は流れ星が流れるのを見た。
こんな夜はどこかで誰かの願いが叶うかもしれない、などとは翁は考えない。
流れ星は山に落ちたのだ。
これはすごいものを見てしまった。
翁は興奮して眠れなかった。
翌朝早く、翁は流れ星を探しに山に入った。
すると、竹やぶの中でひときわ輝いているものを見つけた。
その物体は熱で真っ赤になっていたのだ。
一晩中燃え続けているなんて、さすがは流れ星。
翁は川から水を汲んではかけて水を汲んではかけてしてその物体を冷ました。
翁はその丸い物体をいろいろ触って見ていたが、ある拍子にパカッと開いた。
すると、中から赤ん坊が出てきた。
桃太郎・・・などとは翁は考えない。
空から降ってきた女の子、翁はその赤ん坊に空姫と名付けた。
空姫は不思議な赤ん坊であった。
その成長は驚くほど速く、あっという間に年頃の娘になってしまった。
さらにその容貌。
はじめは人間の赤ん坊のようであったが、成長するにつれて普通の人間とは全然違う特徴をもつようになった。
銀色の肌に、白目のない黒目、後の世にいうマネキンのようでもあった。
しかしその姿には不思議な美しさがあり、会う男はみな空姫に惚れてしまった。
たくさんの男が空姫にプロポーズをした。
そこで空姫は、「私が欲しいものを持ってきてくれた人と結婚します」と言った。
空姫は次々と無理難題を出してきた。
金が欲しい、銀が欲しいから始まり、合成ゴム、合成プラスチックが欲しい、耐熱材が欲しい、ジェットエンジンが欲しい・・・その要求はどんどん高度なものになっていった。
最初は要求に応えていった男たちも、やがてついていけなくなり、次々と脱落していき、そして最後には誰もいなくなってしまいました。
翁は心配して聞いてみました。
「空姫、いったいどうしたいんだ?」
「翁、私はね、この星の者ではないんです。私は故郷へ、宇宙へ帰りたい・・・・」
翁は空姫の泣く姿を見ていられず、なんとかしてやりたいと思いました。
空姫に一番惚れていたのは、この翁だったのかもしれません。
翁は早速宇宙船制作にとりかかりました。
もともと流れ星を見つけるような天体科学者です。
それに、空姫に求愛してきた男たちが集めた数々の部品がありました。
翁は夜も寝ずに研究し続け、数年をかけてなんとか宇宙船を完成させました。
空姫が最初に乗ってきた丸い宇宙船を分析したのが決定的でした。
ほぼ同じタイプの宇宙船が完成しました。
翁は大喜びで空姫に見せました。
空姫も大喜びです。「やっと帰れるのね」
そこで翁は気付いてしまいました。つまりこれは、空姫とのお別れなのだ。
その夜、翁は空姫と最後の食事を共にしました。
そこで空姫は自分の決意を表しました。
「明日私は、この星を旅立ちます。鬼退治に行くのです。
私の故郷の星は、凶暴な鬼に襲われ、たくさんの人が死にました。私の両親は、私だけでも助かってほしいと、宇宙に私を逃がしたのです。
でも私は故郷に帰りたい。それに鬼が憎いのです。
どうしても両親の仇をとりたい。
翁、そのチャンスを与えてくれて、どうもありがとう。
私をここまで立派に育ててくれてどうもありがとう。」
空姫が立派な大人の女性に見えた。
次の朝、出発の時。
「では、行ってまいります」
「空姫・・・」
翁は言葉にならない。
「空姫、これを持って行きんしゃい」
嫗が走ってやってきた。
「ほれ、きびだんごだよ」
空姫はきびだんごを手に入れた。
「昨夜の話、聞いてたよ。一人で鬼退治なんてあんまり無茶だよ。道すがら、そのきびだんごで仲間を集めたらいいさね。一晩かけて作ったから、ちょっと寝坊しちまったよ」
「ばあさん、お前・・・」
「あたしゃね、空姫に嫉妬してたんだよ。じいさんを取られちゃったような気がしてね。でもほら、こんな遠い異国でさ、唯一の家族だろ?最後の最後くらい・・・あたしにもいいカッコさせとくれよ」
「嫗、ありがとう。これでもう負ける気がしないわ。絶対に鬼をやっつけてやるから。翁と幸せにね」
宇宙船は飛び立った。鬼を倒すために。
翁はつぶやいた。
「宙姫か・・・」
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