54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

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54のショートショート短編小説

2009年12月31日 | クリエイティブな思考への挑戦
ショートショート短編小説
「魂の断絶」
「ニノミヤくん」
「風呂場」
「地球外生命体」
「ホコリ」
「孫悟空」
「うんち」
「活毛剤」
「魂の墓」
「ナンシー」
「タイムサーフィン」
「睡眠は未来への」
「SHO-RI」
「輝く宇宙」
「人生ゲーム」
「うどん屋がカレーをつくる」
「ダイヤモンド・アース」
「ハルマゲドン創生記」
「死にたい衝動」
「ヴァンパイアとの契約」
「私の太陽」
「いらない贈り物」
「僕らの知らないところで」
「ピーターパン少年の成長」
「棄てられた民」
「空飛ぶ水族館」
「うさぎとかめ」


夢小説
「イルカの絵」
「余命宣告」
「おばあさんの指輪」

ポエム
「Dying Massage」
「RESISTANCE REVOLUTION」
「空を越えて」
「真冬のBUTTERFLY」

「クリエイティブな思考への挑戦」から、
ベストアルバムとはいわないが、こんなのもあったなあというのをまとめてみました。
コメント

盗まれたもの

2009年12月18日 | クリエイティブな思考への挑戦
先生が怒りを露わにして言った。
「この中に、人の物を盗った人がいます。正直に名乗り出なさい」

誰も名乗り出なかった。この中に犯人がいるはずなのに。
・・・当り前だ。盗まれたというカードゲームは僕のカバンの中に入っている。そして僕は名乗り出ない。

先生はさらに言った。
「自分の大切な物を盗られたら嫌だろう?人にされて嫌なことは、人にもしてはいけないんだ。
まあ、誰にでも間違いはある。ちょっとむしゃくしゃしてついやってしまったのかもしれない。それならそれで、盗んだ物を返して素直に謝ればそれでいいんだ。
いつでもいいから、返しに来てください。待っています。よく考えるように」

返すわけないじゃないか。僕は思った。


家に帰った。弟がいる。
「はい、プレゼント」
そう言って、僕は弟に盗んだカードゲームを渡した。
「わーい、お兄ちゃん、ありがとう」

うちは貧乏だ。だから欲しい物なんてなにも買ってもらえない。
みんなが楽しそうにして遊んでいるおもちゃを見ても、うらやましがるしかない。
僕は我慢できる。でも、弟がかわいそうだった。


次の日、弟がトラックにひかれて死んだ。
なんで、弟が。死ぬなら、人の物を盗んだ僕の方が死ぬべきだと思った。なんで、弟が。

事故の時、弟は貯金箱を抱えていた。
「お兄ちゃんにプレゼントを買ってあげるんだ」
そう言って笑っていたと、弟の友達が言った。
弟は本当に少ないお小遣いをずっと貯めて、それでプレゼントを買おうとしていたんだ。
それなのに僕は・・・。

ふいに、昨日先生が言っていたことを思い出した。
「自分の大切な物を盗られたら嫌だろう?」
僕の大切なものはどこか遠くへ盗られてしまったんだ。
こんな気持ちになるなんて。


その日、僕はこれまでに盗んだ物をすべて返して回った。
一人一人に直接、謝って返した。
弟は僕からのプレゼントだと思って全部大切にしまってあったので、失くなったり壊れたりした物は一つもなかった。


その日の夜、僕は願った。
どうか、弟を返してください。待っています。よく考えるように。。
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