54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

転写エラー

2005年01月31日 | ハコ
タイムラインについてもうひとつ。「転写エラー」というのがある。
これは復元するときにみられる「ズレ」のことである。
1回2回のテレポートならこのズレは問題にならないが、
エラーは蓄積するのでいつか決定的なズレを引き起こすことになる。
(ズレたものをコピーして、さらにズレるのだからエラーは蓄積する。)
小説の中では血管がズレて死んだ人間と、右半身と左半身が目に見えてズレてしまっている猫(こっちは生きてる!)が出てくる。

デジタルコピーは画質が劣化しない、などと言われているが騙されてはいけない。
一度コピーしたディスクの画質は劣化しないだろう。
しかし、コピーする際にエラーが起こっているのだ。
一回のコピーでは画質に問題はないかもしれないが、
何度も繰り返せば目に見えて影響が出てくる。
完璧なコピーなどありえないのだ。

そこで僕の量子テレポートの考えを改めなければならない。
電話ボックスに入って気軽にテレポート!なんてことをやってたら死んでしまう。
全くエラーの出ないコピー方法が発明されない限り人間のテレポートを一般化するのは無理だ。

新しい量子テレポーテーションの生活。
通販がある。よく切れる包丁とかやせる運動器具はもちろん、最近では野菜なんかも扱っている。注文して金を払えば送られてくる。
ここで量子テレポーテーション。人の手を加えずに自宅に直接届く。モノならちょっとくらいズレてもいいだろう。しかも目に見えない程度のズレだ。
家にいながらにして何でも買えてしまう。牛乳、お菓子、米、ゲームソフト、靴なんでもだ。
シャンプーが切れた、なんてときもわざわざコンビニに走らずに済む。こんなに便利なことがあるだろうか。
あるいは食品に関してこんなことを言う人が出てくるかもしれない。量子テレポートした食品を食べたら体に害が出るのではないか。問題はない。エラーはあるにしてもごくごく小さなものだ。
電子レンジで温めた食品を危険だと思う人がどれだけいるだろう。そんなものだ。
一家に一台「量子テレポートボックス」。そんな生活。


タイムライン/マイクル・クライトン

2005年01月28日 | ハコ
この作品の中で主人公たちは中世へテレポートするのですが、このテレポートについて説明したいと思います。
おおまかにいうと、人間を量子コンピュータで解析してその情報を電子の列にして量子の泡から別の宇宙へ送り出す、というものです。
「別の宇宙」とは多世界解釈からくるもので、これは宇宙はたえず分岐していて僕たちが住んでいるこの宇宙が無数にある宇宙の中のひとつであるというものです。
なかには9.11同時多発テロ事件が起こらなかった宇宙があるかもしれないし、核戦争で地球が滅んでしまった宇宙があるかもしれません。そして進化のスピードが遅くて僕たちの宇宙でいう中世を現在として存在している宇宙があるかもしれない。
このテレポーテーションは過去に行くのではなく、別の宇宙の過去へ行くということなのです。
「量子の泡」とは量子のレベルでは無数の穴が存在していて、その穴が別の宇宙につながっているというもの。この穴から人間の情報を送って別の宇宙へ行く、と。

で、ここから釈然としないのは復元方法がわかっていないということ。
情報を送ったはいいが復元方法がない。小説では、われわれが復元方法を知らなくても、復元方法を知っているそっくり同じ宇宙から無事転送されるから問題ない、という説明で、納得できない。
帰還方法も、宇宙間での転送が行われると潜在的な(ばねが戻ろうとするような)エネルギーが生まれて簡単に戻れる、とこちらも納得できない説明。
しかしこれは、量子力学が広く実用化されているのに誰もそれを説明できないということとつながっているのかもしれない。アイディアがなくてこっちにつなげた、と。

ここからは僕の考えです。多世界解釈は受け入れがたいので、実用化するなら同じ宇宙間での転送だろう。電話ボックスのような装置に入って、行きたい場所(こちらもボックス)のアドレスを入力。
転送ボタンを押すと、一瞬で移動できる。一瞬というのが疑わしいかもしれないが
量子コンピュータなら可能らしい。これなら実現できそうな気がするがどうでしょう。