宿日直の仕事
今はもう廃止されているが、昔、職員が宿日直をしていた。各部・各課の職員数名が順番で宿日直をする。少しズレがあるが、年に一回ほど編制順で回ってくる。課での順番は大抵「あみだくじ」で決めた。仕事の内容は概ね電話応対、速達・書留郵便物の接受、2回の庁内巡視位である。後はテレビの番と仮眠である。
決して、「超勤」が付くというものでもなかった。本来の業務でないと言うのがその理由であった。尤も、当時の我が職場は、完全な「パー割り超勤」であったが。とは言え、ほんの少額の「手当」が付くことは付いた。
電話はダイヤルインでなかった。残業している課が有れば、その課へ電話を廻す。居なければ、当然、「閉庁しています。翌日に電話下さい。」で済む。しかし、時には、酔っぱらいや退屈しのぎの電話もある。少々手こずることもあるが、相手は酔っぱらいだし、時間潰しだし、こちらも責任がないし、暇であるので、適当に相づちを打って時間を潰す。
面倒なのは書留・速達郵便であった。特に多いのは「パスポート申請」に係るものであった。受領簿に一件ずつ記入する。閉庁後に到着しても、事務処理はすることがないので、翌日配達でも何等支障がない。郵便屋さんも真面目なんだと思った。
庁内巡視は、各課室のドアーの施錠・窓がキチンと閉められているか、を見て回る。要は戸締まりを見るのである。施錠忘れ等があると、宿直日誌に「○○課、施錠・窓閉め忘れ」と記載する。面倒だが「成果あり。」の気持ちになる。そして、翌日、その課にお咎めがある。誰しも一度は経験しているので、殆ど閉め忘れはない。
宿日直の仕事:元旦
今年の正月は早々と終わり、旧正月も既に終わって、全く時期外れの記事であるが、元旦に運悪く・くじ運が悪く、日直当番に当たったことがある。正月三が日は規定の手当の他に、特殊勤務手当らしき正式の「プレミア」が付く。更に課からも例の出所不明の「ご苦労賃」が出る。
しかし元旦の日直は暇そのものであった。さすがに電話も全く掛かってこない。超勤・休日出勤する課も殆どない。余りにも多数の年賀状を受け取るぐらいなもので、たちまち、宿直室は年賀状で狭くなる。最近は御用初めの日に一括して配達する様であるが。その狭くなった部屋で、テレビ三昧で、番組だけは正月であった。幾ら暇であっても、残念ながら「お屠蘇」を頂くと言う訳には行かなかった。
それともう一つ、いつもなら昼食で賑わっている近くの食堂や喫茶店が空いていない。「弁当持参のこと」と前もって教えて欲しかった。
宿日直の仕事:気象通報等緊急時
そして宿日直で一番大事な仕事は、気象台からの気象通報である。気象台から、注意報とか警報が発令されると連絡がある。幸いなことに地震と津波の通報は受けたことがない。間違いがない様にそして迅速性のために、その内容は余りにも短く符号化されていて、その通報だけを読んでも意味が分からない。マニュアルを見ながら、本文を読み取り、内容を理解して、それを、日誌に書いて、各出先に同じ通報分を連絡する。出先は各市町村等にに連絡する。これで末端まで通報が届くことになる。
しかし、上手くしたもので、警報の場合は殆どが予測可能であるので、勤務時間内に発令される。暴風警報・大雨警報・波浪警報などの場合は、県庁内に「配備指令」が出されて、必要な人員が各課で残ることになっている。当然「電話交換」も対象になる。だから、その時は宿直で電話番をする必要もない。暇な宿直になる。
その宿直時の連絡網が迅速に全てに行き渡るかが問題である。特に予測が出来ない地震・津波の場合は迅速性と完全通知が求められる。ところが、実際にやってみると、上手く働かないことが多いことが判明した。それで最近では、ほぼ自動的に警報等は流すことになった。
宿日直の仕事:マムシの血清
単純な仕事の宿日直であるが、この電話は忘れることが出来ない。紀ノ川筋の或る病院から電話があった。「マムシの血清を」との至急電話である。そんなもんが置いてあるのかと半信半疑であったが、これも万が一のためのマニュアルが宿直室に有った。その「マムシ血清」の所在課と場所、そして受け渡しの注意・方法が書かれている。大慌てでマニュアルにある「薬務課」の冷蔵庫にその「マムシの血清」の有無を確認した。確かにその課の冷蔵庫に鎮座していた。その冷蔵庫の中に庫内温度管理のデータが丁度「タコメータ」のように記録されていて直ぐに分かる。庫内温度も正常範囲内で異常はない。その旨電話をすると、多分その病院は保健所とか置いていそうな所へ電話を複数していたのであろう。「○○で見つかりました。」ホッとした。改めて、県庁の仕事の分野の広さに驚いた電話である。
今はもう廃止されているが、昔、職員が宿日直をしていた。各部・各課の職員数名が順番で宿日直をする。少しズレがあるが、年に一回ほど編制順で回ってくる。課での順番は大抵「あみだくじ」で決めた。仕事の内容は概ね電話応対、速達・書留郵便物の接受、2回の庁内巡視位である。後はテレビの番と仮眠である。
決して、「超勤」が付くというものでもなかった。本来の業務でないと言うのがその理由であった。尤も、当時の我が職場は、完全な「パー割り超勤」であったが。とは言え、ほんの少額の「手当」が付くことは付いた。
電話はダイヤルインでなかった。残業している課が有れば、その課へ電話を廻す。居なければ、当然、「閉庁しています。翌日に電話下さい。」で済む。しかし、時には、酔っぱらいや退屈しのぎの電話もある。少々手こずることもあるが、相手は酔っぱらいだし、時間潰しだし、こちらも責任がないし、暇であるので、適当に相づちを打って時間を潰す。
面倒なのは書留・速達郵便であった。特に多いのは「パスポート申請」に係るものであった。受領簿に一件ずつ記入する。閉庁後に到着しても、事務処理はすることがないので、翌日配達でも何等支障がない。郵便屋さんも真面目なんだと思った。
庁内巡視は、各課室のドアーの施錠・窓がキチンと閉められているか、を見て回る。要は戸締まりを見るのである。施錠忘れ等があると、宿直日誌に「○○課、施錠・窓閉め忘れ」と記載する。面倒だが「成果あり。」の気持ちになる。そして、翌日、その課にお咎めがある。誰しも一度は経験しているので、殆ど閉め忘れはない。
宿日直の仕事:元旦
今年の正月は早々と終わり、旧正月も既に終わって、全く時期外れの記事であるが、元旦に運悪く・くじ運が悪く、日直当番に当たったことがある。正月三が日は規定の手当の他に、特殊勤務手当らしき正式の「プレミア」が付く。更に課からも例の出所不明の「ご苦労賃」が出る。
しかし元旦の日直は暇そのものであった。さすがに電話も全く掛かってこない。超勤・休日出勤する課も殆どない。余りにも多数の年賀状を受け取るぐらいなもので、たちまち、宿直室は年賀状で狭くなる。最近は御用初めの日に一括して配達する様であるが。その狭くなった部屋で、テレビ三昧で、番組だけは正月であった。幾ら暇であっても、残念ながら「お屠蘇」を頂くと言う訳には行かなかった。
それともう一つ、いつもなら昼食で賑わっている近くの食堂や喫茶店が空いていない。「弁当持参のこと」と前もって教えて欲しかった。
宿日直の仕事:気象通報等緊急時
そして宿日直で一番大事な仕事は、気象台からの気象通報である。気象台から、注意報とか警報が発令されると連絡がある。幸いなことに地震と津波の通報は受けたことがない。間違いがない様にそして迅速性のために、その内容は余りにも短く符号化されていて、その通報だけを読んでも意味が分からない。マニュアルを見ながら、本文を読み取り、内容を理解して、それを、日誌に書いて、各出先に同じ通報分を連絡する。出先は各市町村等にに連絡する。これで末端まで通報が届くことになる。
しかし、上手くしたもので、警報の場合は殆どが予測可能であるので、勤務時間内に発令される。暴風警報・大雨警報・波浪警報などの場合は、県庁内に「配備指令」が出されて、必要な人員が各課で残ることになっている。当然「電話交換」も対象になる。だから、その時は宿直で電話番をする必要もない。暇な宿直になる。
その宿直時の連絡網が迅速に全てに行き渡るかが問題である。特に予測が出来ない地震・津波の場合は迅速性と完全通知が求められる。ところが、実際にやってみると、上手く働かないことが多いことが判明した。それで最近では、ほぼ自動的に警報等は流すことになった。
宿日直の仕事:マムシの血清
単純な仕事の宿日直であるが、この電話は忘れることが出来ない。紀ノ川筋の或る病院から電話があった。「マムシの血清を」との至急電話である。そんなもんが置いてあるのかと半信半疑であったが、これも万が一のためのマニュアルが宿直室に有った。その「マムシ血清」の所在課と場所、そして受け渡しの注意・方法が書かれている。大慌てでマニュアルにある「薬務課」の冷蔵庫にその「マムシの血清」の有無を確認した。確かにその課の冷蔵庫に鎮座していた。その冷蔵庫の中に庫内温度管理のデータが丁度「タコメータ」のように記録されていて直ぐに分かる。庫内温度も正常範囲内で異常はない。その旨電話をすると、多分その病院は保健所とか置いていそうな所へ電話を複数していたのであろう。「○○で見つかりました。」ホッとした。改めて、県庁の仕事の分野の広さに驚いた電話である。