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いくつになっても人生これから

再び、パトリシア・ハイスミス

2013-09-01 18:04:48 | 読書メモ

「目には見えないなにか」

全部読みました。モヤモヤしています。

おもしろかったのです。しかし、この1編がどうも気になって気になって。



こういうストーリーは好きじゃないはずなのに

なぜ、気になるのだろうか?という1編があります。

自分の気持ちもミステリー




解説ページで一番の秀作と評されていたものより、

私は、表題の「目には見えないなにか」が印象に残りました。

死を決心した女性が一人リゾート地にやってくる。魅力的な人。

なぜ、死ぬことにしたのかは一切語られず(←ハイスミスの実験?)

この女性が、宿泊先のホテルで2人の男性にプロポーズされる。

それどころか、女性にも好感をもたれる。

そんなことが人生に起きたら普通、有頂天です。

しかし女性は、ためらうことなく自殺してしまう。

これほどのミステリーがあるでしょうか。

自殺してしまうという結論がはっきり書かれているのに

なぜか理由は全く書かれていない。どゆこと?

自分で考えて作品を完結させるしかないってこと?

(↑ もう・・・はっきりさせないと~・・こういう性格なんです。やっかいですよ~。知りたがりって。

普段は封印しているのですけど、パトリシアにやられました)



本当は、読者があれこれ推測するストーリーはあまり好きではないのですが

(↑ だってね、正解がわからないままのパズルみたいじゃないですか)

これは、なぜかすんなり・・・じゃないな・・・・なんとなく・・・かな?

感情移入できました。

この女性は相当家族を愛しているんですね。

でも、ご主人は女性に対して愛情を示すことがなかった、あるいはなくなった。

一人息子がいて、性格はご主人にそっくり。

愛情を示すことがない。たぶん、息子は冷たい人間なのでしょう。

そこに、彼女は絶望したのですね。自分の愛情を注ぐ場所がなくなったのでは?

女性は夢と愛情がないと生きていけないところがありますからね。

かといって、愛情を注ぐ対象を変えることはできないのです。

それも女性ならではの特質ではないでしょうか。

パトリシア・ハイスミスは繊細な感情を持った人だったのですね。

それを踏まえて、再度「太陽がいっぱい」を見てみたいです。



作者は説明しないことで返って話を膨らませると考えたのでしょうか。

紹介してくれた、るるさんが同じ作者の別の短編集を読もうとしているのも

わかります。興味がわきますよね。


ちょっと、思い出したのですが、このような雰囲気を持つ作家で(もう少し重いかも)

ルース・レンデルという人がいるのですが

この人は短編はあったかわかりませんが、パトリシア・ハイスミスが好きなら

もしかすると、この人も好きになるかもしれないです。