川塵録

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平成9年最高裁判例  -不法行為は「禁止・命令規範ではない」

2024年03月01日 | 法律・海外法務
平成9年7月11日最高裁判例(民集51巻6号2573頁)

不法行為は「禁止・命令規範ではない」と考えている。

「我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は…将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防を目的とするものではない。

 (中略)

 我が国においては…将来の同様の行為を抑止することは、刑事上又は行政上の制裁にゆだねられている」

~~~以下、該当部分を全部引用~~~

我が国の不法行為に基づく損 害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償 させることにより、被害者が被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり(最高裁昭和六三年(オ)第一七 四九号平成五年三月二四日大法廷判決・民集四七巻四号三〇三九頁参照)、加害者 に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防を目的とするものではない。

もっとも、加害者に対して損害賠償義務を課することによって、結 果的に加害者に対する制裁ないし一般予防の効果を生ずることがあるとしても、それは被害者が被った不利益を回復するために加害者に対し損害賠償義務を負わせた ことの反射的、副次的な効果にすぎず、加害者に対する制裁及び一般予防を本来的 な目的とする懲罰的損害賠償の制度とは本質的に異なるというべきである。

我が国においては・加害者に対して制裁を科し、将来の同様の行為を抑止することは、刑事上又は行政上の制裁にゆだねられているのである。
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