すがわらの工房日記

東北は岩手県一関市の呉服屋。こつこつと友禅染めをしています。

解体新書と一ノ関

2020-04-22 17:40:05 | 歴史とか
皆さんこんにちは!

こちら岩手県一ノ関市の京呉服すがわらでございます。

東北にある小さな呉服屋ですが、店内の工房らくぜんで

きもの屋がきものを作っているんですよー!


岩手ではまだコロナ患者が出ていません、不思議大国岩手県です。

さて、
以前私の家の辺りはその昔「鬼死骸村」と呼ばれていたお話をしたことがありましたが

その鬼石からそれ程遠くない場所に「豊吉の墓」が有ります。

桜の木漏れ日が綺麗ですね。

この「豊吉さん」なんですが、実は盗賊でして悪事の果てに御用となり
江戸時代に刑場であった此処で斬罪に処されたのです。

お墓の横にはこんな案内板が

「解体新書」とあります。歴史の時間に習いましたね。

実は何と、この一関市が
皆さんご存知「解体新書」に大きく関わっているのでございますよ!


解体新書と言えば杉田玄白


杉田玄白は当時
オランダからもたらされた「ターヘルアナトミア」の正確さに驚愕し、


前野良沢と共に日本で翻訳本を出そうと思い立ったのだそうで、

ところが、

玄白は実はオランダ語が苦手でほとんど分かんなかったんだそうです。
「蘭学事始」なんて本まで書いてるくせに。

良沢はいくらかオランダ語が分かるとは言え、専門用語満載ですごく難儀したそうで
しかし玄白は功を急ぎ、勢いで不完全なままの出版に踏み切りました。
実際間違いも多かったようです。


出版はしたものの、内容や意訳に不安を抱いていた玄白と良沢は
お互いの弟子であり、オランダ語が得意な「大槻玄沢」にちゃんと作り直させる事にしたのでした。


これは晩年の玄沢。
その当時はまだ若い一関藩の藩医で蘭学者でした。

そんな大役を仰せつかった玄沢は

「やっぱ、実際に解剖しながら答え合わせしないとダメだわ!」と考え

一関藩主に強くお願いしました。

なかなか許してもらえなかったそうですが、とうとう殿様が根負けして、

丁度その時に処刑された罪人が「豊吉」だったのでした。

やがて完全版として出版されたのが
「重訂解体新書」です

日本、中国、西洋の多くの書物を参考にし、
解剖をくりかえし、知りうる限りの知識を加えて出版にこぎつけました。
着手から出版までに36年を要し、
江戸時代の解剖書の中で最も詳細な内容を持つ大作と評価されています。

豊吉は重罪人でありながら解剖の事績で医学に貢献したという事で
お墓に弔われ手厚く供養されることになったのでした。

当時の人々の命への情熱が伝わってくる。

現在の日本の医学の発展のきっかけの一つがここ一ノ関に有ります

今も粉骨砕身でコロナウイルスと戦っていらっしゃる医療従事者の方々には感謝してもしきれません。

どうか世界が早く健康になりますように~!


旧街道沿いにひっそりとある豊吉の墓には今も欠かさずお花が供えられています。




京呉服すがわらは東北の小さな呉服屋ですが、

着物が好きな方、楽しくお召しになりたい方のお手伝いを一生懸命しています。

気になった方はどうぞお気軽にお問合せ下さいねー。


京呉服すがわら ホームページ

http://kimono-sugawara.jp/


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