すがわらの工房日記

東北は岩手県一関市の呉服屋。こつこつと友禅染めをしています。

図案制作中~

2010-11-28 15:51:45 | 友禅

こんにちは!

こちら岩手県一関市の呉服屋 京呉服すがわら です。

工房名は「工房らくぜん」

きものやがきものを作っているんですよー

  

さて、無事振り袖も納品できてめでたしめでたし

お客様にも喜んで頂き ほっと一息つく間も無く

工房では早速次の制作に取り掛かっておりますよ

一つの品物が完成したら次のものをまた始めから制作します

小下図は出来てるので

現在 本下図の制作中です

Dsc_0175

私はこうやって

板に紙をはってがしがしと勢いつけて鉛筆で描いていくんです

これが現時点での自分の考える最速の制作工程なんですけど

他の先生方はどうなさっているんでしょうか

偶に他の皆さんの制作方法も気になったりします。

もしかして物凄く思いがけない秘伝の制作方法があるんじゃなかろうか…

  

でもまあ私の場合、手は動いても頭の方が付いていかないもんで

鉛筆持ったまま画面と半日にらめっこしてたりしますから

鍛えるべきは頭の方ですね

  

Dsc_0174

今描いてるのは波の図案です

今回ご依頼頂いてるのは波濤に青海波、宝尽くしです

良い事が波に乗って運ばれてきますように、良い波に乗れますように、というお母様の願いで娘さんに作られるお着物です。

これは軽やかに綺麗な色使いで仕上げたいです

さて、どんな風にまとめようかな~

軽やかに軽やかに~ ぴょりろ~ ←口笛下手。

  

それにしても日々寒さが深まってきましたね

今晩あたり、雪が降るとか降らないとか、

湯豆腐が美味しい季節ですよね~

私、湯豆腐と日本酒があれば何もいらないです

今夜は湯豆腐で一杯やりたいなー ぴヒよょ~ ←口笛下手。

  

  

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振り袖完成!

2010-11-26 18:11:11 | 作品紹介

皆さんこんにちは

こちら岩手県一関市の呉服店 京呉服すがわら でございます

きものやがきものを作っているんですよー

  

さて、制作していた振り袖ですが、

仕立て上がって完成しました!

ひゃっほう!バンザーイ!!

写真はこちら、どーん!

Dsc_0170

うおお、よし、イイじゃない!

無事出来た。出来上がった!

良かったなあ~

こうして衣桁に掛けて見ると一見、背中の部分が寂しいように感じられますが

帯を締めると隠れるところですからこれで良いんです。

また、振り袖を着るとき帯は飾り結びをしますので、

この方が背中が綺麗に見えますよ。

何も描けば良いってモンじゃないんです

  

ちなみに帯を乗せるとこんな感じ

Dsc_0172

ほらね、イカスでしょ

立て涌くがイカスでしょ。

着たらさぞや栄えるでしょう

写真だと分かりづらいけど、金箔は2種類使ってるんですよ

綺麗に仕上がって本当に良かった。

ぜひ着た所が見てみたいです。

  

今回は本当に急ぎの仕事でしたが、イメージ通りに仕上がってほっとしました。

注文でする仕事は、お客様それぞれのイメージがありますから

条件や好み、その他色々な要素を加味しつつ、相談しながら制作します

ですから私一人では到底作れない様な思いがけないデザインが出来たりします。

今まで何点か振り袖を手掛けさせて頂きましたが、

それら全部全く違った雰囲気ですね

本当に同じ人が作ったの?ってくらい全部違う。

私の中のデザインの幅がそれによってどんどん広げられていくようで、

つくづくお客様に育てられているなぁと実感する日々。

今回の様な大胆な構図や色使いも大変勉強になりました。

今後の制作に生かしていければ良いなあと思いつつ

現在新たに図案と格闘しています

こちらもそのうちご紹介出来ればしていきますね~ 

    

  

  

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振り袖 箔仕上げ

2010-11-17 17:19:41 | 友禅

皆さんこんにちは!

ドライ水洗に出していた製作中の振り袖が帰ってきましたよー

ほら、鮮やか~

0126

ここは上前身頃の部分です

柄を大体合わせてみましたよ

そして これが袖

大胆絢爛

0127

どうやら特に何も問題なく、無事帰って来たようです ほっ。

さていよいよ最後の仕上げ、箔仕上げを施します

これは言うなれば着物のお化粧ですね

何てったって振り袖ですからね絢爛豪華にいきます

  

まずは金箔の準備

箔を適当な大きさに切っておきます

0136

この箔はある程度の厚みがあるので、あかし紙を使わなくても平気です

箔によって扱い方はそれぞれです

  

準備が整ったら箔を押す部分に糊をぬります

0128

糊が付いたとおりに箔が付くので慎重に

模様の際やエッジ部分は特に気をつけます

0129

一度糊を塗ったら乾く前に一息に箔を押していきます

まずは一枚ずつ手に取って

0133

そーっと、ぺたり

0130

慎重に、箔に皺や折り目が付かないようにとにかく慎重に

0137

手早く、確実に、丁寧に、そして急げ私

0139

流れるような手順で、止まる事なく進めます

糊よ乾くな 潤いをもっと!

0140

とにかく慎重に、今風が吹いたら大変な事がおこります

風よ吹くな 今は誰も俺に近づくな!

  

…で、箔を押し終わったら糊が乾くのを待ちます

乾くと箔がしっかり生地に喰いこんで、こんな風になります

0148_2

しっかり付いてますね、これなら大丈夫。

使用している糊は生地用の箔糊です。

乾いても堅くなりにくく、ドライや水にも強いんです

  

裏からも見て糊が乾いていることをしっかり確かめてから

余分な箔を取ります

0149

筆などでガサガサ払うと簡単に取れます

0150

ほら、糊が付いた通りに箔がつくんですよ

取れた箔はきちんと集めて保管し、別の機会に砂子として使用します。

  

とりあえず立て枠の部分に箔を押したところ

0151

うん、ピリッと締まりましたね

もう少し箔を使いますが、まずはこんな感じ

  

箔と同時進行で金線を引きます

金線とは、金紛を糊で練って筒で糸目の様に線を引くことです

この様に金を練ります

0155

  

0154

この糊の調合が上手くないと後で金線が生地から剥がれて残念なものになってしまいますから注意が必要です。

これも経験が物を言いますよ

調整が出来たら線を引きます

0157

全部には引きません

模様を選んで金線を引きます

模様の輪郭がきらきらしますよ

0160

きれいに引けた糸目の線が金で隠れてしまいますが、ピリッと締まります。

これで模様の見え方に変化がつくので、奥行きがついて

仕上がりに厚みが出ます。

  

さて、これで仕上げは全て終えました。

湯のしをかけて生地を整えたら あとは仕立て屋さんの仕事です

仕立て上がりが楽しみです。早く見たいなー

   

京呉服すがわらの工房らくぜんでは

新しいものばかりでなく、お客様の古いお着物の修理も行っております

例えば、どうしても落ちないシミの部分に柄を足したり、

古い留袖や訪問着等に箔を押して豪華に蘇らせたりも出来ます

いつでも何でもお気軽にご相談下さいね。

   

   

   

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誂えの名古屋帯(過去作品)

2010-11-11 23:31:49 | 作品紹介

本日も過去作品の紹介をしましょうか

前回に引き続き

これもお客様のご要望でお誂えした品物です

名古屋帯なんですが

この時の事は絶対に忘れることは無いでしょう

時節も確か今時分…

その方は猫柳か何かの小枝に結び文をしていらっしゃって

「これでお願いします。」と一言

その結び文を解くと詩が詠まれているんですが、

その歌のイメージで帯を描いて欲しいというご依頼でした。

ドラマチック!!

ちなみにその歌はご主人が詠まれた歌だそうで、

ロマンチック!!

  

しかしこりゃ責任重大ですね

それで、制作するに当たっての条件が

地色は限りなく白に近い練り色で、

基本的に歌の中で詠われている内容のみでデザインする事。

太鼓には紋白蝶を2頭舞わせて雌雄を描き分ける事。

蝶の触覚等は実物に忠実に再現する事。

…と、まあ大体こんな感じで…

うぅむむ、これは、これはちょっと難しいんじゃないでしょうか

すぐに昆虫図鑑で紋白蝶について勉強する私

次の日には紋白蝶博士になっていた私。

みんな、紋白蝶について何か分かんない事があったら何でもオイラに聞くと良いよ!

ちなみに歌には

土筆、蓬、田の畦、が詠まれています

ちょっと材料少ないですね、どうやって色使おうかな

それはそれは悶絶する毎日でした

夢見ましたからね、その歌の事ばっか考えてたから。

そして出来たのがこちら

20101110134911931

何とか無理言って福寿草を描き足させて頂きました

でも、締めたとき太鼓にはぎりぎり出ません、垂れに二輪描いてあるって事で

一応歌の邪魔はしてませんね

「2頭の蝶の距離は私と主人のように付かず離れずの丁度良い距離で。」

と言うことでしたが、これも合格。

全てバッチリ合格。良かった!!

前はこんな感じ

201011102

どうせだから歌を会長の書で書いてもらいました

続きはもう片方に

101011103

うん、頑張った

私、よく頑張ったと思う。

  

お客様には本当に喜んで頂けて、私は腰が抜けるほどホッ、としました。

  

  

こちらは岩手県一関市京呉服すがわらです

すがわらの工房らくぜんではどんなものでもお誂え致します。

私が誠心誠意、精一杯、全力で手掛けますので、興味のある方は

一度試しに注文してみたら良いんじゃないかな。

  

  

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振り袖 過去作品

2010-11-10 23:04:45 | 作品紹介

みなさーん! お元気ですかー

こんにちは

岩手県一関市の着物屋 京呉服すがわら です

すがわらの「工房らくぜん」ではどんなものでも、お客様のご要望に合わせてお誂えいたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

  

さて、現在制作中の振り袖ですが、ただ今ドライ、水洗浄に出しております

帰って来たら箔仕上げを施しますよ。

早く帰って来ないかな~

しかしこの待っている時間ってのは落ち着かないです

どうか無事に帰って来ますように。

そんな訳で、現在品物が手元に無いんですが、

せっかくなので以前に制作した振り袖をご紹介します

いくつか作りましたが、今回はこちら

  

20101110134752615

黒地に紫ぼかしの振り袖です

このときのお客様は、

黒と紫の振り袖が欲しいのだけど、

どこに行っても思った通りの紫が無いということでした。

うちの店にも無かったので、そんなら作っちゃいましょうねと言う事で

紫の色を念入りに合わせつつ、何度か店に足を運んで頂きながら

丁寧に進めました

  

前はこんな感じ

20101110134830417

この時は何しろ一年間も時間を頂いたので、

作業してるうちにやりたいことが増えてきてかなり豪華に仕上がりました

お客様にはすごく喜んで頂けたので何より嬉しかったです。

お召しになって店に訪ねてきて下さったときは身震いするほど嬉しかった。

  

お誂えはお召しになる方の気持ちや想いに応えたいので

最初から最後まで全力です

図案から彩色、仕上げまで一瞬たりとも気が抜けません。

もちろん普段の制作もそうなんですが、

お誂えは何ていうか特別ですね

出来ることならもっとどんどん手掛けたいです

と思っていたら、先日新たにご注文頂きました!

色留袖と単衣の訪問着です。やった!!

  

この間小下図を描いてましたが、あれです

何度か見ていただき、ゴーサインが出ました

これを受けて、これから寸法に合わせた本下図に取り掛かります

いずれこれらの作業も紹介できればしていきたいと思います

むむむ、沸々と気持が湧き上がる

頑張るぞう!うおー!! がおー!!

 

 

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糊伏せとカマキリ

2010-11-05 00:44:11 | 友禅

こんにちは

こちら岩手県一関市の呉服店

京呉服すがわら でございます

工房名は「工房らくぜん」

きものやがきものを作っているんですよ

  

前回の続きです~

蝶々の振り袖は蒸し器で蒸して色止めします

Dsc_0134

ロケットみたいな蒸し器。いつ見てもイカしてる!

  

蒸しあがったら早速糊伏せをしないといけないんですが、

その前にもう一作業します

糊伏せに使うワックスで染料を止めるための線を引いて

色を重ねて挿します

Dsc_0141

この工程は堰き出しって言っていいんでしょうか?

うーん、まあ何でもいいですね、見ての通り重ね染めです。

糊伏せも同時進行で他の所も同様に挿していきます

Dsc_0137

Dsc_0136

  

挿し終えたら、片っ端から伏せていきます

Dsc_0143

   

始めに言ってましたけど、黒も重ねて染めます

Dsc_0138

もう淵を糊でくくってあるのでそんなに怖くありません

広場もしっかり染料を重ねます

Dsc_0148

これでしっかりした黒が得られるはず

パッキリ こっくりした黒でバッチリアクセント、ちょっと何言ってるかわかんなくなってきましたね、すいません

  

そんで染料の仕事が済んだらもう、とにかく伏せます

全部伏せます。

Dsc_0144

この作業は頭使わないので只もう、淡々と黙々と着々と…

頭の中では井上陽水がエンドレスで流れてたりします

「氷の世界」ってイカレた名曲だと思う

~本日はここまで  

糊伏せが終わったら地入れして、地色を引き染めします

さてさてどんな仕上がりになるかなー

いつもの事ながらドキドキします。

  

  

ところで今朝、我家の窓辺で

メスのカマキリが雄のカマキリをむしゃむしゃ喰ってたんですが、有名ですよね

それ見て子供が引いてました。

虫とはいえ罪深い習性ではあるんですが

私は大人ですから、まあこれはこれで一つの究極の愛の形なのかなー、

とか見ながら思ってたんですが、あれって全部喰わないんですね

何か、頭だけ喰ってあと胴体とかポイって投げ捨ててるじゃないですか!えー

お前この間トンボは全部喰ってたじゃんか!

そりゃ無いよー、せめて全部喰えよなー って思いました。

あんまり美味しくなかったんですかね、 飽食?

無慈悲雌蟷螂!! 何となく非道な愛情の形!!

人間で良かったとつくづく思った2010天高き秋の朝。

とは言え、家族皆で見てましたからね

突如湧き上がる不安感にちらちらと横目で妻を盗み見る私…

どうか私を食べないでください

夫婦間に発生する漠然とした焦燥

カマキリのせいで朝から微妙な空気を纏う私たち家族ですが

少なくとも喰われることは無いと思う、多分。

  

  

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振り袖の友禅つづき

2010-11-03 17:53:43 | 友禅

こんにちは

こちら岩手県は一関市、京呉服すがわらでございます

工房名は 「工房らくぜん」ですよ

  

さてさて、超特急で進めている今回ご注文頂いた振り袖でございますが、

ようやく友禅が一段落したので ご報告いたします

Dsc_0147

  

前回は袖の友禅が終わった辺りまで書きましたね

裾の進め方もだいたい同じです

やっぱり黒をなるべく早い段階で挿してしまいます

バランスを計るためなんですが、恐ろしい…

黒は、いつだって最後に挿したい色ナンバーワンです

間違えたり、泣き出したりしたら取り返しがつかないので

細心の注意をはらいます

Dsc_0156

黒が入ってしまえば他の色も挿しやすくなりますね

これより強い色は有りませんから、まあケースにもよりますが

色のバランスを確かめながら一つ一つ染料を挿し入れていきますよ

  

うりゃ

Dsc_0158

黒さえ入ってしまえばもう怖くない

うりゃ うりゃ!

Dsc_0160

最初に何処にどの色を挿すかだいたい決めてメモっていましたが、

あくまで目安です。なので挿してみてバランスを見つつ、一々変更していきます

  

次々行きますよ

Dsc_0161

   

挿し色をボカシたりもしてみます

Dsc_0162

まず薄めの色を挿して、

Dsc_0163

色をうまくボカシながら濃い色を挿します

Dsc_0164

際に近づいてきたら染料の走りを加減して

糸目でうまく止まるようにしてやります。

染料が生地に染み入って広がっていく様子を職人は「染料が走る」と表現します

この染料の走りを上手に利用して色をぼかすのです。

また、糸目の外に滲み出すことは「泣く」って言います

そうなったら私の方が泣きたくなります

  

Dsc_0166

  

ほら、こんな感じ。

Dsc_0169

  

   

もうね、次々行きますよ

Dsc_0170

バンバン行きます。こういうのは勢いも大事なのです

  

Dsc_0174

ほら、こうやってちょっとずつ際まで染料を走らせて…

Dsc_0175

糸目で止める、、泣くな、止まれ!

Dsc_0172

最後は念力とかです、多分

  

胸の蝶々もひらひら ひら

Dsc_0179_2

 

よし、出来ました

Dsc_0177

  

  

全ての模様に色を挿し終えて、蒸し器で蒸します

蒸す事によって友禅の染料が生地に定着して水で洗っても落ちなくなるのです。不思議

Dsc_0180

ここまでくればあと半分。

次回は糊伏せですよ~ お楽しみに

  

   

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