後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

中国の人権問題は経済成長しても改善されていない

2017年01月13日 | 日記・エッセイ・コラム
一昨日、「同性婚を差別する日本人の文化の特徴」という記事を掲載しました。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの欧米諸国では差別されず、普通の結婚と同じ法律的優遇処置がとられ、差別されていません。
これに反して日本では法律的な優遇処置が一切取られていません。
この差別の根底には日本の人権無視の文化があると考えられます。明治維新で封建制からいきなり近代国家になった日本は欧米の精神文化を取り入れなかったのです。
市民革命を経験しないで、欧米の表面的な模倣で近代国家になった日本は彼等と違います。個人の尊厳とか人権という精神的な価値観を重要視しない文化になっているのです。
これは封建制からいきなり近代国家になったアジアの諸国と同じような共通の特徴ではないでしょうか。アジア諸国では個人の尊厳はとかく軽く考えられ、従って人権なんて無視される傾向があるようです。

そこで今日はお隣の中国の人権に対する考え方の現状を見てみましょう。
中国も清朝の封建制を倒し、一時は孫文の革命が成功しますが、1949年に共産国家になった国です。
アジア文化特有の人権軽視の上に共産党独裁が重なり人権など軽視されるのは当然です。
しかし経済的発展が続けばいずれ人権も尊重されるようになるという希望的意見もあります。この観測は何度も、何度もマスコミで報道されてきました。はたしてこの観測は正しかったでしょうか?

現在の中国の人権の状態をいろいろ調べていましたら、国際的な人権擁護運動をしているアムネスティ・インターナショナルが現状を一番客観的に報告していることが分りました。
そこでこの団体の東アジア地域事務所所長であるベクラン氏の話を引用することにしました。以下は、
http://www.huffingtonpost.jp/amnesty-international-japan/china-human-right_b_9745400.html
(2016年04月22日 )からの抜粋です。
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国連安全保障理事会の常任理事国でもある中国は、多くの国際人権条約を批准しています。しかし最新のアムネスティ・レポート(年次報告書)2015/16に見られるように、中国は多くの人権問題を抱えています。
昨年7月以降、拘禁・逮捕された弁護士や人権活動家の人数は約250人にものぼり、現在アムネスティ日本では釈放を求める署名をオンラインで集めています。
その他、新疆ウイグル自治区やチベット自治区では宗教活動や母語の保護活動が厳しく取り締まられています。高度な自治権を持つとされる香港でも、最近では書店員の失踪事件に見られるような自由の抑圧の動きがあります。
このような中国の人権問題について憂慮する12カ国が、国連で共同声明を発表しました(2016年3月10日)。この12カ国の中には今まで声を上げることの少なかった日本も加わっており、これは評価に値することだと思います。

■ 死刑執行数が国家機密である理由
中国では毎年数千名が死刑執行されており、その数は中国以外の他の国々の死刑執行人数の合計よりも多いのです。法律上、死刑は認められていますが、その数は国家機密とされているのは何故でしょうか?
実は中国では死刑が執行された人の身体から臟器を取り出し、それを臓器移植に使用するということが行われています。中国政府は、このようなことはやめると、これまでも何回も言明しているのですが、なかなかやめられないようです。このことも、中国国内での死刑執行数を国家機密としている理由の一つだと思われます。

■ 「法の支配」
土地の強制収用や立退き、粉ミルクにかさ増しのためにベビーパウダーを入れる事などは、明らかに中国の法にも違反する行為ですが、そのことを告発するとひどい嫌がらせを受け、場合によっては逮捕されてしまいます。これらは中国国内で「法の支配」という意識が欠如しているために起こっているのではないでしょうか。
現在の中国は「法の支配」を確立するには程遠い状況にあります。しかし、人権保護のため、「法の支配」のために闘っている人びとが実際にいるのです。彼ら/彼女らは、政府や大企業も中国が定めた法律を正しく守ることを要求し、多大な犠牲を払いつつも確実に成果を出しています。
現在の中国では、中国共産党を批判するだけで国家を脅かすものと判断されてしまいますし、結社の自由もありません。独立した人権団体の設立が認められたこともありません。それどころか、人権活動家を懲らしめ罰し続けているのです。中国ではアムネスティのような人権団体は違法団体に認定され、私のような講演をするような人はすぐに捕まってしまうでしょう。

■ 外国人の私たちは声を上げるべきか
今まで国際社会では、「中国の人権侵害についてうるさく言わないほうが良い」「経済状況が良くなれば人権状況も改善されるのではないか」などと言ってきましたが、それは大きな間違いです。現在の中国は世界的な経済大国となった一方で、今までにないほどの人権侵害が行われています。だからこそ人権侵害について大きな声を上げなければならないのです。中国国内で大きなリスクを抱えながらも、それに負けずに活動している人権活動家に対してもっと支援をすべきなのです。
私は中国で1000人近い人権活動家と話す機会がありました。そのたびに私は彼ら/彼女らに「あなたたちの活動に対して我々は声を上げるべきか、黙るべきか」と問いかけてきました。それに対しての回答はいつも同じでした。
「もちろん声を上げていただければ、こんなにありがたいことはありません」。
中国には彼ら/彼女らのような勇敢な人権活動家がいるのに、私たちが何もしないということはあり得ません。

200人以上に対する弾圧―現在も18人が拘束されている
2015年7月9日以降、一連の弾圧の標的となった弁護士や活動家は、アムネスティが2016年2月5日までに把握しているだけでも、248人にのぼります。拘束されていた人の多くは解放されましたが、18人が正式に逮捕され、現在も拘束されています。このままでは、彼ら/彼女らが裁判にかけられ、長期の禁錮刑を受ける可能性があります。

アムネスティ日本では、中国の弁護士への弾圧について、2015年7月に引き続き、オンラインの署名活動を行っています。拘束されている弁護士・活動家への不当な扱いをやめさせ、人権活動が理由で拘束されていることがないよう、今すぐ、あなたのご協力をお願いします! 以下省略。

以上の報告は中国で1000人近い人権活動家と話したことのあるベクラン氏による報告です。私はこの現状の報告を信用しました。その故に上でご紹介したのです。

中国人は政権担当者も一般人民も経済成長を続け、中国が国際社会で覇権を握ることに努力しています。その為には人権などは犠牲にすべきだと考えているようです。ですから中国は経済的に成長すればするほど人権が軽視される体質を持っていると考えられます。

恐ろしいことに、中国の影響は日本人も知らず知らずのうちに受けていると思います。日本の平和と安全のためには個人の人権も犠牲にしなければならない場合があると言うのです。個人の権利を主張すると日本が平穏な住みやすい国でなくなると言うのです。
しかし日本が共産党独裁の国家でなかった幸運には感謝すべきです。
この感謝の気持ちを表するために園芸種のサクラソウの花の写真をお送りします。昨日、東久留米市の石塚園芸店で撮らせて頂いた写真です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)