山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

タカネマツムシソウ(スイカズラ科)

2021年02月26日 | スイカズラ科
 本州の中部地方以北と四国の亜高山帯~高山帯の草地や砂礫地に生える2年草または1年草である。花期は8月。茎は高さ20~30㎝とマツムシソウと比べて背が低い。根生葉には長い柄があり、倒卵状披針形~倒披針形で羽状に全裂する。茎葉は対生し、上部のものほど小さくて細く、ふちに欠刻がある。茎の先や葉腋から出た柄の先に直径3~4㎝の頭花を1個ずつ付ける。花弁は、外側の小花は濃青色で深く5裂(時に4裂)し、下側の裂片が大きい。内側の小花は筒状で5裂(時に4裂)し、花床には線状倒披針形の鱗片がある。萼片は数個で長さ4~5㎜の棘状になり、そう果になってもこの棘状の萼片が残る。棘状萼片はマツムシソウに比べて長めである。山梨県では過去の記録はあるようだが確実なものは確認できておらず、情報不足(DD)となっている。


    タカネマツムシソウと思わしき花 令和1年8月 八ケ岳前三ツ頭(標高2,360m付近)で撮影


    同上 背丈は20㎝ほど、根生葉は切れ込んでいるように見える。


    同上 花


    タカネマツムシソウと思わしき花 平成30年8月 編笠山(標高2,520m付近)で撮影


    同上 花。少し時期が遅かった。


    そう果のトリーミング画像。棘状の萼片がやや長く見える。


    令和2年9月 大菩薩連邦ハマイバ丸(標高1,730m付近)で撮影したマツムシソウ


    同上 そう花のトリーミング画像。上記のタカネマツムシソウ画像に比べて棘状萼片は短く見える。

 タカネマツムシソウとマツムシソウの違いは何なのか?図鑑やネットで調べてみるといくつかの違いがある。

・タカネマツムシソウは背丈が20~30㎝と低く、マツムシソウは40~60㎝になる。
・タカネマツムシソウのほうが色が濃く、外側花弁の幅が広く隙間が無い。
・タカネマツムシソウのほうが棘状萼片が長い。
・根生葉の切れ込みがタカネマツムシソウでは深くて細かい。

 標高だけで区別するのは難しく、花だけで見分けるのも難しそうである。根生葉で見分けるのが良さそうであるが、花が咲いている時期では無く葉が出始めた頃のほうが見分けやすいようである。今回のタカネマツムシソウと思わしき花は7割方タカネマツムシソウであろうと思っているが、もう少し細かく観察して来ないと確定には至らない。

 ⇒山梨県の絶滅危惧のスイカズラ科植物一覧

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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コマクサ(ケシ科)

2021年02月25日 | 絶滅危惧種
 北海道と本州中部地方以北の高山帯の砂礫地に生育する小型の多年草である。花期は7~8月。葉は根生し、3出様に細かく裂け粉白を帯びる。花茎は高さ5~15㎝になり淡紅色の花を2~7個付ける。時として白花や濃い紅色の花を咲かせるものがある。花弁は4個で外側と内側に2個ずつ付き、外側の花弁は下部が大きく膨らみ先が反り返る。内側の花弁はやや小さく、中央がくびれる。蕾を横から見ると馬の横顔のように見えることから駒草の名がある。山梨県では八ケ岳キレットのツルネ付近に生育しているが、昭和45年の環境省調査ではその場所に確認されておらず、自然植生では無く誰かが種子を播種した可能性が否定できないため、情報不足として取り扱われている。


    コマクサ 令和2年8月 八ケ岳ツルネで撮影


    同上 それなりの個体数があるが、元々はこの場所には生育していなかったらしく、人による播種の可能性が否定できない。

 ⇒その他の山梨県の絶滅危惧の植物

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ナガミノツルキケマン(ケシ科)

2021年02月25日 | 絶滅危惧種
 本州、九州の草原や林縁、河畔、畔、人家脇などに生える2年草である。花期は8~9月。茎には稜がありやや太く、よく分枝する。葉は軟かく2〜3回3出複葉、小葉は深く3裂し、ほぼ倒卵形である。鮮黄色の花が花序に5~20個つき、花弁に紫色が入る。苞葉は細く幅2〜5mmと小さい。さく果は線状倒披針形で幅2〜2.5mm、多数ぶら下がってつき、中の種子は1列に並ぶ。山梨県2005年カテゴリーでは出現メッシュ数2で絶滅危惧ⅠA類(CR)だったが、2018年調査では確認出来ず情報不足(DD)となった。南アルプスで生育が確認されたが生育地が限局的で個体数が少ないうえに著しい鹿の食害に遭っており今後が心配である。瑞牆山と八ケ岳でも生育の情報があるが、まだ確認できていない。

 2005年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 2018年山梨県情報不足(DD) 2017年環境省準絶滅危惧種(NT)


    ナガミノツルキケマン 令和1年9月 南アルプスで撮影


    同上


    鮮黄色のナガミノツルキケマンの花


    同上 背丈が低く、鹿の食害を受けている。


    令和2年9月 同じ場所で撮影


    前年にも増して酷い食害を受けている。危険な状態である。

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オサバグサ(ケシ科)

2021年02月25日 | 絶滅危惧種
 本州の中部地方以北の亜高山帯の針葉樹林下に生育する多年草である。花期は6~8月。葉は根生し、長さ7~20㎝の倒披針形で羽状に深裂し、裂片の先端部は円い。花茎は長さ7~20㎝になり、上方に花柄のある白い花を下向きにまばらに咲かせる。花弁は4枚で長さ4~6㎜の狭長楕円形、萼片は2個だが開花すると脱落する。2005年山梨県レッドデータカテゴリーでは絶滅危惧Ⅱ類(UV)だったが、2018年の調査では確認出来ず情報不足(DD)となっている。南アルプスの鳳凰山や甲斐駒ケ岳ではそれなりの個体数が確認されており、次回の書き換え時にはⅠB類ないしはⅡ類で復活すると予想される。

 2018年山梨県情報不足(DD) 2017年環境省-


    オサバグサ 平成29年7月 鳳凰山で撮影


    同上 深く切れ込んだ葉が特徴的である。


    オサバグサの花


    鳳凰山ではそれなりの個体数が確認されている。


    平成30年7月 甲斐駒ケ岳黒戸尾根で撮影。こちらもそこそこの個体数がある。

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もうアオイスミレが咲いている 藤垈の滝 大窪いやしの杜公園 令和3年2月23日

2021年02月24日 | 里に咲く花
 セツブンソウとフクジュソウを堪能して下山してきたのは午後3時を少し過ぎた頃だった。日没にはまだ時間はあるがそれほど余裕があるわけでも無い中途半端な時間である。あまり歩かずに花が見られそうな場所を考えて、まだ咲いていない公算が強いがひょっとしたらと期待して藤垈の滝大窪いやしの杜公園のアオイスミレが咲く場所を訪れてみる。


    ミズバショウは葉が出ているが花はまだ全く見えず。


    オオイヌノフグリは咲き始め。


    その花に混じって、大きな紫色の花が咲いている。


    アオイスミレ。もう咲いているのか。


    花弁の形がおかしいと思ったら中に虫が入っていた。

 まだほんの数株であるが、気の早いアオイスミレが咲き出していた。春はもうすぐそこ、忙しくなりそうである。


    ヤチボウズのようなこの草はスゲなのか、それともリュウノヒゲ?


    水際に生えるこっちのスゲは何スゲ?全く分からず、他の渓谷で見てきたものもみんな同じに見える。

 今年から勉強しようとしているカヤツリグサ科、そしてイネ科の植物は図鑑を見てもさっぱり分からず、みんな同じに見えて仕方ない。何が普通に生えていて何が珍しいのかも分からないので、まずは身近に生えているものから見てまわることになるのだろう。シダを始めた時も何が何だかさっぱりだったが、尊敬する師匠に出会えたことでハイペースで見てまわることがことが出来た。それでもまだ見たのは山梨県に生育するシダ全体の7割程度ではないかと思う。これから始めようとしているカヤツリグサ科とイネ科はおそらくシダ以上に苦労することは必至であろう。5月になると穂を出すであろうから、その頃からさらに忙しくなりそうだ。予習しておかなければならない。

コメント (2)
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渓谷沿いのセツブンソウほころぶ 令和3年2月23日

2021年02月24日 | 山に咲く花
 10日ほど前に訪問した際はまだ何も出ていなかったセツブンソウだが、晴れた日が続き気温も上がった日があったのでそろそろ咲いている頃だと思う。渓谷の上流にあるフクジュソウの花もそろそろほころんでいるだろう。フクジュソウは陽が当たらないと花を開いてくれない気難しい花なので、少し遅めに出発する。


    渓谷沿いに咲くセツブンソウ


    まだ数が少なく最盛期ではないがそれなりに咲いてくれている。


    セツブンソウの花

 セツブンソウの咲く場所には数人訪問者が居り、話しかけてみると以前からお会いしたいと思っていた山梨県では有名な花の写真家の方だった。別の方は腕章を付けており、どうやら植物の調査に来られていたようである。いろいろと情報を提供していただき、連絡先も教えていただいた。同行して撮影に行く時が必ずあるだろう。

 さらに渓谷を遡上してフクジュソウが咲く場所まで登る。


    道の無いガラガラの沢を登って行く。


    日当たりの良い場所でフクジュソウが花開いている。


    まだ咲き始めたばかりなのか、昨年と比べて個体数は少な目。


    側面から萼片を確認する。花弁とほぼ同じ長さの萼片が付いている。フクジュソウで間違い無さそうだ。


    予定通りの正午ごろに現地に到着したのだが、狭い谷にはまだ十分に陽が射し込んでおらず花が開いていない場所が多い。

 狭い谷は正午だとまだ十分に陽が射し込んでおらず、花を開いていないフクジュソウが多い。あと1時間は待たないと咲かなそうである。ならば、前回は途中までしか見ていないこの渓谷の上部を探索に行ってみよう。この先は少し急峻な谷になる。登れるのかどうか?


    前回は覗き込んだだけで撤退した谷の上部。登れるのかどうか?


    大岩をいくつか巻いて登ると少し傾斜が緩くなってきた。


    途中の大岩にはこんなシダが着生していた。


    ビロードシダ。絶滅危惧種では無いがそれほど見かけるものでも無い。表面に毛が密生している。


    これは古い砂防堤なのか?数ヶ所にこんな石積が造られていた。


    急峻な谷を登り切ると苔が生えた緩やかな谷に変わった。


    そして驚いたのは、こんな谷の中に赤テープが付いていた。


    尾根に登るように赤テープと細い踏み跡がある。登ってみる。


    どうやら向かいに見える尾根に取り付いて山頂に登る道のようだ。ここまでで引き返す。

 標高は900mを越えた。山頂まではまだ標高差300mくらいあるので、1時間以上かかりそうである。そろそろフクジュソウに陽が射している頃であろうから、ここまでで引き返す。ずっとバリアンスルートが続くのかと思っていたが、山頂まで行けそうなルートが確認できたことは収穫である。


    谷間からちらりと見える白根三山


    フクジュソウの近くの岩にもビロードシダが着生していた。


    マクロレンズで覗いてみると、星状毛が生えていた。サボテンを見ているようだ。


    陽が射し込んで花が開いている。


    先日の早川町フクジュソウほどたくさん咲いているわけではないが、渓谷に咲くフクジュソウはまた違う味わいがある。


    渓谷に咲くフクジュソウ、美しい・・・。


    半開きだった花も全開。


    帰り際にもう一度セツブンソウに会って本日は撤退。少し花数が増えたようにも見える。

 セツブンソウもフクジュソウも最盛期にはまだ1週間ほど早かったが、その分新鮮な花を見ることが出来た。谷が登れるのかどうかは少しばかり不安があったのだが登れることも分かった。少しばかり膝が痛くなったが、満足して撤退である。

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相又川探索 身延町 令和3年2月21日

2021年02月22日 | 渓谷
 富士川の支脈の中では比較的経路が長く安部奥の山の懐まで続いている相又川はきっと変わった植物が生育しているのではないかと以前から目を付けていた渓谷である。しかし、工事が行われているのかダンプカーの往来が多いこの川の林道は何か入りにくいという印象をずっと持っていて一度も林道に入ったことが無かった。日曜日のこの日はおそらく工事は行われていないはずである。どこまで車で行けるのか、渓谷はどうなっているかの情報はほとんど持ち合わせていないが、どんな様子なのか、探索に入ってみる。


    林道の途中で岩壁を見上げると、何か付いている。


    サジラン


    カタヒバもたくさん付いている。これは良さそうな渓谷だ、とこの時は思った。


    林道の終点近くまで入ると広場があり車を止めた。水量はあまり多く無い。この先の林道は崩落していてこれ以上は車では無理だった。


    林道を歩いて進むと、広い河原に出た。


    対岸には崩落した林道の続きがあった。河原を遡上する。


    左側(右岸)から流れ込む滝


    別の滝。左右から小さな滝が次々と流れ込む。


    岩壁にはイワユキノシタがあちらこちらにたくさん生えている。絶滅危惧種とは思えないほどたくさん生えている。


    大きな堰堤に出た。これが最後の堰堤である。右側(左岸)に林道がありこれを使って超える。


    堰堤の先にも広い河原が続いていた。岩壁に囲まれた渓谷を想像していたのでこの景色には少しがっかりした。


    さらに河原を遡上する。大きなカツラの木が何本も立っている場所があった。


    その支脈は渓谷らしい良い景色である。


    苔の生した渓谷


    上流部。先まで行けそうだがここで引き返す。


    この支脈には探していたネコノメソウの仲間が生えていた。


    あと1週間もすれば咲きそうである。白が咲くのか、黄色が咲くのか?固まって生えている感じからすると白いほうが咲きそうだが咲いてみないと分からない。


    本流に戻る。


    渓谷が狭くなって岩壁が迫って来た。


    このあたりにもイワユキノシタがたくさん生えている。


    クリハラン!かと思ったがこれはミツデウラボシ。


    三つ手にならないミツデウラボシは普通に見かける。


    渓谷の岩壁には普通にツルデンダがたくさん生えていた。


    こんな渓谷の中にもクモノスシダが生えていた。


    クモノスシダと無性芽


    狭くなった場所を過ぎると渓谷はまた広い河原になっていた。まだ時間はあるがここで遅めの昼食をとって撤退する。

 苔の生えた緑豊かな渓谷を想像していたのだが、この渓谷は河原の広い緩やかな流れの続く渓谷だった。地図で見る限りでは標高900mあたりまでは行けそうである。今回登ったのは標高550m付近までなのでまだまだ先は長い。安部奥の山の稜線まで抜け出るのは厳しそうである。まだ見ていないヒメサジランや、山梨県では見られなくなってしまったナカミシシランなどがひょっとしたらあるのではないかと期待したのだが、全く手ごたえ無し。もう少し遡上すればもっと苔の生えた青々とした渓谷があるのかも知れない。


    もうひとつ探していたのがこのカンアオイの仲間。場所が身延町であり葉先が少し尖っているので、これはカンアオイだろうと思ったのだが・・・。


    根元の葉を除けると土に埋もれるように花が付いていた。


    マクロレンズを装着する。


    接写が可能なマクロレンズだが、岩壁の上の急峻な斜面に生えていた個体で三脚がうまく固定できず、これ以上近付けない。


    画像を調整してトリーミングしてみる。雌しべは曲がっているように見える。カギガタアオイなのか?

 葉先が尖っているか丸まっているかでカンアオイとカギガタアオイの区別がある程度可能なのではないかと思ったがなかなか難しいようである。分布域はカギガタアオイはやや南のほうに分布しており、身延町が移行部になるのではないかと思う。もう少し場所が良くてしっかり三脚が固定できる場所ならば、接近してしっかりとした画像が撮れるかも知れない。花の中も見えるのではないかと期待しているがどうなのだろうか?なんとか花を裂かないで中を覗き込んでやろうというのが目標である。カンアオイの仲間をしっかりと鑑別できるようになるにはまだ先が長そうである。

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ミスミソウ満開 市川三郷町 令和3年2月20日

2021年02月22日 | 山に咲く花
 早川町のフクジュソウを堪能して車に戻ったのは午後3時だった。日が長くなったので日没までまだ少し時間はある。しかし、探しているカンアオイの仲間を南部町まで行って探すには少し時間が足りない。ならば、そろそろ見ごろを迎えているであろうミスミソウを見に行ってみよう。中部横断道を使って移動し、訪れてみる。


    ミスミソウが咲いている。


    清楚で可愛らしい白花、ミスミソウ


    あまり固まっては咲かず、点々と咲いている。


    山肌が乾燥化して数が減ってしまっているように見える。


    リョウメンシダが生えている。山梨県ではこの場所から北側ではあまり見かけないが、隔離的に北杜市の一部で生育している。


    リョウメンシダの根元に咲いたミスミソウ


    4輪咲いたミスミソウ


    マクロレンズで少し芸術的に


    花弁は内側に6枚、外側に6枚、計12枚。


    葉はあまり深く裂けない。

 風が強くて撮影には苦労したが、毎年恒例のミスミソウは今年も綺麗に咲いて楽しませてくれた。しかし、年々数が減っているように見えるのは少しばかり心配である。盗掘や踏み荒らしがあるのかも知れないが、それよりも鹿の食害、あるいは環境の変化による山肌の乾燥化によるところが大きいのではないかと思う。特に今年の冬は雨が少なく、乾燥化が強いように思う。

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フクジュソウ満開 早川町 令和3年2月20日

2021年02月22日 | 山に咲く花
 早春の恒例となりつつあるフクジュソウの花園を今年も訪れてみた。この花は陽が当たる時間帯でないと花を開いてくれないため、午前11時から午後2時くらいまでが見ごろの時間帯である。早朝から町内会の行事があったが9時前には終わり、現地の入り口には10時半に到着した。林道を歩くつもりだったが、途中で鉄塔巡視路の入り口を発見し、林道を短絡して登ることにする。


    こんなところに鉄塔巡視路の入り口があるとは。これを使わせてもらう。


    鉄塔の尾根


    さらに樹林帯を短絡。テープが付いているが急登である。


    林道に出た。ところどころ斜面が崩落している。


    フクジュソウの花園に到着。先客の2人連れは私の花仲間の知り合いだった。

 短絡して歩いたおかげで12時前に花園に到着。フクジュソウは満開で、陽が当たって全開である。花仲間に情報をいただいたおかげで、ちょうど良い時期に訪問出来たようだ。


    満開のフクジュソウ


    陽が当たって花は全開状態。


    訪問時期もちょうど良かったようである。


    数は少し増えたように見える。


    萼を確認。花弁と同じくらいか、若干短い程度。


    花の色は濃い黄色。萼が花弁の間から一部姿を現している。


    日当たりの悪い場所は1週間後くらいが見ごろになりそうである。


    まだ蕾の花が多かった。


    存分に堪能させていただきました。

 満開のフクジュソウの花園を2時間ほど堪能させていただいた。帰りは双眼鏡片手に林道を歩き、カヤランやスギランなどの着生植物が付いているのではないかと木の上を覗き込みながら歩いたが何も見つからなかった。ついでに土手にカンアオイの仲間が生えていないかも見ながら歩いてきたが見つからなかった。早川よりも南側の河川流域ではカヤランが見つかっているが北側ではまだ見たことが無い。たぶん有ると思うのだが、今後も探索を続けたいと思う。

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まさかのマツバラン 令和3年2月19日

2021年02月22日 | シダの仲間
 根も葉も持たず茎と胞子しか無い原始的な形態のマツバランは、かつて山梨県から消滅したと思われていた時期があり、2007年版レッドデータブックでは野生絶滅になっていた。その後、県南部の桜の木に着生したマツバランが復活して2018年版では絶滅危惧ⅠA類となっている。かつては甲府市郊外、あるいはその近傍の竹林の林床に生育していたらしいがもう何年も見つかっていない。ところが、またしても私の花仲間がこのマツバランを見つけてきた。別の花を見に行った際に偶然見つけてきたもので確認したのは1株だけらしい。詳細に場所を聞いてさっそく見に行ってみた。


    これは水を貯める桶の跡か?


    こんなところにこんなものが生えているとは驚きである。


    マツバラン。個体が小さくまだ胞子嚢は成熟していない。

 見つかったのはこの1株だが、水桶の跡という場所が奇妙なだけに、これが本体では無いだろう。周辺にある桜の木やイチョウの木を念入りに見てまわるがそれらしきものは着生していない。竹藪の中はどうだろうか?ボサボサの竹藪をかき分けて入ってみると、その中に少数ながらマツバランが生育していた。


    竹林の林床に生えていたマツバラン


    見つかったには見つかったが・・・


    小さな個体ばかりで目を凝らして見ないと見落としてしまいそうである。


    一番大きかったのがこの個体


    胞子嚢はまだ成熟しておらず痕跡だけである。

 個体が小さいのはまだ幼弱だからか、それとも生育状況が悪いからなのだろうか?これから経過を追って見て行く必要がある。


    池のほとりに生えていたイノモトソウ


    林の中はオオベニシダがたくさん生えていた。

 マツバランがかつて生育していたという竹林はこの近傍のはずであるが正確な場所は知らない。探せば他の場所の竹林にも生育しているかも知れない。しかし、見つかっただけでもこれは凄いことである。

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クモマナズナ(アブラナ科)

2021年02月17日 | アブラナ科
亜高山帯から高山帯の岩上を好んで生育する多年草である。花期は6~7月。花のつかない茎は短く、葉はロゼット状に付き、線状披針形で両面に星状毛が密生する。花のつく茎は高さ10㎝前後になり、茎葉は卵形でまばらに星状毛が付く。花は白色で10数個が総状に密集して付く。山梨県では南アルプスと八ヶ岳に生育しており、個体数は比較的多い。

 2018年山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017年環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)

    クモマナズナ 平成29年7月 八ヶ岳で撮影

    同上

    同上 岩の上を好んで生育する。

    平成2年8月 鳳凰山で撮影。ほとんどが結実している。

    同上 根元の花を付けない葉はロゼット状で辺縁に鋸歯がある。



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ヒメイズイ(クサスギカズラ科)

2021年02月17日 | 絶滅危惧種
 山地帯の草原に生育する小型の多年草である。花期は6~7月。茎は直立し、高さ15~30㎝で稜角がある。葉は楕円形ないし長楕円状披針形で表面は淡緑色、脈上に乳頭状の小突起がある。葉の脇から長さ1.5㎝ほどの白緑色の筒状花を下向きに付ける。山梨県では富士山周辺に生育しているが大菩薩連邦でも生育が確認されている。

 2018年山梨県準絶滅危惧種(NT) 2017年環境省-


    ヒメイズイ 令和2年6月 高座山で撮影


    同上


    同上 固まって生えていたヒメイズイ


    令和1年6月 大菩薩連邦で撮影


    ヒメイズイの花。筒状花で先端は緑色で6裂する。

 ⇒その他の山梨県の絶滅危惧の植物

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シロバナイナモリソウ(アカネ科)

2021年02月16日 | 絶滅危惧種
 関東地方南西部~近畿地方の太平洋側に分布し、山地の木陰の林床を好んで生育する多年草である。花期は6~7月。葉は互生し柄があり、葉身は卵形~三角状卵形で、長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝、先は短く尖り、裏面脈上に軟毛がある。花は上部の葉腋に1~3個の集散花序をつくる。花冠は約1㎝の白花、鐘形で先は5裂し、雄しべと雌しべは花冠から長く突き出る。山梨県では櫛形山近傍、富士山周辺、県南部に生育しているが鹿の食害を受けて個体数は減少している。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 2017年環境省-


    シロバナイナモリソウ 平成27年7月 櫛形山で撮影。数年後に再訪してみたが見当たらなくなった。


    令和2年7月 櫛形山の別の場所で撮影。


    個体数は少なく、残念ながらまだほとんどが蕾だった。

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トガスグリ(スグリ科)

2021年02月16日 | 絶滅危惧種
 山地帯~亜高山帯の陰地のやや湿った場所を好んで生育する落葉小低木である。花期は5~6月。幹の下部は地面を這い、若枝は短い軟毛がやや密に生える。葉は腎円形で掌状に3~5中裂し、さらに縁は鋸歯状となる。長い葉柄があり、軟毛や腺毛がある。花は総状花序にまばらにつける。辺縁に赤みを帯びた黄緑色の花で、花序や花柄、子房には腺毛と軟毛が密生する。熟すと毛の生えた赤い実が成る。山梨県では富士山周辺と南アルプスに生育しており、群生するが生育場所はあまり多く無い。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 2017年環境省-


    赤い実を付けたトガスグリ 令和2年7月 富士山麓で撮影


    同上 群生するトガスグリ


    トガスグリの実


    同上 実には棘状の毛が生える。

 花はまだ見ておらず、花期に再訪してみたいと思う。

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ヤシャビシャク(スグリ科)

2021年02月16日 | その他の絶滅危惧種
 温帯林の老木に着生する落葉小低木である。花期は4~5月。良く枝分かれし、葉は短い枝先に互生し、5角形を帯びた腎円形で掌状に3~5浅裂し、両面に短毛が生える。萼は淡緑白色、深く5裂し、花弁は5枚でヘラ状、萼筒の上縁に付き、萼裂片より短い。緑色に熟し、全面に針状の毛が生える。山梨県では主に富士山周辺で生育が確認されている。


    ヤシャビシャク 平成28年5月 富士山麓で撮影


    同上 黄緑色の花のように見えるのは萼片


    平成30年5月 北岳広河原で撮影


    ブナの木に着生したヤシャビシャク 令和2年6月 御坂山系黒岳で撮影。


    同上 落花しており、毛の生えた実になりつつある。

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