山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雨の中を花咲く北岳へ(その2)  平成29年7月29日

2017年07月31日 | 山梨百名山
 広河原を6時半に出発し、二又に10時半、そして御池小屋分岐に到着したのは午後2時過ぎ、雨に降られたり花を探したり撮影したりで停滞したこともあるが、右又を3時間以上かけて登って来たことになる。そしてこの御池小屋分岐から上は素晴らしい高山植物のお花畑になっている。この先も早く歩けるはずが無い。雨も止んで来たことだし、山小屋の食事時間直前の5時に到着すれば大丈夫だろう。三脚を出して存分に花の写真を撮りながら登る。


    御池小屋分岐付近のシナノキンバイ。時期を少し過ぎているが見ごたえ十分。


    テガタチドリにハクサンチドリ、ウサギギク、ミヤマキンポウゲと贅沢な花たちが並んで咲く。


    テガタチドリ


    ハクサンチドリ


    このあたりからタカネヤハズハハコがたくさん咲いている。


    ここにもシナノヒメクワガタ。


    稜線に抜け出る手前まではミヤマヨモギが多いが、稜線に抜け出ると別のヨモギが現われる。


    咲き残っていたコイワカガミ


    チングルマの群落


    アオノツガザクラ群落


    これも見たかった花。初見のミヤマクワガタ。


    花の色が赤く、別名アカイシミヤマクワガタ。


    稜線に抜け出るとこちらのヨモギが主体となる。ハハコヨモギ。


    岩に垂れ下がるように咲いていたチシマギキョウ


    雨のしずくが滴るシコタンソウ


    タカネツメクサ群落。晴れていればバックに仙丈ケ岳が見えたはず。


    そしてまた初見の花。何これ?変わったキンバイ??


    帰ってから図鑑で調べてみるとタ・テ・ヤ・マ・キンバイ(バラ科タ・テ・ヤ・マ・キンバイ属)という花だった。


    そしてこれもどうしても見たかった花のひとつ。岩の間を再三探してようやく3株見つけたが・・・


    この場所は残念ながら蕾だったムカゴユキノシタ。やっと探したと思ったら翌日には驚くほどに・・・!

 霧に巻かれ、時折小雨がパラつく中を、登山道の周辺や岩の間を覗き込みながらじっくりと花を探しながら歩いた。ようやく見つけたイワユキノシタ3株は残念ながらまだ蕾だった。折角見つけたのでマクロレンズを取り出して接写しようとセットしていると、比較的近い場所で雷鳴が3発轟いた。風向きも悪く、雲がこちらに流れてきそうだ。これは不味い!レンズのセットを止めてザックに詰め込み、急いで山小屋に向かう。4時半に小屋に到着し、濡れた服を着替えると、間もなく5時半の夕食時間となった。それにしても汗と雨で下着までびしょ濡れ、汗臭い。ズボン以外は全て着替えたが、想定していたよりも北岳の夜は寒く、カッパが濡れて使えなかった分だけ服が1枚足りなかった。

 夕食後に山岳会メンバー総勢17名が集合して肩の小屋のテントで8時半ごろまで雑談に花が咲く。自己紹介ではメンバーの生い立ちや面白い山経験などを肴に楽しい時間を過ごした。9時に就眠する。明日は曇り時々雨の予報だが、山の天気は変わり易くどうなることやら?明日はいよいよタカネマンテマとキタダケキンポウゲにご対面である。
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雨の中を花咲く北岳へ(その1)  平成29年7月29日

2017年07月31日 | 山梨百名山
 何年ぶりの北岳だろうか?毎年行きたいと思いつつも、1泊2日という日程がなかなか取れず、天候にも恵まれずおそらくは平成23年7月以来になるのではないだろうか。未だに出会えていない北岳特産の2種類の花にどうしても出会いたくて、山岳連盟の山行に便乗させていただくことにした。その花を撮影するために登ると言っても過言では無いだろう。そのために100㎜マクロレンズを新たに購入し、28日に試写を行ってきた。花の撮影に愛用している10‐22㎜超広角レンズとは使い勝手が全く違うレンズなので、かなり奇異な感じがするが、2本のレンズが使いこなせれば風景を取り込んだ画像と花だけを主体にした画像の2種類が変化自在に撮れるということになる。まずは北岳まで登らなければ話にならない。

 朝1番のジャンボタクシーに乗るのだが、集合時間の4時半にとてもではないが早起きして間に合う気がせず、前日から芦安のペンションを予約して宿泊した。ぐっすり寝て集合場所に行くが、空模様がよろしく無い。広河原に到着して北岳を見上げると完全に雲に巻かれて全く姿が見えない。おそらく上は雨だろう。もし単独登山だったら・・・途中までで引き返している公算が強い。メンバーの足を引っ張らないように、必死で登るが、途中からは完全に私が最後尾を独占するようになってしまう。


    大混雑の広河原。本日の北岳肩の小屋宿泊率は150%だそうだ。


    ガンクビソウを数本発見した。


    大きな5枚葉のマムシグサ。花の位置が葉よりも低く、おそらくはヒロハテンナンショウと思われる。


    小雨と霧でレンズが結露し、撮影がままならず。オニシモツケ。


    側面から流れ落ちる沢沿いに咲いていたコンロンソウ


    同じような沢沿いにクロクモソウ


    ミソガワソウ


    葉がハート形。


    カイタカラコウ


    花がやや黄色味を帯びており葉脈が並行で鮮明。ヤマブキショウマと思われる。


    出会えて嬉しいこの花。ミヤマハナシノブ。


    良く見かけるこの葉はずっとヤブレガサだと思っていたが・・・


    ヤブレガサよりも葉の切れ込みが浅く、茎からも何枚か葉が分岐して出ている。これはヤマタイミンガサ。

 御池小屋分岐を過ぎたあたりで雨が降り出してしまい、まずは上だけカッパを着る。しかしその後さらに雨足が強くなり、上下着用で歩くことになる。覚悟はしていたのだが、それでも雨の中を山に登るのは気持ち良く無い。なによりも大変なのは湿度に弱い一眼レフカメラのレンズで、しばしば結露を起こしてそのたびにレンズを拭いて撮影しなければならない。さらにはレンズフィルターの内側まで結露するようになり、フィルターを外したり付けたりを繰り返しかなり面倒なことになってしまう。それでも、折角出迎えてくれた花たちを撮らずに先に進むことなど出来ない。


    大樺沢の雪渓。沢脇の道は倒木が多くて荒れており、ほとんど歩かれていない。


    この界隈にはキタダケオドリコソウなる黄色いオドリコソウがあると聞いたが・・・


    見たのは白からやや緑色がかったオドリコソウだけだった。


    ミヤマハナシノブは咲き始めのちょうど良い時期。


    グンナイフウロとミヤマハナシノブ


    白花のグンナイフウロ

 10時半に本隊から10分ほど遅れて二股に到着する。ここでちょっと早い昼食となるが、朝食の時間が早かったのでちょうど空腹になったところだった。20分ほど休憩して再出発する。しかし、その先は雨脚が強まり、ほぼ土砂降りと言って良いような強い雨となってしまう。単独登山ならばまず下山しているところだろうが、今回はグループ登山で本隊は既に出発しているので、追いかけて行くしかない。カメラを布で覆いコンビニ袋を被せて保護したが、あっという間に布もカメラも水浸しになってしまった。カメラが起動しなくなるのではないかと心配したがなんとか大丈夫だった。


    タカネナデシコ。雨でうなだれている。


    ムラサキタカネアオヤギソウ(タカネシュロソウ)。


    柵で囲われた中はミヤマキンポウゲがだいぶ復活していた。しかし、バイケイソウもかなり生えている。


    ヨツバシオガマ。この花は雨に打たれても元気に見える。


    細かく切れ込んだ葉が特徴のタカネヨモギ。


    初見の花、シナノヒメクワガタ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)。北アルプス中部以南、乗鞍岳、御嶽山、中央アルプス、南アルプスに分布するヒメクワガタの変種。


    ホザキイチヨウランは背が低くて小型のものばかり。


    イブキトラノオとお花畑

 雨で停滞したり花を探したり、薄暗いので三脚を出しての撮影で時間がかかったりと相当の時間を費やし、本隊とは完全に別行動となって午後2時過ぎにようやく御池小屋分岐にたどり着いた。この頃には本降りの雨は止んで霧雨に変わっていた。雨足が強かった時は途中で引き返そうかとも思ったのだが、ここまで来ると下山するのも肩の小屋まで行くのも時間的にはあまり変わらない。小降りになったことだし、本隊を追いかけて肩の小屋まで登ることにする。(その2に続く)
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今度こそキバナノショウキラン ドンドコ沢へ  平成29年7月28日

2017年07月31日 | 花・花・花
 富士山麓以外の場所でこの花に出会うのは山梨県では難しいのではないかと思っていたのだが、大月の山でキバナノショウキランを見つけてきた山と花の達人が今度はドンドコ沢でもこの花を見つけてきた。かなり詳細な場所をメールで送っていただいたが、果たして見つかるかどうか??それと、大月の山で見たという画像も同時に送ってもらったが、間違い無くキバナノショウキランだった。しかも花の周辺にスギの木の葉が散乱しており、どうやらスギの木の林床に生えていたようだ。私が探し歩いたルートで間違い無かったようだ。年によっては出ない時もあるようなので、来年も探索に出動してみたいと思う。

 午後から出発したので、現地までは時間的にギリギリの距離になりそうだ。日没過ぎの下山を覚悟で青木鉱泉から入山する。


    2週間ほど前に観察したオニノヤガラはもう花が終わっていた。


    オニノヤガラ。新調した100㎜マクロレンズで接写。


    トチバニンジン


    広葉樹林の林床にもうすぐ咲きそうなモミジガサ。


    バイケイソウが咲く森

 2~3株あったと連絡を受けたが、見つかったのはこの株だけだった。今度こそ出会えたキバナノショウキラン、やっと富士山以外の山域で見ることが出来た。


    広葉樹林の林床に咲いたキバナノショウキラン。


    満開を少し過ぎているが、富士山以外の場所で出会えただけでラッキーである。


    マクロレンズ接写


    これはフクオウソウの葉か?


    2中裂するこの奇怪な葉、ギンバイソウ(アジサイ科、or ユキノシタ科ギンバイソウ属)という花らしい。

 沢の周辺や周辺の斜面を探したが見つかったのはこの1株だけだったが、ひとまず出会えて良かった。時間は午後5時を過ぎて森は薄暗くなってきた。撤退する。
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花を探して大月の山へ しかし探索失敗  平成29年7月24日

2017年07月26日 | 番外編
 キバナノショウキランは富士山界隈でしか見られないものかと思っていたのだが、山岳会のメンバーから数年前に大月の山で見たという情報をいただいた。ルートとおおよその場所を聞いたので22日に出かけてみたが、登山道の入り口に到着したところで頭上で雷が鳴り始めてしまう。30分ほど待ったが遠ざかる様子は無く撤退となる。そして24日再訪してみたが、生憎の天候でいつ降り出してもおかしくない空模様だ。しかも気温は30℃近くありかなり暑い。山頂まで行くわけでは無いので、午後2時半から歩き始める。果たして本当にそんな花があるのだろうか?


    入り口付近で見つけたヒメヤブラン。


    先日見かけたオオバジャノヒゲに比べて小型で葉が細い。花も紫色が強く、上向きに花が咲く。


    普通のマムシグサに見える。


    これは?良く見かける気もするが・・・。


    星型の実が付いている。葉茎よりも遥かに長い花茎を出していることから、どうやらオオチドメ(ヤマチドメ)(セリ科チドメグサ属)らしい。


    イワタバコが咲き出していた。


    イワタバコ


    沢沿いの道を進む。ほとんどが杉の植林帯だが、探しているキバナノショウキランはブナなどの広葉樹林の倒木に腐生する植物だと思う。


    斜行する堆積岩の層が面白い。


    ここから先は沢を離れて稜線に登る尾根道。しかもヒノキの植林帯でこの上にあるとは考えにくい。

 標高差にして450mほどを花を探しながら右往左往しながら歩いたが、全くそれらしきものは見つからなかった。それよりも、ほとんどが植林帯で杉の倒木ばかりで、探し物があるような環境には無いように思う。場所を間違えたか、あるいはキバナでは無いほうのショウキランだったか?再度場所を確認して来年にでも再トライしてみたいと思う。今回の探索は失敗に終わった。


    収穫といえばこの花くらい。


    ガンクビソウ。普通にありそうに見えるが意外と出会えない。大きなガンクビソウは絶滅危惧種に入っている。

 行動時間は3時間半ほどだったが、絞れば流れ出そうなくらいの大汗をかき、体力を大きく消耗した。1リットルの水で足りなくなりそうだったので、沢の源流で300mlほど水を汲んで補給した。汗かきの私には行動しにくい季節である。
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白い腐生ランを求めて静岡県境の山へ  平成29年7月21日

2017年07月25日 | 花・花・花
 静岡県境の山に白い腐生ランが咲くという話は数年前に聞いたことがあったが、実際に見たことは無かった。今回知人を通して情報を提供していただき、さっそく見に行ってみた。現地近くになると、偶然にもその花を見に来た女性3人組と出会い、詳細な情報を提供していただくことが出来た。さらには、いろいろと話を伺ってみると、情報の発信元が同じ人物であったことも判明して驚いた。


    登山道脇に咲いていた初見の花。ジャノヒゲにしては葉の幅が広いし、ヤブランにしては背が低い。


    調べてみると、どうやらオオバジャノヒゲ(ユリ科ジャノヒゲ属)という花。


    トチバニンジン


    穂を出したキッコウハグマ


    テイショウソウ、ではなくてフクオウソウはまだ花穂を出していない。


    これは本物のヤブレガサ。確かに御坂山塊のヤブレガサらしき葉とは違うように見える。


    現地で情報をいただいたので、あっさりと出会えました。


    探しものはこの花。シロテンマ。


    こちらはもう終わりかけ。


    こちらはまだ蕾。

 一昨年櫛形山で出会った以来となるシロテンマだが、こちらのものは櫛形山に比べて背丈が半分くらいしか無い小型のものだった。しかし、花を見る限りでは全く同じ花だ。オニノヤガラの変種とも言われているが、真っ白な花を見る限りでは別物のように見える。

 なかなか出会うことが出来ない花なので、情報提供いただいたこの山の主に感謝である。
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青木鉱泉界隈を花散策  平成29年7月17日

2017年07月19日 | 花・花・花
 最近はロングコースの藪山中心の山行が多くて、日程的にも予定が合わず全く参加していなかった嶺朋クラブの山行だが、珍しく青木鉱泉界隈の花見山行を行うとのことで参加させていただいた。嶺朋クラブ以外の方の参加もあり、メンバーは総勢で8人ほどになった。先週行われた鳳凰山山岳レインジャー調査の際に青木鉱泉界隈でオニノヤガラを見つけたそうで、それを観察に行くのが一番の目的であるが、沢沿いのルート周辺にはそのほかにもいろいろな花があるはずだ。


    まず最初にお出迎えしてくれたのはクモキリソウ。少し時期を過ぎてしまっている。


    その先の森の中にも、あちらこちらで見かけられた。どれも青々とした葉で元気に育っているように見える。


    キツネノボタン


    キツリフネ


    青木鉱泉宿舎の前に咲いていたウツボグサ


    ウメガサソウ


    意外と近場で1本目のオニノヤガラを発見。少し遅かった。


    イチヤクソウ


    シナノナデシコ


    同上


    近くに別のナデシコ。茎を触るとベタベタしている。ムシトリナデシコ。


    オニルリソウと思われる。


    もうすぐ咲きそうなモミジガサ


    足元に咲いていた可愛らしい花、コナスビ


    途中で出会ったオニノヤガラ


    まだ蕾で、まさに鬼の矢のようだ。


    葉の名残り


    露出していた球根のような根


    最終目的地のオニノヤガラ。


    少し緑色がかった花が咲いていた。

 ちょうどお昼頃となって、沢沿いの少し広くなったところで休憩し、昼食となった。クモキリソウがたくさん咲いているところを見ると、花たちにとって居心地の良い場所なのだろう。帰りは別ルートで戻ることにする。


    河原に咲いていたオオビランジ


    ミミナグサ


    トリアシショウマ


    オトギリソウ(ではなくてトモエソウでした)。


    フタバアオイ


    シャクジョウソウ


    こちらにもウメガサソウ


    ベニバナイチヤクソウのようだが、花に比べて葉が小さく、おそらくはムヨウイチヤクソウ。


    こんなところにもこの花が咲くのか。


    ジガバチソウ

 さほどの距離ではないが、ほとんど私の花歩きピッチでゆっくりと散策していただき、三脚を出して存分に撮影させていただいた。想定していた以上に様々な花に出会うことが出来て有意義な花見山行だった。
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昨年出会えなかった花を探して甲州アルプス(大菩薩・小金沢連峰)へ  平成29年7月16日

2017年07月18日 | 花・花・花
 大菩薩・小金沢連峰は甲州アルプスという名前で呼ばれるようになりつつあることを最近知った。アルプスという名前が付くと何か凄い山を歩いているような気がする。

 昨年はこの山塊のニョホウチドリを見て廻ったが、いずれの場所も笹原に飲まれつつあり危険な状態にあるように見える。特に大菩薩嶺界隈は個体数がかなり減少しており、消滅するのは時間の問題のように見える。もはや柵で囲ってどうにかなるようなレベルでは無く、笹をなんとかしなければどうにもならないのではないだろうか?数を増やすのはかなり難しいように思う。今回はこの花を見たいこともあったが、もうひとつ昨年探してはみたものの全く出会えなかった花を再度探しに行ってみることにした。昨年探した場所で間違いないはずだが、個体数は少ないらしい。


    こんなところにエゾスズラン。花付きが悪くあまり元気には見えない。


    かなり大型だが、普通のマムシグサと思われる。


    苔の生した豊かな森に見え、イチヨウランやキソチドリがあっても良さそうなものだが、ラン科植物は全く見当たらない。

 前日の八ヶ岳13時間半が少しばかり足に堪えて、膝と足首が若干痛い。ふくらはぎも張っているが歩けないほどでは無い。とにかく歩幅を狭くしてピッチを上げずゆっくりと歩き、現地に到着した。


    ニガナとシロバナニガナが仲良く並んで咲いている。


    意外とあっさり見つかったこの花。昨年も同じ場所を歩いたはずだが?


    予想していたよりも小さな花だった。


    今年は出会えました。ヤ・マ・トキ・ソウ。


    笹に負けずにニョホウチドリと向き合いながら咲いていた。


    ここは4株まとまって咲いている。笹と共生出来るのだろうか?

 昨年も全く同じ場所を歩いているはずだ。その翌日に私の所属する嶺朋クラブのメンバーが歩いてこの花を見ているので、見落としたのは間違い無さそうだ。数は少ないと聞いていたが、今年は20株近く見ることができ、さらに別の場所でも10株ほど出会うことが出来た。昨年は何を見て歩いていたのか?自分の花探しレベルの低さに呆れる。さらにニョホウチドリも狭い範囲だけだが見て廻った。


    笹薮の中に咲いたニョホウチドリ


    同上


    別の場所に咲いていたニョホウチドリ


    こんな笹薮の中で大丈夫なのか??

 ニョホウチドリは笹薮に飲まれて消滅(してしまったように見える)した場所もあるが、不思議と笹原の中に空いた草地の中には生えていない。そして部分的に柵で囲われた場所があるのだが、その中にも咲いていなかった。ひょっとしたら、私たちが思っているほどに笹との相性は悪く無いように見えなくも無い。これも何年か観察して個体数の変化を見て行かないとわからないのかも知れないが、個体数が減ってきた時にはもう手遅れになってしまうのかも知れない。植物の世界はわからないことだらけで、何をどうすれば本当の保護に役立つのか、良く考えて行動しなければならないと思う。

 帰りはいつもとは違う林道を歩いて戻った。


    林道沿いにはシロバナウツボグサがこれでもかというくらいにたくさん咲いていた。


    こんな環境の森ならばきっと居ると思っていた。


    クモキリソウ。林道脇に固まって咲いていた。


    最後は車道を歩いて駐車場に戻る。トリアシショウマ。


    キバナノヤマオダマキ

 笹に飲まれつつも、共生しているのか、それとも必死に咲いているのか、ヤ・マ・トキ・ソウもニョホウチドリも元気に咲いているように見える。これから先はどうなって行くのか、どこで笹刈りをはじめとする手入れが必要になるのか、慎重に見極めて行く必要がありそうだ。
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八ヶ岳に咲く稀少なラン科植物たち(権現岳続編)  平成29年7月15日

2017年07月16日 | 花・花・花
 八ヶ岳の山梨県側ルートにまだ出会ったことが無いラン科の植物が咲いているらしい。植物観察会が予定されていたのだが、諸般の事情で中止となってしまい、自力で探すことになる。そのほかにも、前述したタカネサギソウを含めて様々なラン科植物がこの山域には生育している。


    ヒメムヨウラン。時期が遅かったこともあるが、今年は数が少なく、2株しか発見できず。


    イチヨウラン。見かけたのは1株だけ。


    カモメラン。昨年に続いて咲いていたのは1株のみだった。葉の数も減少しており、この場所では絶滅寸前という気がする。


    タカネサギソウ。山梨県ではレッドデータブックに載っていないが、2年後の書き換えでは絶滅危惧種に入ってくると思われる。


    残念ながら蕾だった。

 ここまでの花は毎年行われている山梨県山岳レインジャー活動の調査で報告されているラン科の植物たちである。ここから先はまだレインジャー活動報告に載せられていない花たちである。


    ミヤマチドリ(おそらく)。判別の難しいツレサギソウ属の花は全く自信無し。


    下手な写真でいまひとつ分かりにくいが、距がきわめて短い。


    こちらが良く見かけるキソチドリだが、距の長さが全く違い、別の花であることは明らか。


    アオチドリの緑花なのか、それともタカネアオチドリなのか?


    背丈は10~15㎝ほど。


    こちらはやや大型の株。この鈴生りにたくさん花を付ける姿はアオチドリとは別物のように思う。


    これは三ツ峠で見かけたアオチドリ。


    こちらは櫛形山のアオチドリ。

 三ツ峠および櫛形山のアオチドリと比べると、八ヶ岳のアオチドリは花の付き方が鈴生りにたくさん付いている。タカネアオチドリの特徴として小型であることと唇弁が短いことがあるが、画像を見比べてみると八ヶ岳のものは唇弁が短い。さらに、この花の付き方を見る限りではいつも見ているアオチドリとは別物、タカネアオチドリで間違いないのではないだろうか。


    そしてこれが今回探していた花、琥珀のラン。


    折角見つけたのに踏み倒されている。ここは登山道では無いので動物の仕業か?


    しかし、別の場所でも発見。


    琥珀色の輝き、琥珀ラン。

 権現岳往復で13時間半という長時間を要したのは、このような希少な花たちの探索と撮影に多大な時間を要したためである。予定通りのタカネサギソウ、見つかるかどうか分からなかった琥珀のラン、そして何年振りかのケブカツルカコソウにも出会えた、充実した八ヶ岳花山行だった。
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花咲く権現岳へ  平成29年7月15日

2017年07月16日 | 花・花・花
 昨年も訪れている権現岳であるが、訪れた時期が早かったようで見つけられなかった花があり今年こそはと意気込んでいた。心配なのは天候で、ここ数日間きわめて暑い日が続いており、午後からゲリラ豪雨に遭ってもおかしくない天候である。天気予報を見ても夕方には雨が降る予報である。天候の変化を見ながら、場合によっては途中で引き返すことも考えつつ、朝6時に天女山から出発する。


    朝6時スタート。前日は中央道八ヶ岳サービスエリアで車中泊した。


    朝の天気は良好、南アルプスがくっきりと見える。


    雲海に浮かんだ富士山。


    目指すは右側の鋭鋒権現岳だが、場合によっては途中で引き返す。


    朝日射すゼンテイカ(ニッコウキスゲ)


    朝露に濡れるウツボグサ


    イブキジャコウソウは登山道沿いにたくさん咲いている。


    蕾のエゾスズラン(アオスズラン)。咲いた頃にはうまくすれば南アルプスを背景に撮影出来るかもしれない。


    ニシキウツギ(と思われる)。本日も超ゆっくり歩き。登山者には皆追い越してもらう。


    前三ツ頭への急登。ここは何度通っても辛い。


    前三ツ頭付近に咲いていたヨツバシオガマ。まだ蕾が多かった。


    ハクサンチドリは鹿にやられたか、数が激減している。


    前三ツ頭のこの草地とその周辺にはかつてはたくさんハクサンチドリが咲いていたが、ほとんど見かけなくなってしまった。


    樹林帯の中で見かけたイチヨウラン。


    これはヒメハナワラビか?


    ヒゴタイの葉も何種類か見かけた。これはコウシュウヒゴタイか?


    形の違うこの葉はやや薄く見え、ヤハズヒゴタイではないだろうか?


    さらに権現岳山頂付近で見かけたものは総苞が黒ずんでおり、タカネヒゴタイではないかと思う。いずれも花が咲いてみないとわからない。


    前三ツ頭から、雲の切れ間に姿を現した富士山。

 前三ツ頭で富士山が姿を現したところで休憩し、昼食をとる。心配していた天候は今のところ大丈夫だが、権現岳側は雲が巻いており時折黒っぽい雲が流れてくる。ゴロッと鳴ったら速攻で撤退だが、もし権現岳山頂あたりで雷雲に出会ってしまったら三ツ頭に登り返すまではほぼ森林限界を超えているので雷雲の避けようが無い。最悪の場合は権現小屋に一晩ご厄介になるしか無いだろう。前三ツ頭で休憩した後は、休憩無しで権現岳まで登る。


    三ツ頭。権現岳は雲に巻かれている。


    三ツ頭のチシマギキョウは咲き始めたばかり。


    葉っぱがランのようだったので、何だこれは?と思ったのだが。


    落ち着いて良く見ればタカネシュロソウ。周辺にも同じような葉がたくさん出ていた。


    まだ蕾のタカネシュロソウ。花期になるとこのあたりでは普通に見られそうだ。


    ミヤマクロユリ。


    咲き始めたばかりのコゴメグサ

 さて、権現岳の鎖場を越えていよいよ核心部の権現岳直下の岩場にさしかかる。この界隈は高山植物の宝庫である。時折雲に巻かれて視界が遮られることがあるが、予想していたよりも天候は持ちそうである。これならば・・・思う存分写真を撮って午後3時までに下山を開始すれば大丈夫そうだ。


    権現岳山頂と阿弥陀岳、赤岳。これほどの眺望が得られるとは思ってもいなかった。


    ムシトリスミレ。草地の中よりこんな岩の間に咲いているこの花のほうが似合っているように思う。

    
    クモマナズナと権現岳


    イワベンケイと権現岳


    ミヤマオトコヨモギと編笠山


    ミヤマダイコンソウと編笠山


    ハクサンシャクナゲと編笠山


    ミヤマシオガマと編笠山


    ミヤマダイコンソウと・・・もう言うまでも無し。

 権現岳山頂付近を右往左往しながらたくさん写真を撮った。しかし、なかなかお目当ての花が見つからない。ようやくそれらしき葉を1枚だけ見つけたので、その界隈を探してみると・・・あった。本日の目的の花、タカネサギソウ。しかし、折角出会えたのにまだ開花していない。1週間ほどフライングだったようだ。今年は花期が遅れているのを配慮のうえでこの日を選んだのだが、それでもまだ早かった。


    やっと出会えたタカネサギソウ。


    しかし、残念ながらまだ蕾。


    下山途中の登山道脇にも何株か咲いていた。しかし、開花している花には出会えなかった。

 時間は午後2時40分になった。天気はまだ持ちそうだが、とりあえずは目的の花に出会えたことだし、写真も存分に撮った。下山開始する。

 もうひとつ、平成25年にその花を最後に見て以来、その後訪れるたびに探しているもののどうしても見つからない花があった。登りながらじっくり探してきたつもりだったがやはり見つからず、絶滅危惧種の花なのでもはや絶えたのではないかと思っていた。しかしもしかしたら?と、登りの時とは反対側の草むらを覗き込みながら歩いていると・・・!奇跡的にその花と出会うことが出来た。4年ぶりの再会である。1ヶ所でしか見つけることが出来なかったが、とにかくまだ残っていてくれたことがとても嬉しかった。


    日没間近、最後の最後で出会えたこの花。


    初めて見た時は変わり者のジュウニヒトエ?と思っていたが・・・。


    あまりお目にかかることが無いケブカ・ツル・カコソウという花。

 他にもいろいろと探し物があったため、下山は日没過ぎの7時半になり、ヘッドライトを点灯しての下山となった。実に13時間半も山の中に居たことになる。単純に権現岳往復だけであれば、ゆっくり歩いても10時間はかからない。そのほかの3時間以上(実際はおそらく5~6時間)は花探しと撮影に費やしていたということである。天候に恵まれて、これだけの花が見られただけでも十分満足であるが、その他にも様々な花に出会うことが出来た。(続編に続きます。)

   
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静岡県側の冨士南麓の森を訪れる  平成29年7月9日

2017年07月13日 | 番外編
 山梨県県南部のラン探しで良い思いをしたので、気分が良いところでそのまま帰ったほうが良かったかも知れなかったが、まだ時間が早かったので訪れたことが無い静岡県側の富士山南麓の森をちょっとだけ散策に立ち寄ってみた。

 駐車場に到着すると、親子連れの小学生と思われる大人数の団体さんが2組森から出て来た。総勢50~60人は居るのではないだろうか。この場所はそんなに簡単に行ける場所なのか? 登山フル装備でスパッツまで装着している自分の格好が浮いて見える。森の中に入ってみて納得した。綺麗に整備された遊歩道のようになっていた。


    綺麗に遊歩道が整備されている冨士南麓の森。


    苔生した倒木やブナの木があり、豊かな自然を感じさせる森。


    山頂付近には祠が立っていた。


    林床にはツルシロカネソウがたくさんある。


    この季節でもまだ咲き残っているツルシロカネソウ。


    ヤマトウバナ


    サワギク


    もうすぐ咲きそうなモミジガサ


    ウバユリ


    ナルコユリ

 これだけ綺麗に遊歩道が整備されていると、花探しのためとはいえさすがに遊歩道を外れて森の中へ踏み込む気にはなれない。見たかったのは先日富士山北麓の森で出会えなかったキバナノショウキランだったのだが、残念ながら発見できなかった。この日は既に運を使い果たしている感もあるが、初めて訪れる森でほとんど情報も無く花を探し当てるのはやはり難しい。今回は時間も遅かったのでさっと歩いて来ただけだったが、機会をみてじっくりと再訪してみたいと思う。
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山梨県南部でラン蘭  平成29年7月9日

2017年07月11日 | 花・花・花
 八ヶ岳か、山梨県県南部に行くか迷ったが、高速道路に乗ってから県南部に行くことに決める。おそらくは一昨年訪れたものの既に花期を過ぎていた紅色の蘭が咲いている頃だろう。それともうひとつ、場所がわからないが見ておきたい着生植物がある。見つかるかどうかは勘とほとんど運試しのようなものだ。さて、いかに?


    道路脇の草むらに奇怪なテンナンショウの葉が出ていた。これは??


    フイリスルガテンナンショウではないかと思うのだが、花の時期に付属体の先端部の形を見ないとわからない。

 現地に到着し、苔の生した岩壁がある場所に行ってみると・・・咲いている。しかもちょうど見頃の満開!予想していた以上にたくさん咲いている。


    居ました。紅色のシュスラン。


    花も葉もなんと綺麗なランなのだろうか。感動!


    くちばしのように細長い花だが、唇弁があり確かにランの形をしている。


    2年後の山梨県レッドデータブック書き換えの際には確実に絶滅危惧種に入ってくるであろう花。


    終わりかけたユキノシタ。その周辺にも咲いている。


    場所を移動して同じような環境の別の岩壁を探してみると、数は少ないながらそこにも咲いていた。

 この地域の苔生したややジメジメした岩壁にはどうやらこの美しいランが生育しているらしい。

 この花を存分に楽しんだ後に、今度はあまり慣れていない着生ランの観察に出かける。川沿いで空気湿度が高く、ノキシノブやマメヅタがたくさん着生しているような木を探し、双眼鏡や望遠レンズを使って幹や枝を覗き込んでみる。果たして見つけられるかどうか?運試し!!


    何かバルブのようなものが出ているが? どうやらこれはマメヅタの胞子。


    この木にはカヤランが着生している。


    同じような木にヨウラクランが着生していた。


    ヨウラクラン。花は終わり結実間近。


    何かツル性植物の葉。


    こんなものも着生(?)していた。


    こんなカエデの木が怪しいと思うのだが??


    美しいシダが着生している。


    この木にはカヤラン。

 車で移動しては三脚と望遠レンズと双眼鏡を担いで怪しい場所を点々と歩き、10ヶ所近く歩いたところで何やら青々とした葉がびっしりと着生している木を発見した。望遠レンズを装着して覗き込んでみると、マメヅタとは明らかに違うものがノキシノブと一緒に着生している。種のようなものも付いている。これこそは・・・!


    ノキシノブ一緒に何やらマメヅタとは違う葉が着生している。


    手前の木にも、向こうの木にもビッシリ。


    間違い無さそうだ。これこそが運試しで探していた着生ラン。

 200㎜最大望遠ズームでも距離が遠くてズームが足りない。車に戻って300㎜望遠レンズと2倍エクステンダーを持って来てさらにズームをかけて覗き込んでみる。


    400㎜ズーム。やや光沢のある大きな葉がたくさん着生している。


    種らしきものがたくさん着いている。


    さらに600㎜ズーム。間違い無し。これこそが運試しで探していた麦の蘭。


    トリーミング


    場所によっては着生ランらしく長い根を張り、昨年の種らしきものも着いている。

 どうやら今日は天が味方してくれたようだ。情報が少なく出会うのは困難であろうと思っていた麦のランに出会うことが出来た。大満足である。

 ついでに、と言ったら花に失礼だが、そろそろ開花するであろう蜘蛛のランも見に行ってみた。


    上にクモラン、下にはカヤランが着生している梅の木。


    クモラン。


    小さな小さな花穂を出しているが、どうやらまだ蕾だ。

 満開の紅のシュスラン、そして探すのは困難と思っていた麦のランにも出会うことができ、この日はたいへん良い日となった。麦のランは花が咲く季節に再訪してみて、どんな花が咲くのか是非とも見てみたい。

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花咲く櫛形山へ(後編) ~復活したアヤメ~  平成29年7月8日

2017年07月11日 | 圏外編
 先行している山梨県山岳レインジャー隊から約3時間遅れの11時半に池の茶屋登山口を出発し、管理歩道を歩いて裸山には午後3時に到着した。この時間になるともはや人は少なく、裸山山頂から下りてきた7~8人のグループを見送った後はもう誰も居なくなった。三脚を取り出して思う存分復活したアヤメのお花畑を撮影させてもらう。


    復活した裸山のアヤメ。昨年以上に咲いている。そしてまだ花を咲かせない若い葉もたくさん出ている。


    アヤメ。まだ蕾もたくさんある。


    アヤメ


    2年前に新たに囲われた場所はキンポウゲが復活。


    オオヤマフスマが群生


    アヤメとキバナノヤマオダマキが仲良くたくさん咲いている。


    裸山山頂。もう誰も居ない。


    山頂付近もアヤメが復活しつつある。アヤメを前景に富士山を撮影できる日もそう遠く無いかもしれない。

 アヤメが復活した裸山のお花畑を十分に満喫し、裸山の裏側からもみじ谷側の周回歩道に下りて西側からアヤメ平に入る。時間は午後4時を過ぎ、アヤメ平にも誰も居なかった。


    西側からアヤメ平に入る。


    アヤメ平のお花畑。青々と茂った草むらの中にキンポウゲやテガタチドリ、グンナイフウロなどが咲いている。


    テガタチドリは咲き始めたばかり。


    遊歩道脇に元気に咲いた色の濃いテガタチドリ。


    キンポウゲの中に咲くテガタチドリ


    白花のエゾノタチツボスミレ


    平成峡側の草地もキンポウゲがたくさん咲き、アヤメも復活し始めている。


    アヤメとキンポウゲ、テガタチドリの姿もある。


    今回のアヤメ平で一番見たかったのがこの花。


    ずっとシナノキンバイだと思っていたのだが、それにしては背が高いし、葉も小さい。


    調べてみると、これはキンバイソウであることがわかった。望遠レンズを持って行ったのはこの花が撮りたかったからだ。

 キンバイソウはシナノキンバイよりも標高が低い場所に咲いており、背が高いのが特徴である。10年前の古い画像を見ていたら、甲府市北部にある曲岳・黒富士界隈の草地の画像に偶然このキンバイソウが写っていたが、おそらく今では見ることが出来ないであろう。シナノキンバイよりも見ることが難しい花になっている。

 時間は5時を過ぎてしまった。もちろんもう誰も居ない。櫛形山を十分に楽しんだことだし、写真もたくさん撮った。そろそろ下山だが、ひょっとしたら夕暮れの頃にもうひとつ良い景色が見られるかも知れない。時間調整をしながら、故意にゆっくりと歩き、富士山の見える場所に移動する。


    十四夜の月が昇って来た。しかし・・・富士山は霞の中にうっすらとしか見えない。


    月が富士山の上まで昇った頃には金色に輝く月になるだろうと狙っていたが・・・富士山があまり見えない。

 もう少し富士山が鮮明に見えていたならば月が富士山の真上に昇るまで待ったのだが、この霞は消えそうも無い。あきらめて下山して行くと、その後富士山の姿は見えなくなってしまった。この季節は雲や霞が多くて富士山を撮影するのはよほどの幸運が無いと難しい。

 アオバヒョウタンボクは来年への宿題となってしまったが、復活したアヤメのお花畑、クサタチバナ大群落、キンバイソウと、櫛形山の魅力を存分に楽しんだ1日となった。午後7時、下山。
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花咲く櫛形山へ(前編) ~クサタチバナのお花畑~  平成29年7月8日

2017年07月10日 | 花・花・花
 この日は山岳連盟レインジャー活動の一環で、櫛形山の植物観察会および鹿食害調査が行われたのだが、当直疲れや仕事の都合等で集合時間には間に合わず、一人遅れて11時半に池の茶屋から入山した。花の咲くこの季節は登山者も多く駐車場は満車で一旦は路上に駐車したが、準備している間に2台の車が帰って行って、都合良く駐車場に止めることが出来た。レインジャー隊はおそらく周回コースだろうが、どちら周りで行ったのかは不明である。しかし、私が行くのはあまり人が歩いていない管理歩道なのでまず会うことは無いであろう。もちろん、裸山のアヤメを見たいのが一番の目的ではあるが、そのほかに見ておきたいものがいくつかある。その一つが6月に櫛形山を訪れた際に発見したアオバヒョウタンボク(スルガヒョウタンボク)と思われる木の確認である。咲いている花を確認できれば、ヒョウタンボクかどうか、アオバかどうかもわかるはずだ。


    管理歩道沿いに咲いていたマムシグサ。普通のマムシグサと思われる。


    タカネグンナイフウロ


    ヨツバムグラだが、この株は葉が5枚の変わり者。


    クモキリソウ属の葉を見つけたが花は咲いておらず。周辺も探したがあったのはこの株とその後ろ側の葉だけ。


    前回見つけたアオチドリの咲き残り。ずいぶん数が減っていると思えば・・・


    草むらを探してみればこの有様。鹿に食べられている。


    クサタチバナが満開になっている。


    開けた草地に出ると、そこはクサタチバナだらけ。


    圧巻のクサタチバナお花畑


    これだけ咲いているならば、いっそクサタチバナ平という名前でも付ければ良さそうだ。


    天気が良ければ、このクサタチバナ畑を前景に富士山を撮影することも可能だ。


    道を短絡してバリアンスルートを稜線の登山道に抜け出る。お決まりのマルバタケブキ群落。


    今度はカニコウモリ群落。いずれも鹿が食べない植物ばかり。


    バラボタン平のマルバタケブキ群落。花が咲けばこれはこれで圧巻である。


    標高が上がりツガやカラマツの森に入ると、林床にはユモトマムシグサが生えている。数は思ったよりもたくさんありそうだ。

 さて、問題の管理歩道沿いで見つけたアオバヒョウタンボクらしき木の正体はどうなのだろうか?木の周りをぐるりと1周してみたが、花が咲いていない。かろうじて花の散った後の花帆らしきものがあったが、これはヒョウタンボクなのだろうか??


    管理歩道沿いのヒョウタンボクらしき木の葉。花が付いていない。


    良く探してみると、花が散った後の花帆らしきものが付いていた。ヒョウタンボクは2つ連なったひょうたんのような実が成るのが特徴だが、違うように見える。

 樹林帯の中の登山道沿いには保護柵で囲われたアオバヒョウタンボクがある。その木を覗き込んでみると、同じように花が付いていない。良く探してみると、似たような花穂が付いている。


    登山道沿いの保護柵内にあるアオバヒョウタンボク。やはり花が付いていない。


    良く探すと先ほどと同じような花穂が付いている。

 どうやらこのアオバヒョウタンボクは花付きが悪いらしく、もっと早い時期に咲くようだ。花穂の付き方を見る限りではおそらくは管理歩道沿いの木もヒョウタンボクで間違い無さそうだが、何のヒョウタンボクかは花を見てみないとわからない。来年への宿題となってしまった。ちなみにアオバヒョウタンボクは山梨県では絶滅危惧ⅠB類に属する稀少植物である。

 さて、時間は午後3時、ようやく裸山に到着した。途中では20人連れくらいの団体さんとすれ違ったが、この時間になるとさすがに人も少ない。まだ蕾の花も多いが、今年もアヤメがたくさん咲いてくれている。


    裸山のアヤメ


    毎年の定点からの撮影。昨年以上に増えているように見える。

 アヤメは増殖力が強いようで、昨年以上に咲いているように見える。まだ蕾も多く、来週あたりが盛期になりそうだ。


 前半見てきたクサタチバナの大群落を含め、マルバタケブキもカニコウモリも鹿の食べない植物ばかりで、場所を変えるとバイケイソウの大群落やトリカブト群落も見られる。鹿の食害を受けた成れの果てを見ているのだと思うが、これはこれで見事な群落だと思う。こういうお花畑も悪く無いのかも知れない。(後編に続く)
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富士北麓ランラン歩き  平成29年7月7日

2017年07月10日 | 花・花・花
 GPSを持つようになってから、この季節の恒例となりつつある富士北麓花散策である。だいぶ慣れてはきたが、まだ歩いていないマイナールート(ルートと言って良いのかどうか?)も多数あるし、着生植物の散策に関してはまだ不慣れの上に目が悪くて全く進んでいない。今回もほぼ昨年散策したルートを花の確認に出かけてみた。


    ツルアリドオシは咲き始めたばかり。


    例年ならばツルアリドオシに混ざって咲いているこの花だが、一足先に咲いていた。


    アリドオシラン


    こちらはまだ蕾。下に小さな一つ葉が出ている。


    コイチヨウラン。くるりと巻いた茎のループが可愛らしい。


    予定ルートを1本間違えたらしい。広葉樹林の中を行くはずだったがカラマツ林に入ってしまった。


    種になったヤマシャクヤク。風で揺れる。


    強行突破すると、GPSに載っていない道(らしきもの)に出た。ここで雨が降り出してしまい、カッパを着る。


    まともな道に合流し、目的地に行く。コアツモリソウ。


    既にほとんどが散っており、咲き残りを探して撮影。


    ヒトツボクロは雨が滴る。


    数は昨年よりも若干少ないように見える。


    昨年の種と今年の花。

 午後の遅い時間から歩いた上に雨で森の中は薄暗く、ほとんどは三脚で固定して撮影したカットである。風があまり吹かなかったことが幸いした。

 もうひとつ見ておきたかったのがキバナノショウキランであるが、ルートを間違えたこともあって残念ながら発見できなかった。昨年も小さな株しか発見できなかったので今年こそはと思ったが、時間も足りなかった。またの機会に探しに行きたい。
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素心花のランを求めて 鳳凰山(中腹まで)  平成29年7月2日

2017年07月04日 | 花・花・花
 鳳凰山の中腹(といっても標高2,000mを越える高い場所)に、唇弁に斑点の入っていない真っ白な「素心花」と呼ばれるイチヨウランが咲いているらしい。インターネットで見ても確かに真っ白な唇弁の花の投稿がいくつか見られる。富士山や長野県にもあるようで、どうやら高所に咲くイチヨウランはこのような姿をしているものがあるようだ。標高差約1,200mを登るので早目の出発予定であったが、目を覚ませば既に時間は6時を回っている。登山口出発は7時半になってしまった。


    標高の低いところではコアジサイが満開


    アオチドリ発見


    花の散ったカモメラン。花穂は結構出ており、今年も例年通りに咲いてくれたようだ。


    咲き残っていたカモメラン


    登山道脇に咲いたカモメラン


    もうすぐ咲きそうなヤブレガサ


    こちらももうすぐ咲きそうなコバノイチヤクソウ


    樹林帯の中の道を登る


    キソチドリと思われるラン科の葉はあちらこちらで見かけるがまだ花は咲いていない。


    標高1,900mあたりで見つけたイチヨウラン。これは斑点が入った普通のもの。


    ようやく燕頭山、2,105m。時間は既に12時。

 燕頭山でもう12時になってしまった。本番はこれからである。軽食をとって小休止して出発する。


    もうすぐ咲きそう、やはりキソチドリのようだ。


    アザミの仲間だが秋にはどんな花が咲くのだろう?右端に見えるタカオヒゴタイのような葉とは別物のように見える。


    キバナノコマノツメ


    コミヤマカタバミ


    緑色のゴゼンタチバナ


    標高が高くなるとまだイワカガミが咲き残っていた。


    久々に見るオサバグサ


    その先にはどっさり咲いていた。足が止まってしまう。


    この感じの森ならばきっと居るだろうと思っていた。


    コフタバラン。小さいうえに緑色の保護色をしているが、一つ見つかると次々に見えてくる。

 標高約2,350mあたりまで来た。鳳凰小屋はもう目前であるが、写真を撮るのに時間をかけすぎて折り返し予定時刻だった2時を過ぎてしまった。コフタバランにも出会えたことだし、午後2時半、小屋まであと15分というところまで行って引き返すことにする。

 さて、探し物の白いイチヨウランはどうだったのだろうか?


    標高2,100m付近で見つけたイチヨウラン群落。計11本。


    その近くに7本。


    しかし、この花は・・・


    探していた純白の素心花ではなく、普通のイチヨウランだ。


    探しものは標高2,250mあたりで見つけたこちらの花だろう。蕾に色が付いていないように見える。開花するまであと1週間ほどだろうか。

 例年ならばこの時期で良かったはずだが、花期が遅れた今年は探し物の花は残念ながらまだ蕾だった。再訪できるならば来てみたいが・・・日程的に今年は難しそうだ。折角来るならば鳳凰小屋泊りで鳳凰山周回したいがそれも難しく、数年前から見てみたいと思っていた白いイチヨウラン、今年もおあずけになってしまいそうだ。
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