山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

チョウジか?ハコネか?南アルプスのコメツツジを確認に行く 黒戸尾根  平成30年7月22日

2018年07月24日 | 花・花・花
 黒戸尾根の刀渡りの岩場にコメツツジが咲いているが、これはハコネコメツツジなのかチョウジコメツツジなのか?南アルプスに生育しているコメツツジはチョウジコメツツジでハコネコメツツジは無いはずだという話を耳にした。これは確認に行ってみるしかないのだが、なにせ標高差1,500mほどある長い尾根を往復するには気合を入れて行かないと行き着けない。しかもこの猛暑の中を登るとなると水も多めに持って行かななければならない。撮影時間と花探しの時間を考慮して往復12時間を想定して約2.5リットルの水を持って朝7時から黒戸山を目指す。


    竹宇駒ケ岳神社を通り過ぎていざ出陣。


    トリアシショウマだと思う。トリアシ、ヤマブキ、アカのショウマ類の区別がいまひとつ自信無い。


    横手山付近のジンバイソウは数が減っており花穂がほとんど出ていない。出ていてもこのようにちぎれているものがあり、食害かも知れない。


    気の早いタマガワホトトギスが咲いていた。


    標高1800m付近で広葉樹林から針葉樹林の森に移行して行く。


    針葉樹林帯に入るとこの花が現われる。キソチドリ。


    ヒメミヤマウズラの花穂。一瞬マッチ棒、ことミスズランかと思って驚いた。


    山梨県では富士山麓でしか見たことが無いこんな花も咲いていた。


    アリドオシラン。出会えてビックリ!

 5時間ほどかかって午後1時過ぎに目的地の刀渡りに到着した。岩の間を探すと容易にコメツツジを発見することが出来た。花期を少し過ぎて痛み始めているが十分に観察可能である。さて、雄しべの数は何本だろうか?


    目的地、刀渡りのコメツツジ。


    花弁の先端はあまり開いておらず、形から見てもこれはチョウジコメツツジだろう。


    花弁の中を覗き込んでみると・・・予想通り雄しべは4本である。


    別株。やはり雄しべは4本。これはチョウジコメツツジである。

 これで課題はクリアであるが、その上の黒戸山ではそろそろコイチヨウランが見ごろを迎えている頃だと思う。途中にもたくさん咲いていたが固まった群落は黒戸山のほうが圧巻である。予定通りに黒戸山まで足を延ばしてみる。


    厳しい刀利天狗への登り。


    黄色いママコナ、タカネママコナ。


    登山道脇に咲いたキソチドリ


    刀利天狗の界隈にもコイチヨウランがたくさん咲く。


    刀利天狗。ここから先は傾斜が緩くなるが、黒戸山の尾根筋は距離が長い。


    ギンリョウソウ


    山盛りのコイチヨウラン


    コイチヨウラン群落


    コフタバラン満開だが、数は少ない。


    これも目的の花のひとつだったがちょっと遅かった。オサバグサ。


    イチヨウラン咲き残り。標高2200m付近だが白花では無かった。


    確認しておきたかったのがこのミヤマフタバラン。


    葉の数は結構あるが今年は花芽がほとんど付いていない。ハズレ年なのだろう。

 ミヤマフタバランは花芽が出ていないだけでなく他の場所は葉もあまり出ておらず、GPSで登録してあった場所を探したが見つからない場所もあった。黒戸山周辺は距離が長く、想定していた以上に時間がかかり午後4時に折り返して下山開始する。


    刀渡りの岩壁に咲いていた花。アカショウマだと思う。

 登りは足が疲れないようにかなりゆっくり登ってさほど堪えた感じではなかったが、下りは膝と足首に堪えた。入山時間が12時間を超えて水もそろそろ無くなりかけ、日没後の午後8時半にやっと駐車場に到着した。想定していた通りにヘロヘロ、かなりの脱水状態になったようで、帰りの車の運転で両手の親指が攣ってしまった。体重は3.5㎏も減っていたが、もともとの体重が重いので割合にすると大したことは無い。水を飲めば3~4日で元に戻ってしまうだろう。毎度大変な思いをする黒戸尾根であるがそれに見合うだけの魅力的な尾根だと思う。 

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冨士北麓花散策 着生植物を中心に  平成30年7月21日

2018年07月23日 | 番外編
 所属している山岳会で冨士北麓の植物探索に行きたいとのことで案内を仰せつかった。そこでまだ山岳会で探索に入った事の無い場所を巡ってみることにした。といっても特別な場所では無くて自分自身では何度も巡っている主に着生植物の生育する場所である。予定では林道の上と下に車を置いて歩く予定だったのだが、猛暑の中を長い距離を歩くのはちょっと大変である。作戦変更して車で2ヶ所を移動することにして1ヶ所は時間を見ながら行けるところまで行くことにした。

 もう花は終わってしまっているだろうが、まずはフガクスズムシソウが生育する森を訪れる。


    林道脇に咲いていたセイタカスズムシソウ。花はもう散り始めていたが、初めて見る植物である。


    まだ蕾のオニノヤガラ。この形はまさに鬼の矢である。


    双眼鏡で何本も木を見上げてやっと発見。


    フガクスズムシソウ。やはりもう花が散ってしまっている。


    苔とシダの中に隠れるように生育している群落。


    こちらはかろうじて咲き残っていた。


    たぶん白花の株だが、散ってしまう直前。


    この場所はもう少し株数が多かったと思ったが?木の地肌が露出している部分が自然脱落してしまったらしい。着生植物の宿命だろう。


    こちらはヤシャビシャク。イガグリ状の種はほとんど付いていない。


    この木にはマツノハマンネングサが着生していた。


    マツノハマンネングサ。白っぽい蕾が付いているが黄色い花が咲く。


    真ん中にあまり見かけないシダが付いている。イワオモダカ(ウラボシ科ヒトツバ属)。絶滅危惧種ではないが、上下に付いているオシャグジデンダというシダは絶滅危惧種。


    イワオモダカ。

 四苦八苦して木を見上げながら探していると、幸運なことに師匠と仰ぐ大先生が人を案内してやって来られ、混じって案内していただき、効率良く見ることができた。ご病気になられてもう歩いていないのかと思っていたのだが、想定外にお元気そうでなによりだった。

 さて、車に戻って移動し、もう1ヶ所訪れてみる。


    コイチヨウランはようやく見ごろを迎えた。


    アリドオシランはほとんど散っている。今年はツルアリドオシがほとんど咲いていないように見える。


    ベニカヤラン。結実した細長い種が付いているだろうと思ったのだがまだ種は熟していなかった。


    ツリシュスラン。昨年は花を咲かせなかったが今年は3本出た。


    1,140㎜望遠で見ると、暑さでなんとなくぐったりしているような気がする。あと2週間もすれば咲きそうである。


    おまけのタマゴタケ親子。保護区の中なので採取してはいけません。

 目的の花だったひとつにキバナノショウキランがあったのだが、5人で探したが一株も見つけることが出来なかった。一昨年も一株しか見つからず、おそらく激減してしまっているのだろう。コアツモリソウが咲くあたりまで行くつもりだったのだが遠雷が轟き始め少し近付いてきているように感じる。天気予報でも午後から夕立があるかも知れないという予報である。時刻は午後4時だが無理せずに本栖第1風穴、第2風穴を巡って撤退となった。

 それにしても今年の夏は暑過ぎる。花もこの暑さにまいってしまっていることだろう。

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花咲く北信の山、岩菅山(後編)  平成30年7月16日

2018年07月18日 | 山梨無名山
 かなりゆっくり歩いて草むらの中を覗き込んでは写真を撮って登って来たので、予定では12時に到着するはずだった岩菅山山頂は1時間以上もオーバーして1時15分到着となった。ゆっくり休んで居られる時間では無くなってしまったので小休止して裏岩菅山を目指すことにした。しかしその先の稜線もお花畑が広がっており全く足が進まずさらには暑さと3連登の疲れも出てきて裏岩菅山山頂目前でバテバテである。


    岩菅山から見る裏岩菅山。近そうにも遠そうにも見える。標高は向こうのほうが高い。なにせ志賀高原最高峰である。


    クルマユリが点々と咲いている。


    クルマユリ


    そしてこちらの稜線もホソバノキソチドリがたくさん咲いていた。


    ホソバノキソチドリと裏岩菅山


    コバイケイソウと岩菅山の稜線


    コバイケイソウと奥志賀の山並。正面は大高山か?


    コバイケイソウとシラネニンジンのお花畑


    西側はスキーゲレンデのたくさんある焼額山。


    裏岩菅山に到着。時間は3時10分。

 途中で小分けに食事をとっていたが裏岩菅山でやっとまともに食事をとり、20分ほど休憩した。時刻は3時半となり、ずっと抱えて歩いて来た三脚をたたんで下山である。しかし戻りながら見る岩菅山への稜線の景色はまた登りの時とは一味違って素晴らしく、ついついシャッターを切るために立ち止まりなかなか足が進まない。約1時間かかって岩菅山に戻った。時刻は4時半、予定よりも30分ほどオーバーしているが道は明瞭なので夕暮れを過ぎたとしても下山は問題無い。


    岩菅山山頂にある避難小屋。


    なかなか快適そうだが水場が無いのが難点。


    下山しながら見つけたヨモギ。あまり見慣れないヨモギだが、調べてみたらヒトツバヨモギというものらしい。たぶん山梨県には無い。


    日没迫る頃に用水路沿いでまたまた珍しい(北信では珍しく無い?)花を発見。オオレイジンソウ。薄暗くてシャッタースピードが遅いので三脚を出した。

 途中で電話がかかってきたりしてやや時間を費やしたが、ヘッドライト点灯するギリギリの7時10分に登山口に到着した。残っていたのは当然の如く私の車だけだった。さほどの移動距離ではなかったが11時間も山の中に居たことになる。残念ながらいちばんお目当てだった花は全く見つかりそうな気がしなかったが、山梨県では見られない花にたくさん出会うことが出来て、かかった時間以上に有意義な山行だったと思う。高速を飛ばして10時前には甲府に到着した。


 こんな花にも出会えた。


    ここで出会えるとは思わなかった。さすがは北信の山!


    ほとんど蕾だったが咲き始めた新鮮な株もあった。


    山梨では富士山麓でしか見たことが無い貴重な白いラン、アリドオシラン。北信では普通にあるのだろうか?1ヶ所だけだったが数は結構あった。


    何これ?できそこないのヤマアジサイか?と思ったが・・・


    トリーミング。先端が少し白く開いているものがあるが、これで花が咲いている状態らしい。初めて見るヤマシグレ(スイカズラ科ガマズミ属)という花。


    こっちは少しブレている。もっときっちり撮っておくんだった。

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花咲く北信の山、岩菅山を訪れる(前編)  平成30年7月16日

2018年07月18日 | 圏外編
 チョウジコメツツジ確認のため黒戸尾根の5合目まで登るか、それとも県外の山に行くか、かなり迷い、当日の朝まで決められずにいた。いずれにしても早起きして出かけなければ登れないので目覚まし時計を4時にかけてさっさと寝た。予定通り目が覚めて起き上がると、前日の富士北麓の森が堪えたようでふくらはぎが痛い。標高差1,500mの黒戸尾根5合目までを往復するには厳しそうである。一方、北信の山ならば場所を選べばさほど登らなくても良い場所もある。候補のひとつが湯の丸高原の池の平湿原である。たぶん、シテンクモキリが見られると思うし、ホームページを見ても見ごろと書かれていた。そしてもうひとつが日本二百名山の岩菅山である。岩菅山から裏岩菅山、さらにその先までの稜線のお花畑が素晴らしいと聞いておりいつか訪れてみたいと思っていた山である。完全フリーとなった3連休なので、ここを逃すと次はいつ行けるか全く分からなくなってしまう。距離は池の平湿原のほうが近いが高速を使うと移動時間は岩菅山も変わらない。ここはあまり行く機会が無いであろう岩菅山に行ってみることにして中央道を北に走る。

 8時に岩菅山の登山口一ノ瀬に到着した。混雑しているかと思ったが止まっている車は4~5台ほどで楽勝で駐車出来た。地図を確認し、GPSも持って出発である。足を心配していたが歩き出してみるとほとんど痛みが気にならない。不審者の如くまわりをキョロキョロして花を見ながら進む。


    一ノ瀬の駐車場。


    いざ、出陣。山頂までは普通に行けそうだがその先の稜線をどこまで行けるか?たぶん自分の足だと裏岩菅山が限界だろう。


    ちょっと登るといきなり出てきたツバメオモトの大きな葉っぱ。さすがは北信の山!


    用水路の脇を進む。


    見たことの無い花が咲いている。花はカラマツソウだが葉が??調べてみたらモミジカラマツという花だった。それと左にある蕾の花は山梨県ではほとんど見られなくなったオオガンクビソウだろう。


    川沿いに咲いていたオニシモツケ。用水路沿いにもたくさん咲いていた。


    向こうの橋を渡っていよいよ尾根に取り付き、本格的な登りになる。

 用水路沿いの道はほとんど水平だが、橋を渡ってからは急な登りになる。しかし登山道は良く整備されており、ところどころぬかるんだ場所が歩きにくい他は快適な登山道である。樹林帯の中ではあるがそれなりに花が咲いていた。


    ヨツバムグラと思って写真を撮っておいたが、後に図鑑で調べるとオオバノヨツバムグラと判明。葉が大きくて3本の筋がはっきりしている。


    樹林帯の中に咲いていたのでキソチドリと思っていたが・・・


    アップで撮った写真を良く見ると距が真直ぐに長く伸びており萼片が反り返らない。どうやらホソバキソチドリのようだ。


    コイチヨウランはほとんど蕾だったが少しだけ咲き始めているものもあった。


    稜線分岐に抜け出る手前でようやく山頂が見えてきた。結構遠くて尖っている。


    ノッキリという稜線の分岐に到着。ベンチに座って大休憩。

 かなりスローペース(というよりも三脚を担いで写真を撮りまくってきた)で来たためにノッキリまで3時間かかった。ここから山頂までは1時間ほどだろうがもともと山頂に立つことが目的では無いのでそんなに早く歩くわけがない。笹薮の中に広がるお花畑を念入りに覗き込みながら、2時間をかけて山頂に登り着いた。


    見上げる岩菅山。予想はしていたが大部分が笹で覆われている。その中に素晴らしいお花畑が広がっていた。


    まだ新鮮なゴゼンタチバナが残っていた。


    クマノミズキ?時々見かけるが名前わからず。


    ホソバノキソチドリはあちらこちらにたくさん咲いていた。


    オオバキスミレの葉か?ネットの記事を見ると変種のナエバキスミレらしい。


    初めて見る花。タテヤマウツボグサ。


    残念ながら少し時期が遅かった。一緒に花の終えたハクサンチドリが混ざっている。


    ハクサンシャジンだと思う。


    タカネアオヤギソウ(ユリ科シュロソウ属)


    カンチコウゾリナはあちらこちらにたくさん咲いていた。


    草むらの中を覗き込んでみるとタカネサギソウが咲いていた。この山の株はきわめて小型。


    小さなリンドウが咲いていた。タテヤマリンドウ。まだ咲き始めたばかりでほとんどが蕾だった。


    シロバナノニガナ。もちろん黄色もある。


    初めて見るアザミ。花が下を向いていて茎が太く、葉は丈夫で痛々しい。オニアザミ。


    シラネニンジンがたくさん。


    エゾシオガマ。見るのは久しぶりのような気がする。


    山頂間近。


    層状になった露岩。ここの地質は堆積岩。同じ岩を隣の根子岳でも見た。


    やっと山頂。

 8時過ぎに一ノ瀬登山口から出発したのに山頂到着は午後1時15分になってしまった。毎度のことだからかまわないのだが、あまりゆっくりしていると自宅に到着する時間が深夜になってしまう。なにせ甲府まで220㎞くらい距離がある。日没の7時までには下山したいところなので、この岩菅山山頂を4時に下山し始めれば十分なはずだ。裏岩菅山までなら行けそうなので小休憩して出発する。(後編に続く)



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富士北麓の原生林を彷徨う  平成30年7月15日

2018年07月18日 | 番外編
 山梨県側の富士山麓は1合目から3合目あたりにかけて大部分がツガの植林帯になっている。その中に残っている広葉樹の原生林には貴重な植物、特に着生植物が生育している。今回訪問してみたのは植林が行われずにそのまま残っている(はずの)富士山原生林である。ほとんど訪れる人は居ないであろうからルートも無いはずだ。GPSを頼りに入山する。


    途中まで林道があるのだが壊れていてこれでは林道として機能しない。


    フジイバラ


    林道の終点を過ぎて枯れ沢を渡り原生林の奥深くまで入る。


    明瞭な道は無いがところどころに赤テープが付いている。


    咲き残っていたツルシロカネソウ。


    お目当てのカエデの木が多く生える森に到着するが・・・想定していたような大きなカエデの木は少ない。


    大き目のカエデの木。しかし、苔が少なくシダが着生していない。


    こんな木ならば着生植物が居るかと思ったが・・・


    着生していたのはソバナ(だと思う)。


    木の幹が朽ちている大きなカエデの木だが、やはり目ぼしい着生植物はほとんど居らず。


    ようやく見つけたのはヤシャビシャク一本くらいだった。


    この谷を越えてその向こうはもう県境の大沢崩れだ。ここまでで引き返す。

 航空写真でチェックしていった通りに広葉樹林の原生林が残っていた。しかし、富士南麓の森に比べると木があまり太く無く苔があまり付着していなかった。そして探している着生ランが生育し易い東から南側の木の面にはほとんど苔が生着していなかった。ノキシノブ以外はほとんどシダ類が着生していないところから見ても、この森に探しものが潜んでいる可能性は低いのではないかと思われた。もっと高度を上げると今度は本当の針葉樹林帯に入ってしまうはず、もう少し下を探したほうが良いのかも知れない。ちょっと偵察のつもりが5時間も樹林の中を彷徨ってしまった。敗退感が強い富士原生林の散策となってしまったが、ほとんど情報を持っていない中での初回の散策はこんなものだろう。いつかきっと素晴らしい森に出会える日が来るだろう。
 帰りはテープを追いかけて戻ってみたが途中で低木の藪に突入してしまい、抜け出たところで獣道のような細い道に出くわしてこれを無視して進むと草地に抜け出た。GPSで位置を確認すると横切った獣道のような細い道がどうやらルートだったらしい。草むらを踏み進み谷を横切って林道に抜け出た。


    テンニンソウの草むらに抜け出た。すぐ下でバイクのエンジン音が聞こえ、別の林道があるようだ(車は入れないはずだ)。


    林道に抜け出る直前のところに1本だけエゾスズランが咲いていた。


    大きなヤマホタルブクロ。


    標高1,800mの林道脇ならばシテンクモキリが居るのではないかと思ったのだが・・・見つかったのは普通のクモキリソウだった。残念。

 時間は5時を過ぎていたが悔しいのでいつもの場所をもう1ヶ所ちょっとだけ立ち寄ってきた。


    もう満開になっていると思っていたのだが、意外とほとんどが蕾だったコイチヨウラン。


    今度は咲いていた。アリドオシラン。少し遅かった。


    リングライト搭載のマクロレンズで接写するはずだったのだが車の中に置き忘れてきてしまった。本日は最後まで失敗。

 今年はもうお目当ての着生ランを探し当てることは困難であろうから、また来年挑戦してみたいと思う。
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八ヶ岳を再訪する(後編)  平成30年7月14日

2018年07月17日 | 花・花・花
 寝過ごしたうえにあちらこちらで花の写真を撮りながら歩いたたために目的地であった山頂までは行けなくなってしまった。今回山頂まで行きたかったのは重要な課題があったからなのであるが、幸運にも目的としていた花は途中の岩の上で咲いているのを発見することが出来た。


    今回の重要な課題とはこの花。八ヶ岳ではなくとも御坂山塊で普通に見られる、はずの花だが?


    来年の山岳レインジャー活動説明会の際にどうしてもこの花の画像が必要だった。


    ハコネコメツツジは雄しべが5本、一方チョウジコメツツジは4本である。雄しべは4本、どうやらチョウジのほうだ。

 聞くところによると南八ヶ岳ではハコネコメツツジ、北八ヶ岳の北横岳あたりだとチョウジコメツツジになるらしい。今回の場所はハコネコメツツジが咲いている場所だと思っていたのだがどうやらチョウジコメツツジだ。別の場所をもう少し探索してみないとわからないが、ひょっとしたら八ヶ岳は全域チョウジコメツツジなのかも知れない。

 羅列になるが課題の他にいろいろな花に出会うことが出来た。


    笹に飲み込まれながらも辛うじて咲き残っている株を数株発見。


    ケブカツルカコソウ。


    コバノイチヤクソウ。ほとんどがまだ蕾だった。


    笹原の中にコウリンカ


    イブキジャコウソウは所狭しとあちらこちらに咲いている。


    ヨツバシオガマ。今年はたくさん咲いてくれた。


    ヒメハナワラビは成長して胞子が大きくなっていた。前回は2株見つけたが今回はこれしか見つからず。


    ヤマブキショウマ。


    タカネニガナはもうすぐ咲きそうである。

 慣れた山域なので5時を過ぎるまで山の上をブラブラして下山開始する。駐車場に到着したのは7時半になってしまったが、暗くなってきた登山道で私の少し前を歩いていた人が居たのにはちょっと驚いた。しかし、その人はさらに後ろを歩いていた人が居たことにもっと驚いたことだろう。

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八ヶ岳を再訪する(前編)  平成30年7月14日

2018年07月17日 | 花・花・花
 先週訪れた八ヶ岳であるが、雨に濡れてカメラが故障してしまいほとんど花の撮影が出来ないまま終わってしまったのでもう一度訪れてみることにした。おそらくは終わってしまっている花が多いであろうが、まだ蕾だった見ておきたい花もあった。早朝に歩き始めて上のほうまで行ってみようと思っていたのだが案の定寝過ごして出発が大幅に遅れてしまう。予定していた山頂までは行けなかったが、それでもそれなりの花を見ることが出来た。


    先週はそれなりの数を見たヤマトキソウだったが今回はこの株しか発見できず。一人だとなかなか見つけられない。


    前回は見なかったラン科の植物を発見。


    花はまだ蕾。葉の形と花期を考慮するとミヤマモジズリと思われる。

 見たかった花の咲いている場所に到着した。先週は見頃だった何種類かは予想通りもう終わりかけていた。


    写真記録を撮っておきたかったひとつがこのタカネアオチドリ。まだ十分に見られる株もあった。


    最大の株はもう終わりかけていた。この界隈は有名になってしまったのか踏み跡が目立つ。


    こちらも花が痛み始めているがまだ十分に見られる。ニョホウチドリ。


    こちらはもう完全に痛んでいる。コハクラン。


    マクロ接写。


    別の場所で見た株ももう終わりかけだった。


    ヒメムヨウランも終わりかけていた。

 さて、ここからが見たかったツレサギソウ属の花だが、花の同定が間違っているかも知れないので参考程度に見ていただければと思う。


    いちばん見ておきたかったのがこの花。タカネサギソウ。


    もうひとつが先週はほとんど蕾だったこの花、ミヤマチドリ。


    タカネサギソウ(右)とミヤマチドリ(左)が豪華に並んで咲いている。


    タカネサギソウ。長い距がある。


    ミヤマチドリはほとんど距が無い。良く見ると丸い突起があるのだが写真では見えない。


    樹林帯の中で見つけたミヤマチドリは色が緑色で別物のように見える。


    もうひとつ、気になっていたのがこの花である。当初はキソチドリと思っていたがちょっと違うし、生育環境も草地の中である。


    萼片が反り返らない、距が長く、花の色がやや黄色っぽい。


    近くに咲いていた別株。この長く伸びた距はホソバノキソチドリだろう。


    こちらは樹林帯の中で見た典型的なキソチドリ。


    萼片が長くて反り返る、ないしは曲がる。距はほとんどが前方に湾曲し、やや短い。花の色も薄い緑色。

 こうして2種類を並べてみると、やはり前者はホソバノキソチドリと見て良いと思う。生育環境も草地の中と樹林帯の中と違っている。ツレサギソウ属は判別が難しく、間違っているかも知れない。

 今回取り上げたのはラン科植物であるがそのほかにもいろいろな花に出会うことが出来た。(後編に続く)






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ミッション 苔ごと脱落した着生植物を救出せよ!  平成30年7月初旬

2018年07月12日 | 番外編
 山梨県ではなかなか見ることが出来ない着生植物が苔ごと木から脱落してしまったという情報が入ってきた。地上に落ちたままだと今年はなんとか生きたとしても来年まで持ちこたえることは出来ないであろう。この植物を救うためにはまた木の上に戻してやるしかない。しかし、脆い苔の塊をどうやって戻せば良いのか?針金で止めるのは目立ち過ぎるし、木にとっても好ましく無い。釘で打ち付けるにも苔が脆くてすぐに脱落してしまいそうである。植木屋さんでは無いし、良い方法は知らないのだが考えに考えて・・・これでどうだろうか?


    高い木の上には珍しい植物が着生していた。200㎜望遠レンズでこのくらいしか追えない遠い位置に居た。


    トリーミング。スギランというシダ植物。山梨県では絶滅危惧種ⅠA類。


    単葉のシダが群生している。


    トリーミング。ホテイシダ(ウラボシ科)だと思う。山梨県絶滅危惧種Ⅱ類。


    問題の木がこれ。小さな葉が付いているがその下の部分は苔ごと脱落している。


    別の場所。ここも大きく苔が脱落している。

 この木に着生している苔と着生植物は年々脱落して数が減ってしまっているらしい。樹齢によるものなのか、それとも環境によるものなのかは分からないが、苔が脱落してこの木の幹は乾燥化しているように見受けられる。この木に脱落した苔を戻すのは再脱落の危険が高く困難であろう。周辺の木を探して同じ種類の木で苔が元気に着生しているものを探して戻すことにする。


    預かったのは良いが管理が難し過ぎて葉が一部脱落してしまった。


    苔の生えた木に戻す。そのまま釘打ちしても生着しなそうなので麻の紐でネットを作って打ち付けた。

 苔が生着したからと言って付いている着生植物が生き残ってくれるとは限らない。なにせ初めての試み、どうなるのかは全く分からない。葉の状況から見て今年花を咲かせるのは困難であろうから、来年以降に期待することになる。生き残って花を咲かせてくれるのを祈るばかりである。


    帰り際の道路脇で背高のオニノヤガラが1本咲いていた。

 園芸の勉強も必要になってくるのか?とも思ってしまう。
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八ヶ岳山梨県側に植物観察に行くが・・・雨に濡れてカメラが故障!  平成30年7月9日

2018年07月10日 | 花・花・花
 前日の八ヶ岳長野県側に続いてこの日は山梨県側の八ヶ岳に花を探しに出かけた。天候が心配だったが予報では曇時々晴れ、しかし八ヶ岳には暗い雲が巻いていて登山口では小雨(霧雨)が降り、カッパを着ての入山となる。主に花の撮影で景色はほとんど見えないだろうとの予想でカメラは小型のEosM2だけ持って入山する。


    雨に濡れるイブキジャコウソウ


    エゾスズランは食害に遭っている株が多く、昨年よりも数が減ってしまっている。


    そしてこの花も・・・。ケブカツルカコソウも食われてほとんど無くなっているうえに残った株は倒れていた。ピンチ!


    大収穫だった花のひとつがこのヤマトキソウ。


    ススキの藪の中に隠れて目立たないように咲いていた。


    天候が悪かったが少しだけ開いた株もあった。

 この後も雨が降ったり止んだりでさほど強い雨にはならなかったのでカメラは首からぶら下げっぱなしにしていた。そしてキソチドリとミヤマチドリらしき花が現われた場所まで登ったところでカメラのスイッチを入れると・・・???あれ~、起動しない。レンズが結露していたので別のレンズに変えてみるがやはり起動しない。どうやら雨に濡れて基盤まで結露したらしい。他の場所では綺麗なニョホウチドリやお目当てだったタカネアオチドリなど諸々の花が見ごろを迎えていたのに、全く写真が撮れずに終わってしまった。しかし今回は花見だけでは無くて植物の調査も兼ねており、それなりの数のコハクランやタカネサギソウにも出会うことが出来た。今後保護柵設置に向けての個体数と植生調査としては多大な成果があったと思っている。集まったメンバーも最高だった。
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琥珀色のランを探しに 八ヶ岳へ  平成30年7月7日

2018年07月09日 | 花・花・花
 山梨県でこの琥珀色のランに出会うのはなかなか難しい。今回は八ヶ岳の長野県側に足を延ばして探しに出かけてみた。既に花仲間がこの花を探し当ててきており、私よりも先行して入山している。仕事を片付けてから出発した私は数時間遅れてスタートするが、自力で発見できなくても先行したメンバーが折り返して下山して来る途中で出会えるはずだ。


    小雨が時折降る中を笠を持って入山する。目を引いたのがこの髭のような細い葉の小さな白い花。


    イトイ(イグサ科 イグサ属)。湿っぽい岩壁にたくさん咲いていた。


    花の終えたヒメムヨウラン


    まだ咲いていないキソチドリが登山道脇にたくさん出ていた。


    そのキソチドリと一緒にお目当ての花が咲いていた。

 こんな感じのところ・・・と苔の生えている斜面を覗き込みながら歩いているとお目当ての琥珀色のランに出会うことが出来た。想像していたよりも背が高くて花がたくさん付いており、最初はコケイランかと見間違えるほどの大きな株だった。この株の写真を撮っていると先行した仲間たちが下山してきたところに出くわし、さらにその上にある生育場所を案内していただくことが出来た。


    2株並んで咲いていた。琥珀色の花は景色に溶け込んで探しにくいが筋の入ったスラリとした葉は見つけやすい。


    想定していたよりも個体数は多かった。


    琥珀色のラン。花期は少し過ぎていた。


    こんな背高ノッポの株にも出会えた。


    唇弁の赤紫色の斑点がアクセントを添えている地味に美しい花。

 数株見られれば上出来と思っていたのだが今年は当たり年なのか10数個体に出会うことが出来た。葉の数を含めると30個体くらい確認することが出来、この場所は今の環境が保てるならば生育して行くには十分な個体数であろうと思われる。しかし、10年くらい前にこの場所を訪れたランに詳しい方の話を伺ってみたところ、かつては100個体くらい見られたそうで、数は減少しているのであろう。確かに笹が茂っている場所も多く見かけられ、一部は笹に飲まれつつあるうえに山の斜面に続いている鹿道もたくさん見られる。今後の植生の変化が心配な場所でもある。



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アヤメ咲く櫛形山を訪れる(富士山編)  平成30年7月1日

2018年07月03日 | 山梨百名山
 池の茶屋を朝9時に出発して裸山、アヤメ平と廻ってきたが、さほどの距離を移動しているわけではないのにもう時刻は5時である。日が長くなったおかげでこの時間でもまだ空は明るい。お昼過ぎに訪れた裸山は霧が湧いて周りの景色はほとんど見えなかったが、夕暮れが近付くにつれて霧が晴れて青空が見えてきた。特に東側の空はくっきりとした青空が広がっている。これならば、ひょっとして富士山が見えるのではないだろうか?


    本日2度目の裸山に到着。


    もう誰も居ない。満開のアヤメを独占。


    裸山山頂に登って行くと・・・おお!見える。富士山だ。

 ここ5~6年は恒例になっているこの裸山だが、ここから富士山を見たのはもう10年くらい前に一度だけである。その頃はもうアヤメは鹿の食害で激減しており山頂付近ではほとんど咲いていなかった。植生が復活してきてアヤメが増殖し、いつかアヤメ越しの富士山が見られるようになるだろうと期待していた通り、ようやくアヤメと富士山のコラボレーションを見ることが出来た。手前のアヤメは既に陽が陰ってしまっており光量が足りず写真としてはいまひとつの出来であるが、この景色が見られるようになったことは大きな喜びである。


    裸山のアヤメと富士山


    同上。ズームで捉える。

 時刻は6時近くになった。櫛形山山頂を越えて下山する頃には日没になっているであろうが、折角見えている富士山を撮らずに下山するのはもったいない。櫛形山山頂で残照の富士山を眺めた後は三脚を担いだまま稜線上をゆっくりと富士山を眺めながら歩く。


    櫛形山山頂から見る夕映えの富士山。


    同上。櫛形山稜線から。


    アースシャドウの富士山。櫛形山稜線から。


    同上。


    夕焼け空の白根三山。展望台から。


    夕焼け空の北岳


    雲海に浮かんだ夕暮れの悪沢岳

 途中でヘッドライト点灯し、池の茶屋駐車場に到着したのは7時45分になった。さほど歩いたわけでは無いが、10時間近くも櫛形山界隈をブラブラしていたことになるが、それだけの時間を費やす価値のある山行だったと思う。

 本日の月の出は9時15分ごろだったはずだ。現在地球に接近している火星の赤い輝きが素晴らしく、本日の17夜の月と火星は横並びに接近して東の空から昇って来る。当初は朝霧高原を予定していたが富士山中腹に雲が巻いている様子を見ると近距離からの富士山は見えない公算が強い。高下か、丸山林道展望台か、あるいは櫛形山林道か迷ったが、明るい月を想定して町灯りが前景に入る櫛形山林道を選択して移動する。到着した当初は富士山が見えていたのだが・・・


    櫛形山林道から見る夜景と富士山。到着した8時45分ごろには富士山が見えていた。


    しかし、9時を過ぎた頃から富士山は雲に隠れてしまった。空にはうっすらと天の川が流れる。


    月が昇る。残念ながら富士山は見えず。


    雲の中にうっすらと火星が見える。富士山は見えず、これにて撤退。

 帰宅したのは11時になってしまったが、アヤメを前景にした富士山を眺めることが出来て充実した1日になった。
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アヤメ咲く櫛形山を訪れる(後編)  平成30年7月1日

2018年07月03日 | 花・花・花
 池の茶屋を9時に出発して裸山に到着したのが午後1時、さらに裸山出発が2時過ぎとなりアヤメ平に到着したのは2時半近くになった。そろそろ登山客の姿も少なくなりほんの数人とすれ違っただけだった。さらに3時を過ぎた頃にはもう誰も居なくなり、アヤメ平のお花畑は独占状態となり三脚を出して存分に写真を撮らせてもらった。


    樹林帯の中に咲いていたマムシグサ。ユモトマムシグサは全て花は終わっていた。


    コバノイチヤクソウ


    アヤメ平に到着。もうほとんど人が居ない。


    だいぶ草が茂ってきてアヤメも増えてきた。


    キソチドリか、それともオオヤマサギソウか?


    アオスズランはようやく頭を持ち上げてきたところだった。


    避難小屋の前のキンポウゲ


    咲き始めたばかりのキンバイソウ


    200㎜望遠レンズで捉えたキンバイソウ。


    復活したアヤメ平のお花畑。素晴らしい!


    テガタチドリとアヤメが半々くらいだろうか。


    元気なテガタチドリ。


    咲き始めたクガイソウ


    テガタチドリ


    アヤメ

 裸山の植生の変化から見ると、現在のアヤメ平の様子は3~4年前の裸山と同じような感じである。おそらくは2~3年するとアヤメが増殖してテガタチドリが減少してくるのではないかと予想される。


    植生の変化に伴って年々減少しているのがこの花。


    当初はキソチドリだと思っていたのだが距が長くて前方に曲がる様子からホソバノキソチドリと思われる。まだ咲いていなかったのが残念。


    お花畑を良く見ると踏み跡があり、どうやら鹿の仕業らしい。食害の跡も見られる。ネットのどこかに破損があると思われる。


    保護柵の外と中ではこれほどの植生の違いが現われてきた。

 今年で保護柵が設置されて6年になるだろうか。絶大な効果が現われているアヤメ平であり、現在はアヤメが増殖する途中の段階にあると推定される。アヤメの花はまだ少ないものの幼弱な葉は多数出現してきており、次第にアヤメ主体の紫色のお花畑に変わって来ると予想している。それに伴ってテガタチドリやホソバノキソチドリは減少することになるであろう。自然界では植物同志の熾烈な生存争いが繰り広げられているのである。アヤメは強い植物だと思う。

 時刻は4時半を過ぎた。そろそろ撤退の時間である。モミジ谷を経由しての周回歩道を歩く予定だったが撮影に夢中になっていてストックを避難小屋の近くに置き忘れてきてしまったようだ。回収しながら東の空を見ると青空が広がっていた。ひょっとしたら富士山が見えているのではないかと淡い期待を抱いて、もう一度裸山に立ち寄って帰ることにする。(富士山編に続く)
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アヤメ咲く櫛形山を訪れる(前編)  平成30年7月1日

2018年07月02日 | 花・花・花
 6年ほど前からアヤメが咲く季節のほぼ定番となっている櫛形山である。特に裸山のアヤメが再生しつつある過程はほぼ定点からの撮影でその様子を写真データとして記録してきている。今後の変化を予測するため、さらに他の場所の植生がどのように変化して行くかを予測するために重要なデータであると思っている。なのでアヤメが咲くこの季節の櫛形山は絶対に外せない訪問場所のひとつなのである。

 いろいろとコースを考えたのだが、気になっている南側の管理歩道を歩くには定番の池の茶屋から歩くのが時間的に最も有利である。9時に池の茶屋に到着すると予想していた通りに駐車場は満車で路上まで駐車されており、脇道の林道に車を止めて出発する。


    草の生い茂る池の茶屋の保護柵の中。もうすぐ咲きそうなクガイソウ。


    保護柵の中だというのに食害の跡があり鹿道らしきものも見られる。柵のどこかに破損があるようだ。


    櫛形山への登り道。またバイケイソウが増えたように見える。道標を右に曲がって管理歩道に入る。


    サルオガゼのついたカラマツ林が美しい。


    普通のマムシグサ


    種になったセリバオウレン。葉は地面の近くにある小さな葉で、周辺の大きな葉はトリアシショウマだと思う。


    コバノイチヤクソウ(右)とズダヤクシュ(左)


    イワキンバイ


    タカネグンナイフウロ


    タカネグンナイフウロとサルオガゼ。霧が湧いて良い雰囲気で撮れたと思う。


    気になっていたのがこの花。アオチドリ。


    昨年食害に遭っているのを確認していた。今年は株数が半分以下に激減しており残った株も食害に遭っている。おそらく数年で消滅するだろう。


    もう1ヶ所見ておきたかったのがこのクサタチバナ群落。


    クサタチバナ平と勝手に命名している。今年は立ち枯れしている株が多く花があまり咲いていない。


    圧巻だった昨年に比べると寂しい花付きである。


    バラボタン平のマルバタケブキ。ここのマルバタケブキが食べられている。よほど食べ物が無くなっていると思われる。


    花の終わったユモトマムシグサ。櫛形山で見かけるのはこれと先ほどのマムシグサの2種類である。

 普通に歩けば管理歩道を使ったとしても2時間半もあれば裸山に到着するであろうが、バリアンスルートを歩いてしかも右往左往して登って来たため4時間近くかかって午後1時にようやく裸山に到着である。たくさんの登山者が次々にやって来て、裸山の保護柵が設置されてからの植生の変化やアヤメの復活の様子について解説したりしているとあっという間に時刻は2時になってしまった。しゃしゃり出て登山者に解説するのはいかがなものかと思ったのだが、それなりに皆さん納得していただいたようで、「ありがとう」という言葉を複数の方からいただいた。


    ほぼ定点撮影の裸山のアヤメ。


    昨年に比べると若干花数が少ないように感じるが、花を咲かせていない葉はさらに増えているように感じる。


    新たに囲われた山頂側の斜面はまだキンポウゲやテガタチドリがたくさん咲いている。いずれはアヤメが主体の斜面に変わって来るだろう。


    エゾノタチツボスミレの白花。もう咲き終わりである。


    別角度から見る保護柵の中。クガイソウがたくさん生えており時期が変わると今度はクガイソウの青いお花畑になるのだろう。


    山頂側の斜面もだいぶアヤメが増えてきた。


    裸山山頂。相変わらず霧が巻いて景色は見えない。

 ここ数年の裸山の植生変化から見ておそらくアヤメが増えてきているだろうとは思っていたが、花数だけを見れば昨年よりも若干少ないように見える。しかし、アヤメ以外のテガタチドリやキンポウゲは減少しており、アヤメが勢力を強めていることは確実であろう。さらに遅れて保護柵が設置された山頂側の斜面も次第にアヤメが勢力を増しており3年後にはアヤメ主体の斜面となっていることが予想される。

 予定では12時裸山だったのだが2時間も予定時間をオーバーしてアヤメ平に向かうことになってしまった(後編に続く)。

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富士南麓の森を再訪  平成30年6月30日

2018年07月02日 | 花・花・花
 先日訪問して着生植物の生育を確認してきた富士南麓の森だが、天候が悪いうえにレンズの接続コネクターを忘れて撮影が出来ないままで撤退となってしまっていた。前日から横浜に出張となっていたがこの場所の再訪のために車で出かけて帰りの際に立ち寄ってみた。時刻は既に午後4時を過ぎていたが場所がわかっているので撮影してくるだけならなんとかなりそうな時間である。


    ハコネラン。首の長いこの手の植物は風が吹くとなかなか撮らせてくれず今回も一苦労する。


    黄緑色の保護色で森に溶け込むように咲いている。


    唇弁にギザギザがあるのが特徴。

 目的地に到着して木を見上げるが肉眼では確認できない。双眼鏡を取り出して見てみると咲いているのが確認できるが、午後になると逆光になってしまい花にはほとんど陽が差し込まない。そのうえ風が強くて木が揺れており撮影条件はあまり良く無い。Iso感度を640に上げて何度も撮影を試みるが570㎜望遠レンズはほとんどがブレた写真になってしまった。


    こちらが前回確認してきた着生植物。固まって咲いている。200㎜望遠。


    フガクスズムシソウ。570㎜望遠。


    同じ木の別の場所。


    白花も混じって咲いている。


    白花が隠れて咲いている。


    何本か他の木を探してみたが、見つかったのはこの小さな1株だけだった。


    この木にはマツノハマンネングサが着生していた。


    マツノハマンネングサ。なんとなく白い蕾のようなものが着いている。


    下山したのはちょうど日没の頃だった。富士山に笠雲がかかっていた。

 もっとじっくりと観察すれば他の木にも生育しているのが見られるであろうが、本日は数本の木を探すのみで時間切れとなってしまった。周辺の森には他の着生植物が生育している可能性が高く、時間がとれるならば他の場所も探してみたい。

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