山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山梨県で発見されたヒメスズムシソウ

2019年11月28日 | 番外編
 先日の山梨日日新聞にヒメスズムシソウの記事が掲載された。記事には若干の誤りがあるのだが、発見されたのは昨年では無くて一昨年である。山岳レインジャーが発見というのは私のことを指すのであろうが最初に発見したのは私ではなく山梨県外に在住されているラン写真の愛好家の方である。その知人の方と偶然に山行で一緒になりこの植物の存在を知ることになった。なにせネットにも図鑑にもほとんど載っていない稀少なものだけにどうやって扱うかいろいろと考えて、翌年植物に詳しいメンバーや保護に携わっているメンバー、さらに目が良くて信頼できるメンバーを総勢10人集めて調査を行った。最初に発見された場所と別の場所で私が偶然にこの植物を発見したため、そちらの周辺にもあるだろうということでの現地調査と個体数調査である。そして生育が確認されたため、今年の夏にこの植物の日本で一番の研究者と山梨県緑自然課の方々を交えて保護に向けての調査が行われた。発見されてから2年以上が経過するわけであるが、私の知るメンバーには保護の方向性が確定するまでは秘密にしていただくことを強く申し入れており、今まで最初の発見者の方以外はほとんどこの花の情報はネット上に公開されていない。そして今回新聞に記事が掲載され、山梨県特定指定種に指定されて法律的な保護がされるのがほぼ確実となり、いよいよ情報公開となったわけである。さらには保護ネットを設置することも現在検討されており、発見当初の私の思惑通りに事が運んでいることになる。




    平成29年7月、発見された当初のヒメスズムシソウ


    マクロ撮影。ヒメスズムシソウはジガバチソウに良く似ているが唇弁が下向きに反り返るところが異なる。


    平成31年7月のヒメスズムシソウ。国内では3ヶ所での生育が確認されていると聞いているが山梨県のものが最も生育環境が良いらしい。


    研究者の凄さを思い知った一株。上に見えている円い葉はキバナノコマノツメの葉で、500円玉くらいの大きさである。それよりも小さな株を普通に発見して来る。


    平成31年7月に見た株。周辺の草が無くなって個体が露出してしまっている。これはこの花を撮影するために周囲の草をむしった人が居るということだ。

 登山道からあまり離れていない場所で発見された個体は、この花の画像を撮るために周辺の草がむしり取られていて、あったはずのまだ花を咲かせない幼弱な葉まで消失していた。こうなってしまうと、この花を保護するにはもはやネットや柵で囲うしか無いのではないかと思ってしまう。多くの人に見せたいとも思うのだがそれを行うためにはまずこの花が確実に保護されるということが大前提である。全国的にも稀少な植物であるので、おそらく山梨県みどり自然課や環境省が保護の方法について検討していることと思う。この花にかかわってきただけに、出来る限り協力して行きたいと思っている。
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『山と花と星の奏でる上映会』 上映予定プログラム

2019年11月25日 | 番外編
 変更になる可能性もありますが、とりあえずは映像の編集が終わり、以下のプログラムでの上映を予定しております。


『山と花と星の奏でる上映会』 November, 2019

場所:アウトドアショップ ELK

プログラム

1.山梨の名峰
 たくさんある山梨の名山の中で、日本百名山に選ばれている山の画像を良いとこ取りして集めてみました。撮影場所はあえて伏せておりますのでどこから撮ったか想像しながらお楽しみください。



2.雪化粧
 雪化粧した樹氷の景色を中心に編集してみました。透き通るようなサラ・オレインの歌声と一緒にお楽しみください。



3.割れるダイヤモンド富士
 4月にエルクで開催させていただいた時にも上映させていただきましたが、今回は夕暮れの白山岳に沈んで行く割れるダイヤモンド富士『キャッツアイ』のカットも入れてみました。



4.月富士
 今回エルクで開催させていただいた写真展のテーマがダイヤモンド富士とパール富士ですが、この映像はパール富士だけではなく富士山頂で輝く細月の映像を加えて編集してみました。そのためパール富士ではなく『月富士』という名前にしました。



5.八ヶ岳の稀少植物たち
 希少な植物の宝庫である八ヶ岳ですが、今回は八ヶ岳の山梨県側に生育する稀少植物に限定して編集してみました。最近見つかった珍しいラン科植物の画像も公開します。



6.天の川流れる空
 今までに何度も上映している天の川の画像ですが、やはりこの天の川の景色が、私が星の写真を撮り始めた原点です。今回は辻井伸行さんという盲目のピアニストが神田川の流れを聞いて作曲したという「川のささやき」を天の川の流れに置き換えてお送りします。



7.山梨の夜富士
 得意とする夜の景色です。山上から見る夜の富士山を快活な「Cross Roads」という曲でお楽しみください。




 皆様のお越しをお待ちしております。

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「山梨の名峰」 ~山と花と星の奏でる上映会~開催迫る

2019年11月24日 | 番外編
 11月29日開催予定の「山と花と星の奏でる上映会」まであと1週間を切りました。ビデオ編集作業も大詰めを迎えております。ご来場者の皆様にどうやって山の素晴らしさを伝えるか、環境の大切さを伝えるかを考えつつ編集しています。先日の山梨日日新聞に「ヒメスズムシソウ」という希少種中の希少種の記事が掲載されました。この花の調査や保護にも山梨県山岳連盟の仲間たちとともに携わって来ましたのでそちらの情報も今回の上映会で公開できる範囲でお話ししたいと思っています。

 山の素晴らしさをどう伝えようかと考えて作ったのがこの「山梨の名峰」です。山に囲まれた山梨県はどこの山に登っても景色が良く富士山が見えるのが特徴です。その中でも日本百名山に含まれている山を春夏秋冬問わず良いとこ取りして集めたのが今回の作品です。どこから撮影したかは皆さんでご想像していただくように、あえて撮影地は記していません。


    冬の八ヶ岳

 奥秩父随一の眺望と言われている山から見下ろす雪景色の八ヶ岳とその裾野の景色です。


    夕暮れ迫る赤岳と阿弥陀岳

 写真では穏やかに見える景色ですが強風が吹き荒れて隣の人との会話が聞き取れないほどの風に悩まされました。予定していた権現岳は諦めて三ツ頭テント泊して下山となりました。


    岩峰の頂 赤岳

 山は見る角度によって形を変えるものですがこの場所から見る赤岳はいくつもの突起を持った岩峰の山に見えます。機会があれば、この場所から星空を撮ってみたいと思っています。


    御嶽山と瑞牆山

 角度によっては瑞牆山が御嶽山の帽子を被っているように見える場所があります。瑞牆山山頂には多くの登山者が訪れているのが見えます。


    間ノ岳の肩に乗る北岳

 まだ登山を始めて間もない頃に撮影してきた画像です。再訪してみたいと思いつつも、ずいぶんと月日が過ぎてしまいました。


    紅葉と冠雪の金峰山

 良いタイミングで訪問して見ることが出来た景色です。この日は金峰山初冠雪の日でした。


    紅葉の甲斐駒ケ岳

 長い尾根を登って見てきた景色です。真っ青な青空と眼下には雲海が広がった素晴らしい日でした。

 曲はQUEENの「I was born to Love You」という名曲を使います。愛する山梨の山にぴったりの曲だと思います。

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月富士 ~山と花と星の奏でる上映会に向けて~

2019年11月19日 | 番外編
 パール富士の画像は今までに「山上の月」というテーマで、富士山だけでなく他の山の上に輝く月の画像を集めて編集した映像で何度も使ってきましたが、今回は富士山と月の映像だけを集めて新たに編集してみました。本来のパール富士とは富士山の上に輝く満月あるいはそれ前後の明るい月のことを指すのだと思っていますが、今回は富士山頂に現れた細月や三日月の画像も使っていますので、タイトルは「パール富士」ではなくて「月富士」としてみました。


    パールの輝き(金時山)

 冬の冷え込んだ未明に金時山に登って撮影してきたパール富士です。日の出10分前ごろに富士山頂真ん中にさしかかった月です。まさに真珠の輝きというのがぴったりのパール富士でした。


    新春の剣ヶ峰に昇る月(思親山)

 平成30年1月1日の思親山山頂から撮影したパール富士です。気温が上がってしまい雲が出てしまうのではないかと心配していましたが、見事な紅富士に月が昇って来てくれました。新年早々にこのような風景が見られて幸せでしたが、反面これで今年の運を使い果たしてしまったのではないかと心配にもなりました。


    随身門に昇る黄金の月(七面山敬慎院)

 秋晴れの夕暮れに昇って来た月です。埼玉出張から帰って来て登りましたが途中の高速道路で事故渋滞に巻き込まれてしまい、時間ギリギリで必死に登って撮って来た思い出の画像です。


    夕焼けの雲間に輝く三日月(菰釣山)

 山頂に登る途中から見上げる空は雲が広がり、山腹にも少し霧が出ていたため望みは薄いだろうと思っていた月と富士山でしたが、山頂に到着して日没を過ぎた頃から空が真っ赤に焼けてきました。これだけでもこの日はラッキーだったのですが、さらに待っているとちょうど雲の切れた隙間からほんのわずかな時間ですが三日月が輝いてくれました。この日もまた運を使い過ぎた気がして下山はいつも以上に慎重に下りてきました。


    超望遠レンズで捉えた剣ヶ峰の月(まかいの牧場)

 新調したフルサイズデジタルカメラEosRPの性能テストを兼ねて撮影に出かけたまかいの牧場のパール富士です。ボーグ570㎜天体望遠レンズに2倍エクステンダーを装着して月を強調して撮影したものです。しっかりと三脚を固定したつもりでしたが少しブレているのが反省点です。

 今回初上映する新作の「月富士」です。各情景を3カットずつ使ってストーリー仕立てにして編集してみました。曲も川井郁子奏でる「ブルーバード」という繊細かつ優雅な作品を使います。ご期待の上お越しください。
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山梨の夜富士 ~「山と花と星の奏でる上映会」~に向けて準備中

2019年11月15日 | 番外編
 11月3日から甲府市徳行にあるアウトドアショップエルクの展示場をお借りして『ダイヤモンドとパールな富士』の写真展を開催しています。展示しっぱなしであまり会場に足を運んでいませんが、テーブルに置いてある「酷評ノート」の記載を見る限りではあまり盛況なようでは無いようです。それはさておいて、写真展最終日の前日に同じくアウトドアショップエルクをお借りして開催予定の「山と花と星の奏でる上映会」の準備を急ピッチで進めています。7本の映像を上映する予定ですが全て新作というわけでは無く半分は以前上映したものの再上映、半分は新しい画像を取り込んだり曲を新しくしてリメイクしたもの、2本くらいが新作になります。今回ご紹介する『山梨の夜富士』は以前にも同じタイトルのものを上映したことがありますが、曲も画像も大幅に入れ替えたほぼ新作です。曲とのマッチングも良く出来ていると自負している作品です。


    月光照らす茅ヶ岳と夜富士

 雪が降ったクリスマスの夜、月光が照らす白い茅ヶ岳と富士山を撮りたくて茅ヶ岳にテント泊して撮って来た作品です。しいていえば、雪が少し足りなかったです。


    月光照らす新道峠の富士山

 甲府駅前の焼き鳥屋さんで食事していたところ天候が回復してきたのでそのまま寝ないで訪れた新道峠の景色です。素晴らしい雲海が広がっており、そのまま黒岳まで登って夜明けを迎えました。


    雲海を照らして昇る月

 冬の大三角形と細い月が接近して未明に昇って来るのを計算して訪れた鳳凰山です。まさかの凄い雲海に一晩中寝ないで撮影していました。疲れ切って下山が大変でした。月の光が大きいのは吐息でレンズに曇りを加えて撮ったためです。


    オリオン座昇る笊ヶ岳の夜富士

 急登と重い荷物に両足が攣りながら夜の9時過ぎにやっと登り着いた笊ヶ岳山頂からの景色です。もう少し広角レンズで撮りたかったところですがこれを撮影した当時は17㎜レンズの他はdiagonal fisheyeという水平線がゆがむレンズしか持っていませんでした。再写に行きたいところですがとても笊ヶ岳まで登る体力も勇気もありません。


    富士に昇る月と天の川

 夜中の12時に出発して撮影してきた節刀ヶ岳からの富士山です。これはdiagonal fisheyeという半魚眼レンズで撮影したもので水平線が少し歪んでいます。これはこれで良い雰囲気が出ていますがずっと再写に行きたいと思いつつもなかなか天候と日程に恵まれず行けずにいます。細い月でないと天の川の輝きが負けてしまうため、この画像が撮れるのは2月と3月の数日間のみです。


    雲海にオリオン座昇る権現岳

 植物調査とペルセウス座流星群の2つの目的で訪れた権現岳です。残念ながら流星群は構えた画角の中を流れてくれませんでしたが雲海の上に現れたオリオン座は素晴らしい輝きを放っていました。


    月光照らす薄明の鳳凰山と富士山

 秋に訪れた甲斐駒ヶ岳黒戸尾根は眼下一面に雲海が広がりました。甲府盆地の町明かりを撮るのが目的でしたが、目的は果たせなかったものの、この雲海はそれ以上の素晴らしい情景でした。

 今回も気合を入れて編集に取りかかっていますが、気ばかり焦って編集はあまり進んでいません。なんとか間に合わせたい画像があるのですが、夜中に山上まで登る元気と勇気が出るかどうか・・・奮闘中です。

 お時間許せば、11月29日(金)19時からの開催予定ですので皆さまお誘いあわせの上ぜひお越しください。
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岩殿山から稚児落としを周回  令和1年11月10日

2019年11月12日 | 山に咲く花
 大月市の駅の向こう側に立つ岩殿山は簡単に登れるハイキングコースのはずだったのだが・・・。10月にやって来た2つの台風の影響で登山道が複数個所で崩落し、メインの登山道だった強瀬ルートが通行止め、その先の岩殿ルートも通行止めになっていることを駐車場に到着してから知った。登れるのは裏側に回り込んだ畑倉ルートからになり、道路を30分くらい歩くことになる。岩殿山山頂から稚児落としのルートは鎖場が通行止めだが巻き道を通れば通行できるらしい。時刻は10時を過ぎてしまったが十分に周回できる時間である。ちょこっと登って花を見てくるはずだったがそうも行かなそうな様子で、少しばかり気合を入れて出発する。


    駐車場に立っていた看板で通行止めの場所を知ることになる。


    地図拡大。30分ほど車道を歩いて畑倉ルートから入山する。


    道路脇に群生していたシダ。


    どうやらベニシダらしい。


    畑倉ルートの入り口。駐車場があった。


    途中にある鬼の岩屋。かつての修行の場だったらしく、岩殿山に住んでいた鬼の棲家だったという言い伝えがある。


    神社


    整備された道だが最後の登りはちょっときつい。


    岩殿山東峰に登り付く。烽火台跡がある。


    10分ほどで山梨百名山標柱の立つ西峰(山頂)に到着する。東峰のほうが標高は高いが眺望が無い。


    岩殿山山頂から見る大月の町。右手奥に富士山が見えるはずだが雲に隠れてしまっていた。

 予定していた12時に岩殿山山頂に到着し、ここで軽く食事をとって出発する。ここから先の稚児落としへのルートを歩くのは今回が初めてである。簡単なコースだと思っていたのだが意外とアップダウンがあり、巻き道といってもロープがついた急下りだったりと、ハイキングコースとは言い難いちょい大変なルートだった。


    山頂下の岩場から見る西側の山並み。左側の中くらいに高い山が花咲山、右真ん中奥の尖った山が滝子山。目指す稚児落としは右端の真ん中あたりに小さく見える岩壁のところ。


    展望岩の下の咲き残りのコシオガマ


    半分は枯れてしまっていたシダ。


    コップ型のソーラスが付着。どうやらシノブらしい。木や岩を好んで着生する。


    メインルートの強瀬ルートはこの稚児落とし分岐のところで通行止め。崩落地はこの下だが見えず。


    ここが崩落して通行止めになっている鎖場。


    巻き道を使うがそちらも歩き易いルートとは言えない。ロープのついた斜面を結構下る。


    天神山手前から振り返ってみる岩殿山。


    天神山山頂。このピークは展望が無いが、すぐ下に祠と展望地がある。


    天神山の祠


    まだ日は高い。富士山が姿を現した。


    高川山と富士山


    稚児落としの1枚岩西側。


    稚児落としのピークから見る1枚岩の東側。左側が岩殿山。

 ほぼ予定通りの午後2時稚児落としのピークに到着した。あちらこちらをうろつきながら歩いてきたので後続の登山者たちにはことごとく追い抜かれた。シダや植物を探しながら来たのだがあまり目ぼしいものは見つからなかった。しかし、このあたりの岩場に今回の目的の植物が生育しているはずだ。行ったり来たりして探してみると、なんとか見つけることが出来た。


    落ちたらひとたまりもない崖っぷちに咲いていた花。


    大月市の街並みを見下ろしながら贅沢な場所に咲いていたツメレンゲ。


    別の場所で出会ったツメレンゲ。


    ここに生育しているツメレンゲは葉が赤く花も赤っぽい。山の上のツメレンゲはこんな色をしているのだろうか?平地のものとはだいぶ感じが違う。


    浅利に下山してあとは下の車道をテクテクと歩いて駐車場に戻る。夕陽が赤く染まりだした午後4時に駐車場到着。

 結構歩いた気もするがたいして歩いていない気もする今回の山行だった。いちばんの目的だった赤いツメレンゲはやや時期が遅かったがまだ十分に見ることが出来た。山梨県の平地では何ヶ所か生育が知られているが山上ではこの界隈しか生育地を知らず、山の上に生育しているものは皆赤い葉の色をしているのか、それともこの場所が特殊なのか、もう少し見歩いてみる必要があるだろうと思う。
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ツメレンゲを巡る 笛吹川堰堤と大月市の岩場  令和1年11月10日

2019年11月11日 | 花・花・花
 10月下旬に訪問したかったのだが日程が合わず、もう終わりかけているであろうツメレンゲであるがなんとかまだ咲き残っている花を見ることが出来た。訪問した2ヶ所はいずれもツメレンゲではあるがずいぶん違う感じを受ける。


    まずは笛吹川の堰堤に生育しているツメレンゲ。やはり1∼2週間ほど遅く枯れかけている。


    それでもまだ咲き残っているものがいくつもあった。


    この周辺だけでしか見かけないが個体数はかなりある。


    まだ蕾の株もあった。


    民家の近くの堰堤に生育している。

 近くに住む家の人が偶然散歩にやって来てお話を伺うことが出来た。この場所は50~60年ほど前に山から採って来た個体を移植したところ、このように増殖してきたものだそうである。この花を食草としているクロツバメシジミも飛んで来るそうで花だけでなく蝶マニアもやって来るそうだ。中には網を持って捕獲に来る人が居て注意したことがあるそうだ。この花も蝶も絶滅危惧種である。大事にして欲しいものである。

 さて、高速を使って大月に移動して山の上の岩場に生える同じ花を見に行ってみる。


    岩の上に生育しているツメレンゲ。


    確かに同じ形ではあるのだが・・・


    花が赤みがかっており葉は真っ赤である。


    ツメレンゲの赤い葉


    本当に同じものなのかどうか?環境によって変わるのかそれとももともと違うのか?

 花の形だけを見れば同じツメレンゲに見えるのだがあまりにも葉の色が違い過ぎる気がする2ヶ所のツメレンゲである。植物は分からないことが多過ぎる。ちなみにこの場所ではクロツバメシジミが飛来しているのを目撃したが撮影は叶わなかった。
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アウトドアショップエルクで『ダイヤモンドとパールな富士』写真展開催中です  令和1年11月8日

2019年11月08日 | 番外編
 アウトドアショップエルク(甲府市徳行)の中二階展示場をお借りして11月3日から写真展を開催しています。今回のテーマはしばしば撮影に出かけているダイヤモンド富士とパール富士の作品です。撮影に成功するまでに苦労した多光芒ダイヤモンド富士『ティアラ』や『キャッツアイ』も展示してあり、実際に撮影に使ったレンズも展示してあります。お時間が許せばお立ち寄りください。11月30日まで展示する予定です。さらに、最終日の前日11月29日は「山と花と星の奏でる上映会」を夜7時から1時間行います。割れるダイヤモンド富士「ティアラ」の動画を是非見に来てください。


    アウトドアショップ エルク


    中2階の展示場。この会場をお借りするのは今回で4回目です。撮影に使用したレンズとカメラも展示中。


    展示の様子。机の上にはティアラ撮影に至るまでのデータを記録した「月星ノート」と「酷評ノート」という落書き帳が置いてあります。


    展示の様子


    同上

 計22点を展示してあります。いくつかご紹介します。


    厳冬のダイヤモンド富士(竜ヶ岳)

 凍り付くレンズを拭き取りながら撮影したカットの中に虹色の光芒が出たカットがありました。レンズのフレアを最小限に抑えるためにあえて太陽をレンズ視野の真ん中に配置して撮影した作品です。


    朝焼けに昇るダイヤモンド富士(笊ヶ岳)

 3度目の正直でやっと撮影に成功した笊ヶ岳のダイヤモンド富士です。標高2,600mまで昇るとまだ朝焼けのオレンジ色が残っているうちに富士山頂に太陽が現れます。笊ヶ岳は山梨県側の雨畑から登るのは大変な山で、両足が攣りながらも10時間かかって山頂に登って撮影してきた作品です。


    多光芒ダイヤモンド富士『ティアラ』

 撮影位置と富士山との距離を調整するのに難航しましたが、それだけではなくて気象条件に大きく左右されます。雲が出てもダメ、霞が出てもダメ、強風で雪煙が舞っても撮れません。撮影に成功するのは5回に1回あるか無いか程度だと思います。


    剣ヶ峰に昇る新春の月(思親山)

 平成30年元日に富士山に昇って来た月です。西側に出た雲で富士山にややまだらな影が出てしまいましたが、これほどの好条件でパール富士が撮影出来る機会はあまりありません。

 お近くにお越しの際はお立ち寄りください。
    
    
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不動沢から瑞牆山を周回  令和1年11月4日

2019年11月06日 | 山梨百名山
 何度も登っている瑞牆山だが不動沢側からのルートを歩くのは初めてである。瑞牆公園の駐車場にある案内板には荒れていると書かれているがルートは普通にあると聞いている。しかし先日の台風による大雨の影響がどうなっているか心配なところではある。駐車場から不動沢ルートに向かう人の姿を何人も見かけたのでおそらく大丈夫なのだろうと予想して出発する。8時くらいにはスタートしたかったのだが起きた時間が既に遅く、出発は9時近くになってしまった。今回は初めてのルートを歩くという好奇心もあるのだがこの界隈にはちょっと変わったシダが生育している可能性があるのでそれを探す目的もある。


    瑞牆公園から見上げる瑞牆山の岩峰群。すぐそこに見えるのだが山頂はさらにその奥にあり、今回のルートはずっと左側から見えている岩峰群の後ろ側を登って行く感じになる。


    オシダ群生


    緑色鮮やかなシダ


    たぶんヘビノネゴザ。


    30分ほどで不動沢入り口の駐車場に到着。思っていたよりも広いスペースで車もそこそこに止まっていた。


    このあたりのルートは広くて立派な道だった。紅葉真っ盛りであるが台風の影響か葉っぱがだいぶ落ちてしまっている木が多い。


    岩場にたくさん付着していたシダはフクロシダだった。


    胞子葉を伸ばしたシシガシラは普通にある。


    もうひとつ、登山道脇に山頂付近まで普通に生えていたのがこのシダ。


    シノブカグマ(オシダ科カナワラビ属)。


    岩に付着した枯れかけているこのシダは?ウサギシダを期待したのだが・・・


    枯れかけてはいるがソーラスを見る限りではホソバナライシダと思われる。別の場所でも同じような感じのホソバナライシダがあった。


    やがて不動沢の沢筋に出る。この沢沿いを歩くのだがやはり台風の影響でだいぶルートが傷んでいて流されてしまった橋もあるそうだ。

 不動沢の沢沿いは踏み跡はあるもののルートが良く分からなくなっている場所が数ヶ所あり、後に富士見平小屋に立ち寄って聞いた話であるが流れてしまった橋がいくつかあるそうだ。対岸に鎖の手すりが付いている道が見えるのにその場所へ行けず、さらに上流を回り込んで渡渉したり、沢沿いのルートが分からなくなっていて左側(右岸)の岩壁に沿って上のほうまで行ってしまい、GPSで位置を確認して間違っていることが分かり、沢に戻って対岸のテープを探して渡渉したりという場所があった。台風の後は要注意なルートである。


    不動の滝。ここまで来るともうあまり間違いそうな場所は無い。


    王冠岩


    樹林帯の急登を登り切ると瑞牆山山頂の根元に出る。


    ずいぶん久しぶりに感じる瑞牆山山頂。


    大ヤスリ岩と紅葉の山並。左上に霞んで見えるのは茅ヶ岳と金ヶ岳。


    ここで出会えるとは思わなかったこのシダ。


    オオクボシダ(ウラボシ科)。見つかったのは2株だけだった。レッドデータブックのメッシュ内ではあるが絶滅危惧ⅠA類の珍しいシダである。


    探してはいたのだがまさか見つかるとは思わなかったのがこのシダである。


    今度こそヒメスギラン(ヒカゲノカズラ科)。北岳で見たものよりも細長く葉は針のように細い。


    別の場所で見たもの。これも絶滅危惧ⅠA類のシダ。

 山頂到着は午後12時半を予定していたのだが道迷いや珍しいシダに出会って何枚も写真を撮ったりしていたため、午後1時45分になってしまった。歩くピッチは遅かったがそれでも足が攣りそうなくらいに疲れた。山頂で昼食をとって休み、2時過ぎに富士見平小屋に向かって下山を開始する。


    この景色を見て下山開始。


    天鳥側の合流点近く。このあたりも土砂崩れや倒木があって荒れていたが幸いにして2本の大きな階段は無事だった。


    日没近い富士見平小屋


    そしてこちら側のルートでも発見したヒメスギラン。


    群生せずにポツポツと生育している感じ。


    白い貝殻のような胞子嚢が葉の間に付着している。真ん中のあたりは土砂が流れたのか小砂利が付着している。くちばし状の無性芽も見える。


    日没迫る瑞牆山

 瑞牆公園に至る道路に降り立つ手前で暗くなり、最後はヘッドライト点灯して公園の駐車場に戻った。当初の予定では4時には到着するはずだったが結局5時15分になってしまった。もう誰もいないだろうと思っていたのだが以外にもクライミングの人たちがまだ大勢駐車場に残っていて後片付けして撤退してゆくところだった。

 今度こそ間違いなくヒメスギランに出会うことが出来た。想定していた山頂付近のやや湿った岩場ではなくて沢の近くの苔の生えた岩の上に生育していた。オオクボシダも同様な環境である。この2種類は出会えればラッキーと思っていただけに嬉しかった。あるのではないかと期待していたミヤマウラジロやヒメウラジロ、さらにはコガネシダはいずれも石灰岩地を好むシダということもあり、花崗岩で出来ている瑞牆山では全くありそうな気配が感じられなかった。金峰山や甲武信ヶ岳を探し歩いてみたいのだがもうすぐ雪のシーズンを迎えてしまい、年内の探索は難しそうである。
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