山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ニョホウチドリ

2020年08月31日 | ラン科
 亜高山帯の草地に生育する赤紫色の鮮やかなランである。通常は草地を好んで生育しているが大菩薩・小金沢連峰の個体は笹原や笹原と草地の境目に生育している。元々は草地だった場所が笹に置き換わって来たと思われるが、うまく共生しているように見えなくも無い。山梨県では南アルプス、八ヶ岳、大菩薩・小金沢連峰、奥秩父山系など広範囲に生育してはいるが、いずれの場所でも減少傾向にある。


    ニョホウチドリ 平成27年7月 南アルプスで撮影


    同上 一時咲かなくなったが復活してきた花。


    平成29年7月 大菩薩・小金沢連峰で撮影。笹原の中に咲いた花。


    同上 笹と共生できるのかどうか疑問があるが、不思議と笹が刈られた場所には生育していない。


    同上 しかし個体数は減少しているので、この花にとって良い環境とは言えないのであろう。


    赤紫色の美しい花。


    令和1年7月 八ヶ岳で撮影


    この場所も笹に飲まれつつある。

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ナヨシダ(ナヨシダ科)

2020年08月31日 | シダ類
 亜高山帯から高山帯の湿った岩場を好んで生育している常緑性のシダである。山梨県では八ヶ岳、富士山、北岳に生育している。小さなものはトガクシデンダとの区別が難しいものがある。決定的な違いは軸の根元近くに関節(節目)があるかどうかであるが、岩の隙間に生えているものが多く根元近くを観察するには難がある。常緑性ではあるが、私の見たものは秋になると枯れ始めていた。


    ナヨシダ 令和1年9月 八ヶ岳で撮影


    同上。裏側から撮影。


    同上。ソーラスは裂片のやや辺縁寄りに付着する。トガクシデンダに比べて小羽片の幅が広い。


    令和1年8月 北岳で撮影。青々とした良い個体だったが、不覚にも電池切れとなり撮影不能となる。


    令和1年10月 北岳で撮影。秋になると枯れていた。


    同上。山盛りになったソーラス。


    同上。根元の近くに関節(節目)が無い。岩の隙間に生えていることが多くなかなか確認は難しい。

 新鮮な個体を再写したいと思っているが高所に生育しているためなかなか機会が無い。

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サンショウモの胞子はどこに? 甲府市積翠寺町  令和2年8月29日

2020年08月31日 | シダの仲間
 この日も朝から暑い。業務の前にちょっと自宅周辺を散策と思って9時前にカメラと三脚だけ持って自宅を出発するが、撮影しているだけで額から汗がしたたり落ちる。水を持って来るんだったと反省しながらサンショウモを探しながら近所の田んぼを覗き込みながら歩いてみる。


    数週間前はそれなりの数が浮かんでいたサンショウモだが、あっという間に姿を消すのか少ししか見当たらない。


    サンショウモ


    いちばん多くてこのくらい。


    水からすくい上げてみる。まだら模様の入った葉の表側。


    裏側を見てみる。根のように見えるのは沈水葉と呼ばれる葉らしい。


    その沈水葉の間に丸くて毛が生えた球が付いている。


    これが胞子が詰まった胞子嚢果である。


    ホシクサ。周辺の田んぼを探したが見つかったのはひとつの田んぼのみだった。時期が少し遅かったかも知れない。


    林道を歩いていると大型のシダが生えていた。


    成熟したソーラスが付いている。


    拡大。裂片の葉軸と辺縁の中間に並んで付着している。


    茶色い小さな鱗片がまばらに付着している。毛はほとんど生えていない。


    以上のことから、これは今までに何度も見てきているヒメワラビであろう。これほど大きなものは初めて見るので別物のように見えた。


    これはイヌワラビ?それともヤマイヌワラビ?


    成熟したソーラスが付着。楕円形のものや鍵型のものなど様々である。これはヤマイヌワラビであろう。

 宿題だったサンショウモの胞子嚢はこれで決着である。1時間半ほどの散策で服は汗だくになってしまった。自宅に戻って水分を十分に補給してから出勤である。

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アスヒカズラ(ヒカゲノカズラ科)

2020年08月31日 | シダ類
 山地帯から高山帯の日当たりの良い樹林下に生育する常緑性のシダである。ヒカゲノカズラに似るがこちらは茎や枝が扁平で光沢がある。山梨県では八ヶ岳や南アルプスなどに生育している。


    アスヒカズラ 令和1年6月 甲斐駒ケ岳で撮影


    同上 茎や枝が扁平で光沢がある。


    令和1年8月 八ヶ岳で撮影


    同上 扁平な茎と枝。

 胞子穂はまだ見ておらず、引き続き追いかけたいと思っている。

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キバナノアツモリソウ

2020年08月31日 | ラン科
 山地の草原や広葉樹林の林縁を好んで生育している。盗掘だけでなく、鹿の食害の二次的変化(地面の乾燥化と植生の変化)によって消滅してしまった場所もあるが、保護柵を設置することによって復活してきた場所もある。


    キバナノアツモリソウ 平成16年6月 南アルプスで撮影


    この2年後からこの場所で咲く姿は見られなくなってしまった。


    平成29年6月 御坂山系で撮影。保護対策の早かったこの山ではしっかりと咲いてくれていた。


    令和2年6月 南アルプスで撮影。保護柵設置の効果が現れて花が復活してくれた。


    同上。平成16年に撮影したのと同じ場所で撮影。


    やっと復活してくれたこの花、これからも咲き続けて欲しい。

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オシャグジデンダ(ウラボシ科)

2020年08月30日 | シダ類
 空気湿度の高い山中の大木の幹や渓谷沿いのやや湿った岩壁などを好んで生育する常緑性のシダである。葉身は卵状披針形、1 回羽状複葉で、ほとんど葉軸まで羽状に深裂する。羽片は 15 ~ 25 対。胞子嚢群は円形で、辺縁と中肋の中間に着く。冬季は乾燥から身を守るために丸まっていることが多い。山梨県では広範囲に生育しており個体数は比較的多い。

 2018年山梨県準絶滅危惧(NT) 2017年環境省なし


    木の幹に着生したオシャグジデンダの群落 令和1年8月 富士山麓で撮影


    ダケカンバの幹に着生したオシャグジデンダ 令和2年3月 山梨市で撮影


    同上 冬の乾燥した季節は葉を丸めて身を守っている。


    木の幹に着生したオシャグジデンダ 令和1年9月 黒富士・曲岳山塊で撮影


    同上 裏側に付着した円形のソーラス


    渓谷の岩壁に着生したオシャグジデンダ 令和2年8月 石空川渓谷で撮影


    渓谷を見下ろすオシャグジデンダ 令和2年8月 石空川渓谷で撮影

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ジガバチソウ

2020年08月30日 | ラン科
 広葉樹林の低山帯から山地帯の林床、岩石地などに生育する小型のランである。小さな花は小さな蜂が舞うような形をしている。御坂山系、南アルプス等に生育しているが生育地での個体数はあまり多く無い。


    林床に生えるジガバチソウ 平成26年7月 御坂山系で撮影


    同じ株を別角度から撮影。このような大株はあまり見かけなくなった。


    平成26年7月 御坂山系で撮影


    紫色の蜂が舞う花


    平成29年7月 南アルプスで撮影


    同上


    令和1年7月 御坂山系で撮影


    同上


    拡大撮影 この場所の株は遊歩道修復工事のために消滅してしまった。

 御坂山系の個体は山肌の乾燥化が進み少しずつ減少しているように見え、今後が心配である。

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オニイノデ(オシダ科)

2020年08月30日 | シダ類
 林下の沢沿いのやや日当たりの悪い場所に生育する常緑性のシダである。根茎は短く、直立から斜上し、塊状となり鱗片を着ける。葉柄は長さ40㎝に達し、茶褐色の鱗片を密に着ける。葉柄下部の鱗片は、黒褐色のものが混じる。葉身は、2 回羽状複葉、広披針形、長さ40 ~ 70㎝、オニの名の如く葉は固くて先端が尖り、触ると痛いくらいにゴワゴワしている。胞子嚢群は小羽片のやや中肋よりに着く。茶褐色の鱗片を密に付けるところも特徴的である。山梨県での生育地は極限られている。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA 類(CR) 2017年環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    オニイノデ 令和2年2月 身延町でスマホで撮影


    茶色い鱗片を密生させる。


    林道の法面に生えるオニイノデ 令和2年2月 一眼レフカメラで再写


    同上


    厚くて密生する鱗片


    オニイノデ 令和2年8月 身延町で撮影


    側面から見る鱗片


    斜面に生えるオニイノデ 令和2年8月 身延町で撮影

 ほとんどの個体が撮影しにくい場所に生えており、かつ新鮮な個体になかなか出会えず、未だ満足なカットは撮れていない。

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タカネフタバラン

2020年08月30日 | ラン科
 亜高山帯の広葉樹林、あるいは針葉樹との混合林の林床に生育する小さなランである。葉に光沢は無く軸が緑色のところがミヤマフタバランと異なる。緑色の小さな花を咲かせる目立たないランであるが地味に魅力がある。富士山や南アルプスなど広い範囲で生育しているが生育場所は限られていて個体数もあまり多くは無い。


    タカネフタバラン 平成26年8月 南アルプスで撮影


    緑色の花を咲かせて森の中に溶け込んでいる。


    生育地では群落を形成していることが多い。


    平成27年8月 南アルプスの別の場所で撮影。


    群落を形成していた。しかし、この場所の個体は減少傾向にある。


    緑色の花


    平成2年8月 富士山麓で撮影。葉が傷み始めておりやや遅かった。

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フジチドリ

2020年08月29日 | ラン科
 山地から高山帯の苔の生えた広葉樹林の幹に着生する小型のランである。生育地が限局しているうえに個体数がきわめて少ない。名の通りに山梨県では富士山での生育が確認されているがそれ以外の地域でも見つかった。


    フジチドリ 令和2年7月撮影


    同上 小さな花


    同上 別角度から撮影


    別株


    唇弁には赤紫色の斑が入っている。


    平成30年7月 同じ場所で撮影。もともとはもっと着生していたらしいが、苔とともに木の幹から脱落してしまった。

 小さなランで探しにくいうえに花の咲いていない時期に葉を見て探すのはきわめて難しい。探し出すには根気と時間が必用であろう。

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カラクサシダ(ウラボシ科)

2020年08月29日 | シダ類
 渓谷沿いの苔の生えた岩壁や山地の林下で苔が生えた湿った岩の上などに生育している冬緑性のシダである。生育場所では固まって生育し個体数は多いが限られた場所でしか生育していない。


    カラクサシダ 令和1年9月 櫛形山で撮影


    同上 苔の生えた岩壁を好んで生育している。


    葉の辺縁にはやや長い毛が生えている


    拡大


    裂片の裏側いっぱいに付着したソーラス。


    令和1年9月 南部町で撮影


    同上 見つかったのはこの岩壁のみだった。


    令和1年9月 黒富士・曲岳山塊で撮影


    苔と一緒に密生していたが、発見したのはこの岩のみだった。


    毛の生えた葉


    裂片の葉脈に沿って付着するソーラス

 シダを見始めたばかりの平成1年9月にいきなり3ヶ所でこのシダに出会った。小さなシダで探しにくいが、広範囲に分布しているのかも知れない。

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ノビネチドリ

2020年08月29日 | ラン科
 山地の草地や広葉樹の林縁を好んで生育している。花はテガタチドリに似ているが葉が長楕円形で辺縁が波打っているところが異なる。山梨県では自生地が少ないうえに個体数も少ない。


    ノビネチドリ 平成29年6月 御坂山系で撮影


    同上


    令和4年6月 御坂山系で撮影。葉の辺縁が脈打っている。


    個体数は非常に少なく盗掘の被害にも遭ったと聞く。


    唇弁は先端部が3裂する。


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アツモリソウ

2020年08月29日 | ラン科
 山地の草原を好んで生育する大型のランである。昭和30年代のランのブームの頃に盗掘が著しく、多くの自生地から盗掘が相次ぎ姿を消してしまった。また鹿の食害や二次的な植生変化によっても減少している。早くから保護柵を設置して植生の保護に取り組んできた三ツ峠の功績は素晴らしい。


    初めて出会ったアツモリソウ 平成24年6月 東部富士五湖地方の山で撮影


    しかしその翌年から花が咲かなくなり、保護柵で囲ったり周辺の草を刈ったり天然肥料を撒いたりと手入れしたが、数年後には消滅した。


    今にして思えば、花の色が薄く勢いが無い。この時に既に危険信号を発していたのであろう。私が植物保護に取り組むきっかけとなった貴重な出会いだった。


    平成28年6月 御坂山系で撮影。周辺には青々としたオオバギボウシが茂っている。


    同上。色が濃くて生き生きとした花。


    平成30年6月 御坂山系で撮影。花の色が特別美しかった個体。


    令和1年6月 大菩薩・小金沢連峰で撮影。一時は咲かなくなってしまったが復活してくれた花。


    同上

 山梨県では現在保護対策が行われている場所以外で観察するのは難しい花である。

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コハクラン

2020年08月29日 | ラン科
 亜高山帯の針葉樹林帯に苔とともに共生しているが、稀に草地の中に生育していることもある。10~20㎝程度の小さな個体が多いが時として40㎝くらいの大きなものを見かけることもある。山梨県では八ヶ岳と富士山に生育しているが富士山の個体は最近確認されていない。個体数はきわめて少ない。


    コハクラン 平成30年7月 八ヶ岳で撮影


    同上 これは大きな個体


    琥珀色の花


    平成29年7月 八ヶ岳で撮影。 草地の中に生えていた個体。


    唇弁には紅色の斑が入る。


    令和1年7月 八ヶ岳で撮影


    同上


    琥珀色の花


    マクロ接写

 保護色をしているので探すのが難しいランである。個体数が少なく今後が心配である。

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クリハラン(ウラボシ科)

2020年08月29日 | シダ類
 常緑樹や広葉樹の林下で良く湿った岩場や渓谷の脇を好んで生育する常緑性のシダである。葉身は単葉、広披針形、長さ15 ~ 40㎝、幅 4 ~ 7㎝、普通は中央がもっとも幅が広く、ほぼ全縁で紙質。胞子嚢群は中肋の両側に 1 ~ 4 列にやや不規則に並ぶ。葉の形が栗の葉に似ていることからこの名がある。山梨県では県南部に生育し、分布限界種である。生育地での個体数は比較的多いが生育地自体が減少している。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA 類(CR) 2017年環境省なし


    クリハラン 令和2年2月 身延町でスマホ撮影。


    中軸寄りに円形のソーラスをやや不規則に付ける。


    令和2年2月 一眼レフカメラで再写に行く。


    同上


    沢沿いの用水路脇に生えるクリハラン 令和2年6月南部町で撮影


    同上


    この場所の個体数は多かったが生育場所は限られていた。

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