観測にまつわる問題

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憲法9条新案

2017-10-18 07:27:02 | 政策関連メモ
憲法9条について新案を出してみます。これは新解説世界憲法集(三省堂)という本をパラパラっと見ている内に思いつきました。

これまで筆者はアジアの平和をシッカリ守っていくということに力点を置いてきましたが(中東の前線で戦うことを当面は否定)、この新案は違う立場で書いています。別にこれまでの立場を否定するということではなく、ひとつの案・思考実験です。

フランスの憲法では(立憲)平和主義として1791年から「フランス国民は、征服の目的でいかなる戦争を企てることも放棄し、いかなる人民の自由に対してもその武力を決して行使しない」(第6篇第1条)とあるようです。征服戦争放棄条項を制定し、軍隊を持つことを禁じないことが、国民に対して論理的に分かり易く、先の大戦を反省し暴走を防ぐひとつのアイディアかなと思いました。

これを言うと何時でも自衛戦争トシテーとか言ってくる人が出てくるんでしょうが、それは時の政権が自衛戦争じゃないと参加できないと言い張ればいいだけです。実際に日本は9条を理由に中東での戦争の参加を拒否してきました。フランスもアメリカから攻撃したイラク戦争には反対しています。古い憲法を意地でも変えずに運用しているから、解釈に頼らざるを得ないのであって、目的を持って明快に規定しそれを守ると意識したら、そうそう無理な解釈はできるものではありません。9条を守ったところで解釈でどうとでもなるのは自衛隊創設の時から明らかです。寧ろ憲法を変える姿勢を持つことがなし崩しの運用を防いでいく訳です(勿論自衛隊の創設も安保法制も否定するつもりは全くありませんので誤解なきよう。他所の国が軍隊を持って日本を攻撃する意図を隠していないのに、自分達は丸腰でいようなんて議論を認めることはありません)。

この案は明快ですが、大きな問題点が2点あります。第一にアフガン戦争には参加しなければならないことです(これがあるから今までこの手の案は出してこなかったんです)。アフガン戦争は明快に自衛戦争ですから、世界中が賛成しました。フランスも例外ではありません。日本も同様の憲法規定を持つことになれば、当然参加することになるでしょう。アメリカが日本の防衛義務を持つのと同様、日本もアメリカを守らなくてはありません。ただし、アメリカは現在でもアフガンに残って戦っていますが、フランスは現在では撤兵しています。テロに対して戦争で答えるのか?という疑問もあるかもしれません。でも飛行機が突っ込んできて、ペンタゴンもやられていますからね。ほぼ戦争を仕掛けられたと言っていいでしょう。少なくとも治安維持機関(FBI)が対処して済む問題ではないですね。

もうひとつ大きな問題は北朝鮮問題に関連して、アメリカが北朝鮮の核武装を防ぐため(その先にある破局を防ぐため)戦争を決断しても自動的に参加することにはならないということです。理由はどうあれアメリカが先に手を出しているからです。結局はアメリカが北朝鮮を攻撃したら、日本が攻撃されて自衛戦争で参加することになるんでしょうが、これは完全に巻き込まれ型です。アメリカは世界平和を守るための戦争を決断する可能性がある国でそのための戦力もある国ですから、これはメリット・デメリットで容認するしかないでしょう。ただし、中東あたりで(イラク戦争の類で)アメリカが先に手を出したケースで反撃されて自衛だと言い出すケースは想定しなければならないかもしれません。これは自衛を自国ないし同盟国が先に攻撃されたケースと定義しておけば事足ります。幾らアメリカが先に手を出したからと言って自国が攻撃されているのに戦争しない訳にもいかないですからね。アジアでアメリカが先に手を出したケースで日本が攻撃されないパターンの時は、戦争に参加しません。朝鮮戦争は北朝鮮の先制攻撃ですが、韓国は日本の同盟国ではありませんので、勿論このケースでは日本は戦争に参加しません。

今考えてみると、アメリカの北朝鮮攻撃に否定的な姿勢を見せたのは自国の憲法との関連だったのかもしれませんね。筆者はアメリカの北朝鮮攻撃の権利を認める立場ですが(何故かはこれまで十分書いてきました)、フランスはフランス、アメリカはアメリカですから、フランスの憲法はアメリカに反対する理由にはなりません。フランスが参加しなければいいだけです。イラク戦争の時、新しい安保理決議がないことを持ってフランスなどが反対しましたが、日本は特に反対していません。先制攻撃に参加しないでも、アメリカを支持はできます。自衛隊の後方支援は災害派遣みたいなものだと解すればいいのではないでしょうか?スーダンがそうでしたが、危なくなったら撤兵するしかありません。何かあったら政権吹き飛びますからね。世論が支持してくれるなら、別に後方支援に限る必要もないんですが。

是非はさておきこうした実質的な議論を何時までたっても始めない日本という国は本当に問題だと思います。こうした記事がそれを打破する一石になるといいですね。

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