観測にまつわる問題

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2018-2030 日本のリスクと戦略(鈴木馨祐議員の講義)その2 中国の躍進と日本の停滞を意識する

2018-02-03 09:32:04 | 政策関連メモ
まず、下のグラフを見てください。投資と猫というサイトから拝借しました。多分IMFのデータを使っていると思いますが、出典は明記されていません。同様のグラフは他にもありますが、割合新しい時期までフォローしていて見易いので、何となく採用しました。手元の鈴木議員配布の資料の「主要国の名目GDP(国内総生産)の推移」のグラフも同様ですが、インドが無くて、英仏独伊のデータが入っています。英仏独伊は緩やかに伸びている感じで、(スタートは高いものの)インドに近い印象です。今回の記事では鈴木議員配布の資料にあったグラフから日本の採るべき経済戦略について考察していきます。



どうです?北朝鮮は勿論安全保障上の脅威ですが、国際社会が一致して制裁している状況ですし、最貧国に近い国ですので、如何に伸びを欠いているとはいえ、日本が経済的にライバルとして(泥棒としてなら別ですが)、警戒しなければならない状況にはありません。安全保障政策を支えるには当然経済が重要になってきます。今も昔も軍事を考える上で経済は決定的に重要です。明治維新の時の薩摩は琉球貿易で富を貯えていましたし、戦国時代終結の道筋をつけた織田信長も津島(道標 津島湊 津島市)や熱田(熱田区歴史資料展示コーナー 名古屋市熱田区)を基盤として、経済重視の姿勢だったことが、その成功の重要な要因でした。薩摩はイギリスから最新兵器を購入していましたし、織田信長は鉄砲生産地として著名な国友や堺を押さえていました。先の大戦でも日本がアメリカの圧倒的な物量に完敗したのは明らかでしょう。ですから、経済が上手くいかないと安全保障も上手くはいかない訳です。

中国はチベットを見てもウイグルを見てもモンゴルを見ても圧倒的な人口と暴力をもってエスニッククレンジングを進める危険な国家です。中国の支配下に入ってから、民主国家と人権の有り難味が分かるようなことではいけません。中国(共産党)は明らかに反日ですし、太平洋をアメリカと2分割しようという意志も明らかだと思います。つまり中国経済が躍進して日本経済が停滞している状況そのものが明確に危険である訳です。この状況を変えていくことが大切です。

ひとつにはやはり日米同盟重視です。アメリカは今でも世界一の経済大国で伸びていますし、世界一の軍事大国でもあります。ただ、アメリカは世界展開していますし、太平洋を挟んだ米大陸の国です。アジアを台頭する中国から守るためには、アメリカが関与すると共に、やる気のある国が伸びることが必要になってくると思います。

ところでGDPですが、実質GDPを重視するべきという議論もあってなるほどと思う部分もあって筆者も書いたことはあると思いますが、今では名目GDPこそ重視すべきでないかと思うようになっています。実質GDPだと日本はバブル以降もまずまず伸びていることになって「大丈夫ではないだろうか?」と思ってしまうでしょうが、そうではないと思います。実質GDPは物価が下がっても(デフレ状況下で)伸びてしまうので、物価下落・デフレ容認に繋がってしまう訳です。でもマイナス金利は現状技術的に導入できませんから(タンス預金で回避できます)、デフレ基調だと貯蓄が有利になって貯蓄が進みます。それは実際にバブル以降伸びを欠いた日本で起こったことです。全体的に企業も個人もお金を貯めこんでいるのは明らかですよね。しかし誰かがお金を使わなければ、収入も無くなる訳で経済は活性化しません。お金がないなら仕方ありませんが、日本はお金がある訳で、それを上手く消費に向けることで、経済は活性化します。消費拡大に誘導するための必要条件が緩やかなインフレです。デフレでタンス預金が明らかな有利な状況で消費拡大を叫んだところで、全く意味はありません。緩やかなインフレに導くためには実質GDPという事実上のデフレ容認指標をあえて使わない姿勢が必要になってくると思います。少なくとも今現状の日本の状況下では悪い影響が大きい指標でしょう。実質GDPというのは実質不活発経済容認で、新興の大国に狙われている状況では危険でさえあると思います。これは数字のマジックではなくリアルな話です。緩やかなインフレの方が経済が活性化することは明らかですから、緩やかなインフレ状態で名目GDPを伸ばす方向性が実現すれば、中国との勢いの差は埋められていくと考えられます。実質GDPに如何に着目したところで、名目GDPの勢いの差が埋まる訳では全くありません。緩やかなインフレ=健康で、デフレ=不健康だと見ていいと思います。不健康では戦えるものも戦えませんね。国家財政が上手くいっていないのもこれまでのやり方が上手くいってないからだと思います。税収が上がらないと国家財政は回らない訳ですから、緩やかなインフレにすることが国家財政の建て直しに寄与すると考えられます。少なくともこれまでは上手くいかなかったことは明らかです。これまで需要を支えるために国債を乱発してきましたが、古今東西国が国債を刷りまくって上手くいった国はないと思います。官が税収を生む訳ではなく、民を伸ばしていかなければなりません。かといって緊縮財政をすれば、勿論デフレに直結します。ここは安倍政権のこれまでの過ちの是正に期待するべきだと考えます。


(世界経済のネタ帳)

1995年ぐらいから消費者物価指数は横ばいですが、これは名目GDPが伸びなくなった時期に一致します。逆に言えば物価が緩やかに上がっていけば、名目GDPの伸びの停滞は解消されると考えられます。

問題は物価を上げるための手法です。最近の日本は財政政策で需要を支える方向性でしたし、安倍政権で大規模な金融緩和も行いましたが、思うようには物価は上がっていません。高橋洋一氏が最近しきりにNAIRUを言っていますが、どうも更に有効需要を増やして失業率の下限に達すれば、企業の給与上げが始まって、自然にインフレになるということのようです。氏によれば、あと少しなんだそうです。その辺の検証は専門家がキチっと計算するしかありませんから、専門家の方々が論争すればいいと思いますが、自然にインフレになるのであれば、もう少しの財政政策は非常に有効なものとして容認されると思います。まぁこれまで非正規を増やしてきましたし、何だかんだで労働力の供給も増やす努力はしてきたと思いますから、ブレーキがかかっている状態ではあったろうと思います。上流企業の求人は常に応募が多いと考えられますが、失業率の下限に達すると、募集をかけても人が来ない(いない)訳ですから、給料を上げる企業が出てくると考えられます。一部でも給料を上げる企業が出てくれば、結局差をつけるために応募が足りている有力企業も賃金を上げざるを得なくなります。給与が増えれば税収も上がりますし、消費も増え景気が良くなってくると考えられます。今にして思えば、あまり労働力の供給を増やし過ぎず、賃金を抑制しない方向性で、国が有効需要を増やす政策を採れば意外に物価は上がったのかもしれませんが、後の祭りという奴です。まぁ現に人手不足の業界で給与を上げても人が来ない業界があるのですから(キツい業界はどうしても人が集まり難い)、需要を増やせば全て何とかなる式の議論に問題もあるとは思いますが、基本的な理解としてはそういうことでいいのかもしれません。後、有効需要を増やすにしても、少子高齢化に対応するとか構造的な問題も視野に入れて賢い使い方をしていくべきでしょう。もう一つ、政府が財政政策で需要を創るイメージは良くないと思います。何故なら財政政策を止めたら元の木阿弥になる印象があるからです(使わない道路が一時的なカンフル剤の典型的イメージです)。民の活力を高め自然に税収を増やす形の有効需要創出策が望まれると思います。具体的にどういう使い方が良いのかどう消費を喚起し自然に税収を増やすのかということに関しては、また後日考察していきます。

最後にひとり頭のGDPを問題にすべきかですが、確かにひとり頭のGDPの方が個々人の生活の観点から有用であるようにも思えます。が、筆者はこれも現状それほど重視すべきでないと考えます。一人一人が仮に豊かになっても(それ自体結構なことですが)、竹やりもって他所の国の兵士と戦う訳にはいきませんよね。ですから、第一に国家財政を考えることが重要で一人頭で割らずにGDPを考えるべきなんだろうと思います。その上で一人一人が豊かになることを考えるべきでしょう。国が無くなれば、全ての前提条件が覆ります。個々人の生活も何も無くなってくる訳ですね。日本が嫌いな国の支配下に入れば必ずやそうなります。


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