観測にまつわる問題

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イージス・アショアにまつわる幾つかの議論

2017-08-19 10:10:28 | 政策関連メモ
軍事研究9月号で文谷数重氏がイージス・アショアについて肯定的に論じています。文谷氏に関しては以前北極海航路に関する否定的な記事で取り上げましたが、安倍政権は北極海航路に肯定的でロシアに理解を示す態度をとっています。どちらがどうとも言いませんが、個別の政策に関して率直な議論ができることを筆者は望みます。それはさておき幾つかの論点を検討します。

①イージス・アショアは既存の技術(イージス艦を日本は保有している)の転用であり価格も安い。防衛範囲も広くこの意味でもコスト面で優位に立つ。

注意すべきは日本がイージス・アショアに肯定的になることで、韓国がTHAADに否定的になることではないかと思います。これに関しては韓国が賢くなるしかありません。まず韓国は日本と違って一箇所に纏まった狭い国ですから、防衛範囲の問題からはTHAADで問題ないと考えられます。また、ミサイル防衛で飽和攻撃を防ぐのは至難ですが、極論に走る必要はなく、米軍がある程度守られるだけでも北朝鮮に対する強い抑止力になります。逆に言えば、先制攻撃で米軍を潰せると北朝鮮が認識した時に戦争が始まると考えられるでしょう。勿論、今は米本土に北朝鮮のミサイルは届きませんがから北朝鮮の大規模先制攻撃の可能性は低いですが、中露の支援が万一あればわりと短期間に情勢が覆る可能性もあります。アメリカは自国民保護を重んじる国でもあります。特に国防省は同盟国防衛の意志を強調しているとも思います。韓国は安全保障はアメリカと言いますが(経済は中国などと平気で蝙蝠しますがそれはともかく)、THAADで中国の顔色を伺いますから、言行が全く一致しません。怪しまれてしょうがないと自覚するべきでしょう。韓国は韓国の状況において防衛装備を検討すべきであって(在韓米軍に配置する訳ですが)、THAADをアメリカが言うのはTHAADにメリットが多いからだと考えられます。基本的には尊重すべきでしょう(しつこいようですが、在韓米軍に配置します)。アメリカはレーダーを中国方面を探知できないところに設置したようです(THAAD:在韓米軍レーダー、中国の動きを探知できない場所に配備 朝鮮日報online 2017/08/19 08:40)。ムンとかいう人は米韓中のTHAADに関する会談を提案したようですが(そして中国に蹴られたようですが)、韓国の一連のバランサー外交は結果的に何も生んでいないことを自覚するべきでしょう。中国は韓国制裁を止めませんし、THAADにも理解を示していません。少なくとも今のところはね。アメリカは北朝鮮のミサイルを探知するのに相応しいところに設置したと言いますが、結果的に中国探知の副産物はひとまず捨てています(中国による北朝鮮制裁を引き出すカードに使ったかは不明です)(また、中国が理解しないのは、THAAD設置を認めてしまうと2基目3基目で探知されてしまうないし、設置場所の移動で探知されてしまうことを警戒しているとも考えられます)。韓国は何も得られていません。失ったのは米国からの信頼です。米軍は同盟国を防衛しているのであって、侵略の尖兵ではありません。韓国の主敵は北朝鮮なのであって(そもそも戦争中です)、北朝鮮を支援しているのは実質中国(+ロシア)です。日本に対してイチャモンをつけている場合ではありません。有事には日本の基地から米軍が韓国を援護に行くのですから。

②イージス艦を北朝鮮正面から解放できる。

これはなるほどと思う観点ですね。海自はイージス艦の平時運用に負担を感じているようです(一隻貼り付けると交代のため三隻拘束される)。機動できるのが船のメリットで貼り付けるのなら地上型の方が全然いいですからね・・・。理に適った見方でしょう。

③北朝鮮との関係改善に役立てる。

北朝鮮は日本にとって従敵に過ぎないから、刺激しないでいいという意見のようですが、筆者は疑問がありますね。確かに北朝鮮は日本を刺激することを避けているフシもあるようですが、それも日本が再武装するのを警戒してのことです。中国の軍事拡張に対応するなら、日本の再武装は規定路線ですからね。北朝鮮の望むようには結局できないと思います。装備を完全に北朝鮮用・中国用・ロシア用に分けることは難しいでしょう。大体北朝鮮の言い分を信じる訳にもいきますまい。いざとなれば何とでも言うしやるはずです。日本が人質にとられたら北朝鮮の言い分を吞むしか無くなるんですね。筆者は攻撃するならおまえは死ぬという抑止力という力による平和を信じます(警察にも問題はあるかもしれませんが、警察が無くなったらヤクザが超元気になるのは誰でも分かるでしょう?)。軍拡する国が無ければ別にガンガン旗をふることもありませんが、軍拡しているカスどもが近所にいる以上、日本が降りるという選択肢は考えるべきではないという意見です。日米同盟が基調で全て自前は現実的ではありませんが(欧州もNATOがあります)、やれることを着実にやっていくべきでしょうね。

イージスアショアの導入は小野寺防衛相も検討するようですが、筆者は非常に好印象ですね。話が纏まるといいなと思います。しかし誰が言い出したんですかね・・・。自民党主導説もあるようですが、良く分かりません。知恵者っているんですね。

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