観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」を考察する予定。

日本の安全保障の議論

2017-09-08 01:58:47 | 政策関連メモ
日本の安全保障の議論を行います。

<社説>石破氏核配備発言 国是と不拡散に反する(琉球新報 2017年9月7日 06:01)

>米軍核兵器の日本国内への配備は言語道断である。
>自民党の石破茂元幹事長は6日のテレビ朝日番組で、北朝鮮による核実験強行を踏まえ、日米同盟の抑止力向上のため、日本国内への核兵器配備の是非を議論すべきだとの考えを示した。
>72年前、広島と長崎に落とされた2発の原子爆弾で21万人以上もの命が奪われた。
>唯一の被爆国である日本は非核三原則を堅持し、核不拡散を主張してきたはずだ。石破氏の発言は国是と、不拡散の約束を破ることになる。あまりにも冷静さを欠いている。石破氏は直ちに発言を撤回し、国民に釈明すべきだ。
>石破氏は「核の傘」と通常戦力を含めた総合的な抑止力で同盟国を守る「拡大抑止」の仕組みに言及し「持ち込ませないことと拡大抑止力の維持は本当に矛盾しないのか。そういう状況に日本はあるのではないか」と指摘した。
>隣の韓国では1991年に在韓米軍から撤去された戦術核兵器の再配備を求めるべきだとの議論が再燃している。再配備論に対し米国の元国務省高官は「韓国内に核基地を造れば北朝鮮の先制攻撃の標的になるし、反米感情を再燃させ得る」「韓国原発への海外からの燃料供給も止まり、国際的地位は傷つく」と指摘している。「日本にも同じことが言える」と主張する。つまり現実的ではないのだ。

石破氏の発言についてはこちら(米軍核の国内配備議論を 石破茂氏、北朝鮮核実験(産経ニュース 2017.9.6 14:34))。北朝鮮の核が米本土に届くようになった時の抑止力について議論はあってもいいように思います。韓国の例で言えば、延平島砲撃事件や天安撃沈事件がありましたから、戦術核があれば抑止できるのではないかという議論ですね。戦術核が配備されていた欧州ではこのような軍事挑発は無かったのではないでしょうか?ソ連が北朝鮮より無軌道でなかったということかもしれませんが。ただもし無軌道な北朝鮮が挑発行為に及べば韓国大統領は核を発射する誘惑にかられることになります。北朝鮮がもし米本土に達する核ミサイルを持っていたらアメリカに核が飛んでくる可能性があるんですね。ひとつにはアメリカはそれを警戒しているのではないかと思います。もうひとつは核拡散に対する懸念でしょう。でもこの発言の問題の本質は別のところにあるようです。日本に寄港する潜水艦に戦術核は搭載されていないようですし、戦略原潜は射程から日本近海に来ていないようなんですよね。ですからアメリカの核の持ち込み自体がもはやないんじゃなかろうかと(ソースは軍事情報サイトとしてネットでは著名な週刊オブイエクト。真偽のほどは筆者の知るところではありませんが、自衛隊や安倍政権が言い出さないこと、石破氏のこれまでの言動、オブイエクトが基本的なスタンスを「「デマゴーグを撲滅するために正確な情報を伝える」」としつつ日本で有数のアクセス数を稼いでいることから考えてこちらの情報が正しいのだと筆者は認定します。昔見ていましたが専門的な話が?で見なくなったサイトです)。軍事オタクで名高い石破氏ですから、何か情報を持っているのかもしれませんが、今一つ何がいいたいのか分からない議論です。一見正論に見えるところが厄介ですが。まぁあまり北朝鮮の核放棄を迫っている時に核武装の話をするというのも印象が悪いところがあります。ありますが、北朝鮮が核を配備した時どうなるかどうすべきかの議論をしない訳にもいきません。

琉球新報なりに考えたのかもしれませんが、安全保障に関する知識不足かちょっとピント外れの議論になっているように見えます。日本のエリートが安全保障学を学ばない弊害が確かにあると筆者は思います。沖縄紙で言えば、八重山日報の方が正論だと思います(「戦争抑止に軍拡合理的」 陸自配備集会で村井氏(07日 9月 2017)> 石垣島自衛隊配備推進協議会(三木巌会長)の集会が6日夜、市健康福祉センターで開かれ、東京国際大国際戦略研究所の村井友秀教授が「東アジアの平和の理論」と題して講演。尖閣諸島など、八重山への脅威となっている中国の軍事力について「中国は損得勘定で動く合理的な国。軍事力を使うコストが小さい時に戦争を選択する。日本が軍拡することは、平和を守るために合理的な方法だ」と強調した。>中国は内政安定のため、日本をスケープゴートにして「一定の緊張関係を維持しようとしている」と分析。歴史を例に、中国が言う「外交による解決」には小規模な戦争も含まれると指摘した。・・・検索するとこの発言をした村井友秀氏は防衛大学校教授とも出ますね。専門家でしょう。

非核三原則に関する国会決議(外務省)

>政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込まさずとの非核三原則が国是として確立されていることにかんがみ、いかなる場合においても、これを忠実に履行すること。

憲法が不磨の大典でないように、国会決議も神聖不可侵じゃないですから。タブーはゼロにはならないでしょうが、思考停止は良くないですね。少なくとも専門家やオピニオンリーダーの類は思考停止するタイプの方々がやるべきではありません。それは正論で石破氏は正論を言ったように見えますが、安全保障政策上の観点から発言の意図が疑われるということです。持ち込んでないのに持込を許可しようって意味が分からないですからね(筆者の判断が間違っておりアメリカが持ち込んでいるならごめんなさいね)。日本を混乱させたいのかな~って。石破氏ってこんな感じですね。愛想がつきたような気がします。

日本「核武装」議論を忌避するな まずは通常戦力による敵基地攻撃力の整備に乗り出してもらいたい 福井県立大学教授・島田洋一(産経ニュース 2017年9月7日 06:01)

>「日本核武装を対中カードに」という声が再び米国で聞かれ出した。中国が最も危惧するのは、北朝鮮の動きに対抗して日本が核ミサイル開発に乗り出す事態である。従って、中国を対北制裁に本気で取り組ませるためには、俗に言えば「中国の尻に火を付ける」には、日本の核武装を容認、それどころか積極的に促す必要があるという議論である。

>北の核が文字通り日本の生存を脅かすに至った現在、改めて問題を整理してみよう。日本は拒否的抑止力(ミサイル防衛など)は持つが、「核の傘」を含む懲罰的抑止力は全面的に米国に依存するという政策を取ってきた。ところで北朝鮮の場合、特に明確だが、懲罰の対象は一般民衆ではなく独裁者周辺である。指令系統中枢を確実に無力化する一方、一般民衆の被害を極力抑えられる攻撃態様があれば理想といえる。

>日本側が米側に要請するとすれば、CTBT批准ではなく、敵の地下司令部を破壊する能力の共同開発、データ共有ではないのか。

>なお、1998年に核実験を行った直後、パキスタンのシャリフ首相が朝日新聞のインタビューにこう答えている。「日本がもし核兵器を持ち、核を使う能力があったら、広島、長崎に原爆は落とされなかっただろう」。この意識は潜在的には多くの日本国民の中にもあろう。だからこそ「強い反核感情」が言われる中で、米国の核の傘に頼る政策が支持されてきたわけである。

>2008年9月、国際原子力機関(IAEA)理事会において、NPTが「核兵器国」と規定する米露英仏中に加え、インドを例外的に核保有国として認める決定がなされた。米ブッシュ政権が主導し、日本も賛成票を投じている。中国はパキスタンも例外扱いすべきだと主張したが、北朝鮮などへの核拡散の「前科」を問われ却下された。ここにおいて、「信頼できる(responsible)国」の核保有には制裁を科さないという国際的な流れができたといえる。

>とはいえ、いま首相が核武装を口にすれば、日本の政界は大混乱に陥ろう。安倍晋三政権には、まずは通常戦力による策源地(敵基地)攻撃力の整備に着実に乗り出してもらいたい。その実現のためにも、核武装論議ですら何らタブーではないという言論空間が生み出される必要があるだろう。(福井県立大学教授・島田洋一 しまだよういち)

必要なのはこういう議論だと思います。安倍首相とか言い出せば問題になりますから外堀を埋めていく作業が必要になりますね。韓国の核武装議論任せじゃ封じ込められて終わりかもしれませんし。韓国が斬首部隊創設の話(金正恩氏らを暗殺する「斬首部隊」、韓国が12月に創設HUFFPOST 2017年09月05日)も中枢部破壊能力が全面戦争の危険性を下げながら効率的に抑止をはかる安全保障の考え方による知恵から来るものだと思います。日本も軍事合理性にたった議論が進まないと不味いですね。専門家だけ分かっていても民主主義国ですから、国民の空気でストップがかけられますから、どうしようもありません。その意味では非核三原則撤廃は象徴的意味があると言えなくもありません。米国が叩くという話も米国にしてみりゃそのままの方がいいんでしょうが、日本が正論をもって要請すれば一々叩くものではないと思います。核武装議論、日本では“禁句”…世論の猛反発不可避、是非すら論じられず(産経ニュース 2017.9.3 04:00)>日本の核武装論が活発な米国とは対照的に、日本では政府・与党ともに核兵器の保有を議論する動きはみられない。北朝鮮の核・ミサイル開発への対応として話題になるのは、ミサイル防衛(MD)強化や敵基地攻撃能力の保有にとどまっている。・・・アメリカは専門家たちや関係者たちが日本の核武装について熱心に議論しているみたいですね。これは本来逆じゃないといけないはずですね。まぁ抑止を提供している以上巻き込まれる可能性があるし、核拡散が進むと不味いからやっているんでしょうが、日本はそろそろ戦後レジームの平和主義でこういう話をしないという流れを止める必要があると思います。

米国と協力しながらになるかもしれませんが、筆者は敵基地攻撃力整備の議論は賛成です。敵基地攻撃能力にもいろいろあるでしょうが。ただ核を搭載せねば大した効果もなく費用対効果を考えると米国の核頼みになるんだろうと思います。それでも日本に何ができるかは考えた方がいいでしょうね。この場合でも日本のトップがイケイケドンドンになってしまうと米国が巻き込まれると懸念を持ってしまうでしょう。ですから米国はイケイケドンドンがトップにならないよう介入しているんじゃなかろうかとは思います。自民党はイケイケドンドンの政治家はあまりいないんじゃなかろうかと思います(印象です)が、野党にはいろいろな人もいますしね。危ないっちゃ危ないかもしれません。小選挙区制ですし自民党も負ける可能性はありますからね。敵基地攻撃能力の整備の議論をすること自体は正論と思いますけど。選ばれる政治家の質の問題があるかもしれませんね。日本は安全保障学をまずやりませんから、強硬な世論に押し切られる可能性がないとも言えません。まぁでも小池あたりは敵基地攻撃能力をやると言いだす可能性はあるかもしれませんね。次期自民党総裁最有力とされる岸田さんは憲法9条改正反対ですから、小池が左旋回しないんなら自民党より小池党の方が筆者に近くなる可能性もあるんですよね。その時は筆者も支持を変える可能性がないとも言えませんね。自民・岸田氏「非核三原則維持し議論を」石破氏に否定的(朝日 2017年9月7日20時21分)・・・9条改憲の話もそうなんですが、やはり筆者は左ではないですね。別に岸田氏が自民党次期総裁になってもいいんですが、他にちゃんと安全保障の議論ができる政党があればそっちに行ってしまうような気がします。ミンチンやハシゲじゃどうしようもないですが、改憲を連発している小池ならやりそうですからね・・・。小池も選挙前にブチあげすぎると戦後レジームに嫌われて選挙に勝てないかもしれませんし、安倍政権は信頼していますからただちにどうこうはないですが、小池VS岸田の構図なら今までと違った行動に出る可能性はありますね。