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【伊政権、反EU政党への対抗上、ベイルインできず?】イタリア、世界的金融危機の発火点となるか③

2016-09-19 00:00:19 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回綴ったように、深刻な資本不足状態にあるイタリアの大手銀行モンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)に対しては、「ベイルイン」(bail-in:銀行の内部者に損失を負担させる方法)も「ベイルアウト」(bail-out:銀行の外部者に損失を負担させる方法)も、いずれも適用が難しく、このままでは近日中に同行の資金繰りは行き詰まってしまいそうですが・・・

 ・・・本来、銀行が破綻に瀕した場合は株主、債権者、預金者の順番に損失を被らせるのが筋です。にもかかわらずイタリアでこれができないのは、前述のように債権者らに負担を求めることが困難という政治的な事情があるため。イタリアでは個人投資家が2千数百億ユーロもの大量の銀行債を保有しており、政治家としては―――現レンツィ政権としては、彼ら有権者に損をさせたくはない(債権の放棄を求めにくい)ところです。かりにこれを強行したら政権・与党は猛反発を食らい、かわって反EU・反移民を旗印に掲げる野党「五つ星運動」の伸長を許してしまうかもしれません・・・

 で、その五つ星運動ですが、欧州ソブリン危機以降の景気低迷や緊縮財政といった現状に対するイタリア国民の強い不満感をエネルギーに(?)、近ごろはますます支持層を拡大している感じです。実際、6月にはローマとトリノの市長選で勝利したほか、同月の「Brexit」(英国のEU離脱)決定で反EU感情を刺激されたさらに多くの人々が五つ星運動の支持に回りそうな気配です(?)。

 ・・・となるとレンツィ政権としては、同党に対抗するためにも有権者にいい顔をしようとする、すなわちモンテ・パスキ対処においては銀行債保有者に負担をかけないようにすることになります(?)。これが上述ベイルインの非実行であり、今後の同政権はおそらく前記の欧州安定メカニズムESM)のおカネを無心するのではないか、債権者や預金者に損失負担を求めることをせずに・・・(?)

 でもこれはEU共通のルールに反してしまいます。EU圏は銀行救済に当たって安易な血税投入を避けるため、株主や債権者らに所定のベイルインを求めています(負債の8%分)。これに従わない限り、イタリアはモンテ・パスキに財政資金を投入できないし、その穴を埋めるためのESMの融資を受けることもできない、というかドイツがこれらを絶対に認めはしないでしょう。かといって、繰り返しになりますが、7月に発表された50億ユーロ資本増強&92億ユーロの不良債権証券化というプランはあまりに非現実的・・・

 このように予想していくと、イタリアにいまできることは・・・やはりEUルールを順守したうえでのベイルインしかないように思えます。まあこれは政治的信条の違いにかかわらず、そのときの政権が決断・実行する以外にないわけですが、これって明らかに不人気な政策だから、国民からすると現政権・与党には反感を、野党には共感を覚えることになりがち。ということでレンツィ政権はこの先、厳しい政局運営を迫られそうです・・・

続く

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