なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎と骨折

2016年02月27日 | Weblog

 金曜日に近くの病院の院長先生から電話が来た。当院に糖尿病で通院している77歳男性が昨夜頭部打撲で入院したが、血糖が高いので、通院している当院で診てほしいということだった。何故そちらの病院を受診したのか、経緯がわからなかったが、当然引き受けて来てもらった。自前の救急車で搬送されたが、入院の入力をした内科病棟ではなく、救急室の看護師さんから連絡がきた。酸素飽和度が著しく低いので、救急搬入口から直接救急室に入れたという。

 心不全をきたす方ではないので、肺炎でもあるのかと思いながら救急室に行った。体温39℃と高熱だった。数日間から調子が悪く、昨日は自室で倒れているところをケアハウスの職員が見つけて受診させたそうだ。リザーバー付きマスクで10L/分の酸素投与で飽和度が94%だった。胸部聴診上は明らかな異常音は聴取できない。浮腫はなく、肺炎でなければ肺血栓塞栓症かもしれないと思った。下肢深部静脈血栓症はなさそうだが。

 胸部X線で両側中~下肺野に粒状影が見える。胸部CTで確認すると、まさしく粒状影が散布していた。間質性陰影も考えたが違うようだ。心不全ではない。血糖は386mg/dlで、pH7.5で頻呼吸による呼吸性アルカローシスだった。白血球数は2500とむしろ低下(上昇後の低下だろう)・CRPは25と検査上も重症を示唆する結果だった。インフルエンザ迅速試験は紹介先の病院で陰性で、インフルエンザ肺炎も考えられたので当院でも再検したが、やっぱり陰性だった。

 骨折はないという話だったが、頭部CTで骨条件で確認すると、右前頭骨陥没骨折で眼窩骨折もある。この方はケアハウスに入所していて、軽度の認知症がある。インスリン強化療法になっているが、いつまでできるかと心配しながら継続している状態だった。BOTではとても血糖コントロールできない。

 要するに、肺炎で高熱が出て、食欲も低下して歩行もふらついて倒れた。頭部を打撲して、骨折をきたした。という経過だった(らしい)。病棟に上がると、すぐに酸素マスクを外してしまう。酸素飽和度が上がってきたので、酸素量を減らして、鼻カヌラにした。これまでは糖尿病の教育入院だけだったので、病棟内を自由に歩ける入院だった。ベット上安静の入院は初めてになる。はたして大人しく治療を受けてくれるだろうか。この方は独身で、入院する時は妹さんが来てくれるが、都合もあり大抵すぐには来れない(こちらもわざわざすみませんという対応になる)。

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