なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

NOMI?

2015年12月03日 | Weblog

 先週の火曜日に誤嚥性肺炎が治癒した後、施設入所待ちだった80歳男性が腹痛を訴えた。腹部は平坦・柔で圧痛もはっきりしなかった。翌日には臍周囲痛を訴え、はっきりと圧痛があった。腹部造影CTを行うと、小腸の壁肥厚・拡張・消化液貯留を認めた。麻痺性イレウスの所見だった。心房細動があり、抗凝固薬(イグザレルト)を内服していたが、上腸間膜動脈血栓塞栓症などはなかった。腸管壁は造影されていたが、一部造影が弱いかもしれないという放射線科で読影された。穿孔性腹膜炎ではなかった。外科手術には踏み切れず、保存的に経過をみた。

 下血はなかった。炎症反応などが一時悪化したが、その後軽減した。腹痛の訴えも当初ほどでなくなっていた(ように思われたが、希望的な判断か))。バイタルは変わりなく、このまま時間をかけると軽快してくるかと思われた。思われたが、5日目に急激に血圧が低下して、そのまま亡くなった。別の疾患が併発した可能性もあるが、やはり腸管の問題だったのだろう。non-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)の可能性があり、開腹手術を行うべきだった。(身寄りのない方で、市の福祉センターの扱いになった)

コメント
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