今回ご紹介するのは「書店ガール5 ラノベとブンガク」(著:碧野圭)です。
-----内容-----
取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。
しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。
一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打合せのために取手を訪れる。
彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し……。
書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第五弾。
-----感想-----
※「書店ガール」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール2 最強のふたり」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール3 託された一冊」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール4 パンと就活」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
今回は宮崎彩加と小幡伸光が交互に語り手となり物語が進んでいきます。
彩加は駅ナカ書店の店長、伸光は出版社のライトノベル編集部の編集長です。
彩加が取手駅の駅中にある「本の森 取手店」に来て半年になります。
駅ナカ書店ではみんな慌ただしく本を買ってあっという間に去っていくため、機械的で味気ないやり取りに彩加は戸惑っていました。
吉祥寺の書店で働いていた時のように棚作りにこだわり文芸本にPOPを付けたりもしていますがほとんど効果がありません。
店の様子を見に来た本部の統括部長の中谷茂之からは、「自分でいい棚を作ったと思っても、売れないならそれは自己満足にすぎない」と言われていました。
彩加は自分のこだわりがこの駅ナカ書店では通用しないことにふんぎりがつかないようでした。
小幡伸光のほうの話は、伸光と亜紀、3歳になる息子の光洋が家で団らんしているところから始まりました。
亜紀の語りの物語で伸光が出てくることはありましたが、伸光の語りは始めてだったので興味深かったです。
亜紀が光洋に親バカぶりを発揮しているのを見ながら、伸光が胸中で語った言葉は興味深かったです。
親が我が子を可愛く賢いと思わなかったら、誰が思う?
自分は徹底して親バカになろう。
これは良いことを言っていると思いました。
親が子供を可愛く思うのは大切なことです。
亜紀は「本当に心に響く本を紹介すれば、きっとお客さまにも届くはず」と信じて疑わないのですが、伸光はその亜紀の純粋さがまぶしくもあり、気恥ずかしくもあるようです。
伸光によると実際には本が売れるのは版元の宣伝力や営業力によるところが大きいとのことです。
書店員によって運営される「本屋大賞」という現在日本で最も本が売れる賞があったり、書店員が手の込んだポップを作って本をアピールしていたりもするので本が売れるのが全て版元のおかげとは思えないですが、全体で見ると版元の宣伝力や営業力によるところが大きいのだと思います。
彩加は常磐線の柏駅で降り立ち、同じチェーンの柏店の店長、戸塚健太のもとを訪れます。
駅ナカ書店で「なろう系」の本を求めるお客さんがいて、柏店になら在庫があるのでそちらから回してもらおうとしました。
その際、柏店ではなろう系小説やライト文芸、さらには萌え系の美少女や異世界の戦士などのファンタジー小説が圧倒的な比重を占めていることに彩加は驚きます。
戸塚は本来文芸好きとして知られているため、彩加は「戸塚さんの店なら、一般文芸を中心に並べているのかと思っていました」と言います。
戸塚は自分の嗜好と売り場の棚とは別物と割り切っていました。
しかし彩加は割り切れずに店の運営について悩みます
。
彩加的にはどうしても文芸を中心に据えたいようで、次のように胸中で語っていました。
だけど、できれば自分の書店は文芸が売れる店であってほしい。そう思うのはわがままなことだろうか。ライト文芸を読むお客さんでも引き込まれるような一般文芸もある。そちらに誘導できるような店づくりをしたいと思うのは、間違っているだろうか。
やはり書店員として、そして店長として、どんなお店にしたいかのこだわりがあるようです。
しかし彩加の場合は店長として、お店を繁栄させお店で働く人達の生計を守っていく立場でもあります。
自分好みの棚を作ることにこだわり続けた結果お店が潰れてしまったのでは本末転倒です。
どこかで取手駅の駅ナカの客層に合わせたお店作りに舵を切らないといけないのではと思いました。
伸光の働くライトノベルの編集部では「疾風ノベル大賞」という賞が創設され、選考委員の三名の作家さんに最終選考をしてもらっていました。
その結果、疾風ノベル大賞は原滉一の「鋼と銀の雨がふる」に、佳作は神谷傑(すぐる)の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」に決まります。
大賞と佳作決定の場で、高遠部長が「大賞作は小幡に、佳作は森野に担当させる」と一方的に宣言してしまいます。
佳作の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」は元々契約社員の松江が「これはすごい好みです。絶対売ってみせるからぜひ自分に担当させてほしい」と言っていた作品でした。
森野は今年入社した新人で、立場の違いもあり松江は何かと森野を毛嫌いしています。
その森野が松江が担当したがっていた作品を奪うような形になってしまいました。
高遠部長のせいで編集部が揉めるかも知れないと伸光は危惧します。
彩加は高梨愛奈と吉祥寺のバル(食堂とバーが一緒になったような飲食店のこと)で待ち合わせをします。
愛奈は出身校である私立の中学で司書教諭として採用されることになりました。
書店の試験も受けていましたが軒並み落ちていました。
真奈が書店員にはならないことを彩加は胸中で寂しがっていました。
二人の会話から、彩加は沼津のトルコパン職人、大田英司との関係はあまり進展していないようでした。
その大田が彩加のお店にやってきて、彩加の勤務時間後に二人でご飯を食べに出掛けます。
「取手駅の駅ナカ書店では吉祥寺の時のようにはいかない」と現状を話す彩加に、大田は「だったら、やりがいがありますね」と言っていました。
吉祥寺の駅ビルの店ならヒットを作るのもそんなに難しくはなく彩加でなくてもできるが、取手駅の駅ナカの店で何かを起ち上げたりヒットを作るのはなかなかできることではないため、そこにやりがいがあるとのことでした。
大田はかなり前向きな人だなと思いました。
大田の言葉に勇気付けられ、彩加は取手に愛されるお店を作るべく決意します。
疾風ノベル大賞の佳作を受賞した神谷が受賞を辞退したいと言い出すまさかの展開になります。
なんと同じタイミングで別の大手出版社の賞にも応募していてそちらでも賞を受賞し、その出版社からデビューしたいので疾風ノベル大賞は辞退したいとのことでした。
疾風ノベル大賞を受賞した原は初めて小説を書いたとのことです。
それで大賞受賞とは凄いなと思います。
伸光が胸中で「書ける才能というのは生れつき備わったものなのだろう。誰に教えられなくても、書ける人は書けてしまうのだ」と言っていましたがたしかにそうなのだろうと思います。
綿矢りささんが最初に書いた「インストール」でいきなり文藝賞を受賞したことを思い出しました。
彩加のお店には田中幹(つよし)といういつも小さな声で煮え切らない返答をするアルバイトがいます。
話し方の雰囲気から、疾風ノベル大賞受賞の原滉一の正体は彩加の店のアルバイトの田中幹かも知れないと思いました。
直木賞と本屋大賞を受賞した三浦しをんさんも書店でアルバイトをしながらデビュー作の「格闘するものに⚪」を出したので充分有り得る話です。
彩加は田中幹や学生アルバイトの三浦由季奈に「お薦めの本があれば教えて。店に並べるから」と言い今までとは違う店作りのために動き出していました。
駅中書店であろうがなかろうが、本屋の喜びは同じだ。自分がいいと思う本を並べ、それがちゃんと売れることだ。それを一度経験すれば、本屋のバイトにやりがいを感じてくれるだろう。
彩加はお店に活気を出すために「勧めてくれた本をお店に並べる」という形でアルバイトを巻き込もうとします。
そして彩加の策に三浦由季奈、宮里香南(フリーター)、田中幹らが乗ってくれます。
ちなみに、「ヘイト本」という言葉が出てきたのは興味を惹きました。
これは何をもって「ヘイト(憎悪表現のこと)」とするのかがとても曖昧です。
例えば反日国家の韓国について、「死ね殺せ」と露骨にヘイト(憎悪表現)しているわけではなく、韓国の数々の反日行為について正当に指摘した本でも「ヘイト本だ」と主張する人達がいます。
特定国家に都合の悪いことを書くとそれが過激な表現ではなくても「ヘイトだ」とするのは言論弾圧に該当すると思います。
また、書店員さんの政治思想に合わない本を「ヘイト本だ」としてしまうことも可能です。
「カエルの楽園」(著:百田尚樹)が一部の書店で目立たないように置かれたりお店に並べないようにされているというのを思い出しました。
伸光のほうは、ある人物が起こした原稿改竄騒動によって苦しい状況になっていました。
それだけに、大賞受賞作の「鋼と銀の雨がふる」(著:原滉一)はライトノベル編集部の名誉挽回のためにも何としてもヒットさせなければなりません。
また、木下という営業と書店に「鋼と銀の雨がふる」を推してくれるように頼みに言った時、「改ざん騒動のために、才能のある新人の作品を埋もれさせるわけにはいかない」と熱く語っていたのも印象的でした。
前作の「書店ガール4」では彩加とともに書店員として大活躍していた高梨愛奈が今作では書店員ではなくなり、脇役になっていたのも印象的でした。
振り返れば西岡理子も小幡亜紀も時折登場したり名前が出たりするだけになり、主役は別の人になっています。
次作ではどんな物語が見られるのか楽しみにしています。
※「書店ガール6 遅れて来た客」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※図書レビュー館(レビュー記事の作家ごとの一覧)を見る方はこちらをどうぞ。
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-----内容-----
取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。
しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。
一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打合せのために取手を訪れる。
彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し……。
書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第五弾。
-----感想-----
※「書店ガール」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
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※「書店ガール3 託された一冊」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール4 パンと就活」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
今回は宮崎彩加と小幡伸光が交互に語り手となり物語が進んでいきます。
彩加は駅ナカ書店の店長、伸光は出版社のライトノベル編集部の編集長です。
彩加が取手駅の駅中にある「本の森 取手店」に来て半年になります。
駅ナカ書店ではみんな慌ただしく本を買ってあっという間に去っていくため、機械的で味気ないやり取りに彩加は戸惑っていました。
吉祥寺の書店で働いていた時のように棚作りにこだわり文芸本にPOPを付けたりもしていますがほとんど効果がありません。
店の様子を見に来た本部の統括部長の中谷茂之からは、「自分でいい棚を作ったと思っても、売れないならそれは自己満足にすぎない」と言われていました。
彩加は自分のこだわりがこの駅ナカ書店では通用しないことにふんぎりがつかないようでした。
小幡伸光のほうの話は、伸光と亜紀、3歳になる息子の光洋が家で団らんしているところから始まりました。
亜紀の語りの物語で伸光が出てくることはありましたが、伸光の語りは始めてだったので興味深かったです。
亜紀が光洋に親バカぶりを発揮しているのを見ながら、伸光が胸中で語った言葉は興味深かったです。
親が我が子を可愛く賢いと思わなかったら、誰が思う?
自分は徹底して親バカになろう。
これは良いことを言っていると思いました。
親が子供を可愛く思うのは大切なことです。
亜紀は「本当に心に響く本を紹介すれば、きっとお客さまにも届くはず」と信じて疑わないのですが、伸光はその亜紀の純粋さがまぶしくもあり、気恥ずかしくもあるようです。
伸光によると実際には本が売れるのは版元の宣伝力や営業力によるところが大きいとのことです。
書店員によって運営される「本屋大賞」という現在日本で最も本が売れる賞があったり、書店員が手の込んだポップを作って本をアピールしていたりもするので本が売れるのが全て版元のおかげとは思えないですが、全体で見ると版元の宣伝力や営業力によるところが大きいのだと思います。
彩加は常磐線の柏駅で降り立ち、同じチェーンの柏店の店長、戸塚健太のもとを訪れます。
駅ナカ書店で「なろう系」の本を求めるお客さんがいて、柏店になら在庫があるのでそちらから回してもらおうとしました。
その際、柏店ではなろう系小説やライト文芸、さらには萌え系の美少女や異世界の戦士などのファンタジー小説が圧倒的な比重を占めていることに彩加は驚きます。
戸塚は本来文芸好きとして知られているため、彩加は「戸塚さんの店なら、一般文芸を中心に並べているのかと思っていました」と言います。
戸塚は自分の嗜好と売り場の棚とは別物と割り切っていました。
しかし彩加は割り切れずに店の運営について悩みます
。
彩加的にはどうしても文芸を中心に据えたいようで、次のように胸中で語っていました。
だけど、できれば自分の書店は文芸が売れる店であってほしい。そう思うのはわがままなことだろうか。ライト文芸を読むお客さんでも引き込まれるような一般文芸もある。そちらに誘導できるような店づくりをしたいと思うのは、間違っているだろうか。
やはり書店員として、そして店長として、どんなお店にしたいかのこだわりがあるようです。
しかし彩加の場合は店長として、お店を繁栄させお店で働く人達の生計を守っていく立場でもあります。
自分好みの棚を作ることにこだわり続けた結果お店が潰れてしまったのでは本末転倒です。
どこかで取手駅の駅ナカの客層に合わせたお店作りに舵を切らないといけないのではと思いました。
伸光の働くライトノベルの編集部では「疾風ノベル大賞」という賞が創設され、選考委員の三名の作家さんに最終選考をしてもらっていました。
その結果、疾風ノベル大賞は原滉一の「鋼と銀の雨がふる」に、佳作は神谷傑(すぐる)の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」に決まります。
大賞と佳作決定の場で、高遠部長が「大賞作は小幡に、佳作は森野に担当させる」と一方的に宣言してしまいます。
佳作の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」は元々契約社員の松江が「これはすごい好みです。絶対売ってみせるからぜひ自分に担当させてほしい」と言っていた作品でした。
森野は今年入社した新人で、立場の違いもあり松江は何かと森野を毛嫌いしています。
その森野が松江が担当したがっていた作品を奪うような形になってしまいました。
高遠部長のせいで編集部が揉めるかも知れないと伸光は危惧します。
彩加は高梨愛奈と吉祥寺のバル(食堂とバーが一緒になったような飲食店のこと)で待ち合わせをします。
愛奈は出身校である私立の中学で司書教諭として採用されることになりました。
書店の試験も受けていましたが軒並み落ちていました。
真奈が書店員にはならないことを彩加は胸中で寂しがっていました。
二人の会話から、彩加は沼津のトルコパン職人、大田英司との関係はあまり進展していないようでした。
その大田が彩加のお店にやってきて、彩加の勤務時間後に二人でご飯を食べに出掛けます。
「取手駅の駅ナカ書店では吉祥寺の時のようにはいかない」と現状を話す彩加に、大田は「だったら、やりがいがありますね」と言っていました。
吉祥寺の駅ビルの店ならヒットを作るのもそんなに難しくはなく彩加でなくてもできるが、取手駅の駅ナカの店で何かを起ち上げたりヒットを作るのはなかなかできることではないため、そこにやりがいがあるとのことでした。
大田はかなり前向きな人だなと思いました。
大田の言葉に勇気付けられ、彩加は取手に愛されるお店を作るべく決意します。
疾風ノベル大賞の佳作を受賞した神谷が受賞を辞退したいと言い出すまさかの展開になります。
なんと同じタイミングで別の大手出版社の賞にも応募していてそちらでも賞を受賞し、その出版社からデビューしたいので疾風ノベル大賞は辞退したいとのことでした。
疾風ノベル大賞を受賞した原は初めて小説を書いたとのことです。
それで大賞受賞とは凄いなと思います。
伸光が胸中で「書ける才能というのは生れつき備わったものなのだろう。誰に教えられなくても、書ける人は書けてしまうのだ」と言っていましたがたしかにそうなのだろうと思います。
綿矢りささんが最初に書いた「インストール」でいきなり文藝賞を受賞したことを思い出しました。
彩加のお店には田中幹(つよし)といういつも小さな声で煮え切らない返答をするアルバイトがいます。
話し方の雰囲気から、疾風ノベル大賞受賞の原滉一の正体は彩加の店のアルバイトの田中幹かも知れないと思いました。
直木賞と本屋大賞を受賞した三浦しをんさんも書店でアルバイトをしながらデビュー作の「格闘するものに⚪」を出したので充分有り得る話です。
彩加は田中幹や学生アルバイトの三浦由季奈に「お薦めの本があれば教えて。店に並べるから」と言い今までとは違う店作りのために動き出していました。
駅中書店であろうがなかろうが、本屋の喜びは同じだ。自分がいいと思う本を並べ、それがちゃんと売れることだ。それを一度経験すれば、本屋のバイトにやりがいを感じてくれるだろう。
彩加はお店に活気を出すために「勧めてくれた本をお店に並べる」という形でアルバイトを巻き込もうとします。
そして彩加の策に三浦由季奈、宮里香南(フリーター)、田中幹らが乗ってくれます。
ちなみに、「ヘイト本」という言葉が出てきたのは興味を惹きました。
これは何をもって「ヘイト(憎悪表現のこと)」とするのかがとても曖昧です。
例えば反日国家の韓国について、「死ね殺せ」と露骨にヘイト(憎悪表現)しているわけではなく、韓国の数々の反日行為について正当に指摘した本でも「ヘイト本だ」と主張する人達がいます。
特定国家に都合の悪いことを書くとそれが過激な表現ではなくても「ヘイトだ」とするのは言論弾圧に該当すると思います。
また、書店員さんの政治思想に合わない本を「ヘイト本だ」としてしまうことも可能です。
「カエルの楽園」(著:百田尚樹)が一部の書店で目立たないように置かれたりお店に並べないようにされているというのを思い出しました。
伸光のほうは、ある人物が起こした原稿改竄騒動によって苦しい状況になっていました。
それだけに、大賞受賞作の「鋼と銀の雨がふる」(著:原滉一)はライトノベル編集部の名誉挽回のためにも何としてもヒットさせなければなりません。
また、木下という営業と書店に「鋼と銀の雨がふる」を推してくれるように頼みに言った時、「改ざん騒動のために、才能のある新人の作品を埋もれさせるわけにはいかない」と熱く語っていたのも印象的でした。
前作の「書店ガール4」では彩加とともに書店員として大活躍していた高梨愛奈が今作では書店員ではなくなり、脇役になっていたのも印象的でした。
振り返れば西岡理子も小幡亜紀も時折登場したり名前が出たりするだけになり、主役は別の人になっています。
次作ではどんな物語が見られるのか楽しみにしています。
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