伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

真鍮の評決 上下

2012-07-26 22:52:14 | 小説
 「リンカーン弁護士」の続編。
 前作で銃撃されて負傷するとともに正当防衛とはいえ殺人を犯した衝撃等から職を離れていたマイケル・ハラーが、15年前の公選弁護人時代に叩きのめした因縁からつきあいのあった弁護士ジェリー・ヴィンセントが殺害されたためにジェリーの担当していた事件すべてを引き継ぐこととなって突然復帰し、ハリウッドの寵児が妻と愛人を射殺したとされる世間の注目の的となる事件を担当することになったが、被告人は当然に用意ができていないマイクルに対して予定通りに速やかに陪審審理に入ることに固執する不自然な態度を見せ、ジェリー殺害の捜査は進展しない、マイクルは世紀の裁判にどう臨むのか、ジェリー・ヴィンセント殺害の犯人は・・・というリーガル・サスペンス小説。
 マイクル・ハラーを人間的な弱みはあるがあまりにも敏腕の弁護士と設定してしまったがために相手方の予想外の作戦にダメージを受けたり困り果てるような場面はなく、マイクルはある程度アンフェアな手段を使うにしても勝つだろう、しかし「どうやって」勝つのか、マイクルは何を考えているのかに興味が集まるというタイプのシリーズになっている感じがします。そのために逆転また逆転的な展開には感じられませんが、練られたプロット、予想外の結末、毎回(2作目ですからそこまで言い切れませんが、たぶん)弁護士が身の危険にさらされる設定など、読み味としてはスティーヴ・マルティニに近いというかマルティニとグリシャムの間のように思えます。


原題:THE BRASS VERDICT
マイクル・コナリー 訳:古沢嘉通
講談社文庫 2012年1月17日発行 (原書は2008年)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする