社会派雑誌「ミレニアム」の幹部で経済記者の好男子ミカエル・ブルムクヴィストが、鼻・眉ピアスに体中にタトゥーを入れた尖った天才ハッカーリスベット・サランデルとともに40年前の少女の失踪事件の謎を解くミステリー小説。
大物実業家にはめられて攻撃的な記事を書いて名誉毀損で実刑判決を受け信頼を失墜し、「ミレニアム」を守るために撤退をやむなくされたミカエルに、孫娘の失踪に疑問を抱き続ける旧財閥の前会長が身元調査の上でミカエルの腕を信頼して報酬と大物実業家を倒すための資料の提供を約束して娘の失踪事件の真相解明を依頼し、ミカエルがこれを受けて苦しみながら資料を読み込んでいき、ここにミカエルを調査した腕利きのリサーチャーリスベットが絡んで調査が進展し、予期せぬ展開がというストーリーです。
ミステリーとしては、ちょっと展開が淡々とし、最初に設定した謎そのものは下巻の真ん中当たりで急展開して解決してしまい、その後はミカエルの敵討ちが続き、ややメリハリに欠けるというか、だらだらした感じが残ります。そういうもう少し盛り上げ方を工夫して欲しいなという不満は残りますが、ストーリーや材料、キャラ設定そのものはいい線をいっていると思います。
テーマが、スウェーデン経済や、スウェーデンの歴史の過去の悪夢というべき優生思想・障害者抹殺と絡むナチズムに置かれており、その分娯楽読み物としてやや堅めの感じがします。それをミカエル、ミカエルの親友である「ミレニアム」の既婚編集長エリカ、リスベットらの奔放な性生活の描写で柔らかくしているというところでしょうか。
ミカエルとエリカの関係や、リスベットの人付き合いを拒絶する尖ったキャラとその切なさが、物語をふくらませ魅力的なものにしています。
冷酷で残忍な、しかし同時に虐待され傷つけられ続けてきたリスベットが、ミカエルに心を開き和らいだところで迎えるラストは、キャラ設定からはそうなる運命かとは思いますが、読んでいてちょっと哀しいですね。
2巻以降の展開に期待したいと思います。
原題:MAN SOM HATAR KVINNOR
スティーグ・ラーソン 訳:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利
早川書房 2008年12月15日発行 (原書は2005年)
大物実業家にはめられて攻撃的な記事を書いて名誉毀損で実刑判決を受け信頼を失墜し、「ミレニアム」を守るために撤退をやむなくされたミカエルに、孫娘の失踪に疑問を抱き続ける旧財閥の前会長が身元調査の上でミカエルの腕を信頼して報酬と大物実業家を倒すための資料の提供を約束して娘の失踪事件の真相解明を依頼し、ミカエルがこれを受けて苦しみながら資料を読み込んでいき、ここにミカエルを調査した腕利きのリサーチャーリスベットが絡んで調査が進展し、予期せぬ展開がというストーリーです。
ミステリーとしては、ちょっと展開が淡々とし、最初に設定した謎そのものは下巻の真ん中当たりで急展開して解決してしまい、その後はミカエルの敵討ちが続き、ややメリハリに欠けるというか、だらだらした感じが残ります。そういうもう少し盛り上げ方を工夫して欲しいなという不満は残りますが、ストーリーや材料、キャラ設定そのものはいい線をいっていると思います。
テーマが、スウェーデン経済や、スウェーデンの歴史の過去の悪夢というべき優生思想・障害者抹殺と絡むナチズムに置かれており、その分娯楽読み物としてやや堅めの感じがします。それをミカエル、ミカエルの親友である「ミレニアム」の既婚編集長エリカ、リスベットらの奔放な性生活の描写で柔らかくしているというところでしょうか。
ミカエルとエリカの関係や、リスベットの人付き合いを拒絶する尖ったキャラとその切なさが、物語をふくらませ魅力的なものにしています。
冷酷で残忍な、しかし同時に虐待され傷つけられ続けてきたリスベットが、ミカエルに心を開き和らいだところで迎えるラストは、キャラ設定からはそうなる運命かとは思いますが、読んでいてちょっと哀しいですね。
2巻以降の展開に期待したいと思います。
原題:MAN SOM HATAR KVINNOR
スティーグ・ラーソン 訳:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利
早川書房 2008年12月15日発行 (原書は2005年)