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石垣島、農地の借り方。

2021-11-23 04:00:25 | 楽観農園


 石垣島で農地をお借りすることがついに出来そうだ。農業委員会への申請までたどり着いた。それはかなり難しいことだった。この経験は新しく石垣島に来て農業を始めようという人には参考になると思う。

 忘れないうちに、分かる範囲で書き留めておく。まだ完全に把握できたという気もしていないのだが。石垣島の未来の農業に繋がる農業をしたいと考えているので、このまま進むことを願っている。農地の貸借にはそれぞれの土地の事情に応じて違っている。

 石垣島ではバブル時代から、土地投機を狙う企業などの農業目的でない、農地を借り登記して、担保に入れてしまい、塩漬けにして置くというとんでもないことが行われている。その結果石垣市の農業委員会では農地の売買や貸借には強い疑いをもって当たっている。

 本当に農業をやるのか、そうでないのか。この判断が難しいという事だろう。また、土地所有者の方も、地元の方以外に土地を貸すことはよほど躊躇われるようだ。嫌な思いや、悪い話が聞かれるので不安になられているのだろう。

 申請にあたっては石垣島でやる農業を出来るだけ丁寧に書いて示したいと思う。そして、小田原でやっていることと、小田原での耕作証明書を添付したいと思っている。

 今回お借りすることになった農地は、新聞に掲載されていたものである。ある不動産屋さんが新聞に載せていたのだ。農地を借りる人を募集するために、新聞広告を出すというのは一般的に言えば珍しい事例のような気がするが、石垣島では新聞が農地情報源になっているのかもしれない。案外に農地を借りたいという人の希望広告は新聞で時々見る。

 八重山毎日新聞は小田原に暮らしていたときも、定期購読していた。それで今度熱帯農業研究所の公開があるというような記事を読んで、それに合せて石垣島に来ていた。移住を希望する地域の地元紙を購読すると言うことは、仕事の募集なども出ているので大切なことかもしれない。ネット情報の時代とは言え、一地方の情報は新聞が重要になる。

 新聞で見て不動産屋さんに訪ねたが、田んぼでは無かったのでその土地は止めにした。その時その不動産屋さんの説明では、その他の農地や田んぼの物件もあると言うことで教えて貰った。田んぼは180万円くらいで売りに出ていた。

 但し、石垣島では農家になるための要件が5反以上と言うことで、これは農業者以外は買えないことになる。加えてその地域では、無農薬でやるという事には強い抵抗感があるという事だった。そうした地域の農業の状況も把握しないとならない。また地域的に市街地に近すぎて、やりたいという気持ちが湧かなかった。

 以前、シーラ原で5反以上の田んぼがやはり不動産屋さんを通して売りに出ていて、ここは条件が良く買おうか迷ったこともあったのだが、いよいよ買う気になったときには、今度は売主が気が変わり売らないと言うことになった。石垣島の農地は不安定なもので、すぐに条件が変化して行く。先祖伝来の農地を売ると言うことは、やはりよほど気の重いことではないだろうか。

 石垣市の農業委員会にも当然のことだが、貸借や売買の農家から申請のあった農地の情報がある。実際には新規就農者には利用しにくいものになっている。農家の方に伺った話では、ここに出しても借りては見つからないということも言われていた。

 4回訪ねて、情報をお聞きしたが、成果は得られなかった。余り新規就農者を歓迎はしていない雰囲気の地域だと言うことは確認できた。こうしたことも案外大事な情報である。2月ごろに、農家の方に問い合わせをするので、新しい情報が出てくる可能性があるから、その頃に来てみるといいと教えられた。

 石垣島では投機的な目的で、非農業者が仮登記で農地を買っている。そしてその農地を担保にしてしまう。こうなれば誰も手の付けようのない土地になるからだろう。農地の売買で迷惑を受ける事例が多すぎるのだ。今も、畜産基地を行政が主導で造成した農振農用地を、ユニマットは市を巻き込んで転用をしようとしている。こうしたことで、莫大な利益が生じる構図なのだ。

 新規就農者の受け入れの熱意は、行政によってまったく違う。熱心な自治体では、農業委員会に基市役所職員で、地元の農家の方が臨時雇用されていて、農地の掘り起こし事業を行っている。各農家を地元の農家で市の職員でもあった方が、訪ねては農地を放棄しているなら、人に貸した方が良いと説得している。こうして未利用農地を減らす努力まで行っているところもある。

 当然そうした自治体では新規就農者は歓迎される人だから、親切な案内をしてくれる。地域によっては農業をしながら働ける職場の紹介までしてくれる。もちろん農家住宅の斡旋もしてくれる。そこまでしても農地を守りたいという情熱がある地域もあるのだ。石垣市の場合、35年前山北町の役場に訪ねたときと同じ空気だった。それが今では山北町では受け入れ住宅まで準備している。

 だから、新規就農者は一つの自治体で諦めずに、色々自治体を訪ねてみた方が良い。そして、何度も行く。最低3回は訪ねる。熱心さが無ければ農業委員会の方もその気にならないかもしれない。農業委員会の方が本気になれば必ず農地はある。そういう経験も、南足柄市ではしたことがある。

 田んぼを始めることで、石垣市の農業事情が分かってきた。始めたと言っても農地は正式に借りたという形では無く、非公式に半期だけ借りると言うことだったのだが、そこで田んぼを実際に始めることで、徐々に情報が得られるよいうになった。

 一番はどういう所であれば、市民的な田んぼの活動が、できるのかと言うことが見えてきた。また石垣島に相応しい農業の形も見えてきた。そして、一緒に連携してやろうという方が沢山存在することが分かった。なにしろ、たちまち30人もの田んぼ参加者が集まった。

 一人では出来ない広い農地であっても、みんなで何とかやろうという人がいる。あるいは現在はすぐには使えないような農地であっても、一緒に整備しようという人と知り合うことが出来た。新しい農業者の受け入れを事業として連携してやっても良いという人とも出会えた。

 そうしている内に、水牛を6月から飼うことに成った。もう5ヶ月も世話をさせて貰った。水牛はなかなかいい動物だ。何とも可愛いし、病気にも強い。水牛は1頭あたり5反ぐらいの草地が必要だと思う。3町歩で六頭が飼えると言うことが分かった。

 広い農地でも水牛牧場と組み合わせれば、管理が出来そうだという事になる。生き物を飼うという事は、一人では無理だ。みんなで協力し合える体制が、必要だと考えている。この共同管理という事が、石垣島で農地を借りる上で、一つの突破方法になった。
 

 
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