林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

始める時

2021-10-15 | 色めがね

この絵▲はセツばぁさん90歳の新聞ちぎり絵です。
大したもんですねぇ。智恵子抄の高村智恵子を超えている。

  90歳セツの新聞ちぎり絵 

という本に載っているそうです。
朝日の読書欄で知りました。9月25日朝日新聞朝刊読書欄

現在92歳の木村セツさん。
若い頃から畑仕事、家事育児、喫茶店手伝い、と働き詰め。
89歳で、介護していた夫と死別。何もすることがなくなった。
娘さんに勧められ、趣味など無縁だったがちぎり絵を始め、才能爆発。

野菜、野の花、するめ、しめ飾り・・・・。
奈良の田舎の四季折々のものをちぎり絵にしている。
作品は丁寧に描いた下絵に、新聞紙から探し出した色を貼り重ねた由。

ちぎり絵に没頭しているうちに、

  お父さん(夫)のことは全く思わんようになりました。

   里山社刊1980円 20年2月刊6刷15000部

ふむふむ、なるほどなぁ。
で、作品はどんなものか、本は買わず、グーグルで検索しました。

  グーグル画像検索・木村セツちぎり絵  

うへっ、これは凄いですねぇ。降参です。

絵には、セツさんの日常や思い出と重ねた解説が付いている、とか。
毎日「することがない」とぼやくじじばばは、見習うべきですね。
物事を始めるのに遅いことはない。思い立ったが吉日です。

  

  さはさりながら、セツさんは特別です。
  森生の場合、ウクレレは、80過ぎてから。
  何度も泣き言を書いたように、始めるのが遅かった。

  多くのご同輩の場合も、失礼ながら隠れた才能はない、のでは。
  だから始める時は今直ぐ、ですよ。

  べべべ~ん

  211015


あかり・ヘタウマ

2021-07-16 | 色めがね

この1年半、隣町から先に行ったことがありません。
それでも不満はなかったけれどワクチンは打った.。
そろそろ上京したい。

行先は、東京都美術館で開催している「イサム・ノグチ展」です。
これを特集した、NHKの日曜美術館は素晴らしかった。
 再放送 は7月18日夜です。

イサムノグチの主な作品は、石の抽象彫刻だけれど、柔らかく暖かい。
 作品群は こちら からどうぞ。

札幌市「モエレ沼公園」▲は最晩年の雄大な作品です。
また香川県の庵治石産地にある「庭園美術館」▼も行きたい所。

森生は猫額亭を建てた時、イサムノグチの「あかり」▼を取付けた。
手頃な値段でいい雰囲気を醸したけど、薄暗いので取り外しました。

  しかし、布団の中で本を読む、なんてことはもうありません。
  小さい「あかり」▼を、また枕元に置きたい。

  

放送の最後で紹介した、世田谷文学館の「安西水丸展」にも行きたい。

安西水丸その人は、森生がぞっこんな和田誠のお勧めで知りました。
作風は、いわゆるヘタウマ。
和田によると「真似できない絶妙な描写力」の由。

なるほど、慣れるほど好きになるイラストレーターでした。
その後、安西の旅行記・随筆集・画集・句集・漫画などに魅せられた。

  

  安西水丸については、この林住記に過去記事が何本もあります。
  検索してお読みくださいね。

  210716


団地スナップ写真

2021-03-08 | 色めがね

上の写真、素敵でしょ?
ストリートスナップ写真の名人ソール・ライターの作品です。

ファッション写真で成功したが、スポンサーの指図の多さにうんざりし、隠遁。
窮乏の中、ニューヨークで、気儘に街角写真を極めた。

特徴はガラスの多用、ポイントカラー、3分の1構図(=3分の2余白)など。
赤い傘、雨や雪の何気ない街角風景を好んだ。

近年、その緩さ加減が、大評判になっている写真家だそうです。

  詳しくはこちらをどうぞ。どんな作品かはこちらもどうぞ。

この写真家を、じじぃはNHKの日曜美術館で知りました。
例の脚長じぃさんが先週日曜朝「いま、やってるよぅ」と知らせてくれて、です。

昨夜、再々放送を始めからしっかり観ました。
大いに気に入り、そして興奮しましたよ。

  そうだ 目標はこれだっ

と思いましたね。

ライターが再注目されたのは83歳。森生と同い年だ。チャンスはまだある。

でもね、カメラが濡れるので、雨の日は写真を撮らないの。

寒い日は指がかじかむので、家に引き籠る。

大都会ではないわが団地では、いい被写体に、なかなか巡り合わない。

望遠レンズは使うのが恥ずかしく、マクロレンズは持ってない。

等々言い訳が多いけれど、それらしきわが「作品」を記事の中に差し込みました。
如何でしょうか? いい線、行ってませんか?

  なぬっ「厚かましい」ですって?
  ........... ごもっとも

  

  210308


ロゴマーク

2020-09-04 | 色めがね

  

25年に開催する大阪万博のロゴマーク▲が決まりました。
かなりグロテスク。嫌いだけれど、大阪的で、独創的。賛成です。
奈良市の遷都くんも、はじめは評判が悪かったからね。

東京五輪マークは、ガラス細工のように、また壊れそう。
亀倉雄策のマークは傑作ですが、今回のものは未だに好きになれません。

大阪万博は、慣れればいいかも。

さて、会社・団体などのロゴマークです。
これ、注目すると、結構面白い。

  好みのロゴマークを探し出し、スキャンし画像を保管する。
  そのロゴを分解し、逆さまにし、左右を変える。傾けたり、小さくする。

....... と立派なカットデザインに変化します。

ブログ記事の行間や文末に貼り付けると、長い文章が見易くなるようだ。

この作業は暇潰しに有効で、緊張するので、ボケ防止にもなる。

などと思案し、ロゴマークを集めています。
時々使うので、乞うご期待。

   ♪石の上にも3年だぁ

  ▲某文庫本のロゴから社名を消し、左右を反転した河童です。

  200904


川越で相原求一郎展

2019-02-15 | 色めがね

 初雪ふる

いつもの3爺で、川越市立美術館相原求一郎の展覧会を観に行った。
この美術館はちょうどいい広さである。
宣伝しないので、空いていていい。

相原の絵は、殆どが晩秋から早春までの北海道である。
絵は暗鬱だが、相原に限り、この暗さ・厳しさが以前から大好きだ。
しかし、絵に近付くと繊細な筆使いが見える。
暗さの底に暖かい抒情が潜んでいる。

 ひとすじの雪

是非観たいと思っていた「岬の家」は前期で展示終了。
日曜美術館で、北海道出身の高橋恵子嬢が絶賛していたのに残念だった。

絶筆にもかかわらず、生涯最大の号数になった「天と地」には圧倒された。

相原は天領・川越の裕福な商家の跡継ぎだった。
暇を作っては、秘書を連れ、度々北海道へ取材に行った由。

美術館には相川作品を常設展示する記念室がある。

 コンカルノ渡船場

昼食は3爺で隣の市立博物館に移動。
入館料が要らない「山吹」の豚肉生姜焼き定食800円に満足。
ここも空いていて、坪庭の景色がいい。

蔵の街通りは平日にもかかわらず観光客で混雑していた。
県立川越高校卒じぃの案内で路地を通り抜け、古い小さな喫茶店へ。

話題は森羅万象に及び、気が付いたら夕暮れだった。

  
  蔵造りの「亀屋」で、朝食用に豆大福2個を購入。

  他の作品は過去記事「相原求一郎絵葉書展」と「初恋の痛み較べ」をどうぞ。

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百物語

2018-08-17 | 色めがね

  古より百物語という事の侍る。
  不思議なる物語の百話集う処、必ずばけもの現れ出ずると.......。
  理性では説明のつかぬ不思議なものの存在が、まだ信じられていた江戸の時代。
  当時流行した怪異譚集のかたちを借りて描く〈あやかしの物語〉。

と杉浦日向子が描いた漫画本の腰巻に書いてある。

で、盆休み中に読んでみたけれど、残念ながら化け物は現れず、ちっとも怖くなかった。
むしろ、ほんわか、まったりとしている。

絵は巧いが、ごく短い文章(特に文語体の場合)に違和感がある。
また3巻、全99話が、入口とお終いだけで中身がなく、宙ぶらりんにさせられる。
しかし、この百物語は名作漫画とされる。

実際、各巻末尾で高橋克彦・高橋源一郎・高橋治が絶賛している。

森生はそうかなぁと思った。
......もっとも、読み方がいけなかったのかもしれない。

読んだ時間は、エアコンで涼しくしていた真昼間。
うつらうつらしながら1日1冊1時間余り、計3~4時間で読み終えた。

壱・弐・参巻にもなる「百物語」。
灯りを暗くした夜中、じっくり読むべきだったようだ。
そして、一度に読むのはせいぜい2~3話にしておくべきだった。

作者が敢えて省略した中身を想像しながら。

   絵は「狸の僧の話」から。 
  
  180817


木島櫻谷展

2018-04-09 | 色めがね

鮮やかな新緑に包まれた泉屋博古館(せんおくはくこかん)東京分館。
木島櫻谷(このしまおうこく)展は
素晴らしい展覧会だった。

櫻谷は明治後半から大正期にかけて、名作を量産した日本画家である。
近頃の日本画は絵の具を塗り重ねて、油絵のような作品が多いが、これは正真正銘の日本画だと思った。

徹底的な写生を基に、卓越した技術と感性により描かれた動物画は高い評価を得た。
確かに、展示ケースの中の写生帖に描かれた動物たちは、体の一部分しかないが、今にも動き出しそうだった。

夏目漱石が酷評したという、評判の「残月」(六曲一双)
数人の入館客が椅子席で、じっと見つめていたが、じじぃはこういう暗い絵はあまり好きではない。
かといって漱石のような痛烈な批判はいかがなものか。余程胃の調子が悪かったのだろう。

鹿の群れを季節によって描き分けた「初夏・晩秋」(六曲一双)が愛らしい
また「猿猴」(一幅)の猿や、もふもふした毛並みの狸など、いずれも気品があり優美でさえある。

京都に現存する櫻谷邸内で、ボロボロの状態で発見された「かりくら」(二幅)
馬の荒い鼻息と蹄の音が聞こえてくる。騎乗する老壮3人の射手は華麗で、踏み分けられた草原の描写は繊細である。
2年間を費やし、名作を完璧に甦らせた修復技術に拍手しよう。

                        

「木島櫻谷-近代動物画の冒険」は8日で終了しました。櫻谷に関する詳しい情報は、こちらをどうぞ。
なお「木島櫻谷-四季連作屏風と近代花鳥図屏風尽くし」は4月14日から開催。

泉屋博古館」は住友家が収集した優れた美術品を所蔵しております。
出光美術館・野間記念館と同様に、周囲の環境が魅力的な、小さな美術館です。

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小さく楽しむ

2018-02-15 | 色めがね

東京交通会館でも絵画展が開催されている。
新美術館の絵画展との違いは、毎日日曜画家の作品ばかりであることだ。
実際、巧いなぁと感心する作品はないが、夫々が楽しみながら描いている雰囲気が伝わり、好感が持てる。

会場を上野鶯谷から有楽町に移し、入場者が増えたような気がする。
そして会員が高齢になったためか、作品の大きさ(号数)が小さくなったようだ。
他人ごとではなく、ちょっと悲しいね。

ところで、口とは裏腹に、3爺の歩幅も小さくなった。
乃木坂、六本木、日比谷、有楽町と随分歩き回ったので足が痛む。
喫茶店を探し、更に歩くことになった。

  

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大きければいいのか

2018-02-13 | 色めがね

所沢偏屈さんに誘われ、新美術館の大規模な作品展を鑑賞した。
展覧会には、森生が勤めていた会社の、同期社員が出品している。

う~む、大作ばっかりだけど、迫力がサッパリでしたな。
どうも理屈や、ゆとり自慢の外国取材風景が目立ち、頂けません。
それに、大型画面であっても、もっと油絵の具をキャンバスに塗りたくって欲しい。絵の具が薄過ぎる。

会員には位階があるらしいが、高位でもどうということもない平々凡々。
いろんな賞が授与され、仲間褒め、順番授賞なのではないか。


なお、写真の部は力作揃い。手本にしたい作品がいくつもあった。
工芸の部、特に陶芸は駄作揃いだった。展示方法が良くないのかもしれない。

昨年に続き、2回目の訪問だったが、乃木坂六本木界隈徘徊のおまけが無ければ、次回は辞退しよう。

昼食には早かったけれど、朝、2時間も早かったので腹が減った。
何はさておき、近くにある「中国名菜・孫」へ。

  

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ともだち ほのぼの

2017-10-12 | 色めがね

煙草と塩の博物館で開催中の「和田誠と日本のイラストレーション」。
気持がいい展覧会だった。

和田誠の絵筆にかかると悪人さえもが幼児化する。
ギラギラした強い個性がほのぼのと優しくなってくる。

ひねくれじじぃの心も自然に清らかになり、効き目はサプリメント以上ですね。

入館客は大新聞社に動員された野次馬ではなく、誰もが和田誠のともだち


天井が高く広く明るい会場は空いていて、高島屋の池田学展とは対照的だった。

展示作品はポスター・挿絵・装丁などのほか、少年時代の漫画など。

ほかに錚々たるグラフィックデザイナーの作品が加わる。
夫々に和田による思い出と解説が付いている。

交流を通して、戦後日本のグラフィックデザイン界の発展史を概観する仕掛けです。
語り口はほのぼの。空腹を忘れる愉しさだった。

和田誠とは対照的なグラフィックデザイナーに山藤章二がいる。
森生は辛辣で過激な山藤も大好きだ。


ところが何故か山藤の作品が無かった。
常に「自分が目立つのはどうも....」という和田である。
挿絵担当なのに本文作者を食ってしまう山藤とは、合わないのかな?

逆に、同じほのぼの系の安西水丸を大変持ち上げていて、なるほどなぁ、と思った。

会場外の休憩室に、週刊文春の表紙絵の全てが展示されている。
名付けて「表紙はうたう」1977年5月2日号以降の全て、である。

圧倒的な愉しさと美しさで、これを観るだけでも1日かかりそうだった。

入場料は僅か50円(一般100円)。JTに感謝。

館外の大横川親水公園を南下し、錦糸町にできた北斎記念館へ廻る小さな旅をしたい。
あ、その前に、むぎとろで昼飯を済ませておかないと。

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美しいひとに会った

2017-09-20 | 色めがね

練馬区立美術館で開催中の「藤島武二展」は最終日。
敬老の日でもあったので、この美術館としてはかなりの数の入館者だった。
但し、巨大美術館で新聞社が協賛する大展覧会のような大混雑ではなく、作品をしっかり鑑賞することができた。

明治から昭和にかけて活躍した藤島武二は、巧い画家だと思う。
留学から帰国後の、パステル画のような色調の油絵が特に好きだ。

滞欧中に描いた糸杉の小品は、壁から外して持ち帰りたいほどだった。

藤島武二は、志那服の「東洋振り」、清新な「婦人と朝顔」、華麗な「蝶」などが特に有名ですね。
今回、あこがれの志那服美人とは再会出来、しっとりした朝顔婦人は初対面、華麗な蝶々美人には会えなかっった。
その他朝鮮服の「花籠」や青い目の美人たちが素敵だった。
いやぁ、スバラシイ! じじぃはウットリした。

いずれの美人も意外に小さい。
てことは絵の力が大きいんですね。大した腕前だ。明治の先輩は偉いなぁ。
じじぃは最近の、矢鱈に理屈っぽい作品よりも、こういう絵そのもので迫る作品を支持したい。

実はこの展覧会を知らなかった。
数日前、両陛下が鑑賞に行かれたという目立たない新聞記事で知り、当日、ネットで確認したら最終日!
慌てて、炎暑にも拘わらず、東京都内でいちばん暑い練馬に出かけたのは正解だった。
いま、冷えたカルピスをごっくんした状態です。

練馬区立美術館は西武池袋線中村橋駅から徒歩僅か5分。
丁度良い広さで疲れず、混み合わない。埼玉県民でも、じじばばは無料というのもありがたかった。

 

上から「東洋振り」「婦人と朝顔」「蝶」「黒扇」です。しっとりと鮮やかな色彩は、ブログでは再現不可能です。
展示作品に付けた説明カードの文字が小さく、全く読めなかった。
まぁ、解説は要らないんですけどね。

170920


吉田博展に酔い 怒る

2017-08-18 | 色めがね

 穂高山(油彩)

欧米で絶賛された吉田博の展覧会へ。

水彩画・油彩画・木版画・そしてスケッチ。
取材した風景は日本・アメリカ・ヨーロッパ・インド。大きさは小・中・大。

どれもが期待どおりの素晴らしさで、少し酔った気分である。

あの時代にこの技術とこの感性!!!。ズバ抜けている。
当時日本の洋画壇に君臨していた黒田清輝に逆らい殴っちゃったそうで、さもありなん、だ。
(黒田は黒田で好きですですよ)
画壇の主流から外れ、木版画に進出。アメリカで成功。
日本国内ではあまり知られていなかった。

日本とアメリカ風景を切り取った初期の水彩画と、木版画家に転じてからの作品に感動した。
感動は深く、高~く、です。

そして、う~む、こういう才能を持つ若い人が、現代日本にいるのだろうか。
必ずいるはずだ。そういう才能に義務教育は必要だろうか.........。
急いで発見し、別の道を用意してあげたい。

会場出口。
この美術館ご自慢のゴッホ・ゴーギャン・セザンヌの大きな3作品が展示してあった。
でもなんだか冴えないのね。吉田博の小品に負けている。
まして東郷青児なんか問題じゃない。

   吉田博のさまざまな作品はグーグル画像検索をどうぞ。

   瀬戸内海 光る海(木版)

  雨の平日、あまり宣伝したとも思えないのに大変な人気。
  入場まで長い行列に並び30分は待たされた。

  それはまぁ仕方がないにしても、グッズ売り場の大混雑は凄かった。

    

  絵葉書の代金を支払うのに30分も行列させられた。
  レジが1台、係員3名ではどうにもなるまい。

  会場の責任者に苦情を言いかったが、ガードマンしか見当たらなかった。
  多分、高い給料の館長等幹部連中は閑静な事務所で、鼻くそでも穿っていたのだろう。

  折角いい展覧会を観たんだから、悪口は書きたくない。
  だが医有野捌け口がないので、ここで言わせてもらう。

  バ・カ・ヤ・ロ・~

  展覧会へは、毎度お馴染みの仲良し3爺で行った。
  本降りの雨のため、昼食は近くのビヤホール長時間滞在。
  ビール政談で草臥れちゃったので、そのご報告は下に続きます▼

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展覧会廻り

2017-02-09 | 色めがね

3爺の街歩きが復活した。
復活1回目は、共通の友人が油絵を出品している展覧会である。

会場は驚くべし、国立新美術館だ。(クニタチではなくコクリツですぞ)
広大な会場は絵画、写真、工芸品で構成されていた。
展覧会は「40回目」とあり、日展や二科展ほどではないが、相当なものらしい。

友人の作品は奨励賞を獲得しており、会派内の地位が一段上がるらしい。
だけどここだけの話ですが、3爺一致して「どうもね」だった。

出品作品は50号100号の大作揃い。イマイチ、イマニ、イマサンばかり。おしなべて額縁だけが立派である。
某絵具会社の授賞があちこちで目立つ、愉快な展覧会だった。
自作を解説してくれる神田生まれのおじいさんがいたのは、もっと愉快だった。

昼食は美術館前の中華食堂「孫」。長老である保谷偏屈さんのご案内だ。
民放TVの出演が多い料理人・孫さんの店だそうで、
狭い階段を降りた店内は渋い中華風。いい趣味だと思う。
ランチ定食は税込み1296円。分量は控えめで、お味はなかなか結構。ここお勧めです。

続いて有楽町交通会館。ここも3爺の友人が出品している。出品者は全員素人高齢画家。賞なぞなし。
小さな水彩画が多く、あまり上手くはないが、狭い会場は和やかだった。

このあと、げっそり草臥れた3爺は、マリオン1階「マイアミ」で休憩。
場所柄、少し落ち着かなかったが、税込み700円もする高価な珈琲は、流石に美味しかった。

雑談の結果、休止していた「蕎麦食べ歩き」を、この4月から再開することに。

  

  夕方の混雑を避けたい。また乗り換えも面倒臭い。
  結局、明るいうちに、有楽町から保谷・所沢・飯能に直通するようになった地下鉄で、帰途についた。

  3爺ともめでたく80代である。老人病学会が公認する老人になった。
  地下鉄の下り階段が怖くて、遠回りでもエレベーターを探すようになっていたのが、悲しかった。

   170209


安田靫彦展

2016-05-06 | 色めがね

    飛鳥の春の額田王

国立近代美術館で開催されている「安田靫彦展」は、大いに満足した。

新聞社が協賛。大型連休中なのに、会場は空いていて、思う存分に作品を楽しめた。
特に「いいなぁ!」と思ったのは、

   飛鳥の春の額田王

   良寛和尚(平塚市美術館寄託)

   山本五十六元帥像

の3点である。
絵ではなく、書を屏風に仕立てた

   万葉秀歌

は絶妙の色彩とレイアウトで、絵画作品に引けを取らなかった。

会場に入るとのっけから10代の頃の作品が6点並び、その高い完成度に圧倒された。
現代の日本に、これだけの才能を持った子供がいるのだろうか。
もしいたら、義務教育を免除したほうがいい。

     山本五十六元帥像

安田靫彦は日本画の特徴を、

   美しい描線・澄んだ色彩・無駄のない構図

としたそうだが、会場に集められた作品群が、見事にそれを体現している。

   森生が行った前日に、皇后陛下がこの展覧会を鑑賞されたそうである。
   巨匠の代表作に見入り「線が非常に美しい」と感心したご様子だった。
   
との朝日新聞の記事があった(5月1日朝刊)
   畏れ乍ら、じじぃも同じでありました。

   期待していた「王昭君(足立美術館蔵)は展示期間終了で再会が叶わなかった。

    王昭君

     お断わり。額田王と山本五十六の作品は、大幅に作品の上部を独断で切り落としました。
     描線・色彩・構図について、安田靫彦の考えに賛同しますが、実際の作品では、上部の空間をとり過ぎて、無駄ですね。

    160506


落合恵子だからできた

2016-02-25 | 色めがね

落合恵子さんの講演会は上、出来だった。

主催は川越法人会日高地区会。
演題は「今、共生の時~女と男が共に生きる社会~」だった。

森生は、こういう内容の講演は耳胼胝のような気がして、聴きたくない。
でも、カンムリヅルのような髪型を見たい好奇心と、暇潰し目的が勝った。

会場は満員のお婆さんたち。
講演は演題から離れ、お母さんの介護についてに変えた。

講演には熱が篭っていた。言語明瞭にして意味明瞭だ。
介護のご苦労と、誇らしげに語るその見事な解決法には感動した。
詳しいことは下の2冊に書いてあるそうなのでご購読下さい。

     

森生は「ふむふむなるほど・たいしたもんだ」と感動しながら聴いていた。
だけどこの記事を書く頃には、

  落合恵子さんは頭が良く、経済力もある強い人だからそういう風にできたのだ。  
  有名人はトクだな、頼り甲斐のある人々が周りに集まりる。
  そして気を配ってくれ、思いを叶えてくれる。

などと考えた。
これは意気地がない、無名のじじぃの僻みだろうか。
例えば森生が知らない町へ行き、鶴瓶氏のマネをしたら、ぶっ飛ばされるだろう。
それと同じである。

講演の中で、今でもハッキリ覚えていることが二つあった。

一つは昨今の空気としての言論統制が、落合恵子さんにも感じられる、ということ。
これについては、保守ばりばりの主催者を慮ってか、むにゃむにゃで終わり。

    

二つ目は、

  この髪型、評判が悪いんですが、これが本当の私で、面倒じゃなくていいんです。

とのお言葉だった。
うむ、確かに実物は案外自然に纏まり落合恵子さんらしく、似合っていた。

そして、落合恵子さんが座右の銘にしている、或るアメリカ婦人の言葉も良かった。

  私から年齢を奪わないでください。
  働いて、働いて、ようやく手にした年齢ですから。

160225A