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植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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論文)エチレン受容体ETR1と相互作用する因子

2010-12-29 20:23:26 | 読んだ論文備忘録

Molecular Association of the Arabidopsis ETR1 Ethylene Receptor and a Regulator of Ethylene Signaling, RTE1
Dong et al.  JBC (2010) 285:40706-40713.
DOI:10.1074/jbc.M110.146605

エチレンは膜上に局在する受容体によって受容される。受容体はエチレン応答の負の制御因子として機能しており、エチレンが結合することによって抑制シグナルが遮断され、エチレン応答が起こる。シロイヌナズナには5種類のエチレン受容体ホモログ(ETR1、ERS1、ETR2、EIN4、ERS2)が存在し、ETR1は膜貫通ドメイン、GAFドメイン、ヒスチジンキナーゼ様ドメイン、レシーバー様ドメインから構成されている。ETR1を制御する因子としてREVERSION-TO-ETHYLENE SENSITIVITY1(RTE1)が同定されており、RTE1 過剰発現シロイヌナズナはエチレン非感受性となる。米国 メリーランド大学カレッジパーク校のChang らは、RTE1とETR1の物理的相互作用をBiFC法によって調査し、RTE1のN末端側にcYFP、ETR1のC末端側にnYFPを融合したタンパク質を発現させると強いYFP蛍光が観察されることを見出した。また、エチレン処理は蛍光シグナル強度に影響を及ぼさなかった。ETR1 の機能獲得変異体には、エチレン非感受性を示すに当たってRTE1 を必要としないetr1-1 とRTE1を必要とするetr1-2 があるが、どちらの変異etr1-nYFP融合タンパク質もcYFP-RTE1との相互作用を示して蛍光シグナルを発した。蛍光シグナル強度は野生型ETR1-nYFPと比較すると弱いが、etr1-1 変異体のRTE1非依存性はETR1-1とRTE1の相互作用の喪失によるものではないと考えられる。RTE1と51%の相同性があるRTE1-HOMOLOG(RTH)はRTE1のようなエチレンシグナル伝達に関与していないことが報告されており、cYFP-RHTはETR1-nYFPとの蛍光シグナルを発しなかった。RTE1とETR1は、in vitroにおいて高い親和性を示すことが確認された。RTE1がアミノ酸置換(C161Y)変異したrte1-1 変異体はetr1-1 変異の機能を喪失させることが知られており、BiFCの結果からRTE1-1はETR1との相互作用が弱くなっていることがわかった。以上の結果から、ETR1とRTE1の物理的相互作用はETR1が機能するために必要であると考えられる。

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