経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2017-07-31 07:10:59 | 株価
◇ ニューヨークは着実、東京は軟弱 = ダウ平均は先週250ドルの値上がり。終り値は2万1830ドルとなり、また新高値を更新した。着実な上昇ぶりで、いつの間にか2万2000ドル台に近づいてきた。トランプ政権は失点続き。国境調整税は日の目を見ず、オバマケア代替法案も議会を通らなかった。にもかかわらず株価が堅調なのは、景気の回復が途切れず、企業の利益も好調を維持しているためである。

日経平均は先週140円の値下がり。終り値はまた2万円台を割り込んでしまった。日本でも6月決算の発表が始まったが、業績の絶好調はなお続いているようだ。最近の景気指標をみても、株価の下げ要因になるようなものは見当たらない。消去法で考えると、株価を軟調にしている原因は政局以外には思いつかない。

アメリカでは今週4日に、7月の雇用統計が発表される。その内容が良好なら、FRBは9月に保有資産の縮小を決断するだろう。しかし市場は織り込み済みだから、ダウはさらに2万2000ドルへと接近する可能性が高い。一方、安倍首相は3日にも内閣を改造する方向だが、これで政局にどれほどの落ち着きが取り戻せるか。

今週は31日に、6月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、7月の新車販売台数。2日に、7月の消費動向調査。4日に、6月の毎月勤労統計。アメリカでは31日に、6月の中古住宅販売。1日に、7月の新車販売台数とISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、7月の雇用統計と6月の貿易統計。また中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫           

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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑰

2017-07-29 08:00:27 | 
◇ 寡占終わり群雄割拠の時代に = 世界の水ビジネス市場に長いこと君臨してきたのは、フランスのヴェオリア社とスエズ社。20世紀までは、この2社による寡占状態が続いていた。01年の占有率は両社ともに22%だったが、09年はヴェオリア社が11%、スエズ社が15%に落ちている。スペイン、イギリス、ドイツ、アメリカなどの民間企業が参入してきたためで、いまや世界の水ビジネス市場は群雄割拠の時代を迎えようとしている。

それでもフランス2社の規模は、まだ突出している。給水人口でみると、ヴェオリア社は1億3900万人、スエズ社は1億2000万人。世界第3位のスペイン・アクアス社は、まだ3000万人に達していない。いまだに世界水ビジネスの巨人と言っていいが、それにはそれなりの古い歴史がある。

まずヴェオリア社は、ナポレオン3世が1853年に設立。パリとリオンの水道事業をやらせたことが発端。20世紀中に90か国に進出、1998年には中国で初めてとなる浄水場の受注に成功した。また02年には上海市と50年契約を結んだが、その間の全収入は1兆6500億円になるという。スエズ社も1880年の創設。カンヌの水道事業が始まりで、スエズ運河の建設でその名を轟かせた。

21世紀に入ると、欧米諸国のほかシンガポールや韓国も参入。需要が急速に拡大するなかで、競争も激化してきた。そうしたなかにあって、日本は出遅れ気味。先発した海外の企業と組んで合弁事業の一角に取り付いたり、独自の計画を売り込もうと努力し始めたところ。だが残念ながら、世界市場での認知度は低い。

                                (続きは来週サタデー)

      ≪28日の日経平均 = 下げ -119.80円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   

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日銀と庶民の 温度差 : 物価の見通し

2017-07-28 08:03:33 | 物価
◇ どちらが正しいのか? = 日銀は先週の金融政策決定会合で、物価上昇の見通しを下方修正した。具体的には17年度の物価上昇率を、これまでの1.4%上昇から1.1%上昇に引き下げている。この結果、日銀が目標としている物価2%上昇の達成時期も、これまでの「18年度ごろ」から「19年度ごろ」へと1年先送りした。目標達成時期の先送りは、これで6回目。

物価上昇の見通しを下方修正したことについて、日銀は「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が、企業や家計に根強く残っているため」と説明した。つまり一般に「物価は上がらない」という見方が広まっていることが、大きな原因というわけである。いくら金融を緩和しても、物価は上がらない。日銀の恨み節のようにも聞こえる。

ところが、内閣府が発表した6月の消費動向調査。2人以上世帯に1年後の物価見通しを質問している。その結果は「2%以上の上昇」という答えは、1年前の37.6%から43.4%に増加した。「2%未満」や「5%以上」までを含めると、物価は上昇すると答えた世帯の割合は79.2%にも達している。日銀は「物価は上がらない」と予測しているのに、庶民は「上がる」と感じているわけだ。

もう1つ、日銀は「物価が上がらず残念」という感覚なのに、庶民の方は「物価は上がってほしくない」と考えている。この差は天と地ほどの違いだ。生活者である国民が物価の上昇を望まないのに、なぜ日銀は政策目標に掲げるのか。この辺の矛盾をしっかり解明しないと、日本経済はよくならないだろう。

      ≪27日の日経平均 = 上げ +29.48円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ
 
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インターンシップの 暴走

2017-07-27 07:29:49 | 就職
◇ 採用活動が1年前倒しに = 就職情報会社の調査によると、ことしインターンシップを実施する企業は1万社に達する勢いだという。なかには参加した学生に内々定を出す企業もあって、インターンシップが面接代わりになる傾向も強まってきた。この傾向が定着すると、大学生の就職活動は4年生からではなく、3年生の夏から始まってしまうことになる。

経団連の指針によると、企業の新卒採用活動は大学4年生の6月から解禁される。その年の3月から説明会は開催されるが、面接などは出来ない。これは学生が就職活動に入る時期をなるべく遅らせ、みっちり学業に励んでもらうためだ。ところがインターンシップが面接代わりになると、解禁時が一挙に1年も繰り上がってしまう。

インターンシップはもともと学生に仕事を体験し、社会勉強をしてもらうことに目的があった。このため大学3年生に夏休みを利用して、5日以上の日程で実施。企業が採用活動に結び付けることは禁止されていた。しかし経団連は、ことしから「1日だけのインターンシップ」を突如として解禁。新卒の採用ルールは、全く様変わりしてしまった。

経団連は、なぜこんな“暴挙”に出たのだろう。たしかに外資系企業や中小企業には、経団連の意向は及ばない。だから経団連に加盟している大企業は、人材の確保に後れをとってしまうという苦情もあった。それにしても「学生によく勉強してもらう」という重要な目的を、あっさり放棄してしまった意図は何なのだろう。これについて経団連は、ひと言も説明していない。

      ≪26日の日経平均 = 上げ +94.96円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ

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底が浅い 経済財政白書

2017-07-26 08:10:06 | 景気
◇ 政策提言には踏み込まず = 政府は先週末の閣議で17年度の経済財政白書を了承し、公表した。日本経済の現状と問題点について、かなり詳細に記述しているのが特徴。しかし問題点を深く掘り下げたり、解決するための政策提言には触れていない。多くの国民が知っていることだけを羅列し、知りたいことには目をつぶってしまった。

景気の現状については「回復はバブル期を超えて戦後3番目の長さになった。しかし物価を押し上げる力は弱まっている」と書いている。これは政府の公式見解そのもの。だが一般の人たちは「景気がいい」とは感じていない。このギャップはなぜ生じているのか。この点についての言及や分析は、いっさい見られなかった。

問題点の一つに「バブル期を超えた人手不足」を挙げている。この人手不足は「成長の制約である一方、生産性向上やデフレ脱却に向けたチャンス」と説くが、その具体的な方法論はあいまい。これでは人手不足を歓迎するのか心配するのか、よく判らない。また「人手不足の割に賃金上昇が鈍い」と指摘しているが、この点についても改善策の提示はなかった。

消費の伸び悩みについても、その要因を世代別に分析したところはいい。だが若年層も高齢層も貯蓄に励む理由に関しては、まるで政府には責任がないような姿勢。なぜ将来への不安が大きいのか。たとえばゼロ金利政策で利子収入がなくなったこととの関係など、もっと掘り下げてもらいたかった。

      ≪25日の日経平均 = 下げ -20.47円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ
  
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