経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (85)

2021-10-30 07:14:23 | なし
◇ 日本の改善ぶりは驚異的だ = 世界の感染者は累計2億4502万人、この1週間で299万人増加した。死亡者は497万2731人で、5万0635人の増加。死亡者は来週、500万人に達するだろう。感染者・死亡者とも増加の勢いに大きな変化はないが、厳密にみるとやや悪化している。国別では、インド・ロシア・イギリスの死亡者が前週より増加した。特にロシアでは、週間7455人が死亡している。

死亡者の動向を国別にみると、アメリカは累計74万人台。この1週間に9967人死亡したが、それでも8週間ぶりに1万人を割っている。次いでブラジルが60万人台、インドが45万人台、メキシコが28万人台。あとはロシアが23万人台、インドネシアとイギリスが14万人台、イタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台となっている。

日本の改善ぶりは驚異的だ。感染者は累計171万7656人、この1週間で1884人増えた。この増加数は約1年ぶりの低さ。死亡者は1万8236人で63人の増加にとどまった。12週間ぶりに100人を割っている。ワクチン接種が進んだことが大きいが、それにしても予想以上に改善した。これで第6波の山を低く抑えられれば、万々歳ということになる。

NHKの調査によると、世界各国のワクチン接種率は次の通り。2回以上接種者の人口に占める割合。①スペイン79.72%②カナダ73.93%③中国73.92%④韓国72.06%⑤イタリア71.11%⑥日本70.89%⑦フランス67.76%⑧イギリス66.86%⑨アメリカ56.79%。確かに接種率が70%を超えた国では、感染が下火になっている。そういう見地からすれば、接種率が70%に届かないうちに規制を解除したアメリカとイギリスは、やや尚早だったのでは?

        ≪29日の日経平均 = 上げ +72.60円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
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訪日客は戻らない : 規制緩和でも

2021-10-29 07:28:36 | 外国人
◇ ことしの損失額は20兆円にも = コロナの感染力が急激に衰え、緊急事態宣言などの行動規制がすべて解除された。このため飲食店や商業施設への来客も、確実に増えている。しかし、ひところはインバウンドともてはやされた外国人観光客が戻って来る気配は全くない。ことしの訪日客数は30万人程度、コロナ前19年の1%にとどまるものとみられている。

コロナ前19年の外国人観光客数は3180万人。それがコロナの影響で、20年は410万人に減少した。さらに21年は1-9月間で、19万0900人にまで落ちている。観光目的での来日は原則的に禁止、ビジネス目的の訪日も接種証明があっても10日以上の待機を求められるなど、厳しく制限されているためだ。この結果、ことしの経済的損失は20兆円にものぼると推計されている。

海外ではワクチン接種の証明を条件に、観光目的の入国を認め始めた国も多い。だが日本政府はコロナの再拡大を警戒して、規制を緩和しようとはしない。観光業界は総選挙を前に「新たな観光戦略の策定と入国規制の緩和」を各政党に働きかけたが、大きな争点にはならなかった。

たしかに外国人観光客が、コロナ第6波の引き金になっては大変だ。しかし注意深く緩和の方向へ動き出すことも、そろそろ必要だろう。ワクチン証明や入国時の検査はもちろん必要だが、待機をしてまで観光する人はいない。あとはGPSで行動を把握するとか、入国する人数を制限するとか、専門家が集まって議論したらどうだろう。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -278.15円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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逆算だけで作った 電源計画 (下)

2021-10-28 07:28:07 | エネルギー
◇ 政府が体を張るしかない = 「30年度までに温室効果ガスの排出量を、13年度比で46%削減する」--日本が世界に公約した脱炭素の目標である。ここから逆算して、新しい電源計画では火力の比重を41%に落とす。その分を埋めるため原発は20-22%、再生可能エネルギーは36-38%に増やす。こういう設計図が描かれた。だが、その実現はほとんど不可能だとみられている。

政府が新エネルギー計画を閣議決定した2日後、美浜原発(福井県)の運転停止が報道された。テロ対策施設の設置が遅れたためである。これで稼働中の原発は7基になった。新しい電源計画を達成するためには27基前後の原発が必要だ。今後8年間で20基の原発が動き出すとは、どうしても考えにくい。原発について、政府はずっと静観してきた。だがもっと積極的に参入、必要ならカネも出したらいい。

再生可能エネルギーは、30年度までに現在の2倍が必要。だが太陽光も風力も設置コストが増大したため、伸び悩んでいる。計画では新築住宅に太陽光発電を義務付ける案も示しているが、これでは建築費がかさんでしまう。ここでは発想の転換が必要だ。新築住宅だけではなく、公共施設や民間ビルにも太陽光発電を義務付ける。さらに全国の鉄道や高速道路にも。発電パネルを張りめぐらす。そして費用の大半を政府が支出する。

その結果、計画通りに火力発電を減らせれば、原油やLNGの輸入も大幅に減少する。おそらく毎年5兆円以上の輸入代金が節約でき、その分が国内で使われる。持続的な景気対策にもなるはずだ。こう考えれば、いま政府が原発や再生エネルギーのために数兆円の資金を投入することは、きわめて有効だろう。要は政府が体を張るかどうかである。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -7.77円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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逆算だけで作った 電源計画 (上)

2021-10-27 08:05:08 | エネルギー
◇ エレベーターのない高層ビル = 政府は22日の閣議で「新エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」を決定した。日本がことし4月に公約した「30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度の46%に削減する」目標を達成するための、具体的な対策案である。31日からイギリスで始まるCOP26(国連気候変動枠組み条約締結国会議)に提出する必要があるため、急いで決定した。だが、どうやって計画を実現するのか。手段については、ほとんど触れていない。

エネルギー計画の中核となる電源構成をみると、30年度までに火力発電の全体に占める比率を41%に引き下げる。こうしないと「30年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比46%減」という公約を達成できない。しかし19年度の実績で76%もあった火力発電の比率を41%に下げることは、決して容易ではない。その分をどうやって補うのか。

計画によると、30年度の再生可能エネルギー発電を全体の36-38%に引き上げる。19年度の実績は18%だったから、ほぼ2倍に増やさなければならない。同様に原子力発電は、6%から20-22%へ。また新たに水素・アンモニア発電で1%分を補うことにしている。このうち再生エネルギーについては、太陽光が14-16%、水力が11%、風力とバイオマスが5%ずつ、地熱が1%という内訳も発表した。

公約の「ガス排出量46%削減」という数字から、逆算して作っただけの計画と言うしかない。計画を作った経済産業省は、これまで原発についても再生エネルギーについても、その育成に失敗してきた。だから、どうすれば計画を達成できるかという説明もできない。外観は立派な高層ビルだが、エレベーターがないから誰も登れない。そんな感じの計画になってしまった。

                          (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +505.60円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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‟悪玉”になった 円安の正体

2021-10-26 07:29:30 | 円相場
◇ 原油高と結びついてスタグフレーション = 円相場の下落が止まらない。対ドル相場は、ことし1月には103円台だったものが、先週は114円台にまで下落した。アメリカの金利が上昇し、ドルが買われたためと解説されている。ところが世界中の通貨を対象に算出した実効為替レートだと、円相場の下落はもっと著しい。日銀の試算によると、1972年以来の安値だという。これは日本経済に対する評価が低下したため、と考えるしかない。

かつては円安になると、株価が上がった。輸出関連企業の取引条件が改善し、利益が増大したからである。つまり円安は、長い間‟善玉”と目されてきた。ところが最近は、様相が変わってきた。いまでも輸出関連企業にとっては‟善玉”だが、日本経済における輸出の比重が小さくなっている。このため輸入品の価格を押し上げてしまうという、円安の‟悪玉”性が目立ってきたわけだ。

しかも原油価格の高騰が、これに重なった。ガソリン価格や電気料金には、原油やLNG(液化天然ガス)の国際価格上昇に加えて、円安による価格上昇が含まれる。企業や家計の負担は、急に重くなった。原油と関係のない食料や原材料の輸入価格も、円安のために上昇している。8月の輸入物価は、前年比29.2%の上昇だった。

FRBは11月に、金融緩和政策の縮小を開始する予定。すると日米の金利差はさらに拡大し、円安の要因は強まるだろう。また原油価格の高止まりも続きそうだから、日本の物価は上がる。こうして日本経済は、スタグフレーション(物価高と不況の共存)に陥る危険性が増大して行く。したがって、円安はまだ進行する可能性が大きい。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -204.44円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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