経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

株は また下がる (上)

2020-03-31 07:46:51 | 株価
◇ 今週からは悪材料が続々 = 先週は世界の株価が、大幅に反発した。日経平均は2837円の上昇で、1週間の上げ幅としては過去最大。新型コロナ肺炎の影響で下げた分の38%を取り戻している。このため市場の一部では「株価は大底を打ったのでは」という声も聞こえたが、それは楽観のし過ぎ。今週からは、コロナ肺炎によって打撃を受けた日本経済の実態が次々と明らかになる。株価にとっては、イバラの道が続くだろう。

たとえば、きょう31日には2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計。また、あす1日には3月の日銀短観と新車販売台数が発表される。2月の場合、コロナ肺炎は中国での蔓延が中心。日本でもクルーズ船が関心のマトになっていた。中国からの部品供給が途絶えて生産中止に追い込まれた工場も出始めていたから、鉱工業生産は低下したに違いない。

さらに雇用や小売りの面に、悪影響がどのくらい表われているのか。政府はこれまで堅調に推移してきた雇用情勢を重視、景気は「緩やかに回復中」の判断を続けてきた。しかし雇用者数や失業率、あるいは同時に発表される有効求人倍率にも、悪化の兆候が見られそうだ。新車の販売も明らかに落ち込んでいる。

専門家が最も注目しているのが、日銀の短観。大企業・製造業の景況判断指数は、これまで7年間にわたってプラスを維持してきた。しかし民間調査会社の予測では、マイナス10に急減する見通し。企業の3月期決算も間もなく確定するが、大幅な減益は避けられない。このように景気の下降を示す経済指標が続出するなかで、株価だけが上昇する可能性はゼロに近い。こうした環境は、4月以降も続くのだろうか。

                              (続きは明日)

       ≪30日の日経平均 = 下げ -304.46円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2020-03-30 07:50:07 | 株価
◇ 株価は大幅に反発したものの・・・ = ダウ平均は先週2463ドルの大幅な値上がり。上昇率は12.8%に達し、1938年以来の記録となった。週初と週末には下げたが、火―木曜日の3日間で4000ドル近くも上げている。FRBが金融機関への無制限融資を発表、さらに議会が2兆ドル(220兆円)の超大型景気対策を成立させたことで、買い気が一気に高まった。終り値は2万1600ドルまで戻している。

日経平均も先週は2837円の値上がり。7週間ぶりの上昇で、1週間の上げ幅としては過去最高。ニューヨーク市場の大幅な反発に引きずられたほか、日銀のETF(上場投資信託)買い入れが株価を押し上げた。日銀の買い入れは3月に入ってから、累計1兆円を超えている。このため朝方は下げても、午後には上げる不自然な動きが多い。

ダウ平均は2月の史上最高値から先週初までに、1万0960ドルも値下がりした。それを先週の急騰で3割近くも取り戻している。このため投資家の間では「大底は過ぎた」という見方もちらほら。しかしコロナ肺炎の伝染力に衰えがみられないため、大方の市場関係者はまだ今後の株価に不安を持っている。今週はコロナ不況を反映した経済指標が続々と発表される。二番底の懸念も消えてはいない。

今週は31日に、2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、3月の日銀短観、新車販売。アメリカでは30日に、2月の中古住宅販売。31日に、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、3月のISM製造業景況指数。2日に、2月の貿易統計。3日に、3月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。また中国が31日に、3月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (3)

2020-03-28 07:44:42 | なし
◇ アメリカが感染爆発の危機に = 新型コロナ肺炎による死亡者数。日本時間27日午前0時の集計によると、1位はイタリアの7503人、2位はスペインの4089人。この両国の死亡者数は、3位の中国3287人を上回った。続いてイラン、フランスの順となっている。アメリカは990人で6位、日本は57人で10位だった。1週間前と比べた増加数でも、イタリア、スペイン、フランス、イラン、アメリカの順となっている。

人口の差を加味して100万人当たりの死亡者数をみても、イタリアは123.8人で圧倒的に多い。次いでスペインが87.6人、イランが27.3人、フランスが20.5人。続いてアメリカが3.0人に上昇してきた。日本は0.45人で8位となっている。前週と比べた増加数でも、この順は変わっていない。ただ日本は0.15人の増加、中国は0.03人の増加で7位と8位が入れ替わった。

これらの数字から読み取れることは、まだ感染爆発の渦中にあるのは、イタリア、スペイン、イラン、フランスの4か国。そこへアメリカが近づく気配を見せている。一方、中国は危機を脱したようだ。それにしてもイタリア、スペイン、フランスの現状はすさまじい。専門家が解説しているように、ハグやキスの習慣だけが原因なのだろうか。

中国式の強権による都市封鎖が、効果的らしい。いまイタリアやスペイン、フランスでも、大掛かりな都市封鎖が実行されている。数週間後には、その効果が現われるのだろうか。その半面、アメリカや日本では強権による都市封鎖は実行がかなり困難だ。ある程度の行動規制で、爆発的感染を防げるのかどうか。あと2-3週間で、結果が判明するだろう。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +724.83円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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商品券のバラマキは 愚の骨頂

2020-03-27 07:49:48 | 景気
◇ 消費者心理にうとい政治家の発想だ = コロナ不況対策の主軸として、商品券の配布が急浮上している。なぜ商品券なのかについて、麻生財務相は「現金だと貯金に回されてしまうからだ」と説明した。だが、この理屈は全くおかしい。現金で払うべきところを商品券で払えば、現金が手元に残る。その現金を貯金に回せば、同じではないか。商品券を印刷する分だけ、コストがかかってしまう。

不況対策は、大きく2つに分けられる。1つはイベントや旅行の自粛、学校の休校などで、収入を失った人への緊急支援。この場合は貯金どころではないから、商品券でも現金でもすぐに使うだろう。使う方の身にしてみれば、現金の方が便利なことは明かだ。また、この緊急支援が貯金に回るようなことがあれば、それは配分の対象に問題があったということになるだろう。

もう1つは、本格的な景気対策としての商品券配布。この場合は1人当たり20万円とか30万円と、金額は大きくなる。しかし商品券を使って、残った現金を貯金する構図は同じ。期限付きの商品券でムリに買わせれば、あとの反動が出ることは必至だろう。いずれにしても、イベントの自粛や行動制限が実施されている状態では、個人消費が回復するとは思われない。

では商品券や現金の配布ではなく、減税をしたらどうだろう。しかし所得税や住民税の減税は、所得区分の問題がからんで法律改正に時間がかかる。また非課税世帯には、恩恵が及ばない。残る手段は、消費税の一時ストップのみ。税率をゼロにすれば、21兆円の減税効果がある。低所得層ほど負担感が減るし、だいいち世の中の空気が明るくなるだろう。

       ≪26日の日経平均 = 下げ -882.03円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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壊滅の危機? : 世界の観光産業

2020-03-25 07:56:14 | 景気
◇ 出入国制限で消えた旅行者 = 観光局の集計によると、2月に日本を訪れた外国人観光客は108万5000人。前年に比べて58.3%も減少した。国・地域別にみると、中国からの旅行者は8万7200人で87.9%の減少。ほとんど10分の1に落ち込んでしまった。韓国も14万3900人で79.9%の減少、台湾も22万0400人で44.9%の減少だった。東南アジア諸国のほとんど、アメリカやヨーロッパ諸国からの旅行者も軒並み大きく減少している。

言うまでもなくコロナ肺炎の影響だが、各国がまだ出入国をそれほど強く規制していなかった2月でさえ、このありさま。3月以降は、もっと減少すると覚悟しなければならない。なにしろ日本も中国、韓国、ヨーロッパのほとんどの国、イラン、エジプトからの入国を厳しく規制している。さらに26日からは、アメリカに対しても規制することになった。

そのアメリカやヨーロッパ諸国なども、同様に厳しい入国規制を実施している。だから外国人旅行者の蒸発は日本だけではなく、世界的な現象になっている。UNWTO(国連世界観光機関)によると、19年の国際観光旅行者は総計14億6000万人にのぼった。それが20年にはどこまで減るのか、全く見通せない状況に陥っている。

外国人旅行者の激減で、航空会社・ホテル・外国人向けの飲食店・小売業は、存亡の危機に立たされた。同時に観光収入の減少は、国の財政にも痛手を与える。観光庁の資料によると、GDPに占める観光収入の割合は、日本が1.9%。ところがスペインは10.7%、フランスは3.7%など、依存度が高い国ほど打撃は大きい。特に東南アジアのタイ・台湾・シンガポールなどは、観光収入がなくなると、財政危機に陥りかねない。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +1454.28円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 =下げ≫
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