経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (12)

2020-05-30 07:56:24 | なし
◇ 危ないのはブラジルとアメリカ = 日本時間29日午前0時の集計。アメリカの死亡者数が、ついに10万人を超えた。この3か月間で亡くなった人の数だから、驚くべき事態である。続いてイギリス、イタリアが3万人台。フランス、スペインが2万人台。そこへブラジルが急増して、2万5000人の死亡者を出している。あとはベルギー、ドイツ、イラン、カナダの順。

この1週間の増加数は、アメリカが7030人でまだ多い。それでもブラジル以外は、増加数が前週よりも縮小している。100万人当たりの死亡者数をみると、アメリカは307人、ブラジルは122人と上昇してきた。対照的にアジア各国の比率は極端に小さく、たとえば中国は3.25人、韓国は5.2人、日本は7.05人となっている。

全体的にみて、イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国のコロナ禍はピークを超えたように思われる。代わって最悪期に入ったのがブラジル。まだまだ死亡者は増大しそうだ。これから冬を迎える南半球だけに、近隣のアルゼンチンなどに感染が拡大しないか心配される。

アメリカは意外に早く、第2波の襲来に見舞われそうだ。感染者は170万人を超え、まだ1週間に15万人近く増加している。にもかかわらず、全米50州がすべて行動規制の解除に踏み出した。その結果、半数以上の26州で感染者数が増加し始めた。この第2波が第1波程度の大きさになると、アメリカはまた同じ悲劇を繰り返すことになる。とても危ない。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -38.42円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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みんなで借りれば 怖くない!? (下)

2020-05-29 08:12:45 | 景気
◇ 安全性が確認できれば不況はなくなる? = かつてヘリコプター・マネー理論やMMTは、有識者からその弊害を指摘されて敗退した。指摘された弊害は、大別すると3つ。まずコントロール不能のインフレを巻き起こす危険。次に国債価格の急落を招き、長期金利が急騰する危険。そして国家に対する信任が低下し、通貨が暴落する危険である。だから新しい理論は「誤りだ」と断定された。

たしかに従来の経済学では、通貨の供給が増えれば物価は上昇することが常識だった。だがMMTを信奉するアメリカの経済学者はこう言った――「日本では日銀が国債を購入して大量の通貨を供給しているが、デフレだ」と。しかし「なぜ、そうなのか」は、まだ解明されていない。したがって、こういう政策を長く続けてもインフレにならないという保証もない。

国債を大量に発行すれば、価格は下がる。しかし中央銀行が買い取ってしまえば、価格はむしろ上昇する。この点も、日本が実証した。為替相場の下落は、一国だけが国債を大量発行すれば起こるだろう。だが主要国が一斉に大量の国債を発行すれば、起こりにくいのではないか。つまり「みんなで借りれば怖くない」わけだ。

もし政府が国債を大量に発行しても、中央銀行が直接引き受けてしまえば弊害はない。このことが証明されれば、世界は大変わりするだろう。政府はいくらでも景気対策を打ち出せるから、景気後退や不況はなくなる。コロナはそれを検証する機会を与えてくれたのかもしれない。いま医療関係者は文字通り懸命の努力を続けている。経済学者はポカンとしていていいのだろうか。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +497.08円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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みんなで借りれば 怖くない!? (中)

2020-05-28 08:07:40 | 景気
◇ 受け入れられなかった経済理論 = ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のフリードマン教授が、1960年代に提唱した「ヘリコプター・マネー」学説。政府が発行する国債を中央銀行が引き受ければ、ヘリコプターからおカネをバラまくように、いくらでも景気対策を拡大できるという理論だ。この学説は2016年になって、アメリカを中心に大々的な議論を呼んだ。また昨年は同じような趣旨のMMT(現代金融理論)が、アメリカ議会で検討されている。

いずれも政府の財政赤字が積み上がり、景気対策の原資にもコト欠くようになったことから議論された。しかし結果は惨憺たるもの。多くの有識者は「非現実的な理論だ」と、一蹴した。たとえば昨年のアメリカ議会では、パウエルFRB議長も「この理論は誤りだ」と明確に証言している。こうして、これらの学説は葬り去られたかのようにみえた。

ところがコロナ不況に見舞われた現在、アメリカも日本もヨーロッパ主要国も、みな撃墜されたはずのヘリコプターに乗っている。中央銀行が政府の国債を買い入れ、そのカネで景気対策を実施する。あの財政規律にやかましかったドイツのメルケル首相でさえも、いまや同乗者になった。コロナ不況を克服するためには、ほかに手段がなかったからである。

こうして現在までにアメリカは6兆ドル(約660兆円)、ドイツは7600億ユーロ(約88兆円)、日本も約40兆円のコロナ対策費を捻出した。支出は今後さらに増える見込みだ。こうした膨大な財政支出について、いま批判の声を挙げる人はいない。仕方がないと考えるしかないのだろう。しかし結果的に、重大な副作用はないのだろうか。

                             (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 上げ +148.06円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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みんなで借りれば 怖くない!? (上)

2020-05-27 07:58:42 | 景気
◇ 麻生財務相と黒田日銀総裁の“密約” = 政府は緊急事態宣言が全面的に解除されたのを機に、追加のコロナ対策を盛り込んだ20年度第2次補正予算案を編成、国会に提出する。店舗の休業などでバイト先を失った学生への生活支援、中小企業への家賃補助、雇用調整給付金の増額などが中心。財政支出の規模は30兆円前後になるとみられている。

コロナ対策のための第1次補正予算は、すでに成立している。全国民への10万円給付を中心に、財政支出の総額は25兆6914億円だった。第2次補正予算と合計すれば、20年度の補正予算額はなんと55兆円。本予算の5割を超える。さらに第3次補正の可能性も小さくはない。政府はこれらの財源を、すべて国債の新規発行で賄う方針。

麻生財務相と黒田日銀総裁が22日、都内で会談した。そのあと発表された共同談話では「コロナ感染の拡大に対応するため、政府と日銀は一体となって取り組む」姿勢を強調している。だが、そんなことは当たり前で、いまさら強調する意味はない。ここでは政府が新たに発行する55兆円もの国債を、どうやって日銀が引き受けるか。その方法論を確認したに違いない。

新規国債をすべて市場で売り出せば、国債価格は暴落し、長期金利が高騰する危険がある。と言って国債の大半を日銀が直接引き受ければ、どういう弊害があるのか。日銀はすでに495兆円の国債を、市場から買い入れ保有している。このうえ55兆円を一挙に買い増せば、市場は混乱するかもしれない。財務相と総裁は、直接引き受けの方向で話し合ったのではないか。

                            (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +529.52円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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好調ナスダックの 秘密

2020-05-26 07:55:30 | 株価
◇ ITの巨大企業がそろって上場 = アメリカでは大恐慌並みの失業者が出ているのに、株価は下がらない。とりわけ元気なのがナスダック市場だ。先週末の株価指数は9325ポイント。あと410ポイント上昇すれば、2月に作った史上最高値を更新する。どうして、こんなに強いのか。その原因を探ってみた。

ナスダック市場は1971年に、ベンチャー向けの株式市場として設立された。そのときの指数を100としているから、現在は93倍にも上昇しているわけだ。約3000社が上場しているが、その大半はIT企業。なかでも数社は巨大企業に成長した。たとえば頭文字をとってGAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。この4社の時価総額は、合計するとイギリスのGDPを上回っている。

IT企業の多くは、今回のコロナ騒ぎの被害を受けていない。逆に遠隔通信や通信販売の増加が、経営的には追い風となっているところが多い。このため株価は上がり、ナスダック指数を押し上げた。一方、コロナ蔓延で減益となった企業も少なくない。それだけ投資対象が減ったわけで、その分の資金がIT関連に集中したことも見逃せない。

しかし市場には、高値警戒感も出始めている。なにしろナスダック全体のPER(株価収益率)は、先週末で41.68倍にも達しているからだ。このカベを突き破って、指数が史上最高値を更新できるかどうか。市場はいま最大の関心を寄せている。ナスダックが新天地を切り拓けば、ダウ平均も勢いづく。そうなれば日経平均も、引っ張り上げられるだろう。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +353.49円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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