経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

植田・次期日銀総裁の 本心

2023-02-28 07:45:02 | 日銀
◇ 「サプライズになることも」と予告? = 植田和男・次期日銀総裁は先週24日、国会で所信を表明した。そのなかで植田氏は「いま日銀が行っている金融政策は適切だ」「金融緩和政策は継続する」などと発言。また質問に答えて「物価2%上昇を目標とする政府との共同声明を見直す必要はない」と言明した。要するに現在の路線をそのまま継承するという内容。市場はこれに安心して、日経平均はこの日350円の上昇となった。

だが植田氏は4月8日に、日銀総裁に就任する予定。いまの段階で、仮に「金融政策を変更する」などと言ったら大騒ぎになる。安全運転に徹するだろうことは、見え見えだった。それでもこの日の植田発言をよくみると、気になる点がいくつかある。たとえば「大規模な緩和はさまざまな副作用を生んでいる」という発言。だから「緩和政策は是正する必要がある」という言葉を飲み込んでしまったようにも受け取れる。

長短金利を政策的に規制するイールドカーブ・コントロールについては、対象を「10年よりもっと短いところにするやり方もある」と具体策に触れた。たとえば2-5年もの国債を買い入れて金利を下げる代わりに、10年もの国債の買い入れは減らして金利のある程度の上昇は認める。植田氏がそう考えているかどうかは判らないが、それに近い政策が頭のなかにあることは確かだろう。

もう1つ気になったのは「時と場合によって、サプライズになることも避けられない」という発言。「情報発信に努力するけれども場合によっては」という意味にもとれるが、「政策の効果を高めるためにはサプライズも必要」と考えているようにも解釈できる。もしそうだとすれば、春のうちにもサプライズがあるのかもしれない。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -29.52円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2023-02-27 08:10:54 | 株価
◇ 業績の悪化だけは無視できない = ダウ平均は先週1010ドルの値下がり。終り値は3万3000ドルを割り込んだ。特に21日は700ドル近くの大幅な下げ。サービス業の業況指数が8か月ぶりに50を上回ったことで、FRBの金融引き締めが長引くという見方が強まった。さらに昨年10-12月期の決算で、企業業績が9四半期ぶりに減益となることが判明。反発力も失われた。

日経平均は先週60円の値下がり。終り値では2万7500円を割り込んだ。相変わらず下値拾いの買い物が入り、株価は大きくは下がらない。特に24日は、植田次期日銀総裁が国会で所信を表明。「当面は緩和政策を続ける」と述べたことから、株価は350円も上昇した。ただアメリカと同様、日本の企業業績も悪化したため、株価は上値を抑え付けられた形。

ニューヨーク市場はこれまで豊富すぎる資金を背景に、景気の下降を示唆する指標が現われても無視してきた。たとえば住宅や景況指数などが悪化しても、FRBの引き締めが緩和される期待にすり替えてきたと言える。だが企業業績の悪化は株価そのものに直結するだけに、無視はできない。ただし利益水準はまだ高いから、株価が大きく下がることはない。問題は業績の悪化がさらに進行するかどうか。最大の関心事は、業績見通しに移ってきたと言えるだろう。

今週は28日に、1月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、2月の新車販売。2日に、10-12月期の法人企業統計。3日に、2月の東京都区部・消費者物価、1月の労働力調査。アメリカでは27日に、1月の中古住宅販売。28日に、12月のFHFA住宅価格指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、2月のISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。また中国が1日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (151)

2023-02-25 08:00:22 | なし
◇ なぜコロナはひとりでに増減するのだろう? = 世界の感染者は累計6億7513万人、この1週間で90万人増加した。増加数は4週連続で過去最少を更新している。死亡者は679万1377人、週間7245人の増加だった。この増加数は昨年10月中旬の7711人を下回り、過去最少。感染者、死亡者ともに、増加数が過去最少になったのは初めてのこと。パンデミックは明かに勢いを失いつつある。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計111万8763人。この1週間で3125人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。このうちアメリカ、ブラジル、ロシア、フランスの増加数がやや拡大した。

日本の感染者は累計3317万9351人、この1週間で10万9860人増加した。この増加数は前週より5万0837人少ない。6週連続で縮小している。最近のピークだった1月上旬の123万人に比べると、10分の1以下に減っている。死亡者は7万2165人、この1週間で674人増加した。増加数は5週連続で縮小。‟第8波”は完全に収束しつつある。

世界でも日本でも、コロナは収束に向かっている。だが日本の場合をみても、行動規制は解除。ワクチン接種者が急増したわけでもないのに、なぜ収束に向かったのだろう。新しい変異株が現われなければ、このままコロナは消滅するのだろうか。それとも一定の水準まで減ると、再び増加に転じるのだろうか。専門家の見解を聞きたいものである。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +349.16円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     
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売り上げ増でも 利益は7%減

2023-02-24 07:34:13 | 利益
◇ 昨年4-12月期の上場企業 = 日経新聞は決算発表を終えた上場1158社について、昨年4-12月期の売り上げと利益を集計した。それによると、売上高は前年比19%の増加だったが、純利益は7.3%の減少となっている。値上げなどで売り上げは伸びたものの、燃料や原材料の高騰で利益は減少してしまった。31業種のうち19業種が減益または赤字に陥っている。

業種別にみると、製造業は売り上げが17.7%増加したのに、純利益は5.8%の減少だった。パルプ・紙、石油、繊維、非鉄、食品などの業種が減益となっている。また非製造業は売り上げが5.3%の減少、純利益は8.7%の減少だった。通信、銀行の減益率が大きく、電力は赤字に転落した。通信の減益はソフトバンクの不調によるところが大きい。

ことし1-3月期の業績はコロナ規制の解除や外国人旅行客の増加で、やや改善する見込み。その結果、3月期決算では製造業が1.7%の減益に対して、非製造業は12.4%の増益になる見通し。金融を含む全産業では、2.2%の増益が見込まれている。かろうじて増益を維持しそうだが、その幅は数か月前の予想に比べると、大きく縮小した。

平均してみると、日本企業の利益水準はまだ高い。したがって、増益率の縮小をそれほど心配する必要はない。だが株価にとっては、やはり重石になるだろう。また賃上げに対して、マイナス要因となることも確か。中小企業も含めて考えると、物価上昇を上回るような賃上げが実現するとは思えない。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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おカネが 減り始めた! / アメリカ (下)

2023-02-22 07:51:54 | おカネ
◇ 日本経済への影響は未知数 = FRBは昨年3月、インフレ抑制のための金融引き締め政策に踏み切り、政策金利を引き上げ始めた。さらに5月からは量的引き締めを開始、毎月950億ドルの国債と住宅ローン担保証券を市場に売り戻している。その結果、これまでの推移をみると、通貨の流通量は毎月800億ドルほどのペースで減り続けている。

いまニューヨーク市場では、FRBの利上げテンポが今後どうなるかに最大の関心が寄せられている。大方の見方は「ことし前半に0.25%の利上げが2回、あとは年末まで多くても1回の利上げ」というもの。しかし利上げのテンポは緩んでも、量的引き締めについての情報は乏しい。市場としては、量的引き締めに関するFRBの方針にも注目せざるをえなくなった。

通貨流通量の収縮は、ヨーロッパでも始まっている。ユーロ圏のM2は昨年12月、前月比で0.4%減少。ECB(ヨーロッパ中央銀行)による金融引き締めの影響が、明白に出始めた。またOECD(経済協力開発機構)の集計でも、加盟国のM1(現金・預金など)が昨年11月から減少し始めたという。

こうした世界的な通貨流通量の減少が日本経済に及ぼす影響は、予測が困難だ。たとえば円相場に与える影響だけをみても、アメリカの物価上昇が鈍化すればドル高につながると考えられる。だが、その一方で低金利の資金調達が可能なのは日本だけに。すると円に対する需要が高まって円相場は上がるとも想定できる。このように予測は困難だが、いずれにしても大きな影響を受けることは避けられないだろう。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -368.78円≫

        
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