経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人手不足でも 賃金下がる 怪!

2017-05-31 08:05:59 | 賃金
◇ ナゾを放置する政府 = 総務省は30日、4月の労働力調査を発表した。それによると、雇用者数は5757万人で前年比57万人の増加。失業者は197万人で28万人減少した。雇用者の増加は52か月連続、失業者の減少は83か月連続である。また厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率は1.48倍で、43年ぶりの高さとなっている。人手不足は、全く和らぐ気配さえない。

総務省は同じ日、4月の家計調査も発表した。それによると、2人以上世帯の消費支出は29万5929円。実質値は前年比で1.4%減少した。減少は昨年3月から14か月の連続となっている。また勤労者世帯の実収入は47万2047円で、前年比では1.7%減少した。こちらは小幅な増減を繰り返しているが、1-4月の通算では1.9%の減少となっている。

人手が不足すれば、ふつうは賃金が上昇するはず。だが現実はそうならない。考えられることは、新たに雇用された人は非正規での採用が多く、賃金水準が低い。また正規の雇用者も団塊の世代が定年で退職し、全体の平均年齢が下がっていることなど。しかし労働力調査は雇用だけを調査し、家計調査は収入と支出だけを調べているから、両方の関連性は明らかにならない。

賃金が上がらなければ、消費支出は増えない。すると安倍首相の言う「経済の好循環」は始まらない。政府は首相の意向を“忖度”して、この関連性について、もっと研究すべきではないか。とにかく同じ総務省が集計している労働力調査と家計調査が、全くそっぽを向いている現状は直ちに改めてほしいものだ。

      ≪30日の日経平均 = 下げ -4.72円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ


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歓迎すべき G7の“亀裂”

2017-05-30 06:55:08 | G7
◇ 本音の出し合いはむしろ進化 = イタリアのシチリア島で開いたG7(先進7か国)首脳会議が27日、共同宣言を採択して閉幕した。共同宣言の骨子は①テロ防止で結束②北朝鮮を最優先事項と位置づけ③自由貿易の重要性を認識、保護主義と闘う④温暖化防止に関するパリ協定については、アメリカの見直し作業を理解する--など。テロ対策や北朝鮮問題では一致したが、貿易や温暖化防止では不協和音が発生した。

というのも、貿易問題ではトランプ米大統領が各国に対して「アメリカ並みの関税引き下げ」を強く要求。またパリ協定についても態度を留保したためである。にもかかわらず共同宣言で「保護主義と闘う」と明記されたのは、各国首脳がアメリカの主張を互恵主義と拡大解釈したためだろう。苦しい妥協の産物だったことは否定できない。

このため日本の新聞各紙は「薄氷を踏む合意」とか「玉虫色の決着」とか書いて、G7の影響力が低下したと解説している。そもそもG7は、1973年の石油ショック対策で協力するために作られた組織。それから44年もたって色あせてきた感じは免れない。しだいに慣れが生じ、事務方が事前の折衝で合意できる問題だけを議題に載せる傾向が強まっていた。

それがトランプ大統領の登場で一変した。トランプ流の本音が、会議を掻き乱したわけである。だが本来、G7は先進国の首脳や財務相が本音をぶつけ合う場のはず。それによって、各国首脳がそれぞれの考え方を理解することに最大の意義がある。こういう見方からすれば、今回のG7会議の“亀裂”はむしろ歓迎すべきことだと思う。

      ≪29日の日経平均 = 下げ -4.27円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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今週のポイント

2017-05-29 06:52:42 | 株価
◇ ダウは新高値を目指す = 自爆テロの暗いニュースに明け暮れた一週間だったが、そんななかでもダウ平均は週間275ドルの値上がり。終り値でも2万1000ドル台を確保した。過去2回は大台の維持に失敗したが、今週は3度目の正直に向かって挑戦。さらにあと35ドルに迫った史上最高値を目指す。日経平均も先週は96円の値上がり。だが東京市場は見送り気分が強く、2万円台に突き進む元気はない。

ニューヨーク市場では、6月の利上げ説が常識になっている。4月のGDP成長率が上方修正されたため、この常識は確信に近いものとなった。しかし市場は完全に織り込んでおり、場況にはあまり響いていない。長期的にはアメリカ経済の拡大が続き、企業の好業績が維持される証拠だと好感されている。

FRBが6月に政策金利を引き上げれば、ドル高・円安になるという期待は裏切られた。為替市場でも利上げは完全に織り込み済みで、円の対ドル相場は自爆テロの影響などでむしろ上昇した。東京市場が元気をなくしているのは、このためかもしれない。しかし日本企業の業績も絶好調の水準。もう少し元気が出ても、おかしくはない。

今週は30日に、4月の労働力調査と家計調査。31日に、4月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、1-3月期の法人企業統計と5月の新車販売台数。2日に、5月の消費動向調査。アメリカでは30日に、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。31日に、4月の中古住宅販売。1日に、5月のISM製造業景況指数と新車販売台数。2日に、5月の雇用統計と4月の貿易統計。また中国が3日に、5月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑧

2017-05-27 07:41:16 | 
◇ 地下水が枯渇する恐れ = いま世界中の専門家がいちばん心配しているのは、地下水が枯渇してしまうこと。雨水や雪解け水が地面に浸み込み、帯水層にたまった水が地下水だ。その地下水を人間が汲み上げて使っている。人口の増加とともに汲み上げる水量も多くなるから、世界中の多くの地域で地下水は減少する傾向にあるわけだ。

カナダやオランダの研究チームが12年に、783か所の帯水層を調査した。その結果、たとえばガンジス川の上流域では補給量の54倍もの地下水が汲み上げられていた。また黄河の流域では、この比率が7.8倍。関東平野は1.2倍、大阪平野は1.9倍という結果が出ている。世界全体の平均でみても、補給量の3.5倍の水が汲み上げられていた。

国土交通省の推計によると、日本は年間約92億立方メートルの地下水を使用している。その内訳は生活用水が28.4%、工業用水が28.3%とほぼ同じ。農業用水が25.6%など。全体の使用量は減少する傾向にある。特に工業用水は、この40年間に3分の2にまで減った。再利用の技術が進んだからである。

世界的にみると、地下水は汲み上げ量の増加で減少している。とりわけ南アジアでは、その傾向が強い。ただ日本の場合は人口が減ることもあって、使用量が増加する心配はそれほど大きくない。むしろ地下の水源量は、降雨量や降雪量によって左右されることになりそうだ。

                                   (続きは来週サタデー)

      ≪26日の日経平均 = 下げ -126.29円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

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まだフランスの 3分の1 : 外国人客数

2017-05-26 07:46:29 | 外国人
◇ 韓国人が中国人を上回る = 観光局の集計によると、4月の訪日外国人客数は257万8900人で、単月としての過去最高記録を更新した。1-4月の累計では911万6000人、前年を16.4%上回っている。一時の中国人による“爆買い”は影を潜め、花見や登山などの“体験型”が増えている。この結果、1人当たりの消費支出は減少しているが、旅行客数の増加で全体としての消費額は低下していない。

訪問客を国別にみると、1-4月の合計では韓国が227万人でトップ。次いで中国が218万人、台湾が145万人と続いている。16年は中国が韓国を大きく引き離していたが、ことしは韓国がやや優勢。いま日中関係よりも日韓関係の方が難しい局面を迎えているが、訪日する人数にはほとんど影響していない。

外国人客数は、5月13日時点で1000万人に達したという推計も出ている。この調子だと、ことしは2700万人にのぼるという予想もある。16年の総数は2404万人だったから、ことしも2ケタの伸び率になりそうだ。政府が目標としている「20年に4000万人」も、どうやら視野に入ってきた。

こうみてくると「日本も観光大国になった」と思われがちだが、世界は広い。15年の統計でトップのフランスは8445万人。仮に訪日客数が4000万人になったとしても、15年の番付に入れるとまだ第6位。中国やイタリアにも及ばない。ただ、それだけ糊代は大きいわけだから、オリンピック後も見据えた観光戦略をじっくりと進めて行こう。

      ≪25日の日経平均 = 上げ +70.15円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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