経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

もっと貪欲に! 次世代技術の開発 (下)

2022-11-17 07:57:32 | 資源
◇ あと3つ、新会社を設立しよう = 次世代技術の開発が重要なのは、半導体に限ったことではない。その第1は蓄電池。言うまでもなくEV(電気自動車)や太陽光発電の効率化には欠かせない。いま普及しているリチウムイオン電池は日本が最初に実用化したが、普及段階で中国と韓国に負けてしまった。次世代型の全固定電池はいまのところ日本がリードしているが、新会社を作って民間の力を結集。政府が強力に支援しないと、リチウム電池の二の舞になりかねない。

その第2は太陽光発電パネル。次世代型としては、有機薄膜型とペロブスカイト型がきわめて有力だ。このうちペロブスカイト型は、日本人の発明。ともに印刷技術を利用して原料を重ね塗りする。軽量で曲げることができ、ビルの壁面や車両の屋根など、どこにでも張り付けられる。まだ発電効率の低いことが欠点だが、技術的には効率を上げるメドが付いている。日本では25年の実用化を目指しているが、ドイツとスウェーデンが先行することになるらしい。

その第3は海底資源の開発。まず小笠原諸島の南鳥島沖で見つかったレアアース泥。日本の消費量の数百年分もあるという。いま日本はレアアースのすべてを輸入に頼っている。政府は5年後の回収を目指しているが、それでは遅すぎる。また日本近海の各所で発見されたメタン・ハイドレード。18年度をメドに商用化を目指していたが、いまだに成功していない。

半導体だけではなく、さらに3つの新会社を設立して、政府が積極的に支援する。その結果、日本の次世代技術が世界をリードするようになれば、日本は再び成長する国になる。財源は国債発行に頼っていい。成功すれば、蓄電池や薄型太陽光パネルの輸出が激増したり、レアアースや原油の輸入を劇的に減らせる。十分に元がとれるはずだ。そして日本の企業や国民が、将来への夢を持てるようになる。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +38.13円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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成功例がない 海底資源の採掘

2022-11-04 07:26:11 | 資源
◇ 優先順位をつけて補助金をたっぷり = 政府は小笠原諸島・南鳥島沖の水深6000メートルの海底で確認されているレアアース泥の採掘に乗り出す。いま編成中の補正予算に必要経費を計上、5年以内の試掘を目指す--読売新聞が31日の朝刊で、こう報じた。レアアースはスマホやパソコン、EV(電気自動車)などの生産には欠かせない原料。いまは中国や南米からの輸入に頼っており、成功すれば万々歳ということになる。

日本は領海とEEZ(排他的経済水域)を含めれば、世界第6位の海洋国。これまでも金・銀・銅やレアメタルを含んだ熱水鉱床、天然ガス、それにメタン・ハイドレードなど、貴重な資源の存在が確認されている。ここ5年ほどの新聞をめくってみても、そんな記事が10件以上も掲載された。しかし実際に採掘が始まったという報道は、まだ1件もない。

たとえばメタン・ハイドレードは、シャーベット状になった天然ガス。いくつかの海域で発見され、日本の需要を100年以上も賄えるほどの分量。金額にすると120兆円に相当する。これが採掘できれば、日本はエネルギーを輸入に頼らなくて済む。しかも採掘技術はほぼ完成している。それなのに事業化できないのは、コストが高く採算がとれないからだという。

岸田内閣はお得意の補助金を、こういうところに使うべきだ。最も有望な事案に5兆円ぐらいを投入、2年後には採掘を開始する。財源は国債発行に頼っても、原油や資源の輸入量が減れば十分に元がとれる。成功例がいくつも出てくれば、日本経済は活気を取り戻す。目先の物価対策もいいが、国民はこうした将来を見据えた政策を期待している。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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5円玉 貯めたら儲かるかしら?

2022-06-03 07:35:14 | 資源
◇ 資源の高騰で実質価値が急上昇 = 黄色い5円玉。いま約100億枚が流通しているのだそうだ。その材料は黄銅、銅と亜鉛の合金である。1枚が3.75グラムの5円玉のなかには、銅が平均2.44グラム含まれている。その銅や亜鉛の値段が急騰中。EV(電気自動車)や電線の需要増に加えて、ウクライナ戦争の影響でロシアからの輸出が減少すると見込まれているためだ。

ロンドン金属取引所の銅先物価格は、3月に1トン=1万0800ドル台の史上最高値を付けた。つれて日本国内の建値も4月下旬に、1トン=137万円の新高値を記録している。過去2年間で2.3倍も値上がりした。亜鉛も高値を更新している。この結果、5円玉の金属としての価値は額面の84%に上昇した。

専門家によると、銅の需給はこれからも逼迫し、価格は上昇を続けるという。そして国内の建値が1トン=205万円に達すると、5円玉の実質価値が額面を超える。さらに専門家は「50年後には、これらの金属がレアメタルになる」とも指摘した。--日経新聞が載せた記事である。

この記事を読んで「5円玉を貯めたら儲かるかも」と考えた人がいるかもしれない。たしかに仮に5円玉の実質価値が6円になれば、2割の儲けになる。だが、そこで1000万円を儲けるには、5円玉を1000万枚貯めなければならない。つまり5000万円の元手が必要になる。だから、この記事は現在の資源インフレを実感させてはくれるが、貧乏人の財テクには役立たない。

        ≪2日の日経平均 = 下げ -44.01円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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レアメタル争奪戦に 勝てるのか?

2021-04-07 07:47:06 | 資源
◇ 米中経済戦争のとばっちり = レアメタルの熾烈な争奪戦が始まった。まず中国政府が1月に「レアアースの管理を強化する条例」を発表、採掘から精製・輸出に至るまでを政府の管理下に置く体制を整えた。アメリカとの経済戦争を意識した措置で、これで政府はいつでも輸出を規制することが出来るようになった。これを受けてバイデン大統領は2月、レアアース供給網の強化を指示。この問題は、近く実現する日米首脳会談でも議題にのぼるようだ。

レアメタルというのは、ニッケルやコバルトなど流通量が少ない金属31種類の総称。EV(電気自動車)やハイテク製品の生産には欠かせない。レアアースはレアメタルの一部で、希土類と呼ばれる17種類。鉄などの金属に少量を混ぜるだけで、強度や磁性が増す“産業のビタミン剤”。これもEVやスマホなどの生産には不可欠だ。そしてレアアースの生産は、中国が世界の58%を占めている。

日本はレアアースを含むレアメタルのすべてを、輸入に頼っている。2010年には尖閣諸島周辺で起きた漁船衝突事件がきっかけで、中国が日本向けレアアースの輸出を制限したことがある。そこで輸入先をブラジルやオーストラリアなどに広げようとしたが、現実にはほとんど進展なし。ただ漁船の衝突事件などは一過性のものだったが、今回は米中の対立が原因で短期的に解決する問題ではない。米中両国によるアフリカや中南米での獲得競争も激化するだろう。

対策としては、レアメタルを使わない生産技術の開発。海底資源の実用化。廃棄される電子機器からの回収・再利用など、いろいろある。最近も政府は、南鳥島の海域での採掘商業化や再利用の拠点作りなど、対応策を考えているようだ。しかし、これらは何度も試みたことの繰り返し。いずれも挫折している。こんどこそは成功させないと、日本の先端工業は原材料を失うことになりかねない。政府はそれだけの危機感を持っているのだろうか。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -392.62円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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金・銀・銅メダルの素材 集まる (下)

2019-03-23 08:25:36 | 資源
◇ 都市鉱山の開発をどう続けるか = 日本の都市鉱山は、世界最大だと言われる。その推定値は金が6800トン、銀が6万トン、銅が3800万トン。これだけあれば、世界全体の3年分の需要を満たせるというから相当な量だ。本物の鉱山の埋蔵量と比べても、金は16%、銀は22%に匹敵する。しかも本物の鉱山と違って、都市鉱山は年が経つにつれて埋蔵量が増えて行くのだから凄い。

廃棄家電から貴金属や重金属を取り出す技術も、急速に進歩している。だが不要になった家電が大量に集められなければ、金属は取り出せない。いま最もネックになっているのが、この回収問題である。たとえばオリンピックのメダル用に集められた家電は、総計4万8000トンだった。ところが日本で廃棄される家電の総量は、年間65万トンにのぼると推計されている。

つまりメダル製造のためのキャンペーンを展開しても、推定廃棄量の10分の1も集まらなかったことになる。仮に廃棄家電をすべて回収できたとすると、28万トンの金属が抽出され、その価格は844億円になるという試算もあるくらいだ。オリンピック用の収集キャンペーンが終了すると、廃棄家電の回収は下火になってしまうのではないか。

オリンピック用の収集キャンペーンでは、自治体や学校、家電販売店などが回収用の箱を置いたり、ポスターを張るなど積極的に協力した。その組織を消滅させてしまうのは、もったいない。たとえば家電回収の目的を「病院や学校の完全耐震化」に切り替えて、収集活動を続けたらどうか。その音頭取りは、政府がやるしかない。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +18.42円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝3敗】   
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