経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

景気を良くする 最善の方策 (上)

2021-06-30 07:13:04 | 景気
◇ 個人の将来不安を軽減する = 日銀は25日、ことし1-3月期の資金循環統計を発表した。それによると、個人の金融資産は3月末時点で1946兆円。前年比で7.1%増加した。この1年間での株高と、コロナによる巣ごもりで消費が抑制されたことを反映している。このうちの半分以上、1056兆円が現金と預金。1年間で50兆円以上も増えた。なぜ、こんなに現預金の保有高が増えるのだろう。

金融資産の内訳をみると、株式は195兆円で前年比32.1%の増加。投資信託は84兆円で33.9%の増加だった。また預金は956兆円で5.5%の増加、現金は100兆円で6.0%の増加だった。この現預金の増加には、1人当たり10万円の現金給付も貢献している。それにしても、人々はなぜ現金を手元に置きたがるのだろうか。

専門家は「多くの個人が将来の生活に不安を持っているため」と分析している。また現金の保有が増えているのは、金融機関に預金しても利子が付かないためだろう。この結果、株式投資で儲けた一部の人が高額商品を購入する一方で、多くの個人は節約に走るという消費の二元化現象を生じている。

仮に定期預金をしたら、年3%の利子を受け取れるとしよう。すると個人は全体として、年間およそ30兆円の利子を得ることが出来る。こういう状況が続けば、賃金が上がらない若い人、あるいは特に医療費や介護保険料が上がる一方で年金の受取額が下がる傾向にある高齢者も、不安感が軽減するだろう。すると年間10-20兆円の消費支出が増えて、安定した景気の拡大要因になると期待できる。その方策を妨げているのは、言うまでもなくゼロ金利・マイナス金利政策だ。

                       (続きは明日)
     
        ≪29日の日経平均 = 下げ -235.41円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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FRBのマジック 投資家を洗脳

2021-06-29 07:57:38 | 株価
◇ 利上げへの警戒感を和らげる = アメリカの中央銀行であるFRB。まるでマジックのような手を使って、投資家の利上げに対する警戒心を取り払った。このため先週のニューヨーク市場では株価が急騰、ダウ平均は1144ドルも上昇した。FRBは投資家を洗脳するために、どんな手法を使ったのか。このマジック効果は、いつまで持続するのだろうか。

FRBが最初に切ったカードは、16日に開いた政策決定会合FOMCのあとだった。FOMCの委員18人に利上げの時期について聞いたところ「13人が23年中」と答えたという会合の内容を公表したのである。3か月前の同様の調査では「24年中」の回答が多かったから、市場は「利上げの時期が1年早まった」と受け取り、株価は急落した。

そのあとFOMCの委員でもあるセントルイス連銀総裁やダラス連銀総裁が「インフレ傾向が強まれば、利上げは22年中にも」などと演説。投資家は「7月にも引き締めか」と、利上げに対する警戒感を強めて行く。こういう環境を作っておいて、こんどはパウエル議長が22日に議会で証言。まず「インフレの心配は全くない」と強調、さらに「秋になれば力強い雇用創出が見られる」と、景気の回復を予想した。つまり金融緩和政策の見直しは秋になってからと、間接的に示唆したわけでもある。

これで投資家の多くはすっかり安心、株価も上昇した。しかし、よく考えてみると「22年中の利上げ」が否定されたわけではない。FRBはうんと脅かしておいて「それほど怖くはないよ」と言っただけだ。それでも市場は安心して、当分の間は警戒心を弱めそうだ。したがって、ダウ平均の史上最高値更新も可能性はあると予想するが、はたしてどうか。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -18.16円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2021-06-28 07:20:52 | 株価
◇ FRB議長の議会証言が奏功 = ダウ平均は先週1144ドルの大幅高となった。終り値は3万4434ドルで、過去最高値まであと350ドルに迫っている。株価を押し上げた最大の要因は、パウエルFRB議長による議会での証言。下院の小委員会で「インフレが進行する可能性は非常に、非常に小さい」と強調、さらに「秋には力強い雇用創出を見られるだろう」と発言した。金融緩和政策の縮小は“秋になる”と示唆したわけである。市場はこれで一安心した。

ニューヨーク市場は先週、金融面だけではなく財政面からも支援された。バイデン大統領は24日、上院の超党派議員団と「8年で総額1兆2000億ドル(約130兆円)のインフラ予算」について合意した。当初の2兆ドルからはかなり縮小されたが、財源となる法人増税も盛り込まれなかった。ウオール街としては、満足すべき結果に収まったと言えるだろう。

日経平均は先週102円の値上がりにとどまった。ニューヨークの活況はプラス要素だったが、国内では好材料が見当たらない。オリンピックを目前に東京・大阪などの緊急事態宣言を解除したのはいいが、早くもコロナのリバウンドが心配される始末。ワクチンの接種率も、まだ20%に満たない。元気が出ないから、円安傾向も無視された。

今週は29日に、5月の労働力調査と商業動態統計。30日に、5月の鉱工業生産と住宅着工戸数、6月の消費動向調査。1日に、6月の日銀短観、新車販売台数。アメリカでは29日に、4月のFHFA住宅価格、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、5月の中古住宅販売。1日に、6月のISM製造業景況指数。2日に、6月の雇用統計と5月の貿易統計。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (67)

2021-06-26 07:24:51 | なし
◇ インド株を拡散させる3つの条件 = 世界の感染者数は累計1億7960万人、前週より256万人増えた。死亡者数は389万1974人で5万8899人の増加。感染者も死亡者も増勢はやや鈍化している。特徴的なのはロシアや中南米、それに東南アジアで感染者が増えていること。またワクチンの接種が進んで鎮静化したイギリス・アメリカ・イスラエルなどで、インド型変異ウイルスの伝染が広まっていること。

国別に死亡者数の累計をみると、アメリカが60万人、ブラジルが50万人を突破した。次いでインドが39万人台、メキシコが23万人台。さらにロシア・イギリス・イタリアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台、イランが8万人台の順となっている。アメリカはこの1週間で2181人、イギリスは101人の増加で、ともに落ち着いた傾向が続いた。

ところがワクチンの接種が進んだこの両国で、再び感染者が増え始めている。両国ともに、この1週間では8万人の増加だった。原因はインド型変異ウイルスが浸透したこと。専門家はインド型が拡散した条件として、①ウイルスの感染力が強い②ワクチン接種率の伸び悩み③拙速な規制解除――の3点を挙げている。

日本の感染者は累計79万0991人。前週より1万0173人増えた。死亡者は1万4605人で274人の増加。前週に比べると、感染者の増加数は692人、死亡者は131人減少した。ただ、この状態で緊急事態宣言を解除し、オリンピックが開催される。どうやら専門家が指摘する3条件が、ぴったり揃っているように思われるのだが。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +190.95円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

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日銀の 余計なおせっかい

2021-06-25 07:38:21 | 金融
◇ もっと有益なことにカネを使え = アメリカの金融緩和政策が終わりに近づいたことから、世界の株価が大幅に下落した。日経平均も、今週21日は873円の大幅安。一時は1000円を超えて下落したが、引け際には反発した。この場面で日銀は市場に介入、ETF(上場投資信託)を701億円買っている。日銀のETF購入は、4月になってから2度目。

株価が朝から急落した場合、引け際には反発することがよくある。あくる日の反発を見込んだ投資家が、安値で買いを入れるからだ。その強さによって、翌日の値動きを判断する投資家も多い。ところが日銀が買いに出ると、この判断がしにくくなる。日銀の介入がなかったら、値動きはどうなっていたかを想像するしかない。要するに日銀が、市場の自由な価格形成を壊してしまうわけだ。

じっさい日銀が買ったことで、日経平均は50-100円ぐらい上がったのかもしれない。だが、その程度の影響を与えるために介入する必要があるのだろうか。しかも700億円という大金を使って。これだけのおカネがあれば、50の駅にホームドアを設置できる。高齢者の窓口負担を2割に引き上げなくて済む。大変なおカネなのだ。

もちろん、日銀がホームドアを造ったり、医療費を負担するわけにはいかない。だが金融機関を通じて、無利子のおカネを中小企業に融通することは可能だ。もし日経平均が1000円を超えて下落したら、日銀は中小企業金融に700億円を支出する。こんな仕組みが出来たら素晴らしい。

     ≪24日の日経平均 = 上げ +0.34円≫

     ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ
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