経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

2流国の株価になった 日経平均

2022-12-31 07:52:36 | 株価
◇ ‟出遅れ感”に明け暮れた1年 = 日経平均株価は大納会の30日、2万6095円で引けた。年間を通じて2697円の値下がり。4年ぶりに下落の年となった。寅年だったが、結果はあまり芳しくない。高値は年明け早々1月5日の2万9332円。安値はロシアのウクライナ侵攻が始まったあと3月9日の2万4718円。したがって年末の終り値は、高値と安値のほぼ中間だったことになる。

株価に影響を及ぼした大きな出来事はウクライナ戦争のほか、FRBによる金融引き締めの開始、中国経済の低迷、それに日銀の金融政策修正など。しかし年間の株価変動幅は、比較的に小幅だった。特徴的なことは、日本株が年間を通じて‟出遅れ感”を持たれた現象。現在もダウ平均のPBR(株価純資産倍率)が5倍を超えているのに対して、日経平均のそれは1.1倍に過ぎない。このため株価がある程度にまで下がると、特に海外からの買いが入った。

日経平均のこうした推移は、日本が2流国に成り下がったことの表れかもしれない。少子高齢化の進行、低成長の長期化、1人当たりGDPの伸び悩み、貿易収支の大赤字、財政状況の悪化・・・。国際競争力の観点からみても、一時は世界トップ・クラスの地位を占めていた産業がほとんどなくなった。たとえば半導体、太陽光発電施設、コンピュータ、スマホ、EV・・・。

それでも巻き返しが期待されるため、株価には‟出遅れ感”が付きまとうのだろう。だが、こんな状態が続くと、日本は完全な2流国になってしまい、株価の‟出遅れ感”も消滅してしまうかもしれない。再起を図るには、まず永田町や霞が関が「2流国になりつつある日本の現状」を認識することが最も重要だ。23年をその最初の年にしたいものである。

        ≪30日の日経平均 = 上げ +0.83円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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「平均寿命」は もう古い!

2022-12-30 07:51:33 | 寿命
◇ 「健康寿命」で競い合おう = 厚生労働省は先週、20年の都道府県別の平均寿命を発表した。それによると、全国平均では男性が81.49歳、女性が87.60歳。前回5年前の調査に比べて男性は0.72歳、女性は0.60歳それぞれ延びている。コロナの影響は寿命を短くする方向に働いたが、それでも平均寿命は延びた。ちなみにアメリカの21年の平均寿命は、コロナの影響で前年より0.6歳縮んでいる。

都道府県別では、全国1位が男性は滋賀県の82.73歳。前回に続いてトップの座を維持した。長野県、奈良県が続いている。女性は岡山県の88.29歳が1位、長野県を抜いてトップの座に躍り出た。あと滋賀県、京都府と続いている。長野県は4位に落ちた。また最下位は男女ともに青森県。男性は79.27歳、女性は86.33歳だった。

新聞各紙は都道府県別の一覧表を掲載、大きく報道した。それが悪いとは言わないが、世の中は変わってきている。もう単なる長寿を競い合う時代ではないのではないか。寿命が延びても、健康でなければ意味がない。多くの人は、こう考えるようになっている。したがって「平均寿命」よりは「健康寿命」を重視したい。

それなのに、厚労省は「健康寿命」調査を3年に1度しか実施しない。健康寿命が延びれば、介護の必要な人が減る。その結果、介護費や医療費も減るはずだ。厚労省は社会保障費の膨張を嘆いているのに、なぜもっと健康寿命を重要視しないのか。国民にとっても厚労省にとっても、各自治体が「健康寿命」で競い合う方がよっぽどいいだろうに。

        ≪29日の日経平均 = 下げ ー246.83円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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NISA改正は 誰のため?

2022-12-29 07:41:00 | おカネ
◇ 成長政策がなければ意味がない = NISA(少額投資非課税制度)を、大幅に改正することが決まった。年間投資ワクを、積み立て型は40万円から120万円に、一般型は120万円から240万円に引き上げる。両者を使うと、年間360万円の投資が非課税となる。さらに、この制度を恒久化し、生涯の投資限度を1800万円とした。こうした大改正は、24年1月から実施される。

このNISA大改正は、岸田首相の強い意向によって実現した。6月末時点でNISAの口座数は約1700万、投資総額は28兆円。非課税ワクを大幅に拡大し、個人の資金を‟貯金から投資へ”強く誘導することを狙っている。だが実際には、すでにNISAのワクを使い切っている投資家が、手持ちの株式をNISAに移動させるケースが多くなりそうだ。これだと‟貯金から投資へ”にはならず、富裕層が非課税の恩恵を受けることになってしまう。

10月の毎月勤労統計をみると、パートタイム労働者は1635万人。全労働者に占める比率は31.64%にも達する。これらの人たちの平均的な月収は9万9556円だ。例外はあるかもしれないが、これではNISAを利用する余裕もないに違いない。したがって今回のNISAの大改正は、約3分の1の労働者には恩恵が及ばないことになる。

こうした人たちにもNISAの恩恵を受けられるようにするには、まず所得の増加が必要。そのためには成長政策が伴わなければならない。また‟貯金から投資へ”が進んだとしても、企業が設備投資や人件費を増やさなければ意味がない。このためにも成長政策が必要だ。NISAの改正は結構だが、いまの岸田内閣には肝心の成長政策が欠けている。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -107.37円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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巨大予算でも 低成長のワケ (下)

2022-12-28 08:00:16 | 予算
◇ これでは賃上げも難しい = 政府は22日、23年度の経済見通しを閣議了解した。それによると、実質GDP成長率は1.5%になる見通し。22年度の見込みは1.7%なので、やや鈍化することになる。理由は世界経済が減速するためだという。一方、民間調査機関の予測は平均で1.0%。年末に発表する政府の予測は、たいてい民間よりも高くなる。目いっぱい高く見積もらないと税収が伸びず、予算編成が困難になるからだ。

それでも成長率は1.5%だから、低成長から抜け出せない。22年度は140兆円、23年度は当初予算で114兆円。これだけの予算を組んでも低成長から抜け出せないのは、予算のなかに成長を積極的に刺激する費目が少なすぎるからに他ならない。工場の修理をするとき屋根や壁ばかりを綺麗にして、肝心の設備にはカネをかけない。見栄えはよくなるが、これでは経営はよくならない。

政府の経済見通しが低成長だと、企業の経営者は将来に確信を持てない。だから一部の大企業を除けば、設備投資や人件費を大幅に増やすことには躊躇してしまう。エネルギーや原材料費が高騰しているから、特に中小企業は賃上げするだけの余裕がない。政府や経団連が「賃上げを」と叫んでも、好循環が始まらないのはこのためだ。

社会保障費などの自然増や防衛費の増額などで、予算編成が苦しいことはよく理解できる。そこで、この際は「選択と集中」に専念する。たとえば5兆円ぐらいの予算を投じて、蓄電池の研究・開発に全力を挙げる。次世代型の電池を大量生産できるようになれば、再生可能エネルギーやEVの普及が促進される。近い将来「電池は日本製に限る」という評判になれば、輸出産業の軸にもなる。そういう展望が開けば、成長率も上昇する。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +42.00円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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巨大予算でも 低成長のワケ (上)

2022-12-27 07:35:25 | 予算
◇ 経済を底上げすることに使われていない = 政府は23日、23年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は114兆3812億円。22年度より6兆7848億円多く、当初予算としては過去最大。22年度は2回にわたって補正予算を編成、予算の総合計は140兆円近くに達した。加えて23年度も巨大な予算案。にもかかわらず、23年度も低成長が続くと予測されている。どうしてなのだろう。

新予算案の内容をみると、社会保障費が36兆8889億円、国債費が25兆2503億円、地方交付税が16兆3992億円。自然増で膨れるこの3費目だけで、全体の7割近くを占める。これに急増した防衛費を含めると、比率は75%に近づく。残りの25%も大半がコロナ対策などに使われ、脱炭素やAIなど積極的に経済成長に貢献すると考えられる支出は2兆円程度しかない。

一方、歳入は税収が69兆4400億円。国債発行が35兆6280億円となっている。歳入に占める借金の比率は31.1%に上昇する見込み。財政状態は、先進国のなかでも断トツに悪い。しかも、その国債は日銀がほとんどを買い取っている。こんな状態が、いつまで続けられるのか。国債の格下げ問題さえ、心配される様相になってきた。

こうした悲劇的な状況を改善するには、経済成長率を上げて税収の増加を図るしかない。しかし成長分野への財政投入が少ないから、それが出来ない。政府は肥大した歳出を削り、バラマキ的な支出を止める。その一方で、将来の経済成長をもたらす分野への支出を増やす。それが出来なければ、日本は地盤沈下するばかりだろう。

                     (続きは明日)

        ≪26日の日経平均 = 上げ +170.62円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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