経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「余計なお世話だ IMFおばさん」

2019-11-30 08:20:48 | 消費税
◇ 女性専務理事の増税提言が物議 = 来日中のゲオルギエバIMF(国際通貨基金)専務理事が、記者会見で消費税のさらなる増税を提言。各方面で物議をかもしている。この10月に就任したばかりのゲオルギエバ女史はブルガリア出身。日本の社会保障財源を確保するため、消費税を「30年までに15%、50年までに20%」とすべきだと、具体的な数字を挙げている。この提言には批判や非難が殺到。ツイッターには「10%に引き上げたばかりなのに無神経」「内政干渉だ」「余計なお世話だ、IMFおばさん」などの書き込みが続々。

IMFは1945年に設立された国際機関。各国通貨や国際金融システムの安定を目的としており、日本も戦後の復興期には何度も緊急融資を受けている。現在は189か国が加盟。東京にはアジア・太平洋事務所を置いている。しかし、その規模は小さく、日本はじめアジア各国の経済状況を詳しく調査・分析しているとは思えない。その専務理事が何を根拠に、増税を提言したのだろうか。

IMFはまた日本経済の将来予測も行っており、成長率については「19年が0.8%、20年が0.5%」という予測を公表している。こうした予測はいったい誰がやっているのだろう。疑問に思って調べてみた。その結果、予測や提言をまとめているのはワシントンのIMF本部。そこへは日本の財務省から、50人を超える職員が出向している。

予測や提言を作成したのは、これら出向職員だろう。だから基になる統計データは、財務省から出ているとみて間違いないようだ。そう言えばゲオルギエバ専務理事の発言は、ほぼ財務省の考え方に沿っている。ただ財務省としては、増税したばかりのいま次なる増税を口にしたら袋叩きにされかねない。そこで言いたいことを、IMFおばさんに言ってもらったというのが真相のようだ。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -115.23円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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落日の 太陽光発電 (下)

2019-11-29 08:13:56 | エネルギー
◇ エネルギー計画を作れない悲劇 = 日本のエネルギー自給率は、わずか8%にすぎない。だからエネルギーの確保は、死活の問題だ。そのエネルギーを、どのようにして確保するかの長期目標を掲げるのが「エネルギー基本計画」である。政府は14年に第4次計画を策定。ここで30年には、電力生産に必要なエネルギーを「再生可能エネルギー22-24%、原子力20-22%、石炭・石油・LNGなどの火力56%」の比率にしようと決めた。

その比率を17年時点でみると、再生エネルギーは16%、原子力は3%となっており、残りはすべて火力。だれが考えても、30年の目標達成は不可能だ。にもかかわらず政府は昨年、この計画をそのまま踏襲して第5次計画を決定した。原子力や再生エネルギーが伸び悩み、新しい数値を策定できなかったからである。つまり現在の日本は、実行不能なエネルギー目標を掲げているわけだ。

そんなとき経産省は、再生エネの中核である太陽光発電に大打撃を与えかねない制度変更を打ち出すことになった。この新制度の強行で、もし再エネの伸びが止まってしまったら。原子力はアテにならないから、結局は火力を大幅に増やすしかない。すると温暖化ガスの放出も激増する。そして日本のエネルギー計画は崩壊する。

この際はチエを出して、再エネの育成を続けるべきだ。たとえば家庭が蓄電池を購入するとき、思い切って5割以上の補助金を出す。売れ行きが伸びれば、メーカーもいっそうの品質向上に努めるだろう。家庭用蓄電池が普及すれば一定の地域内で蓄電池同士を結び付け、EV(電気自動車)用の給電所を造る。こうすれば太陽光発電量も増加して行く。経産省がしっかりしないと、日本はやがてエネルギー不足で沈没する。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -28.63円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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落日の 太陽光発電 (中)

2019-11-28 07:41:58 | エネルギー
◇ 家庭では採算がとれない? = 小規模事業者・家庭に対しては、従来通りのFIT(強制買い取り制度)が継続される。ところが大規模事業者の場合は契約期間が20年なのに、小規模・家庭の契約期間は10年と設定されていた。このため小規模・家庭の太陽光発電は、ことしから順次FITが適用されなくなってしまう。たとえば10年前から1㌔㍗時=42円で電力会社が買い取ってくれた家庭は、今後7-8円でしか売れなくなる見通しだ。しかも主客が転倒し、今後は価格設定権も電力会社に握られる。

家庭の太陽光発電で、ことし中に契約切れとなるのは53万件。23年まででは165万件。すべてが契約切れになると700万㌔㍗、原発7基分にのぼる発電設備が、約束された売り先を失うことになる。こんな状況のなかで、新規に発電パネルを設置する家庭があるのだろうか。いまの経産省の方針が法制化されると、家庭の太陽光発電は全滅してしまう危険がある。

ことし日本は、台風や大雨で大きな被害を受けた。山肌の狭い土地や家屋の屋根に設置した発電パネルも、吹き飛ばされたりしている。ところが発電能力が50㌔㍗以下の小規模事業者には、被害を報告する義務がない。このため経産省は、被害の状況を知ることが出来ず、対策も講じられない。これもFITを導入した当時、小規模発電の普及を急ぐあまりに経産省がそれまでの「発電能力20㌔㍗以下」だった報告義務を50㌔㍗に引き上げた結果だ。

経産省はFITを導入した12年当時、あまりにも普及の促進ばかりを重視した。その結果、電気料金が上がり過ぎると、こんどは料金の値上がり抑制ばかりを考えている。これでは大規模事業者も小規模・家庭も、太陽光発電を増やす意欲を失ってしまうのではないか。そして、その根底には、責任官庁である経産省がエネルギー計画を作成できずにいるという重大な欠陥が隠れている。

                             (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 上げ +64.45円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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落日の 太陽光発電 (上)

2019-11-27 08:13:43 | エネルギー
◇ 失政で電気料金が9200円アップ = 経済産業省は、太陽光発電の大規模事業者に対するFIT(強制買い取り制度)を終了し、新しい制度に切り替える方針を固めた。改正法案を通常国会に提出、21年度からの実施を目指す。FITの実施で、電気料金が大幅に上昇したことを反省した措置。しかし新しい制度で太陽光発電が順調に拡大するかどうかは、きわめて疑問。なお小規模事業者・家庭については、従来通りのFITが適用される。

FITは太陽光発電の普及を促進するため、経産省が12年に導入した。太陽光で発電した電力を、大手電力会社に強制的に買い取らせる制度。ただ普及を急ぐあまり、その時点で買い取り価格を1㌔㍗時=40円という破格の高値に設定したことが大失敗だった。電力会社は、買い取り費用をそのまま電気料金に上乗せできる。このため電気料金が高騰。たとえば標準家庭のことしの電気代には、年間9204円が上乗せされている。

新しい制度では基準価格を競争入札させ、価格の低い順に認可する。電力価格がこの基準価格を下回った場合、国がその差額を補償する仕組みだ。だが新制度のもとで参入する事業者は、発電した電力を自力で売らなければならなくなった。この程度の補償措置で、太陽光発電事業に参入する業者が現われるか。きわめて疑問だ。

経産省はFIT導入当時の買い入れ価格を40円に設定、しかも20年契約にしてしまった。だから今後10年間は制度が切り替わっても、消費者はなお高い料金を負担し続けなければならない。その当時に参入した事業者は、適正と考えられる価格の5倍も高い収入を20年間も得ることができる。これに対して新制度のもとに参入する業者は、自分で努力しても7-8円でしか売れないと予想されている。消費者の負担に加えて、この大不公平。行政の大失敗と言わねばならない。

                             (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +80.51円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 
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強気と弱気 均衡する株価

2019-11-26 08:07:05 | 株価
◇ 年末ラリーは実現するのか?  = 日経平均株価は11月に入ってから2万3000円台に乗せたまま、小動きで推移している。12日に2万3520円の高値を付けたあとは、先週末の2万3113円までやや下がり気味だ。市場では上げすぎの銘柄が売られ、出遅れの銘柄が買われる傾向が強い。全体としては、強気と弱気が拮抗している。

まずアメリカ経済の拡大が持続する。日本国内では、消費増税後の反動減が予想より小さい。年末商戦が活況を呈し、政府の景気対策にも期待が持てる。ー-強気派の心中である。さらに過去7年間の実績をみると、10-12月期は昨年を除く6年間で日経平均が1000円以上の値上がりだった。これも強気派の支えになっている。

その一方、世界経済は確実に減速している。米中経済戦争によって貿易量が縮小。日本の輸出も大幅に減少中だ。このため製造業を中心に、企業の収益が悪化。株価と実体経済の乖離が拡大した。欧米に比べて日本株は出遅れていたが、最近の日経平均PER(株価収益率)は16倍に近づいている。--弱気派の心中である。さらに政府の景気対策も、財源難でそれほど期待は出来ない。

当面の関心事は、米中間の経済交渉だ。ここでも強気派は早期の進展に期待をかけるが、弱気派は決着には長い時間を要すると予想する。またアメリカ議会が「香港人権法案」を可決した問題。トランプ大統領が署名するか拒否権を行使するかについても、見方は分かれる。強気派が勝つのか、弱気派が勝つのか。いまはその分岐点。12月に入れば、その見通しも固まってくるだろう。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +179.93円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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