経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

増税の反動は 大きかった

2019-12-30 07:44:45 | 消費税
◇ 小売高の減少は前回を上回る = 消費増税後の需要減退は、想像以上に大きかった。経済産業省が27日発表した11月の商業動態統計によると、商業全体の販売額は37兆5600億円で前年同月より6.7%減少した。このうち小売業の販売額は11兆8670億円で、前年に比べて2.1%減少している。この小売業の販売減少は11月に高温が続き冬物衣類の売れ行きが伸び悩んだせいもあるが、大半は消費増税前に起こった駆け込み需要の反動だと思われる。

小売業の販売減少率は、増税直後の10月は7.0%と大きかった。それが11月は縮小しているが、まだ2.1%も落ち込んだ。前回の消費増税時と比べてみると、増税直後の14年4月は4.3%、5月は0.4%だったから、今回の方が減少率は大きい。季節的な違いがあったり、高温の影響があったりして、単純には結論を下せない。しかし大勢としてみれば、今回の方が影響は大きかったと言えそうだ。

11月の販売動向を業種別にみると、デパートは5.7%の減少。スーパーは0.1%の増加、コンビニは2.3%の増加。また家電量販店は5.5%の減少、自動車小売業は5.9%の減少となっている。ここからみても、軽減税率が適用された飲食料品の比重が低い業種で、増税の反動減が続いていることが読み取れる。

増税の前、政府や民間の研究機関は「今回の反動減は前回より小さい」と予測していた。消費税の引き上げ幅が小さいこと、それに軽減税率やポイント付与で影響が和らぐと考えたからである。だが実際には、そうならなかった。その理由は、消費者が増税を機に、節約志向を強めたからではあるまいか。12月分の商業動態統計が、その答えを出してくれるだろう。

       ≪30日の日経平均は? = 下げ≫
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「余計なお世話だ IMFおばさん」

2019-11-30 08:20:48 | 消費税
◇ 女性専務理事の増税提言が物議 = 来日中のゲオルギエバIMF(国際通貨基金)専務理事が、記者会見で消費税のさらなる増税を提言。各方面で物議をかもしている。この10月に就任したばかりのゲオルギエバ女史はブルガリア出身。日本の社会保障財源を確保するため、消費税を「30年までに15%、50年までに20%」とすべきだと、具体的な数字を挙げている。この提言には批判や非難が殺到。ツイッターには「10%に引き上げたばかりなのに無神経」「内政干渉だ」「余計なお世話だ、IMFおばさん」などの書き込みが続々。

IMFは1945年に設立された国際機関。各国通貨や国際金融システムの安定を目的としており、日本も戦後の復興期には何度も緊急融資を受けている。現在は189か国が加盟。東京にはアジア・太平洋事務所を置いている。しかし、その規模は小さく、日本はじめアジア各国の経済状況を詳しく調査・分析しているとは思えない。その専務理事が何を根拠に、増税を提言したのだろうか。

IMFはまた日本経済の将来予測も行っており、成長率については「19年が0.8%、20年が0.5%」という予測を公表している。こうした予測はいったい誰がやっているのだろう。疑問に思って調べてみた。その結果、予測や提言をまとめているのはワシントンのIMF本部。そこへは日本の財務省から、50人を超える職員が出向している。

予測や提言を作成したのは、これら出向職員だろう。だから基になる統計データは、財務省から出ているとみて間違いないようだ。そう言えばゲオルギエバ専務理事の発言は、ほぼ財務省の考え方に沿っている。ただ財務省としては、増税したばかりのいま次なる増税を口にしたら袋叩きにされかねない。そこで言いたいことを、IMFおばさんに言ってもらったというのが真相のようだ。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -115.23円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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見当つかない 増税後の反動減

2019-11-14 07:55:41 | 消費税
◇ 高額の家電と化粧品は急減か = 消費増税前の駆け込み需要が大きければ、それだけ増税後の消費は減退する。その程度が大きければ大きいほど、景気は強く足を引っ張られる。このため政府も企業経営者もその程度を知りたいと計測しているが、どうも答えがはっきり出てこない。というのも分野によって動きが異なり、楽観的な見方と悲観的な見方が交錯しているからだ。また増税の前後に襲来した台風の影響も、計測を狂わす要因になっている。

内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、景気の現状判断指数は前月より10ポイントも急降下して36.7となった。前回の消費増税があった14年4月の38.4を下回っている。特に家計関連の判断指数は、前月より12.7ポイントも下がっている。この結果からみる限り、10月の反動減は決して小さくはない。しかし台風の影響を除外すると、どうなるかは不明だという。

それより少し前に総務省が発表した9月の家計調査によると、世帯平均の消費支出は30万0609円。前年を9.5%上回った。前回の増税時14年3月の7.2%よりも大きい伸び率である。ただ駆け込みによる消費支出増は、日用品などでは前回より少なく、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品、あるいは高額の化粧品などに偏っていた。

こうした動向を受けて、日用品・雑貨業界では「影響は前回より小さい」とみる関係者が多い。これに対して家電や化粧品業界では「むしろ前回より大きいのでは」と判断している。結局、全体としてみると「前回より影響は小さい。しかし事前に予想されたよりは大きい」ということになりそうだ。政府による早めの景気対策が望まれる。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -200.14円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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大きかった 駆け込み需要

2019-11-01 07:58:02 | 消費税
◇ 心配な10月以降の反動減 = 消費増税前の駆け込み需要は、事前の予想を上回る大きさだった。経済産業省が30日発表した9月の商業動態統計によると、小売業の販売高は12兆5890億円。前年比で9.1%の増加だった。前回14年4月の引き上げ時には直前3月の増加率は11.0%だったから、それに近い駆け込み需要があったことになる。今回は軽減税率の導入などにより抑えられるとみられていたが、実際の伸び率は意外に高くなっていた。

業種別にみると、機械器具小売業が37.9%の増加と高い伸び。冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ・パソコンなどが、大きく売り上げを伸ばしている。自動車小売業は16.9%の増加。医薬品・化粧品小売業も16.4%の販売増加だった。また業態別では、デパートが22.1%の増加。家電量販店は52.4%と大きく伸びた半面、駆け込むような商品が少ないコンビニは0.2%の減少となっている。

消費税率が5%から8%に引き上げられた前回14年には、駆け込み需要の反動減が長く続き、経済の低迷を長引かせた。政府はこれに懲りて、今回は消費の平準化を図る方策をいろいろと導入。このため今回は駆け込み需要も3-5%の増加にとどまるという見方が大勢を占めていた。にもかかわらず、こういう結果が出たことは驚きをもって迎えられている。

問題は10月以降の反動減だ。米中経済戦争の影響で、いま日本の輸出は大きく落ち込んでいる。そこへ消費の減退が加われば、景気は急激に下降しかねない。政府は台風・大雨の被害対策として2-3兆円の補正予算を組もうと考えているが、もっと本格的な景気対策が必要になるかもしれない。

       ≪31日の日経平均 = 上げ +83.92円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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消費増税 反動減は小さいけれど・・・

2019-10-01 07:55:50 | 消費税
◇ 節約ムードは強まるだろう = おとといの日曜日、近所の商店街を歩いてみた。家電量販店や薬局はやや込み合っていたが、スーパーはそれほどでもなし。飲食料品に軽減税率が適用されたため、こういう結果になったのだろう。新聞報道によると、高額な家電製品・宝飾品・時計・婦人用コート・化粧品などには、それなりの駆け込み需要があったという。店舗内での飲食には10%の消費税がかかるが、これは“駆け込む”わけにはいかない。

前回14年4月に消費税が5%から8%に引き上げられたときは、想定以上の駆け込み需要が発生。その反動で同年4-6月期の個人消費は4.6%も減少した。そのあとも日本経済は、不況に悩まされている。日銀によると、このときの増税による家計の負担増は約8兆円。それに比べて今回の負担増は2兆2000億円になる見込み。

政府は前回の失敗に懲りて、今回はいろいろな対策を講じた。なかでも金額のはる住宅と自動車については、減税などの措置で増税後も消費者の負担が増えないようにした。このため今回は、住宅と自動車に関しては駆け込み需要がほとんど起きなかった。また飲食料品を中心に税率を8%に据え置く軽減税率を適用、このため低価格品の駆け込み需要は飲食料品を除く日用品に限られている。

結果として、増税後の消費の反動減は前回の4分の1程度に収まると推定されている。だが、それで安心というわけにはいかない。というのも米中経済戦争など、日本経済を取り巻く環境は前回よりも格段に悪化しているからだ。こういう不安が付きまとっているところでの増税。10-12月期のGDP成長率がマイナスになることは避けられそうにない。人々は財布のヒモをこれまで以上に締める可能性が大きい。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -123.06円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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