経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-04-29 07:59:22 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪30≫ 貧富の概念なし = ぼくの部屋が、きょうは珍しく華やかな社交場になった。中央に長いテーブルが置かれ、卓上にはきれいな花とケーキや飲み物が。いろいろな色のローブを身にまとった女性ばかりが、7人も座っておしゃべりしている。マーヤの発案で、あのショッピー館長とガーシュおばあちゃんが、近所の女性たちを招集してくれたのだ。

ガーシュおばあちゃんが立ち上がると、おしゃべりはピタリと止んだ。とても97歳とは思えない立ち居振る舞い。みんなから尊敬されている様子が、それだけで感じられる。
「この地球から来た若い男性は、ダーストン国の人々の生活にとても興味を持っていらっしゃいます。きょうはみなさんの生活意識について、なんでも正直に話してあげてください」

そこからはショッピー館長が司会役に回る。ぼくの方を向いて「どうぞ質問を」と言うので、ちょっと緊張してしまった。立ち上がってお礼を言い、なぜダーストン星に来たのかの経緯を簡単に説明した。
――なんでもタダで手に入れることが出来、働かなくても済むようになって、みなさんは「他人よりもいい生活をしたい」という気持ち、言い換えると虚栄心といった感情はお持ちなのでしょうか。

水色のローブを着た40歳ぐらいの女性が手を挙げた。ショッピー館長が「この方はお子さんが2人、ボランティアで図書館の管理をしています」と説明してくれた。名前はややこしいので、仮にAさんとしておこう。

Aさん「虚栄心がないと言ったらウソになるでしょう。たとえば顔をもう少し細面てにしたいとか、ショッピー館長のような光るローブが欲しいとか、もう少し大きい家に住みたいとか。でも整形手術を受ければ、顔は替えられる。銀色のローブも発注すれば、すぐに届く。家だって手に入る。だから欲を出せばキリがないから、実行しないだけ。そういう意味では、強い虚栄心はありませんね。みなさん、どうですか」

残りの女性たちが、一斉にうなずいた。ぼくも判ったような気がしたが、どうもすっきりしない。そこで次の質問。
――では劣等感もないのでしょうか。

ピンクのBさんが答えてくれた。50歳ぐらい。子どもはなく、特に仕事はしていないという。
「他人のことを羨ましいと感じることはありますよ。ただ、その人と同じレベルにまで生活水準を上げようと思えば、すぐにできます。ですから劣等感というほどのものはありません。とにかく、この国ではおカネ持ちと貧乏人の区別はつきませんから」

――すると貧富の差は全くない?
「貧富の差どころか、貧乏とか富裕とかいう考え方が成り立たないのです」

                             (続きは来週日曜日)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞は 1日たてば ただの紙

2018-04-28 08:22:03 | 新聞
☆ 紙面改革に精を出すべし = 新聞の発行部数が、大幅に減少している。日本ABC協会が集計した日刊紙の総販売部数は、昨年11月時点で3663万部。前年に比べて126万部も減った。テレビやネットに浸食された結果だといわれるが、新聞自体も本当に読者のニーズに応えているのか。真剣に点検してみる必要があるだろう。たとえば――。

一部の新聞は夕刊に、まだ前場の株価を大きく掲載している。その夕刊が読者の手元に届くころには、もう市場の取り引きは終わっている。だから「前場で200円上げ」と報じた夕刊を手にしながら、テレビの「終り値は100円安」という画面を見ることになりかねない。これでは旧聞であり、新聞とは言いがたい。

天気予報も同様だ。新聞が載せる天気予報は、どうしても数時間前のデータで作成される。テレビやネットが流す情報とは、正確性の面でも太刀打ちできない。このように時間差の点でテレビやネットに勝てない情報は、すべて捨て去るべきだ。そのスペースを使って、もっと読者が読みたがる情報を開発してもらいたい。

社説にも問題がある。全く解説の域を出ない社説。たとえば「イスラム国はテロを止めろ」という類いの、相手の耳には届きそうにない一方的な主張など。読者をバカにしているように思われる。もう1つは死亡記事。○○議員の母とか、××社長の父とか。載せるのが悪いとは言わない。載せる基準が曖昧で、読者は“コネ”を感じ取る。それが新聞の中立公正にまで響くことが怖い。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +148.26円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緩和政策の縮小始める : 日銀 (下)

2018-04-27 06:05:00 | 日銀
◇ 実験なのか本番なのか? = 黒田日銀総裁の言う“異次元緩和”は、時とともにその副作用が強まってきた。市場に出回る国債の量が極端に減り、利回りはゼロ近辺に張り付いて動かない。このため金融機関の経営が圧迫され、年金生活者などは預金の利子を得られない。株式市場では需給のバランスが崩れ、経営不振の企業の株価までが上がってしまう。日銀自身も、こうした超緩和政策の悪影響に気付き始めた。

しかし日銀は「物価が2%上昇するまで緩和政策は止めない」と宣言してしまったから、表立って政策の変更は言い出せない。そこで何も言わずに緩和政策の縮小を始めたのではないか。市場にどんな影響が出るか、実験を試みているのかもしれない。だから市場に影響が出るまでは、買い入れの縮小を続けるのではないか。さまざまな見方が飛び交い始めている。

さらに来年10月には、消費税の再引き上げが予定されている。消費増税は、景気を悪化させる公算が大きい。そのときに備えて、国債やETFの買い入れ余裕をできるだけ増やしておく。こんな推測まで聞かれるようになった。アメリカのFRBは着々と金融引き締めを進めており、ヨーロッパのECBも緩和政策からの離脱を鮮明にした。日本だけが置き去りにされたくないという気持ちも、日銀にはあるのだろう。

とにかく副作用を大きくしないためにも、日銀が緩和政策の縮小を試みることは結構だ。しかし何の説明もなしに政策を変更するのは、いかがなものか。市場に何か影響が出たら止めるというのも、いかにも姑息だ。緩和政策を永久に続けることは不可能で、いずれは止めなければならない。この際は思い切って「物価2%の目標」を、捨て去ったらどうだろう。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +104.29円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緩和政策の縮小始める : 日銀 (上)

2018-04-26 08:04:58 | 日銀
◇ 国債もETFも買い入れ減らす = 日銀が市場から買い入れる国債とETF(上場投資信託)の金額を、大幅に減らし始めた。特にETFについては、この4月から購入額をめっきり減らしている。市場ではこれを“異変”と感じている人が多いが、日銀はまだ何の説明もしていない。しかし実体的には超金融緩和政策の変更であり、今後も購入減額が続けば市場にその影響が現われることは避けられない。

デフレからの脱却を目指して、日銀は16年7月から年6兆円を目標にETFを購入してきた。月平均でみれば5000億円ということになる。ところが、この4月は第3週が終わった時点で1400億円しか買っていない。これまで日銀はTOPIXが午前中に0.2%を超えて値を下げると、午後に買い出動することが多かった。それが4月はその経験則が破られ、たとえば20日まで12日間連続で出動しなかった。たしかに“異変”である。

国債の方は、昨年から買い入れ減額が始まっている。日銀が保有する長期国債は、ことし3月末で426兆5674億円。3月は国債が大量に償還されたため、保有額は2月末より4兆円ほど減っている。前年比でも49兆4000億円の増加にとどまった。日銀は年間80兆円の国債を買い入れることにしていたから、実際の購入額は30兆円以上も少なかったことになる。

国債に続いてETFの購入まで減らしたものだから、市場では「日銀がいよいよ超金融緩和政策の修正に着手したのではないか」という見方も強まっている。しかし日銀からは何の説明もない。また国債市場にも株式市場にも、いまのところ目立った影響は認められない。このため日銀の真意について、いろいろな憶測が飛び交い始めた。

                             (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 下げ -62.80円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東北4県に“非常事態宣言”を : 人口減少

2018-04-25 07:29:53 | 人口
◇ 21世紀になって計67万人減る = 人口の東京圏集中と地方の過疎化が止まらない。総務省が発表した昨年10月1日時点の人口推計によると、前年に比べて人口が増加したのは東京・埼玉・千葉・神奈川などの7都県だけ。その一方で、青森・秋田・岩手・山形の東北4県は、いずれも1%を超える人口の減少を記録した。地方創生を旗印に掲げた安倍内閣の施策は、あまり効果を挙げていない。

東北4県の昨年10月の人口は、合計すると463万1000人。これを2000年の統計と比較してみると、66万7000人も減っていることが判る。この減少数は、島根県の人口にかなり近い。つまり、この4県は21世紀になってからの17年間に、島根県民に近い人口を失ったことになる。これはきわめて異常な緊急事態と言えるのではないだろうか。

たとえは悪いかもしれないが、仮に大震災で人々が県外に避難し人口がこれだけ減ったら、政府は直ちに補正予算を組んで大掛かりな対策に乗り出すだろう。この際は発想を転換し、東北4県を「人口対策特区」に指定。徹底的に支援してみたら、どうだろう。このために10兆円の補正予算を組むことに、どれほどの反対があるだろうか。

対策の第1は、出生率を上げること。出産・育児から高校を卒業するまでの教育費を、すべて無料にする。第2は農業と観光業を重点的に支援する。工業の誘致は近隣県の人口を減らすことになるから、あまり感心しない。問題の財源は、特別国債を発行して日銀が全額引き受ければいい。日銀はその分、一般国債の買い入れを減らせばいい。とにかく“非常事態”だという意識を持つことが重要だ。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +190.08円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>