経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

とてつもない 財政支出額 / アメリカ (下)

2021-03-31 08:06:54 | アメリカ
◇ 増税+金融緩和の停止は恐ろしい = バイデン大統領が打ち出す超大型財政政策には、2つの大きな副作用があると考えられている。その1つは増税だ。具体的には、法人税と株式譲渡課税の引き上げ、企業の海外利益に対する課税や富裕層の所得税引き上げ。新政策の財源の3分の1を賄うにしても、増税額は1兆ドルに及ぶことになる。株式市場にとっては、大きなマイナス材料だ。

もう1つの副作用は、FRBが現在の金融緩和政策を停止すること。新政策の財源には国債の大量増発も必要だから、債券市場では国債の価格が下がり、金利は上昇しやすくなる。しかもコロナの感染が下火になり、経済活動が正常化すると、景気がV字型の回復をみせることは明かだ。そこで物価の上昇が顕著となり、インフレの兆候が強まれば、FRBは金融緩和政策を継続できなくなるだろう。場合によっては、引き締め政策に転じるかもしれない。

アメリカの消費者物価は昨年4-6月、コロナ不況のせいで0.3%程度の上昇にとどまっていた。それが7月からは1%台に乗せ始め、ことし2月には1.7%の上昇となっている。今後の見通しでは、昨年が低かったため4-6月には2%台の上昇になるかもしれない。しかしFRBも「それは一時的な現象」とみているから、4-6月中の政策変更はまずないだろう。

しかし問題は、景気が急回復する7月以降。仮に物価が3-4%の上昇を続けた場合、それでもFRBは緩和政策を継続できるだろうか。市場はすでにその辺までを視野に入れて、心配し始めている。緩和政策の停止は、市場にとって死活にかかわる大問題となるからだ。ウオール街の著名な評論家が「バイデンの3兆ドル政策で、クレイジーな出来事が起きるだろう」と発言したことが、きわめて印象的だった。

       ≪30日の日経平均 = 上げ +48.18円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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とてつもない 財政支出額 / アメリカ (上)

2021-03-30 08:14:53 | アメリカ
◇ さらに3兆ドルの経済再建政策か = 「バイデン大統領は31日、新しい経済立て直し政策を発表する。その総額は3兆ドル」--アメリカの主要メディアが、一斉にこう報じている。その内容は道路・鉄道などの整備に1兆ドル。ほかに半導体技術の向上やEV(電気自動車)用の充電ステーション普及、公立大学の授業料無償化など。これまでの財政支出はコロナ収束とコロナ不況の克服に向けられていたが、新政策はアメリカ経済の立て直しを目的としたものになる。

トランプ前政権は合計4回にわたり、コロナ対策を講じてきた。その合計額は3兆8600億ドル。続いてバイデン政権も1兆9000億ドルの追加予算を成立させたばかり。それに新しく3兆ドルの財政支出が加われば、これまでの累計は8兆7600億ドルに膨れ上がる。アメリカのGDPの4割に相当。日本円にすると約960兆円で、日本のGDPの2年分に近い。

財政再建派のイエレン財務長官も「いまは財政面からの刺激が必要だ」と述べており、政権内部の足並みは揃っているようだ。しかし議会では共和党が大反対。民主党内部にも「支出が多すぎる」という批判が出ている。ただバイデン大統領は「中国との競争に負けないために」と、必要性を強調するに違いない。

ワクチン接種の効果も出始めて、いまアメリカでは「夏になれば正常な社会が戻ってくる」という予想が広がっている。そこへ史上最大の景気対策が加われば、7月以降の成長率は2ケタのV字回復になるだろう。株式市場にとっては、夢のような展望である。ところがニューヨーク市場は、考え込んでしまった。この超積極型財政政策には、とんでもない副作用も付いてくると考えられるからだ。

                           (続きは明日)

        ≪29日の日経平均 = 上げ +207.82円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

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今週のポイント

2021-03-29 07:54:12 | 株価
◇ コロナ改善を素直に評価 = ニューヨーク市場では先々週18日、長期金利が1.75%まで上昇し株価は下落した。この流れを受けてダウ平均は先週前半には売られたが、後半は反発。金曜日には3万3000ドルを回復、終り値では史上最高値を更新した。週間では445ドルの値上がり。金利が1.5%台まで下げたこと。それにコロナ感染者増加数が目立って減ってきたことを、素直に好感したためである。

日経平均も先週は前半に下げ、後半は反発した。しかし週間では615円の値下がり。ドル高・円安が進み、3月決算も好調。にもかかわらず株安となったのは、年度末で利益を確定する投資家が多かったため。また日本ではワクチンの接種が遅れ、感染のリバウンドが心配される状態。ワクチン接種率が株価を動かす大きな要因になってきた。

今週はバイデン大統領が、総額3兆ドルの追加対策を打ち出すだろうと報道されている。大変な景気対策の積み重ねだが、市場の評価は難しい。というのも、その財源の大半は大企業に対する増税となるらしいからだ。またインフレを惹き起こす心配も増大する。ニューヨーク市場はその心配を乗り越えて、さらなる最高値を目指すのだろうか。日経平均の重荷は、やはりコロナの動向ということになるだろう。

今週は30日に、2月の労働力調査と商業動態統計。31日に、2月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、4月の日銀短観と3月の新車販売台数。アメリカでは30日に、1月のFHFA住宅価格と3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。31日に、2月の中古住宅販売。1日に、3月のISM製造業景況指数。2日に、3月の雇用統計。また中国が31日に、3月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (54)

2021-03-27 06:50:17 | なし
◇ 予選が出来ない国や地域も = 日本ではいま、オリンピックで来日する選手や関係者をどう迎えるか。水際でコロナ・ウイルスを、いかに阻止するか。海外からの観客を受け入れないことで生じる経済的損失を、どう補てんするか。そんなことが議論の中心になっている。だが視点を変えて、海外諸国の準備状況にも注意を向ける必要があるのではないか。

東京には世界200以上の国から、約1万2000人のアスリートがやってくる。これらの選手はまず自国のなかで選抜され、次に競技種目にもよるが、アジア・アメリカ・ヨーロッパといった地域ごとのトーナメントで出場権を争うことが多い。しかしコロナの影響で、こうした予選の開催も難しくなっているようだ。

規定によって、これらの予選は6月29日までに終了させなければならない。しかし現在まだ予選競技を開催できずにいるのは、出場ワクの25%に達するという。そのなかには過去の実績を参考に選抜する国もあるが、勝ち抜き組とこうした選抜組が戦うことになるのは、いかがなものだろうか。

ところが海外の予選に関する情報は、きわめて少ない。だから一般には「こんな状況で開催できるのか」という印象が強まってしまう。世論調査をみても「オリンピックは中止すべきだ」という回答が、多くの国で過半数を占めるようになってきた。主催国である日本の組織委員会はもっと海外の情報を収集して公開しないと、中止論はさらに拡大してしまうだろう。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +324.36円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ほんとに開けるのか? オリンピック (下)

2021-03-26 07:52:11 | なし
◇ 予選が出来ない国や地域も = 日本ではいま、オリンピックで来日する選手や関係者をどう迎えるか。水際でコロナ・ウイルスを、いかに阻止するか。海外からの観客を受け入れないことで生じる経済的損失を、どう補てんするか。そんなことが議論の中心になっている。だが視点を変えて、海外諸国の準備状況にも注意を向ける必要があるのではないか。

東京には世界200以上の国から、約1万2000人のアスリートがやってくる。これらの選手はまず自国のなかで選抜され、次に競技種目にもよるが、アジア・アメリカ・ヨーロッパといった地域ごとのトーナメントで出場権を争うことが多い。しかしコロナの影響で、こうした予選の開催も難しくなっているようだ。

規定によって、これらの予選は6月29日までに終了させなければならない。しかし現在まだ予選競技を開催できずにいるのは、出場ワクの25%に達するという。そのなかには過去の実績を参考に選抜する国もあるが、勝ち抜き組とこうした選抜組が戦うことになるのは、いかがなものだろうか。

ところが海外の予選に関する情報は、きわめて少ない。だから一般には「こんな状況で開催できるのか」という印象が強まってしまう。世論調査をみても「オリンピックは中止すべきだ」という回答が、多くの国で過半数を占めるようになってきた。主催国である日本の組織委員会はもっと海外の情報を収集して公開しないと、中止論はさらに拡大してしまうだろう。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +324.36円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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