経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

真剣味に欠けた 新・原発政策 (下)

2022-08-31 07:39:50 | 原発
◇ 首相は脱炭素の問題にも触れなかった = いま日本には33基の原発が存在する。そのうち原子力規制委員会の安全審査を通過したのが17基。うち10基が地元の同意を取り付け、7基が再稼働している。地元の同意が得られず稼働できない7基を、来年夏以降をメドに稼働させたいと考えているのが経産省。だが、これまで地元の同意取り付けは電力会社と地方自治体頼み。岸田首相は会見で「政府も真剣に取り組む」と言うべきだったろう。

また原発の新増設や建て替えに関して、避けて通れないのは放射性廃棄物、いわゆる核のゴミをどう処理するかの問題だ。これについても、首相は言及しなかった。政府がこの問題に真剣に取り組まないと、原発に対する反対論はなかなか収まらない。さらにいちばん重大なのは、首相が脱炭素との関連性に触れなかった点だろう。

新増設や建て替え、また次世代型原子炉を推進した場合、石炭火力はどうするのか。いまの段階で具体的な数値を挙げるのはムリだとしても「石炭火力は出来るだけ縮小する」程度の発言はあってしかるべきだった。要するに首相の頭のなかには、日本のエネルギー計画が存在しないとみられても仕方がない。

とにかく首相が原発に対する方針の大転換を表明したことは確か。これを受けて経産省の審議会が、これから具体策を検討することになる。だが地元同意の取り付けから脱炭素の問題まで、審議会で結論が出せるのかどうか。年末までに結論が出せないと、日本のエネルギー対応はまたまた遅れてしまう。

 ≪30日の日経平均 = 上げ +316.62円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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真剣味に欠けた 新・原発政策 (上)

2022-08-30 07:20:58 | 原発
◇ こんどの冬には間に合わない = 岸田首相は先週の記者会見で、原子力発電所に対する新しい方針を発表した。その骨子は①いま再稼働が可能な10基の原発に加えて、7基の再稼働を目指す②新増設や建て替え、さらに次世代型原子炉の開発について、年末までに結論を出す③最長60年の規制に関して、安全審査中の期間を除外する形で実質的に延長できるかどうか検討する--というもの。

これまで政府は「原発は出来る限り活用する」「新増設や建て替えは考えない」の方針を貫いてきた。したがって岸田首相のこの発言は、原発に関して政府が方針を大転換したことを意味する。しかし一般の受け取り方は、どちらかというと冷ややかだ。「なんで、いまごろになって」という感触が強い。

ウクライナ戦争の影響で、原油・天然ガス・石炭の国際価格が暴騰した。エネルギーの多くを輸入に頼る日本は「原発に対する依存度を高めるしかない」という主張は早くから聞こえていた。ところが政府は、これまでずっと口を閉ざしてきた。だから「いまごろになって」という感触が拭えない。そのうえ岸田首相の会見では、こんどの冬に予想される電力不足については全く触れられなかった。

経済産業省は「新たに目指す7基の再稼働は、来年夏以降のことだ」と説明している。だから岸田首相の新方針は方向性は正しいとしても、喫緊の問題である冬の対策には間に合わない。早めに原発対策を講じたイギリスやフランスに比べると、日本の対応は少なくとも1年以上は遅れることになる。そして岸田首相の会見には、まだ抜け落ちた点がいろいろ・・・。

                            (続きは明日)

        ≪29日の日経平均 = 下げ -762.42円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2022-08-29 08:00:47 | 株価
◇ パウエル発言で1000ドルの急落 = ダウ平均は先週1423ドルの値下がり。終り値は3万2283ドルで、ちょうど1か月前の水準に逆戻りした。特に金曜日にはパウエルFRB議長の強硬な発言を受けて、1000ドルを超える下落となっている。パウエル議長はジャクソン・ホールでの講演で「インフレ抑制はやり遂げるまでやり続けなければならない」と、金融引き締めの継続へ強い決意を表明した。

市場はこの1か月間、FRBが‟軟着陸”に成功するという見方を強めてきた。その結果、来年には「利下げもありうる」という観測さえ流れたほどである。だがパウエル発言は、この楽観論を完全に打ち砕いた。このため株価は、1か月前の水準にまで逆戻りしたわけである。しかしパウエル議長は「ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性もある」とも言っている。市場はこの表現に飛びつき、今週は反発に転じるのではないか。

日経平均は先週289円の値下がり。時差の関係で、パウエル発言は取引終了後のニュースとなった。このところ2万8000円台でのボックス相場が続いていたが、今週は下落のスタートとなりそうだ。その後はニューヨークしだいの動きとなるだろう。ただアメリカの長期金利が再び3%台まで上昇してきたので、円安が進むかもしれない。やっぱり2万9000円のカベは厚そうだ。

今週は30日に、7月の労働力調査。31日に、7月の鉱工業生産、8月の消費動向調査、6月の住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは30日に、6月のFHFA住宅価格、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、8月のISM製造業景況指数。2日に、8月の雇用統計。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (127)

2022-08-27 07:47:40 | なし
◇ 日本の死亡者が異常に増加 = 世界の感染者は累計5億9853万人、この1週間で525万人増加した。この増加数は前週より55万1000人少ない。死亡者は646万1601人で、週間1万6203人増加した。この増加数は前週より1869人少ない。感染者、死亡者ともにやや減少したが、いぜん高水準で推移している。コロナが収束する兆しは、まだ見えない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計104万2398人。この1週間で3372人増加した。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国ともに、大きな変化はみられない。

日本の感染者は累計1802万4376人、この1週間で155万9471人増加した。この増加数は過去最大。累計も世界で10番目となっている。死亡者は3万8248人で、この1週間に1959人増加した。この増加数も過去最大。週間の増加数としてはアメリカに次ぐ大きさ。人口当たりでみると、世界でいちばん多くなっている。

「感染者が増えたために、死亡者も増えた」と解説されている。だが感染者の割に、重症者は増えていない。それなのに、死亡者は急増している。これは「肺炎による重症者が少ない半面、基礎疾患による死亡者が多いからだ」と説明されている。なるほどとは思うが、アメリカやヨーロッパ諸国ではそうした傾向がみられない。この疑問について、専門家はまだ答えを出していない。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +162.37円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】    
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福井・沖縄・石川は東京より高い : 食料費

2022-08-26 07:34:25 | 物価
◇ 自給率が低いと輸送費が高くなる = 「全国で食料費がいちばん高いのは東京」と、ずっと思い込んできた。ところが日経新聞の調査によると、この思い込みは間違い。21年の消費者物価から計算すると、全国でいちばん食料費が高いのは福井県。次いで沖縄県、石川県の順。東京都はこの3県に続く4番目だった。ちなみに食料費がいちばん安いのは長野県、次いで宮崎県、奈良県。福井県と長野県では、8-9%ほどの差があった。

東京都に続いて食料費が高い県は、山口・山形・島根・徳島の順。大阪府は29番目で、全国平均を下回っている。、京都府は13番目だった。こうみてくると、食料費が高そうに思える大都市がそれほどでもなく、安そうにみえる地方の県がけっこう高い。このような一般常識を覆すような結果が出たのは、なぜだろう。

日経新聞は2つの理由を挙げている。1つは生産額ベースの食料自給率。20年度の統計でみると、福井県は54%、沖縄県も64%と低かった。自給率が低ければ、県外あるいは海外からの輸入が増える。その輸送費や円安の影響が加算されることになる。もう1つは、大型スーパーの数が少なく競争原理が働きにくいこと。たしかに言われてみれば、納得がゆく。

ただし家計の支出は、食料品に限らない。光熱費や交通費、さらには医療費や教育費まで含めた‟生活のしやすさ”は、どんな順番になるのだろうか。住宅費まで入れたら、東京都が一番高くなることは間違いない。やっぱり、東京がいちばん住みにくい?

        ≪25日の日経平均 = 上げ +165.54円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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