経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「ギョウザ・ラーメン日本一」 への疑問

2024-02-17 07:15:38 | 統計
◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。

総務省は毎年2月に、前年の家計調査を発表する。この調査は全国168の市町村を対象に、約9000世帯の家計を調べる大掛かりなもの。家計の収入や貯蓄、支出動向が詳しく集計される重要な統計だ。これによってギョウザやラーメンをはじめ、数多くの商品が年間どのくらい売れたかも判る。これを見て各所で、お祭り騒ぎや残念会が展開されるわけだ。

だが大きな疑問がある。たとえば浜松市と山形市では、96世帯が抽出調査の対象になっている。これらの世帯がギョウザやラーメンをたくさん買えば、その都市の購入額は増大する。これらの調査対象世帯が、悪意で購入記録を改ざんすることはないだろう。しかし自分たちの購入額が「おらが町を日本一にするかどうか」は当然知っているだろう。そして努力して、購入額を増やすことは十分に考えられる。これが度を越せば、家計調査の意味はなくなる。

地域起こしのために、果物などの特産品についても「日本一の座」を争おうと考える都市が続出しているという。こんな傾向が広がれば、家計調査の信ぴょう性は地に堕ちる。総務省は現状を黙視していていいのだろうか。またテレビや新聞は、なぜこの問題を取り上げないのだろうか。理由を聞きたいものである。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +329.30円 ≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     
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「ギョーザ日本一」は ???

2023-02-10 08:12:51 | 統計
◇ 家計調査で決めるのは疑問だ = 新聞各紙に「ギョーザは宮崎、ラーメンは山形」という記事が載った。総務省の家計調査で、昨年1年間の1世帯当たり支出額が公表されたからである。たとえば「宮崎市の世帯たりギョーザ支出額は4053円、宇都宮市や浜松市を抑えて連覇を達成した」という具合。「バンザイ!」「残念、来年こそは」といった市民の声も載せている。ちょっと、微笑ましい。

しかし、市がギョーザやラーメンを「観光資源としてPRするための協議会を立ち上げた」という話が出てくると、そうも言ってはいられない。ギョーザ戦争やラーメン戦争に自治体が乗り出せば、税金も使われることになる。ところが、そもそも家計調査でギョーザやラーメンの日本一を決めることには、大きな疑問があるからだ。

家計調査は、世帯の収入や支出、貯蓄や負債を調べることが目的。総務省が毎月、全国168市町村の約9000世帯を対象に実施している。無作為に抽出した世帯に、調査票を渡して記入してもらう仕組み。この世帯数は人口とほぼ比例するから、宮崎市や山形市だと20-30世帯になるだろう。

こうした世帯の記入者は、もちろんギョーザ戦争やラーメン戦争のことは知っているはず。故意にギョーザやラーメンの購入量を水増しすることはないにしても、実際にたくさん買おうとするかもしれない。すると平均的な支出額が増えてしまうという危険性がある。もし本当にギョーザやラーメンを観光資源としてPRしたいのなら、小売店ベースでのギョーザやラーメンの販売額を調べるべきだろう。

        ≪9日の日経平均 = 下げ -22.11円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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まゆツバの GDP改定値

2020-06-12 07:37:57 | 統計
◇ 上方修正の根拠なし = 内閣府は8日、ことし1-3月期のGDP改定値を発表した。それによると実質成長率はマイナス2.2%で、5月に発表した速報値のマイナス3.4%を上方修正している。マイナス成長ではあるものの、その幅が大きく縮小したことで一安心した経営者も多かったに違いない。だが、この上方修正は全く信用できない。根拠が不確かで、ないのも同然だからである。

GDPが上方修正された原因は、民間企業の設備投資が急増したこと。速報値では年率2.1%減だったものが、改定値では8.0%増になった。これは財務省が1日に発表した法人企業統計の結果を反映させた結果だ。こうした作業はいつも行われており、別に問題はない。ところが、今回は法人企業統計の内容そのものに大問題が発生していた。

というのも今回の法人企業統計は、コロナ不況の影響で十分な回答が集まらなかった。先行きが不透明で、多くの経営者が質問に答えられなかったからである。財務省も発表に際しては結果が不備なことを認め、調査をやり直すとコメントしている。したがって「設備投資が8.0%増」という数字も、信頼性に欠けるわけだ。

にもかかわらず内閣府は、信頼性に欠ける数字を基に改定値を計算した。おそらく確定値を出す段階では、逆に下方修正を余儀なくされるに違いない。また4-6月期の成長率はマイナス20%前後と予想されているが、1-3月期の数字を上方修正したために落ち込み方は激しくなってしまう。内閣府は実情を率直に説明し、発表を延期すべきだった。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -652.04円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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政府統計は 半分でいい

2019-02-09 08:07:07 | 統計
◇ 目的・内容・方法・組織まで一新せよ = 総務省は政府の基幹統計56本のうち4割に当たる23本で、その作成に誤りがあったと発表した。このため統計委員会に専門部会を設置、233本にのぼる政府統計のすべてを点検する方針。厚生労働省の毎月勤労統計に端を発したこの問題は、国民の統計に対する信頼感を大きく損ねてしまった。国会でも連日のように、論戦が繰り広げられている。

だが責任の追及も結構だが、政府統計に関する根本的な審査をしてほしい。まず数が多すぎる。国勢調査など重要な統計は総務省の統計局が管理・実施しているが、そのほかに各省庁が独自に統計を作成。これらが長い年月のうちに自己増殖してしまった。全く利用されていないもの、重複しているもの。精査すれば、統計の数は半分ぐらいに減らせるのではないか。

たとえば、内閣府と財務省が共同で実施している法人企業景気予測調査。その内容は日銀の企業短期経済観測調査と、ほとんど変わらない。また地価に関する大掛かりな調査は国税庁や国土交通省など4種類もあるが、集約できないのか。さらに家計調査では「ギョウザの消費が日本一」などと話題になるが、ギョウザまで調べる必要があるのだろうか。

その半面、あったら便利だと思う統計が作成されていない。たとえば企業の利益が時系列的に判る指数。あるいは家庭用電気料金の推移など。総務省が設置する専門部会では、こうした統計の取捨選択から調査の内容・方法、さらには全体の組織についてまで、じっくりと検討してもらいたい。統計の作成ミスは、予算と人員が不足しているからだという主張がある。だが不要な統計をばっさり切り捨てれば、予算も人員も足りてくる。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -418.11円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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