徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

たそがれ清兵衛と下級武士のくらし

2020-02-12 22:31:11 | 日本文化
 BSテレ東で映画「たそがれ清兵衛」を放送していた。初公開を電気館で見てからやがて18年経つ。その後もレンタルビデオで観たり、テレビ放映も何度か観ているのだが、初めて観た時の感動はいささかも失われていない。
 この映画を観ると必ず気になるのが幕末の頃の下級武士のくらしぶり。清兵衛は自ら五十石取りと言っているが、老母や二人の娘を抱えてぎりぎりの生活のようだ。
 明治十六年に生まれた僕の祖母は一番被分町の士族の家に生まれ育った。この地区は家督相続できない次男や三男らが住んだ地区だが、祖母の生家は資産家だったらしく裕福な少女時代を送ったという。しかし、嫁いだわが家はまさに貧乏な下級士族の家で、しかも夫(僕の祖父)が早世だったので、寡婦として二人の子と祖父の姉を苦労して養ったらしい。若い時に覚えた機織りで生計を支え、そのせいで年を取ってからは膝が曲がらなくなっていた。この映画を観ると、いつもそんな祖母の苦労がダブって見えるのである。