徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

機織唄(はたおりうた)のはなし。

2020-02-08 19:28:16 | 音楽芸能
 YouTubeの東海風流チャンネル(水野詩都子さん&本條秀五郎さん)に新たにアップされた曲は「一宮機織唄(いちのみやはたおりうた)」。
 かつて一宮市は織物の街として 栄えたが、それは 多くの若い女工たちの手によって支えられていた。 田舎から 集団就職で一宮に来て 日々機織りに励んでいた女性たちが、少しでも楽しく仕事をしようと口ずさんだ作業唄が機織唄と云われている。こうした「女工音楽」は、教育機会に恵まれない女工たちの情操教育の面でも役立ったという。
 一宮出身の水野詩都子さんの唄はいつにもまして活き活きとしていて、本條秀五郎さんの三味線は、繰り返し作業である機織を表して同じフレーズをリフレインするという独自の手付を工夫されたそうだ。





 同じ「機織唄」でも、福岡県久留米市の民謡「久留米機織唄(久留米そろばん踊り)」は色彩を異にする。久留米特産品の久留米絣は江戸時代末期から織り専門工場の機屋ではなく、農家の副業として家内制手工業で織られた。最盛期の昭和初期には筑後地区で年間250万反を生産したという。従って「久留米機織唄」には女工哀史的な背景はない。作業唄としてよりも花街や料亭などの宴席で芸者たちが歌うお座敷唄として唄い継がれてきた。そしていつからか、機織の音を表現するためにそろばんが使われるようになった。現在歌われているのは、作詞:石本美由起、編曲:レイモンド服部によるもの。