塩野七生『十字軍物語1』(新潮社)を読む。
聖地エルサレムを奪還した第一次十字軍を描いた作品です。
ギュスターヴ・ドレの絵に解説を付けた
『絵で見る十字軍物語』で概略を示した後の小説。
ローマ法王ウルバン二世の呼びかけに応じて
十字軍に参加した主要メンバーは次の六人。
トゥールーズ伯サン・ジル
法王代理アデマール司教
ロレーヌ公ゴドフロアと弟ボードワン
ブーリア公ボエモンドと甥のタンクレディ
その中でも目を引くのが若き勇将タンクレディです。
わずか二十四騎でエルサレムの北の要地
ガリラヤ地方を制覇。
そしてアンティオキア公領と
エデッサ伯領の二つの十字軍国家の統治を託され、
イスラムの攻撃から守り抜きます。
タンクレディは36歳で死ぬ直前、
アンティオキア公領、エデッサ伯領、
トリポリ伯領、ガリラヤ地方を縁戚で結んで
エルサレム王国の北辺の守りを固めました。
1118年、エルサレム王ボードワンの死で、
十字軍の第一世代は全員退場します。
しかし十字軍国家の基礎は固まり、
聖地はしばらくの間キリスト教徒が確保しました。
ここで第一巻は終わりです。
十字軍について細かい内容を知る機会はなかったのですが、
タンクレディという若き名将を知ることができたのが収穫でした。
来年刊行予定の第二巻が楽しみです。
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