読書な日々

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『作曲家の発想術』

2020年02月27日 | 評論
青島広志『作曲家の発想術』(講談社現代新書、2004年)

この芸人のような顔で得しているのか、損しているのか、私にはわからないが、作曲家?と思わず首を傾げてしまいそうな雰囲気を持った人で、なんどかテレビでも見たことがある。

もちろん音楽的には申し分ない人で、たぶん一つのテーマを与えられたら、その場で、バロック風に、モーツァルト風に、ベートーヴェン風に、マーラー風になどに変奏曲を作って聞くものを魅了するだけの力量を持っているようだ。

それを如実に示すのが、この本の第三部の「作曲なんてこわくない!」である。ハ長調の一オクターブの7音だけを使って書いたたった8小節の簡単な曲に、ピアノ伴奏を付けていく、オーケストラ伴奏を付けていく、さまざまなタイプの変奏曲を作る作法を紹介している。

なんだか本当に私でも作曲ができてしまいそうと勘違いさせるほどの巧みさである。本当に私も簡単な詩を見つけてきて、それに音楽を付けてみようという気になっているから、恐ろしい。

さらに面白かったのは、第一部「作曲家への階段」で、こちらは著者の幼少の頃から作曲家として知られるまでを詳細に記述して、それに自らいろんなコメントを入れる形で書かれており、べつに作曲家を目指す人でなくても、読んでいるだけ面白かった。

いずれにしても作曲家として活躍するには、子供の頃からそうした活動をしていることが必須のようだということがわかる。

あまり期待しないで借りてきた本だけに、面白かった。



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