【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

人生を変えた一冊

2018-09-20 07:16:15 | Weblog

 今日の本は私の人生を変えた一冊です。
 昭和の昔、大学受験目的で上京して宿に落ちついてキョロキョロしたらすぐそばに区立図書館が。最後の勉強をしようとふらっと入ってぐるっと見たら『火星年代記』が私を強く呼びました。呼び声に逆らえずつい読みふけってしまって気がついたら最後の勉強を全然せずに入試本番。私は見事に落第してしまいましたとさ。おかげで人生のコース(職業選択)が大きく変わることに。
 いや、本を読まずに勉強したとしても駄目だったかもしれませんけどね、誰か(あるいは何か)のせいにしたくなるのが人のサガなのです。

【ただいま読書中】『火星年代記(新版)』レイ・ブラッドベリ 著、 小笠原豊樹 訳、 早川書房(ハヤカワ文庫SF1764)、2010年、940円(税別)

 「2030年1月 ロケットの夏」から始まり「2057年10月 百万年ピクニック」で終わる壮大な「年代記」です。
 冒頭の「ロケットの夏」。たった2ページの作品ですが、この詩のような文章によって私はあっという間に「過去」と「未来」、「地球」と「火星」、の世界に連れ込まれてしまいます。
 旧版との違いは、目次の年代が30年くらい後ろにずらされていること(「過去の物語」ではなくて「未来の物語」にすることが目的でしょう)と、二つ短編がつけ加えられていること。
 ただ本書は「サイエンス・フィクション」ではありませんから、年代とか科学的事実とかにこだわる必要はないでしょう。神話や寓話、過去の作品へのオマージュなどの形を借りた「フィクション」の力をたっぷりと味わえばよいと私は感じながらページをめくります。さらにそこに著者がひそかに忍び込ませたかすかな“不協和音"も、気がつけば楽しむことができます(たとえば「百万年ピクニック」での男女の数の差、とか)。
 再読してよかった。未読の人は、是非。


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