【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

年金

2018-09-02 07:08:24 | Weblog

 私はもうすぐいやでも年金がもらえるようになりますが、年金は「もらう」ものでしたっけ? 私はこれまでの生涯で相当な額を年金のための長期掛け金として天引きされてきました。だから「もらう」のではなくて正当な権利として「取り返す」と言いたいのですが、だめ?

【ただいま読書中】『サルコペニアがいろん』荒井秀典 監修、ライフサイエンス出版、2017年、1800円(税別)

 年を取れば足腰が弱ります。これは「当然のこと」とされていましたが、1989年に「それはサルコペニアという“病態"である」という概念が提唱されました。わざわざ「病態」と言ったのは「直す(予防する)ことが可能」だからです。何でもかんでも「病気」にしてよいのかな、なんてことも思いますが、「サルコペニア」を改善させると、高齢者の健康寿命が延びます。長生きをされると年金を払う人は機嫌が悪くなるかもしれませんが、それ以外の人は皆ハッピーになれるからこの「病気」は「治療」した方が良さそうです。
 本書の最初に「筋肉とは何か」「どのようなメカニズムで筋肉が減少するか」などごちゃごちゃしたことが書いてあって、医学知識の無い人間はそこでくじけそうになりますが、わからなければあっさりすっ飛ばして良いと思います。すぐに「面白い話」が始まりますから。たとえば14万人の調査で「心筋梗塞、脳卒中、癌、肺炎などの死亡率の上昇が『握力の低下』と関係している」なんて研究のグラフは、実にインパクトがあります。もちろん「握力を鍛えれば死ななくなる」のではなくて「全身の筋肉の状態を握力が反映していて、筋肉と死亡率とが関係している」と読むべきですが。
 サルコペニアの診断には「筋量」「筋力(握力)」「身体能力(歩行速度)」が用いられます。また、関連する症状やリスクとして「体重減少」「冷え性」「熱中症や脱水のリスク」「骨粗鬆症のリスク」「糖尿病のリスク」があります。
 「フレイル(健常状態と要介護状態の中間)」とか「カヘキシア(日本語は「悪液質」:癌などで消耗している状態」はサルコペニアとちょっと似ていますが、同じものではありません。また、似た状態に「ロコモーティブ・シンドローム」がありますが、筋力低下(サルコペニア)や持久力の低下などで運動器の障害(機能障害や疾患)が起きた状態が「ロコモ」です。
 サルコペニアは単独でも、あるいはロコモを介しても、転倒・骨折・寝たきり・死亡、というコースに人を誘い込みます。ではその「治療」は? 運動療法と栄養療法が重要ですし、それをやりっ放しにするのではなくて定期的に「評価」することも必要です。だけどすべての家庭に握力計やストップウォッチがあるわけではないですよねえ。ただ、とにかく始めないことには何も始まりませんから、椅子に座った状態でもできる「足の体操」を私も始めることにしました。これなら仕事をしながらでもできますから。
 本書の最後に「笑い」も登場します。「元気で長生き」は、誰かと明るく暮らしてこそ、ということなのでしょう。


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