☆夜、皆で観る約束になっていたのだが、他の作品を観ようと行った<MOVIX昭島>で、つい、この作品のチケットを買ってしまった。
『レミーのおいしいレストラン』以降(『WALL・E/ウォーリー』含む)、その完成度は認めるも、いまいち、心にグッとこなくなってしまっているピクサー作品だが、やはり、公開すればすぐにでも観たいのだ。
客入りは良く、一人で行った私の両側にも、別のお客さんがキツキツに座っていた。
◇
感想を簡単に語っておく。
良かったけど、予告編から推察される内容を越える作品ではなかった。
スピルバーグの作品もそうだけど、アメリカ映画というのは、先ず、物語の範囲(舞台)をこちらに提示してから始まる。
だから、意外性に欠けることが多い。
だが、妻を亡くしたカールおじさんの新しい冒険・・・、その前段階となる半生、妻との出会いと生活と別れの、最近の感動生命保険CM並みの洗練されたダイジェスト感は素晴らしかった。
ベタだが、私はホロリときて、「こりゃ、大傑作になるんじゃないか」と期待した。
何よりも、カールが出会う最愛のエリーの爽やかな性格が気持ち良かった。
吹き替え声優も、カラッとしたいい声を出していた。
そのエリーの、次第に年齢を重ねていく描写が、幸せそうでいて、悲しげでもあった。
◇
それでも、カールの人生は続く。
カールは、地上げ屋の策略で施設に送られそうになる。
ならば、と、思い出の家に大量の風船を括りつけ、大空に旅立つ。
目指すは、妻が夢見ていた地・南米のパラダイス・フォール!!
だが、孤独だが、孤独であることに気づいていない程の子供ラッセルが同行したことによって、旅は、次第に、新しい目的へと進んでいく。
愛した者に拘泥し続けることが、愛した者の望んだことではなく、それこそが「プチエゴ」で、
愛した者の望む、愛した者の亡き後の新しい人生こそを、残された者は生きていかなくてはならない。
それを、この作品はテーマにしている。
正直、若いテーマではない。
だが、ラッセルや、旅先で知り合う仲間との交流が物語に笑いを生み、広域の年齢層を惹きつける要素になっている。
◇
ピクサーの作り手たちは、宮崎作品に敬意を表しているようだ。
この作品は、『ハウルの動く城』の影響が多く見られる。
家屋が移動するということが目立った共通点で、私は近しいものを感じたが、
途中、老人対決(老いを前面に出した描写)があったので、「ああ、やっぱり、インスパイアされとるな」と合点がいく。
ただ、デザインは漫画的だが、人間臭いカールおじさんが肉体を酷使させられる姿は、私には痛々しく見えた。
◇
で、オーソドックスなテーマ故に、それを彩るギャグ要素が大事だと思うのだが、滑っている箇所が多かった。
例えば、敵となる犬軍団は、翻訳機で人語を話すのだが、その強面(こわもて)のリーダーの声がいきなり可愛い声なのである。
他の犬たちが、「リーダー、声が変ですよ」「リーダー、声が変ですよ」とことあるごとに言い、それが繰り返しのギャグになるはずなのに、元々の声が、その前に提示されていないので、あまり面白い効果を生んでいない。
また、同じく犬軍団が、何故か、「リス」に反応し、真剣に話す場面でも、「リス」と聞くと、条件反射でそっちを向いてしまうと言うギャグだが、それも、前提が語られていないので、それがギャグだと分かるのは、オチがついて、それを咀嚼したときだけなのである^^;
ただ、味方となる犬の「ダグ」の、いかにも「犬々しい」言動には、笑った^^
◇
今回は、「3D」版を見たのだが、特に「3D」版で見なくちゃならない理由が見当たらなかった。
粗もなかったが、鳥が高速で飛んでいくシーンなどは、やはり、目が追いつかない。
「おおっ!」と驚くシーンも多いが、それが「3D」効果かは分からない。
(2009/12/05)
『レミーのおいしいレストラン』以降(『WALL・E/ウォーリー』含む)、その完成度は認めるも、いまいち、心にグッとこなくなってしまっているピクサー作品だが、やはり、公開すればすぐにでも観たいのだ。
客入りは良く、一人で行った私の両側にも、別のお客さんがキツキツに座っていた。
◇
感想を簡単に語っておく。
良かったけど、予告編から推察される内容を越える作品ではなかった。
スピルバーグの作品もそうだけど、アメリカ映画というのは、先ず、物語の範囲(舞台)をこちらに提示してから始まる。
だから、意外性に欠けることが多い。
だが、妻を亡くしたカールおじさんの新しい冒険・・・、その前段階となる半生、妻との出会いと生活と別れの、最近の感動生命保険CM並みの洗練されたダイジェスト感は素晴らしかった。
ベタだが、私はホロリときて、「こりゃ、大傑作になるんじゃないか」と期待した。
何よりも、カールが出会う最愛のエリーの爽やかな性格が気持ち良かった。
吹き替え声優も、カラッとしたいい声を出していた。
そのエリーの、次第に年齢を重ねていく描写が、幸せそうでいて、悲しげでもあった。
◇
それでも、カールの人生は続く。
カールは、地上げ屋の策略で施設に送られそうになる。
ならば、と、思い出の家に大量の風船を括りつけ、大空に旅立つ。
目指すは、妻が夢見ていた地・南米のパラダイス・フォール!!
だが、孤独だが、孤独であることに気づいていない程の子供ラッセルが同行したことによって、旅は、次第に、新しい目的へと進んでいく。
愛した者に拘泥し続けることが、愛した者の望んだことではなく、それこそが「プチエゴ」で、
愛した者の望む、愛した者の亡き後の新しい人生こそを、残された者は生きていかなくてはならない。
それを、この作品はテーマにしている。
正直、若いテーマではない。
だが、ラッセルや、旅先で知り合う仲間との交流が物語に笑いを生み、広域の年齢層を惹きつける要素になっている。
◇
ピクサーの作り手たちは、宮崎作品に敬意を表しているようだ。
この作品は、『ハウルの動く城』の影響が多く見られる。
家屋が移動するということが目立った共通点で、私は近しいものを感じたが、
途中、老人対決(老いを前面に出した描写)があったので、「ああ、やっぱり、インスパイアされとるな」と合点がいく。
ただ、デザインは漫画的だが、人間臭いカールおじさんが肉体を酷使させられる姿は、私には痛々しく見えた。
◇
で、オーソドックスなテーマ故に、それを彩るギャグ要素が大事だと思うのだが、滑っている箇所が多かった。
例えば、敵となる犬軍団は、翻訳機で人語を話すのだが、その強面(こわもて)のリーダーの声がいきなり可愛い声なのである。
他の犬たちが、「リーダー、声が変ですよ」「リーダー、声が変ですよ」とことあるごとに言い、それが繰り返しのギャグになるはずなのに、元々の声が、その前に提示されていないので、あまり面白い効果を生んでいない。
また、同じく犬軍団が、何故か、「リス」に反応し、真剣に話す場面でも、「リス」と聞くと、条件反射でそっちを向いてしまうと言うギャグだが、それも、前提が語られていないので、それがギャグだと分かるのは、オチがついて、それを咀嚼したときだけなのである^^;
ただ、味方となる犬の「ダグ」の、いかにも「犬々しい」言動には、笑った^^
◇
今回は、「3D」版を見たのだが、特に「3D」版で見なくちゃならない理由が見当たらなかった。
粗もなかったが、鳥が高速で飛んでいくシーンなどは、やはり、目が追いつかない。
「おおっ!」と驚くシーンも多いが、それが「3D」効果かは分からない。
(2009/12/05)
例えば、『2012』なんかは2D作品ですが、充分立体的に感じたものです。
3Dと言うものは、人間の想像力を退化させるもののような気がしています。
話し変わって、inunekoさんの評価はいつも厳しいですな^^;
自分では、素直に感動させられた作品でした。
今のピクサーの代表が、宮崎さんの弟子だったというようなことを、町山氏が語っていました。
宮崎作品の影響があるのも納得です。
町山さんもすっかりメジャーになってしまいましたね。
あの人は、在野で無茶苦茶言ってたほうが楽しかったですね。
>>今のピクサーの代表が、宮崎さんの弟子だった
心理と言うか、作り手の意気込み的な意味でしょうかね^^